ダイの大冒険(ダイ大)のハドラー親衛騎団まとめ

『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』とは、原作:三条陸、漫画:稲田浩司、監修:堀井雄二による漫画作品。
世界征服を目論む魔王が、勇者によって倒されてから十数年。デルムリン島に住む少年ダイは、ある日「勇者の家庭教師」アバンと出会う。勇者に憧れるダイはアバンの弟子となるが、やがて彼こそが伝説の勇者であることを知る。戦いの中倒れたアバンの志を継ぎ、ダイは仲間たちと共に壮大な冒険の旅に挑む。
ハドラー親衛騎団は、本作後半に登場する敵組織。魅力的な好敵手として描かれ、物語を大いに盛り上げた。

普段は筒状のドレスのような装束の中に隠している手足を露出させた姿。縦横無尽の機動力を誇るクイーンの駒さながらに、幾多の強敵を打ち破ってきたマァムをして「まったく動きが見えない」と戦慄させるほどのスピードを誇る。
親衛騎団最強を自負するこの形態でダイ一行を全員討ち取り、その功績をもってバーンにハドラーの延命を懇願するつもりでいた。これはアルビナスの独断であり、ハドラーの怒りを買うことも覚悟の上。ダイとの決闘を台無しにしてでもハドラーに生きてほしいと願うその姿を、マァムは「愛」と評したが、本人は「魔法生物である自分にそんな感情があるわけがない」と最後までそれを否定する。
「ニードルサウザンド」を球状に展開した「サウザンドボール」を必殺技とし、恐るべき機動力でヒットアンドアウェイを繰り返して終始マァムを圧倒。しかしそのスピードが仇となり、「地面に仰向けに転がり、正面から突っ込んでくるしかないアルビナスの進路上に鎧の破片をバラ撒く」というマァムの奇策によって敗北する。奇しくも“クイーンは迂闊に動かしてはならない”というチェスの格言通りの結果となった。
その後「作られた自分では、“誰かのために”という想いの強さでは人間には敵わないようだ」と自嘲し、マァムに「ハドラーの最後の勇姿を自分の代わりに見届けてほしい」と告げると機能を停止し、散った。

シグマ

オリハルコン製のナイト(騎士)の駒から生み出された戦士。
短めの馬上槍と盾を装備した騎士を思わせる姿をしているが、顔は馬そのもの。ナイトは将棋でいう桂馬のような、変則的な動きをする駒であり、そのためか親衛騎団でも随一の身軽さを誇る。ダイたちとの初戦闘では格闘戦に長けたマァムを完全に翻弄した。
戦士として覚醒したハドラーの武人たらんとする意志をもっとも強く受け継いでおり、騎士道にも相通ずるような高潔な精神の持ち主。決して相手を侮らず、敵であろうと礼節を忘れず、戦局を冷静に分析し、いざ戦うとなれば勇猛果敢。それでいてただの堅物ではなく、冗談を介する柔軟さも持つ。ダイたちとは決して相容れない存在ではあったが、その冷静かつ紳士的な態度は敵味方から一目置かれ、ポップは彼を「(まったく油断してくれないので)やりにくい相手」だと評した。
親衛騎団共通の能力としてほぼあらゆる呪文を受け付けないが、念の入ったことに彼の所持している盾は「シャハルの鑑」と呼ばれる伝説の防具で、呪文を反射する効果がある。このため親衛騎団をも一撃で葬る力を持つ極大消滅呪文メドローアに対する強烈なカウンターとなり、それを操るポップとは互いに警戒し合うライバル関係を築いていった。
ハドラー最後の戦いにも付き従い、因縁の相手であるポップと対戦。イオ系の呪文を接射する切り札「ライトニングバスター」をも耐え抜かれ、最終的には「メドローアに見せかけた他の呪文をシグマに反射させ、それを食らうことで勝利を確信させて隙をつく」というポップの作戦の前に敗北した。その後は潔く敗北を認めると共に、最高の好敵手であるポップに「何かの役に立つだろう」とシャハルの鑑を持っていくよう勧める。シャハルの鑑はその後の大魔王バーンとの戦いで重要な役割を果たし、間接的ながらダイたちの勝利に大きく貢献した。

フェンブレン

オリハルコン製のビショップ(僧正)の駒から生み出された戦士。
全身が刃状のパーツで構成されており、その材質がオリハルコンということもあって迂闊に攻撃すれば武器の方が疵付き、素手で殴りかかろうものなら己が血を流す結果となる。さらに本人がバギ系の呪文を自在に使いこなす優れた戦士ということもあり、攻防に隙が無い。
ハドラーの功名心や残虐性を強く受け継ぎ、自身でもはっきりとそう言い切るほど残酷な性格。一方でハドラーへの忠誠心や親衛騎団への仲間意識はしっかり持ち合わせており、彼らと行動する時には自身の趣味を表に出すことはない。自分より強い存在に果敢に挑む気質や、決して諦めずに仲間を守ろうと奮闘するチウを「立派だ」と評したりする一面も持ち合わせており、強いていうなら「戦士としてのハドラー」の“負の側面”を昇華したような複雑な人物。後に独断行動を起こす際にも仲間たちに胸中で謝罪するなど、ただ力に溺れる破壊者ではない。
作中では偵察に赴いたチウたちを偶然発見し、彼らが力量において自分に大きく劣ると見て取ると時間をかけて痛めつけながら殺そうとした。しかし一方的にいたぶっていたところを、独自に大魔王の動向を探っていたバランに発見され、その所業を見かねた彼に顔面に剣を突き立てられる。視力を失うもその場はなんとか逃げ出し、この一件でバランに恨みを抱くようになる。自身の手で必ず彼を討ち取ることを誓い、ハドラーに頼めばすぐに直る顔面の傷も敢えてそのままに残した。
後にダイとバランが魔宮の門に現れた際、親衛騎団の所属であることを表すエンブレムを返上してこれを単身で迎撃。生命力の反応を頼りに、自身の持てる全ての戦術を駆使してバランに必殺の一撃を叩き込む寸前まで迫るが、割って入ったダイのアバンストラッシュを受けて脳天から両断され、親衛騎団最初の脱落者となった。

ブロック

オリハルコン製のルック(城兵)の駒から生み出された戦士。
城壁と全身鎧を足して2で割ったような姿をしており、クロコダインをも上回る巨体と怪力を誇る。どういうわけか「ブローム」としかしゃべることができないものの、ハドラーへの忠誠心と親衛騎団への仲間意識は一際強く、文字通り自らを盾として彼らの危機を何度も救った。
作中では、もっぱらその怪力を用いて敵を叩き伏せる戦法を取る。個々が一系統ずつ呪文を修得しているとすればヒャド系が使えるはずだが、他の親衛騎団のメンバーとは異なり呪文の類を使用する場面は描かれなかった。意外にも咄嗟の判断力に長け、「メドローアの直撃を避けるために、自分の巨体を活かして親衛騎団の仲間たちを地中に押し込める」といった活躍を見せた。これを見たポップは、ただでさえ圧倒的な強者である親衛騎団に「己の身を捨ててでも仲間を守る」という強い仲間意識があることを知って驚嘆した。
意志の疎通はできないものの仲間たちからも概ね信頼されているが、ヒムからは「鈍そう」だと思われている。

キャスリング

チェスのルールで、ルック(城兵)とキングの駒の位置を入れ替えるというもの。ルックの駒から生まれたブルームはこれを由来とする能力を持っており、作中ではハドラーがバーンにとどめを刺されそうになった際に披露した。
上記画像のようにブロックの中から細身の人物が現れ、ハドラーの代わりにバーンの一撃を受け止める。それまでの外殻だったパーツは魔力の塊となってハドラーと仲間たちを安全圏まで離脱させていった。その際、仲間たちに向けて「ハドラーサマヲタノム」と言い残しブロック本人は爆散。親衛騎団2人目の脱落者となったが、ハドラーと仲間たちを守れた安堵にかその顔には笑みが浮かんでいた。
それまで一度もしゃべらなかったブロックの最初で最後の言葉にヒムは号泣し、ハドラーもまた悲壮な顔で部下の忠烈なる最期を悼んだ。しかしブロック最後の奮戦は無駄ではなく、彼がハドラーたちを守り抜いたことが回り回ってダイたちの勝利につながっていくこととなる。

YAMAKUZIRA
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