勇者・ダイ（ダイの大冒険）の徹底解説・考察まとめ

ダイのプロフィール・人物像

年齢：12歳
出身：デルムリン島／アルキード王国
職業：勇者
家族：ブラス（きめんどうし）、ゴメちゃん（ゴールデンメタルスライム）
血族：父／“竜の騎士”バラン、母／“アルキード王国王女”ソアラ
武器：パプニカのナイフ、鋼の剣、ダイの剣、アバンの印

CV：藤田淑子（1991年版）／種﨑敦美（2020年版）

ダイとは、『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の主人公である。
魔王亡き後に魔物たちが平和に暮らすデルムリン島に唯一住まう人間。赤ん坊の頃に島へ流れ着き、きめんどうしのブラスに育てられた。勇者に憧れる普通の少年だったが、いくつかの事件に関わった後、アバンという男と出会う。「勇者の家庭教師」を名乗るアバンは、ダイの噂を聞き、彼に勇者の資質を感じて弟子のポップと共にデルムリン島へやってきたのだった。
魔王軍が復活し、ダイがこれまでの冒険で知り合ったロモス王国の人々やパプニカ王国の王女レオナも危うい状況にある。アバンにそう聞かされたダイは、彼の弟子となって次代の勇者を目指すことを決意。様々な特訓を経てアバンの剣技や心得を身に着けていくが、修行半ばで十数年前に倒されたはずの魔王ハドラーが島を急襲。アバンがかつてハドラーを討伐した勇者その人であったことを知る。

ハドラーは魔界の覇者である大魔王バーンによって命を救われ、現在は彼の先兵として魔軍司令を名乗っていた。弟子たちを救うためアバンは倒れ、ダイは怒りのままにハドラーと交戦。突如額に謎の紋章を浮かび上がらせてすさまじい力を発揮し、アバンとの戦いで消耗していたハドラーを撃退する。
その後ダイはアバンの志を継ぐため、ロモス王国やパプニカ王国の人々を救うため、真の勇者となるため、ポップと共にデルムリン島を出立。魔王軍との壮絶な死闘に身を投じていく。

正義と友情のために剣を取り、誰かのためにこそ強い力を発揮する、純粋で勇敢な少年。自分以外にはモンスターしかいないデルムリン島で育ったため世間知らずな一面もあり、難しい文字を読むのは苦手。幼いながらもその真っ直ぐな在り方は敵味方を問わず多くの者を惹きつけ、地上に生きる者にとって不可欠な「太陽」だと称された。
物語を通しての相棒でありつづけたポップとは固い友情で結ばれ、互いに命を懸けて助け合う仲。他にもマァムやヒュンケル、クロコダインとは特に強い信頼関係にある。レオナとは友人としての気持ち以外に異性として意識する部分もあるようで、彼女の側もダイの優しさや勇気に個人的にはかなり好感を抱いており、明確な恋人関係にあるわけではないが基本的には両想いである。
一方で歳相応な部分もあり、自身の出生や両親のことでナーバスになったり、世界の命運を背負うプレッシャーに押し潰されて逃げ出したこともある。

アバン流刀殺法を修め、大魔王との決戦に至るまでこれを自身の基本戦術とした。修行が中途半端だったため当初は未完成だったが、魔王軍との戦いの中で奥義に開眼。アバン流を完全に己のものとする。ダイの戦闘力は後述の竜の騎士としての力による部分も大きく、純粋な剣術の技量はヒュンケルやロン・ベルクの方が上である。
一方で呪文は苦手で、デルムリン島を出るまでは竜の騎士の力無しにはまったく使うことができなかった。これは本人の適正以外にブラスがスパルタで呪文を教え込もうとした結果苦手意識が芽生えてしまったことも大きいようで、アバンも「呪文は望み薄」だと判断して剣技に特化した訓練に切り替えている。魔王軍との戦いの中で炎熱呪文メラや雷撃呪文ライデインを修得していくが、最上位の雷撃呪文であるギガデインを独力で使用するシーンは最後まで描かれなかった。

父は竜の騎士バラン、母はアルキード王国の王女ソアラ。竜の騎士とは世界の均衡を崩す巨悪を討つために神々が作り出した生体兵器で、竜の力、魔族の魔力、人の心を併せ持つ究極の戦士である。マザードラゴンと呼ばれる神の御遣いが倒すべき巨悪を感知するたびに生み出される一代限りの存在だが、バランはその数千年の歴史において初めて己の子を成した竜の騎士となる。そのため、ダイは実際には純粋な人間ではない。その複雑な出自からアルキード王国で暮らすことは許されず、両親と別れさせられて僻地に送られる途中に船が難破、デルムリン島へと漂着した。
ダイの額に浮かび上がる紋章こそ竜の騎士の血を引く証にして力の源で、窮地に陥るたびにその力を発揮して幾多の強敵を降していった。後にバランから彼の分の竜の紋章を受け継ぎ、歴代の竜の騎士をも超える圧倒的な力を手に入れる。

ダイの武器

パプニカのナイフ

パプニカ製の特殊な金属で作られたナイフ。柄に宝石の埋められた青い刀身の美しいナイフで、儀式のためにデルムリン島を訪れたレオナから「呪文が苦手ならせめていい武器を持っておかなきゃ」、「自分が持ち歩いていると怒られる」とのことからダイに贈られた。柄元の宝石の色だけが違うほぼ同じ構造のものが全部で三振り存在し、最初にダイに贈られたものは赤い宝石をあしらった「太陽」のナイフ。他に青い宝石が埋め込まれた「海」のナイフ、緑の宝石が施された「風」のナイフが存在する。
サイズは大振りのナイフといった程度だが非常に頑強で、その後クロコダインとの戦いに至るまでダイはこれをメインウェポンとして愛用。ロモス王から新しい装備を拝領した後も、サブウェポンとして活躍した。
バランとの戦いの中でダイの竜の騎士の力に耐え切れず崩壊するも、レオナからは改めて「風」のナイフが送られる。この頃には自身の全力に耐えられないものとなっていたが、ダイは大魔王との戦いまでこれを常に持ち続けた。ダイとレオナの絆を象徴するアイテムである。

鋼の剣

クロコダインとの戦いの後、ロモス王から防具と共に拝領した剣。一般的な武器だが実際に兵士が戦闘で使うものであり、その性能は折り紙付き。
ヒュンケルとの戦いからバルジ島の決戦まで大いに活躍するが、激戦のあまりこの頃には刃毀れが目立つようになる。新たな武器を求めて訪れたベンガーナで、モンスターに斬りつけた際に壊れてしまい、新たに買い求めたものもバラン戦で使い捨てられた。
なお、本作はドラゴンクエストシリーズが原案であり、ゲーム上では「鋼の剣」ではなく「はがねのつるぎ」と表記されている。そのため作中では漢字が使われているものの、コミックスのオマケページのパラメータではひらがな表記になっている。

ダイの剣

オリハルコン製の「覇者の冠」を鋳潰して作り出した剣。ダイのためだけに存在するダイ専用の剣で、名前もそこからつけられた。
製造者は伝説的な魔族の名工ロン・ベルク。彼は伝説の最強剣として名高い真魔剛竜剣を超える武器を作ることを目標としており、ダイが材質においてそれに劣る鎧の魔剣でそれに打ち勝ったと聞いて狂喜。自身の力に耐え得る武器を探していたダイに専用の剣を作ることを約束し、結果できあがったのがダイの剣である。
最強の硬度を誇るオリハルコン製の剣というだけではなく、様々な工夫が施されており、ダイの竜の騎士としての力と合わせてすさまじい力を発揮する。初披露した際には、帆船を手に収めて持ち上げるほどの巨体を誇る鬼岩城をほぼ一撃で崩壊させた。
とはいえ無敵というわけではなく、ダイ専用にあまりに調整の行き届いた剣であるためか全力で振るった際の消耗が著しい。そのため、強敵を前にした時にしか鞘から抜くことができないセーフティがかけられている。
この鞘には後に改良が施され、剣に宿した呪文の威力を増幅する効果が追加された。これによりダイはライデインをギガデインなみに強化した上で放つ最強必殺技「ギガストラッシュ」を完成させる。

アバンのしるし

後進の育成のため“勇者の家庭教師”を名乗るようになった元勇者アバンが、自身の弟子の卒業の証に送るペンダント状のガラス細工。輝聖石と呼ばれる希少な素材で作られており、わずかながら邪気を跳ね除ける力がある。
ダイは修行半ばにしてアバンから渡されたこれを最後まで持ち続け、後に邪気を払う効果があることを知った時は「先生はいつも俺たちと一緒に戦ってくれていた」と涙した。

ダイの能力・必殺技

アバン流刀殺法

大地斬（だいちざん）

心技体の“体”を表す、アバン流刀殺法の基本技。動きの無駄を省き、剣の切っ先まで効率的に力を伝導することで、大岩をも切り裂く威力を生み出す。ダイが最初に覚えた技である。

海波斬（かいはざん）

心技体の“技”を表す、アバン流刀殺法の基本技。大地斬が威力重視の技であるならこちらは速度重視であり、剣筋にそって衝撃波が放たれるほどの勢いで斬撃を繰り出す。呪文による攻撃や一部の魔物が放つ炎をもある程度切り裂くことが可能で、攻撃のみならず防御の面でも重要な技である。
アバンと出会った時、ダイは襲い掛かってきたモンスターを「斬撃の衝撃波だけで両断する」という、まさに海波斬と同じ芸当をしてみせた。このことからアバンは“ダイならぶっつけ本番でも海波斬はできる”と判断し、火竜変化呪文ドラゴラムで竜に変身。その吐き出す炎で焼かれて死ぬか、海波斬を体得してそれを切り抜けるかの超スパルタな特訓を行った。その直後にハドラーが急襲してきたため、アバンがダイに直接授けた最後の技となる。