勇者アバンと獄炎の魔王（ドラゴンクエスト ダイの大冒険）のネタバレ解説・考察まとめ

『勇者アバンと獄炎の魔王』の概要

『勇者アバンと獄炎の魔王（ゆうしゃアバンとごくえんのまおう）』とは、2020年より三条陸原作、柴田優作作画により『Vジャンプ』で連載の漫画作品である。『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の前日譚であり、勇者時代の若かりし頃のアバンが主人公である。カール王国の騎士アバンが魔王ハドラーを倒すために騎士仲間のロカと旅立ち、女盗賊レイラ、大魔導士マトリフら仲間と出会ってハドラーを打ち倒すなど、在りし日の活躍を描いた物語となる。第1話から第44話までがアバンと仲間たちのハドラー討伐の旅路を描く第一部【勇者編】、第45話以降がのちに勇者となる弟子たちを育てる旅を描く第二部【先生編】として構成されている。
ゲームとしてのドラゴンクエストのシステムを色濃く再現した作風となっている。積極的にモンスターと戦ってレベルを上げたり、使える呪文や持てる装備が限られていたりするなどの描写があるほか、戦闘の際には立ち回りに工夫が必要であったり、仲間を強化したり補助したりする呪文を積極的に活用したりするなど、『ダイの大冒険』本編以上にゲームの要素を強く描写ているのも特徴である。

『勇者アバンと獄炎の魔王』のあらすじ・ストーリー

勇者編

カール王国の騎士アバンは騎士でありながら凡夫として料理をしたり薬草を摘んだりして過ごしていた。ところが、魔王ハドラーによる王女フローラ誘拐予告事件をきっかけに隠していた真の力を発揮し、魔王ハドラーの住む地底魔城を目指す旅に出る。同じく騎士であり友でもあるロカとともに旅に出たアバンを待ち受けるのは、ハドラー四天王。デストロールのガンガディア、亜人面樹のキギロ、鬼面導士ブラス、地獄の騎士バルトスである。

武術の神に会うべく向かったらロモス王国で亜人面樹キギロと対峙したアバン一行は、激闘の末僧侶と盗賊の二つの顔を持つ女戦士レイラを仲間に加える。また、老師ブロキーナより教えを受けたアバンは大地斬を習得しキギロを打ち倒す。

次にヨミカイン遺跡に向かったアバン一行。そこで本の中に閉じ込められた男と出会ったロカは、その呪いを解くため奮闘する。そのさなか、アバン一行の動向を察したデストロールのガンガディアの襲撃を受けるものの、ロカの勇気と本に閉じ込められていた大魔導士マトリフの機転により勝利。マトリフが仲間に加わる。

次に向かったウルス村で海波斬を習得したアバンは、自身の必殺技に「アバンストラッシュ」と名付ける。だが、サババで魔王ハドラーの強襲を受け、アバン一行は再び窮地に追いやられる。「アバンストラッシュ」は未完成であり、ハドラーに通用しなかったのだ。足りない一手を習得するためマトリフの修行の地ギュータへ向かったアバンたち。そこで再び亜人面樹キギロの襲撃を受けるが、アバンはそれを最後の必殺剣、空裂斬で退ける。
だが、旅の中でレイラがロカの子を身ごもったことに気づいたアバンは、「凍れる時間の秘法」を使いハドラーを自分と共に封印することを決意する。

ロカとレイラの子は無事産まれ、世界には一時の平和が訪れた。
だが、一年後、勇者と魔王の封印は解かれる。魔王の復活と勇者の討伐を目論む敵に強襲を受けるが、アバンは空裂斬を完成させ、必殺剣「アバンストラッシュ」を習得する。マトリフもまた「極大消滅呪文メドローア」を会得し、二人で敵を退ける。

魔王の城を見つけ出していたマトリフの功績により、再集結したアバン一行はその城のあるヴィオホルン山を目指す。地底魔城へたどり着いた一行。マトリフが一騎打ちでデストロールのガンガディアを倒し、ロカ、レイラもそれぞれ亜人面樹キギロと、魔法生物グランナードを打ち倒す。
そうしてアバンは地獄の騎士バルトスとの一騎打ちに挑む。バルトスに子どもがいることを察したアバンが休戦を申し出ると、バルトスはその高潔な心に感激し、人間の息子ヒュンケルのことをアバンに託し勇者を先へ通す決断をする。

魔王ハドラーと対峙したアバン。窮地に追いやられるものの、ロカの力、マトリフの技、レイラの心を感じながら必殺技「アバンストラッシュ」を放ち、見事魔王ハドラーを打ち破る。

かくして世界に平和が訪れた。アバンはバルトスとの約束通り少年ヒュンケルを引き取り、実家のジュニアール家で育てる。だがヒュンケルに「おれが欲しいのは『先生』だ」と言われたことにより、後進を育てる旅に出ることを決意する。こうして勇者アバンは先生アバンとなった。

だが、魔王ハドラーは大魔王バーンの力により生き延びており、また、魔界最強の武器を扱う謎の8人組の姿もあるのだった。

先生篇

第45話以降 2024年11月21日から連載予定。

『勇者アバンと獄炎の魔王』の登場人物・キャラクター

勇者一行

アバン=デ=ジニュアール3世

主人公。魔王ハドラー討伐に挑む勇者。カール王国出身。王女フローラを助けたことがきっかけとなりカール王国騎士団に推薦入団。秀でた力を隠し平穏に暮らしていたが、王女フローラが魔王ハドラーにさらわれそうになった事件をきっかけにして魔王を倒すために旅立つ。柔和でのんびりとした人柄で、自身の名誉や地位などにはこだわりがない。顔立ちもよく料理上手ということもあり、カール王国騎士時代は王宮勤めの女性達からの人気も高かった一方で、サボりの常習犯であるため、兵士からの評判は芳しくなかった。
主な技は大地斬、海波斬、空裂斬、アバンストラッシュ。

ロカ

アバンの相棒。カール王国の年長の騎士達がハドラー軍侵攻で全滅したため、若くして騎士団長に就任した。アバンとは幼馴染の親友。アバンと出会った当初は、そののんびりとした優男ぶりに疑問を抱いていた。ハドラーがカールを襲撃した際、勝手に行方をくらませたアバンを軽蔑していたが、アバンの戦略とハドラーを撃退した未完のアバンストラッシュに希望を見出し、彼と共に打倒ハドラーの旅に出る。直情的な性格で、「一生女なんか好きにならない」「結婚することがあったら国内を裸で走り回る」と語っていた。のちにレイラと恋に落ち結婚したため、本当に裸で国内を走り回る。
主な技は豪破一刀、武鋒・豪破一刀。

レイラ

ネイル村の僧侶だが、通称「影女」と呼ばれる盗賊を兼ねており、魔の森に足を踏み入れた人々を物を奪わずに追い払っていた。気が強いしっかり者だが、誰よりも心優しい美女。ロカとは喧嘩ばかりしていたがやがて恋に落ち、彼の子を身ごもる。その後、元気な女の子（マァム）が産まれた。
回復呪文や補助呪文を使いこなすほか、影女として短剣二刀流とメリケンサックも使いこなす。

マトリフ

パプニカ王国のヨミカイン魔導図書館で、本の罠にかかり本の中に閉じ込められていた。魔王ハドラーが地上に侵略する前から本の中に閉じ込められていたので、ロカと出会った後に話を聞くまで、魔王の侵略を知らなかった。魔王ハドラーを倒した後はパプニカ王国に招聘された。
ほぼ全ての魔法を使いこなすことができるほか、右手と左手で別々の魔法を撃つこともできる。極大消滅呪文メドローアを編み出したのもマトリフである。

ブロキーナ

ロモスの山奥に住む老人。細い見た目に反して優れた身体能力を持つ。アバンに大地斬を習得するきっかけを与えた。また、アバンが「凍れる時間の秘法」を使う際には時間稼ぎのためにハドラーと一騎打ちで対峙した。