絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』とは2014年にスパイク・チュンソフトより発売されたPSVita向けのゲーム。2017年6月にはPS4版、PC版も発売している。ダンガンロンパシリーズにおいては3作目であり、1、2の間を描いた外伝ストーリーとなっている。
今作は1年半にも及ぶ監禁生活を強いられていた苗木こまるが、「超高校級の文学少女」である腐川冬子と共に世界の異変に立ち向かうストーリーとなっている。
『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の概要
『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』とは、2014年9月25日にスパイク・チュンソフトより発売されたPSVita向けのゲームである。
2017年6月29日にはPS4版、(Windows7以降の)PC版も発売されている。
ダンガンロンパシリーズにおいては3作目であり、1作目『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』と2作目『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』の間に何があったのかを描いた外伝ストーリー。
今までの「ハイスピード推理アクション」というジャンルであるダンガンロンパシリーズとは違い、今作は「コトダマアクション」と称したシリーズ初のアクションアドベンチャーゲームになっている。
また、シリーズ初となる3Dグラフィックも取り入れられており、アクションシーンに関しては全編に渡って3Dで構成されている。
他にもシリーズ初となるアニメーションも挿入されていて、ジャンルからグラフィックから、2作目までのダンガンロンパとは一味違う作品になっている。
今作は、1作目の主人公であった苗木誠の妹である苗木こまるが主人公。
1年半にも及ぶ監禁生活を強いられていた苗木こまるが、謎の熊「モノクマ」の襲来を受け、荒れ果てた外の世界に飛び出す。
外の世界で出会った、「超高校級の文学少女」である腐川冬子と協力し、世界の異変に立ち向かうストーリーとなっている。
『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』のあらすじ・ストーリー
監禁生活
普通の女子高生である苗木こまる。
しかし、その日常はとても普通ではなかった。
窓には鉄格子、決して開かない玄関のドア、朝昼晩に必ず届けられる食事。
苗木こまるは、1年半もの間、誰が何の為に行っているかも分からない監禁生活を送っていた。
毎朝のように脱出を試み、玄関に向かって叫んでみたり、体当たりをしてみたりするが、反応はない。
脱出する気はあるが、希望も既に無くなっていた。
そんなある日、玄関の方から物音が聞こえる。
この1年半、物音が聞こえる事すらなかった、こまるの生活に変化が訪れたのだ。
誰かが助けに来たのかもしれないという希望を抱き、こまるはドアの向こう側に向かって助けを求めた。
しかし、こまるの目の前に現れたのは鋭い爪だった。
切り裂かれたドアの向こうからは赤い目が鋭く光り、ドアを壊して現れたのは鋭い爪を持つ、白と黒のクマだった。
謎のクマからの襲撃にひたすら逃げるしかないこまる。
皮肉にも、謎のクマからの襲撃により開いた玄関から外へ飛び出した。
初めて出た部屋の外は、マンションの廊下になっていて、何故だか火事が起きていた。
火の手や、謎のクマから逃げ続け、何とか辿り着いたのはエレベーターホールだった。
クマから逃れようと、こまるは必死にエレベーターのボタンを押す。
ようやく開いたエレベーターには数人の黒服の男達が乗っていた。
黒服の男達の先頭に立っていた青年は、拡声器のような物を襲ってきているクマに向け、そこから青い光を放った。
拡声器から放たれた光がクマに当たった瞬間、クマは爆発し、機能停止したようだった。
謎の黒服集団の助力
何が起きたのか理解出来ず、茫然とするこまる。
拡声器で謎のクマを倒した青年は、自らを「十神百夜」と名乗り、こまるを監禁したのは自分ではない事と、こまるを助けに来た事を説明した。
十神は「このマンションに『要救助民』が監禁されているという情報が未来機関に入ってきた」と言った。
何も理解出来ないこまるに、十神は説明もせず「これは一体どういうことだ?このモノクマはなんだ?」と先程爆発したクマの頭部に近寄った。
どうやら、こまるを襲ってきた謎のクマは「モノクマ」という名称があるようだった。
更に十神は「俺達がこの街にやってきたのを見計らったようにこんな暴動が起きるとは、タイミングが良すぎる。いや、そもそもあの情報自体が俺達を誘い出す罠だったのか…」と一人で考え込んでいた。
そんな十神にこまるはようやく「暴動って何ですか?外で何が起きてるんですか?さっきの白黒のクマも…何なんですか?」と尋ねた。
それを聞いた十神は「モノクマを知らないとは呑気なものだな」と呆れた様子を見せた。
しかしその後「教えてやるが…今はそんな無駄話をしている場合ではないぞ」と視線を横にずらした。
十神の向けた視線の先には、先程十神と一緒にエレベーターから降りてきた他の黒服達がモノクマに襲われている光景があった。
十神は、先ほど使っていた拡声器をもう一つ出し、こまるに渡した。
そして「向かいのファミレスに未来機関の人間が待機している。おまえにも逃げるくらいは出来るだろう」と言い放ち、こまるに逃げるよう促した。
相変わらずワケが分からないこまるだったが、ひとまず十神の言う通りエレベーターに乗り、外に出た。
一年半ぶりに出た外の世界。
そこには、モノクマが人々を襲っている地獄のような光景が広がっていた。
十神の言っていたファミレスに飛び込み、助けを求めるこまるだったが、その瞬間、外からガラスを破って入ってきたモノクマが店員に襲い掛かる。
そこから他のモノクマ達も一斉に入り込んできて、あっという間にファミレス内は血の海となった。
物陰に隠れ、怯えていたこまるだったが、見つかるのも結局時間の問題。
それでも自分を何とか奮い立たせ、十神から渡された拡声器型の「ハッキング銃」と呼ばれる、モノクマに対抗出来る武器を手に進むしかなかった。
何が起きているのか、未だに理解は出来ていないこまる。
店員も客も、モノクマも居なくなった静かなファミレスの店内に一人ただただ困惑するしかなかった。
すると、どこからともなく誰かの「クスクス」という笑い声が響いた。
「誰!?」と言ってみても返事はなく、こまるは声の主を探し店内を歩いた。
一台のテレビの前に辿り着き、どうやら笑い声はここから聞こえてきているようだった。
画面には、血まみれになって息絶えているニュースキャスターの姿が映っていた。
しばらくすると、テレビの中に4~5人の子供が現れる。
あろうことか、その子供達は倒れていたニュースキャスターを使い、死体を人形かのように弄んでいた。
しばらくして、緑色の髪をして車椅子に乗った少女が現れる。
少女は「初めまして。私達は希望の戦士です。モノクマちゃんのご主人様です。私達はこの街に、子供達の子供達による子供達の為の楽園を建設する事にしました。そういうわけなので、大人の皆さんはもう必要ありません!さようなら~」と言った。
直後にテレビの画面は「しばらくお待ちください」という表示に変わり、以降その画面が変わる事はなかった。
人類史上最大最悪の絶望的事件
今から一年半と少し前に世界を一変させたある事件が起きた。
事件の発端となったのは、ある学校で起きた学生運動だった。
しかし、その学生運動自体を学校側が隠蔽した事により、世間がそれに気付いた時には手遅れの状況になってしまっていた。
やがて、学生運動は校内だけに留まらず、あらゆる地域を巻き込み、深刻かつ甚大な事件へ変わった。
そもそも、それはただの学生運動ではなかった。
学生運動が起こった学校は希望ヶ峰学園。
様々な分野において特に秀でた才能がある高校生を「超高校級」と称し、集めている特別な学園だ。
あらゆる分野での才能を持つ者が集まった希望ヶ峰学園で起きた学生運動は、窃盗や殺人等あらゆる犯罪の発生率を跳ね上げ、更には復讐という形でも規模を拡大し、世界は絶望に染まった。
世間で「希望ヶ峰学園に入学出来るのは、勝ち組の象徴」という風潮があった為に、希望ヶ峰学園の生徒の影響力は大きく、そこまでの大きな事件となってしまった。
後にこの事件は「人類史上最大最悪の絶望的事件」と呼ばれるようになる。
そんな世界になっていても、こまるは自分の世界に絶対的な信頼を置き、クラスメイトが7人死んでも、まだ大丈夫だと思い続けてきた。
しかし、絶望に染まった世界で大丈夫なはずがなく、突如として見知らぬ男達が家に乗り込んできて、こまるは家族と引き離され、異常で理不尽な監禁生活を強いられたのだった。
異常だけれど、1年半も過ぎれば監禁生活を受け入れ始めていたこまる。
監禁生活も絶望だったが、それが終わった後に待っていたのは更なる絶望でしかなかった。
「希望なんて持つもんじゃない」とこまるは改めて思い知ったのだった。
ファミレスの中で一人になったこまるは、呆然と座り込んでいた。
変わらず外ではモノクマが徘徊しており、また一匹ファミレスに入ろうとしているモノクマもいた。
十神の言葉を思い出したこまるは、未来機関の人間を探す事にした。
十神と同じ黒いスーツを身にまとい、息も絶え絶えになっている男をこまるは見つけ、話しかけた。
未来機関の男は、「君は要救助民か」と言い、続けて「この裏口から出て、真っ直ぐ道なりに進んだ先にある公園に行け。そこに未来機関のヘリがある」とこまるを促す。
二人が話をしていると、またモノクマが店内に入り込んできていた。
「逃げろ!」という未来機関の男に押されるように、裏口へ飛び込んだこまる。
外はモノクマが大量にいて、死体が転がり、爆発の炎が上がっているという凄惨な状況だった。
それでもこまるは何とか走り切り、公園に辿り着き、未来機関のヘリを見つけた。
脱出失敗
未来機関の人間に「みなさんの事とか、ここがどこなのかも、全然分からなくて」とこまるは説明を求めた。
それを聞き、「時間はないが説明しよう」と未来機関の男が話し始めた。
「未来機関」とは世界を絶望に染め上げた最悪の事件である「人類史上最大最悪の絶望的事件」から世界を立ち直らせようとしている組織だった。
この街は「塔和シティー」といい、世界有数のIT企業であり、世界の再建に多大なる貢献をしている「塔和グループ」が支配する、海に浮かぶ巨大な埋め立て地であった。
また、塔和グループは例の事件の際に世界各地で発生した毒ガスによる大気汚染に有効な空気清浄機を開発している事、塔和グループの威光のお陰か、この街では例の事件の影響をほとんど受けていない事を聞く。
こまるは、説明の規模が大きすぎて聞いているだけで精一杯だったが、それでも必死に理解しようとした。
モノクマがどこから現れたのか、何故塔和シティーを襲うのか、先程の不気味な子供達の放送等、現時点では未来機関にも分からない事だらけであった為に、こまるが理解出来ないのも仕方のないことだった。
しかし今は、この街から脱出するのが一番だと、こまると未来機関が話していた矢先、どこからともなく歌声が聞こえてきた。
歌が聞こえてきた方に目を向けると、公園の遊具に座り、モノクマのマスクを被った子供が歌を歌っているようだった。
すると、その後モノクマが現れ始め、未来機関の人間に襲い掛かった。
こまるを逃がそうと、未来機関の人間はこまるをヘリに押し込む。
何とかヘリに乗ったこまるだったが、操縦席に座っていたのはなんとモノクマだった。
モノクマのメチャクチャな運転のヘリは、そのうち地面へと墜落した。
脱出したこまるだったが、無数のモノクマに囲まれる絶望的な状況となった。
あまりにも絶望的な状況の中でこまるは、最終的に意識を失ってしまった。
希望の戦士
こまるが気付いた時には、どこかのベッドで寝ている状況だった。
そして、誰かに呼びかけられている事に気づいた。
こまるが起き上がると、側には首に首輪と太い鎖をつけた青年が立っていた。
青年は自分で「召使い」と名乗り、こまるが丸二日も眠っていた事を説明した。
続けて召使いは「丸二日…世界が様変わりするには、十分過ぎる時間だよね…でも、キミは自分の事の方が心配だよね?これからどうなっちゃうのかってさ」と言った。
分からない事続きだったこまるにとって、世界よりも自分の心配をしてしまうのは当然の事だった。
「どうなっちゃうんですか?」と聞いたこまるに召使いは溜め息をついて「普通過ぎる反応でびっくりしちゃった」と笑った。
召使いは、「世界の九割は平凡で退屈でつまらない人間で構成されているからさ、そういう彼らが感情移入出来るのはキミみたいな人間なんだよ。うん…だから、合格かな」と続けた。
しかし、これは完全に召使いの意見で、「テストを受けてもらわないといけない」と召使いは言った。
そして召使いは、こまるが持っていたハッキング銃を「返すよ」と手渡し、「ここからスタートして無事に『みんな』の元へたどり着けたら合格だよ」とテストの内容を説明しどこかへ行ってしまった。
「みんな」についても「テスト」についても、結局よく理解出来ないこまるだったが、ひとまず進むしかないという事だけは分かった。
こまるは仕方なく、外に出てテストにのぞむ事にした。
部屋の外をウロウロしているモノクマを撃破しながら、何とかある部屋にたどり着いたこまる。
ドアを開けたその先には、テレビで見た「希望の戦士」を名乗る子供達が待っていた。
緑色の髪の車椅子に乗った少女は、こまるの前まで来ると「お姉ちゃんいらっしゃい。来てくれて嬉しいよ」と言った。
相変わらず状況が掴めていないこまるに、緑色の髪の少女は「まずは自己紹介からだね」と言い、子供達はそれぞれ自己紹介をした。
希望の戦士の面々は、希望ヶ峰学園付属の小学校に通っていたクラスメイトであり、それぞれが「超小学生級」の才能を持っているらしかった。
「超小学生級の体育の時間」と呼ばれていた、希望の戦士の中では勇者を担当しており、リーダーだという大門大(ダイモン マサル)。
「超小学生級の社会の時間」と呼ばれていた、希望の戦士の中では賢者兼副リーダーをしているという新月渚(シンゲツ ナギサ)。
「超小学生級の図工の時間」と呼ばれていた、希望の戦士の中では僧侶を担当している煙蛇太郎(ケムリ ジャタロウ)。
「超小学生級の学芸会の時間」と呼ばれていた、元天才子役で、希望の戦士の中では戦士を担当している空木言子(ウツギ コトコ)。
「超小学生級の学活の時間」と呼ばれていた、希望の戦士の中では魔法使いを担当しているモナカ。
5人は希望の戦士として、魔物から世界を救う救世主をしていると主張していた。
更に希望の戦士達は、この街で一番偉い、この街の支配者であるとも言った。
こまるには正直、「魔物」や「支配者」など子供がふざけているようにしか聞こえなかった。
そして、こまるは「だって…キミ達は子供でしょ?子供なんかが支配者なんて…」と言った。
子供「なんか」と言われた事に対し、希望の戦士達から笑顔が消えていった。
言子は「あーあ…『なりかけ』だからどうかと思っていましたけど、もう立派な魔物みたいですね」と呟く。
どうやら、希望の戦士達としては高校生のこまるは、大人に「なりかけ」だが、まだ子供な所もあるのではないかと、自分達のテリトリーに招き入れたようだった。
続けて、今度は渚が「いいか…オトナもコドモも関係ないぞ。力があれば、そんな順序は簡単にひっくり返るんだ。『僕らのモノクマ』を使えば、お前なんかあっというまにグチャグチャだ」と言った。
魔法使いを担当している、モナカの魔法でモノクマは希望の戦士達の言いなりらしかった。
そして、希望の戦士達は大人を排除し、塔和シティーに子供達だけの楽園を作る事を目的としていた。
「あなた達の言ってる事、さっぱりわかんないよ」というこまるに、「わーかーらーなーくーなーいーのー!モナカがー、そうだってー、言ったらー! そーうーなーのー!」とモナカが駄々をこねはじめた。
他の4人が慌ててモナカをなだめ、リーダーである大門はこまるに怒り「お前は絶対にオレっちが狩ってやる!」と言い放った。
渚は「これから僕達はゲームを始めるんだ。お前は、そのゲームで僕達と対戦するんだ」と付け足した。
彼らが言うゲームとは、モナカが考案した「デモンズハンティング」という、ターゲットになった魔物である大人を街に放ち、希望の戦士達で狩るというものだった。
言子が「楽しみですね、モナカちゃん」というと、先程までの駄々をぴたりと止め、モナカは「うんっ、楽しみだねー」と笑顔になった。
そして、知らない間にこまるの後ろに居た召使いは、ゲームのターゲットにつけられる腕輪をこまるの腕につけた。
何故こんなに残酷な事をするのか、希望の戦士達に問うこまるだったが、希望の戦士達は一同爆笑だった。
「ゲームは楽しいからやる。お姉ちゃんの常識や経験を基準に考えても意味ないんだよ。楽しいからこれをやるの」とモナカはにっこり笑った。
とは言え、渚は「楽園設立の為にまだやる事があるから」とゲーム自体には反対の様子だった。
しかし、大人を排除する事自体には反対しているわけではなかった。
そしてモナカが「今のあなたに何かを選ぶことなんて出来ないんだよ。もう既にいるのは奈落の底なんだから」と言うと、こまるの立っていた床が突然開いた。
落とされた場所は、塔和シティーの上空のようだった。
パラシュートが開き、こまるはゆっくり地面に落ちていった。
腐川冬子との合流
どこかのビルの屋上に降り立ったこまる。
モノクマがいるという状況は何も変わっているわけがなく、着陸早々にモノクマはフェンスを登りこまるに近付いてくる。
一人怯えているしかなかったこまるの前に、両手にハサミを持ったセーラー服の女が現れ、そこら辺にいたモノクマを一掃した。
そして、こまるに近づくと「見~っけ。あんた、苗木こまるっしょ!? 違うなら違うって言ってよ、バラすから!」と女は言った。
モノクマがいなくなっても結局怯えるこまる。
しかし、話している間にもモノクマが現れる為、二人は一度物陰に隠れ話を始めた。
こまるが「あの、もしかして助けてくれたんですか?」と言うと、女はいきなりこまるにハサミを向けた。
続けて「おい、デコマルつったな?白夜様はどこー?もちろん知ってるんでしょー?」と笑った。
物騒な女は「だってー、デコマルが持ってる銃からー白夜様の匂いがプンプンするもーん」と言い始めた。
彼女の言う「白夜様」というのは、こまるが監禁生活から逃れた後、ハッキング銃を渡してきた未来機関の「十神白夜」の事らしかった。
どういう関係なのかは分からなかったが、この物騒な女は十神白夜を探している事はこまるにも分かった。
そして、話しているうちに彼女の様子がおかしくなり、持っていたハサミを落とし、目が回ったと思ったら雰囲気がガラリと変わった。
「さては、あんた…苗木こまるねっ!」と女は言い出した。
先程も自己紹介をしたはずだったが、女は「仕方ないじゃない、あたしとあいつは記憶を共有できないんだから」と訳の分からない事を言っていた。
「敵か味方かハッキリしてよ」と言うこまるに「味方よ」と女が言ったので、ひとまずこまるは信じる事にした。
女は、モノクマを倒す方が先決だと言い、先程のハサミを持っていた状態になりモノクマを一掃した。
その後、ようやく女は自分の事を「腐川冬子」と名乗った。
そして、こまるは「さっきのすごかったですね!別人みたいになってましたけど」と聞くと腐川は「らしいわね」と曖昧な返事をした。
どうやら、腐川は二重人格であり、ハサミを持ってモノクマを一掃したのは「ジェノサイダー翔」という別の人格だという事だった。
腐川とジェノサイダーは別の人格である為、記憶の共有は出来ないという。
ちなみに腐川は過去に「超高校級の文学少女」として、希望ヶ峰学園に通っていた一人だった。
更に腐川のもう一つの人格であるジェノサイダー翔もまた、「超高校級の殺人鬼」と呼ばれ、正体不明の連続殺人事件を起こしていた。
今までは人格の入れ替わりは不定期に起きていたが、「現在ではスタンガンの電気ショックで意図的に人格を入れ替える事も可能」だと腐川は言った。
これで百人力と喜ぶこまるだったが、電気ショックは「脳が沸騰するからそう易々と使えない」と腐川に怒られる。
こまるの質問が一通り終わると、今度は腐川が「何故、十神白夜が持っていたはずのハッキング銃をこまるが持っているのか」、「こまると十神白夜の関係は何なのか」と質問をする。
こまるが「十神さんには、ただ助けてもらっただけで、その機械もその時に渡されただけで」と言うと、腐川は何故か「調子に乗ってんじゃないわよぉ!」と対抗心を燃やした。
どうやら、腐川は十神に想いを寄せている様子だった。
そして、こまるを助けた後、十神が何者かに捕まってしまったという情報をどこかから仕入れたようで、腐川は「早く助けに行きたい」と言った。
とにもかくにも、ひとまずはこの建物から出ない事には話が進まない。
腐川は「先に行きなさいよ」とこまるを先導にさせ、二人は一緒に前へ進む事となった。
屋上からの階段を降りると、この建物は病院のようだった。
モノクマを撃退しながら二人は病室に辿り着く。
そこにはモノクマのマスクを被った子供がいた。
未来機関のヘリの前で見た子供と同じマスクだった。
腐川の話によると、どうやら街の中にはモノクマのマスクを被った「モノクマキッズ」と呼ばれる子供が大勢いて、モノクマと一緒に大人達を殺しているようだった。
モノクマキッズは言葉を発する事はなかったが、プレゼントを置いてどこかへ消えてしまった。
謎は深まるばかりだった。
ようやく建物の外へ出てきたこまると腐川。
こまるは腐川に「どうして腐川さんはわたしが、この街に住んでるって知ってたの?そもそも、何でわたしの事知ってたの?」と会った時から気になっていた事を聞いた。
腐川は「来る途中のヘリの中で白夜様が言っているのを聞いた」と、自分も未来機関のヘリに乗っていた事を明かした。
ただし、正式な未来機関員ではなく、研究生のような扱いで制服も貰えていない状況らしい。
未来機関のヘリに乗っていたのも、自分から潜り込んだかららしかった。
しかし、「ジェノサイダー翔をきちんと制御出来るようになって、二度と人を殺させないように出来れば、正式に未来機関の人間になれる」と腐川は付け足した。
一通り話が終わったところで、こまるは一人では怖くて仕方ないという事を腐川に訴えた。
腐川は意外にもアッサリ「いいわよ、付いていってあげても。未来機関の人間として、見捨てるわけにいかないし」と承諾した。
監禁生活中から、腐川に会うまでずっと一人だったこまるにとって、誰かが居てくれるというのはとても嬉しい事で、腐川のその返事に感激した。
それから二人は、この街から逃げる方法を考える。
こまるは、未来機関員から聞いた「この街は巨大な埋め立て地」という言葉を思い出した。
そして、橋を見つければ外に出られるはずと考え、まずは橋に向かう事を腐川に提案し、二人で向かった。
殺すリスト
こまると腐川は協力しながら進んだが、どこもかしこも崩落等で道が塞がれていて思うように進む事が出来なかった。
ひとまず、ホテルまで辿り着いた二人。
他に行ける道もなく、ホテルに入るしかなかった。
もしかすると、このホテルの裏側に橋がある可能性もある。
そんな望みをかけ、ホテルの中に入りまた二人は進んだ。
ホテルの中も至る所がボロボロになっており、廃墟のようになっていた。
歩いているうちに見つけた電話の前で、こまるは「この電話で警察に通報しようよ!」と腐川に言った。
しかし、腐川は「クソアイデアね…繋がるわけないじゃない!」と一蹴する。
現在、この塔和シティーでは電話もネットもメールも、何もかもが繋がらない状況になっている。
落ち込むこまるだったが、「じゃあ、やっぱり橋を目指すしかないね」とまたホテル内を進む事にした。
ホテルのエレベーターホールまで来た二人は、ある一枚の紙を見つける。
そこには「殺すリスト」と物騒な事が書いてあり、顔写真と簡単なプロフィール、生息予想地が書かれている。
腐川は「ガキ共の作ったものでしょうね。あんたみたいなターゲットを効率よく狩り殺す為のリストよ」と説明した。
こまるは、自分以外にもターゲットになっている大人達が居る事に今更驚く。
しかし、「今は人の心配をしている場合じゃない」と腐川に言われ、こまるはまた歩き始める。
ようやくホテルから出て、橋までやってきたこまると腐川。
「これで脱出出来るね」と喜ぶこまるに対し、「そう…上手くいくかしら…嫌な予感がするのよ」と腐川は呟く。
すると、後ろから誰かに呼ばれ、振り返ると一人の少年が「あんたら…ガキ達の仲間じゃなさそうだな」と二人に向かって言った。
「久しぶりにまともな人間と会えた!オレ、超嬉しい!」と言い、こまるの手を握った。
しかし、こまるの腕につけられた腕輪を見ると少年は「もしかして…キミもあの希望の戦士とかいう子供達につかまったの?」と表情を強張らせた。
少年は自分の腕にもつけられているこまると同じ腕輪を見せた。
喜ぶ事ではないが、同じ境遇の人間に会えて、ホっとするこまると少年。
少年は「朝日奈悠太」と名乗った。
そして、脱出を試みようと三人は橋を渡った。
しかし、途中まで渡った所で橋が崩落している事に気付き、愕然とする悠太とこまる。
引き返そうと腐川が提案した途端、爆発音がし、橋が大きく揺れた。
遠くでは橋に爆弾を仕掛けたモノクマキッズが楽しそうに橋を眺めていた。
三人は必死で来た道を戻り、間一髪の所で橋の崩落を免れた。
呆然としていたこまるだったが、絶望的な状況で逆に開き直った悠太は対岸まで泳いでいくと言い出した。
そんな悠太に腐川は「このへんの水温は思った以上に冷たいし、環境汚染とかで変な生き物だって…やめた方がいいって言ってんの!」と諭した。
それでも、悠太は諦める事なく、「対岸に着いたら未来機関に助けを求めるから大丈夫だ。二人とも待っていてくれ」と泳いでいく事を決意した。
こまると腐川の目の前で躊躇なく海に飛び込み、ものすごいスピードで泳いでいった。
これなら本当に対岸まで行けるかもしれないと思った矢先、悠太の腕輪から警戒音が鳴り、水しぶきと共にその場で爆発した。
何が起きたのか状況が掴めず「助けに行かなきゃ」と言うこまるに腐川は「本気で言ってんの?」と突き放す。
「今のを見て、あいつがまだ生きてるって、本気で思ってるの?いい?さっきまでピンピンしてた朝日奈悠太は、訳の分からない爆発に巻き込まれて…死んだのよ」と続けた。
現実を受け入れられないこまるは、その場でへたりこみ泣き出す。
腐川はこまるを放っておいたが、しばらくして「ほら…もういいでしょ?そろそろ行くわよ」と言った。
それでもこまるは「わたしは…何も出来ない平凡な人間だし…いくら頑張ったところで…簡単に死んじゃうんだよ…」とまだ泣いていた。
するとそれを聞いた腐川は「ふざけないでよ!」と怒り出した。
続けて腐川は「あんた…死にたいの?どうしてもって言うなら止めないけど…家族とか大事な人にも会えないまま死んで…本当にそれでいいの?」とこまるに言う。
それを聞いてもなお、こまるは「いいわけないけど、一年以上も離れ離れでどこにいるかもわからないし、どうせもう会えない」と泣き言を言う。
腐川は「それなら…せめて逃げなさいよ。死ぬ覚悟があるなら、死ぬ覚悟で逃げなさいよ」と腐川らしい言葉でこまるを励ました。
そう言われたこまるは「もう少し頑張ってみる…」と立ち上がった。
その時、腐川がこの街に地下鉄が通っていた事を思いだす。
電車は動いていないだろうが、そこから外へは出られるかもしれない、と二人は地下鉄への道を探し始めた。
ようやく地下鉄の入口を見つけたこまると腐川だったが、一つは瓦礫で塞がれていて、もう一つはシャッターが下りていた。
近くにモノクマに殺されたと思われる人物が横たわっていた。
どうやら、その人物は駅員だったらしく、先程閉まっていたシャッターの鍵を持っていた。
地下鉄の階段を下りた先は、真っ暗で何も見えない。
暗闇が苦手が腐川が「あーもうっ、誰か灯りを付けなさいよ!」と叫ぶと、いきなりスポットライトが二人を照らした。
地下鉄の通路を歩いていたはずの二人だったが、明かりがついた時にはフェンスに囲まれた円形の広間にいた。
来た道は鉄格子で塞がれ、閉じ込められてしまった二人。
フェンスの外にはモノクマキッズが大勢いた。
コロシアム
訳が分からないこまると腐川の前に、希望の戦士である大門が登場した。
どうやら、地下鉄の入口すら希望の戦士の罠だったようだ。
そして、ここは「コロシアム」であり、魔物を「コロス」為の場所だと大門は言った。
大門の話を聞いていた腐川が「魔物って何よ?」と言うと、こまるは「大人達の事じゃないかな?」と推測した。
そして大門は、「自分達は魔物になるくらいならコドモのまま死ぬ」と豪語する。
そして「魔物がいなくなれば、もう理不尽な暴力に怯えないで済むんだ」と言った途端様子がおかしくなった。
大門の右手は震え、それを見た大門は自分の腕を震えを止める為に何度も殴った。
震えを止めた大門は「お前らはまだなりかけのようだが、もうすぐ魔物になる。その前にオレっちが退治してやる!」と、どこからともなく飛んできたコントローラーを握り、スイッチを押した。
すると、地面から巨大なロボットが現れた。
狼狽えながらも、大門の操縦するロボットに立ち向かうこまる。
そしてハッキング銃を駆使し、なんとかロボットを機能停止させた。
すると、フェンスの外側で見ていたモノクマキッズ達が大門を取り囲み、大門の姿は見えなくなった。
最後には、大門の白いヘッドホンだけがその場に残されていた。
腐川が「仲間割れって雰囲気じゃないわね…負けた『おしおき』とか…?」と呟く。
そして「今のうちに逃げるわよ!」と腐川に言われ、こまるもそれに続く。
地下鉄の階段を上がってきた二人。
罠だと落ち込むこまるだったが、腐川に「もっと周りを観察しろ」と言われ、もう一つの地下鉄の入口を見た。
すると、先程まで瓦礫で塞がれていた入口が、何故か通れるようになっていたのだ。
キレイに撤去されている様子を見て、「また罠かもしれない」と思う二人だったが、もう進むしか道はない。
覚悟を決めて、再び地下鉄の入口を降りる事となった。
大門の死
仏壇に大門の遺影が置かれている。
モナカ、言子、蛇太郎が遺影に向かって手を合わせ、大門の死を悲しんだ。
渚はその様子を見ながら冷静に「何も死んだって、決まった訳じゃないんじゃないのか?」と言った。
というのも、モノクマキッズから希望の戦士達への報告は「「死んだ」とは言っておらず、ロボがやられた後で「オトナに捕まったが、その後安否不明」という内容だったと渚は続けた。
しかしモナカは「不明って事は…死んだって事でしょ?」と冷静に返した。
続けて「平和だった頃のワイドショーを思い出してよ~「安否不明」とか「意識不明」って文字を見て、『どうせ死んでんだろ』って思わなかった?」と真顔で渚に言った。
それでも、渚は「助けを向かわせるくらいは…」と言いかけたが、「大門は死んだ」と言い張り、駄々をこねはじめるモナカ。
モナカを怒らせたくはない渚は、仕方なく「大門は死んだ」という風に考えるとモナカに伝える。
通常の状態に戻ったモナカは、さっきまで泣いたり、駄々をこねたりしていたのとは別人のように、「そろそろゲームに戻るのじゃー」と笑った。
そこでも渚は「まだ続けるのか?それよりも、楽園の設立を急いだ方が良くないか?」とゲームの続きには反対の姿勢だった。
モナカは渚とのやり取りを経て、「ねぇ、新月君のそういう態度…ちょっと…オトナっぽいよ?」と言った。
その言葉に対し、渚は慌てて「僕は死ぬまでコドモだ。魔物になるくらいなら死んだ方がマシだ」と必死に返した。
モナカは納得したのか、「じゃあ、みんなで仲良くして、一緒に狩りを楽しもうよ、副リーダー!あ、今はリーダーか」と渚に言う。
リーダーである大門が死んだ事により、副リーダーだった渚がリーダーになったという事だった。
そして、モナカは「ちょっと用事があるの」と言って、一人部屋を出て行った。
白いモノクマ
地下鉄の通路に降りてきたこまると腐川。
電気は付いていたが、やはり電車は動いていないようだった。
瓦礫や死体を迂回しながら、二人は地下鉄のホームを進むが、瓦礫が完全に道をふさいでしまっていて先に進む事が出来なくなってしまっていた。
呆然とする二人を更に襲ったのは、天井の崩落だった。
こまる達の近くでは、モノクマキッズ達が大量のモノクマを引き連れて、こまる達が困惑する様子を見て笑っていた。
すると、あまりの絶望に気を失った腐川がジェノサイダーとなり、大量のモノクマを一掃する。
片付けた後にクシャミをするとまた腐川の人格に戻った。
そして、「もう脱出は無理かもしれない…」と落胆するこまる達の所にモノクマキッズがモニタを担いでやってきた。
モニタに映ったのは、希望の戦士である蛇太郎だった。
一人で色々な事をブツブツ言う蛇太郎に対し、「用は何なのか」と問うこまると腐川。
すると、蛇太郎はいきなりハッキリと「まことに残念ですが、腕輪のお姉ちゃんは、この街から出られませーん」と宣言した。
その言葉から、こまると腐川の脳には、海を泳いで脱出しようとした朝日奈悠太の事が浮かんだ。
蛇太郎はそれを裏付けるように「勝手に街を出ようとすると、腕輪が爆発するようになってる」と言った。
そして、蛇太郎は自分で「嫌われ星人だから、嫌われると安心するんだ。これを見たら、お姉ちゃんはもっとボクちんを嫌いになると思うよ」と言ってモニタの後ろを見せた。
そこに出てきたのは、巨大なモノクマと積み木のお城。お城の周りには人々が音楽に合わせ踊っていた。
しかしよく見ると、周りで踊っているように見えたのは、巨大なモノクマが操っている死体だった。
呆然とする二人をよそに蛇太郎は「んーと、こっちのは商店街で狩って…こっちのは、トイレに隠れてたのを狩ったんだっけ?」と目を輝かせている。
そして、最後には「ボクちんは汚物らしく汚物にまみれて生きてくよ!誰にも邪魔されないコドモだけの楽園でね!」と蛇太郎は言い、モニタの電源は切れ、モノクマキッズ達がまた担いでいった。
この街に来てから、何一つ救いがなく、絶望的な出来事しか起こらない。
先程の映像や蛇太郎の言葉にショックを受け、こまるはその場にへたりこみ、泣き出す。
そんな様子を見て、腐川は「逃げられないなら、戦うしかないじゃない。ハッキング銃があれば無理じゃないし…何の為にあたしがいると思ってんのよ」とこまるに言う。
腐川は少し照れながら「別に1人で何とかしろなんて言ってないじゃない…あたしが一緒なのを…忘れてんじゃないわよ」と言った。
その言葉に励まされ、こまるはまた立ち上がる事が出来た。
ひとまず地下鉄から出て、地上に向かったが、そこには大量のモノクマが集まっていた。
気付かれる前に来た道を戻り、別の出口を探し、地下の商店街に辿り着いたこまると腐川。
しばらく進むと、モノクマが集まり、白い布に覆われた何かを蹴ったり殴ったりしている光景を見つける。
こまるは、ハッキング銃でモノクマを撃退し、白い布を取った。
そこに居たのは、通常のモノクマとは違い、左半身も白いモノクマだった。
モノクマにも仲間割れがあるのか…と二人が思っていた矢先、白いモノクマは起き上がり「怖がらないで!ボクは怪しいクマじゃないから!」と言った。
左目と左腕に包帯を巻いている白いクマは、確かにいつも見かけるモノクマよりも優しい印象を受ける。
一番分かりやすい違いは、こまる達と会話が出来る所だった。
しかし、モノクマはモノクマ。
ハッキング銃で倒そうとするこまると腐川だったが、白いモノクマは「待ってー!話せばわかるから!」と必死に訴えた。
続けて白いモノクマは「ボクにはAIが搭載されているんだよ!だから…他のモノクマとは違うんだ」と言った。
白いモノクマは自分で「シロクマ」と名乗った。
こまるはシロクマの様子を見て、「なんかちょっと可愛いかも」と、信用し始めていた。
そして、こまるは現在自分達が置かれている状況をシロクマに説明した。
すると、シロクマは「二人を安全な場所まで連れてってあげる!」と言い出した。
それはどうやら、大人達が隠れている秘密基地らしかった。
こまるは行く気満々だったが、罠だと思っている腐川はあからさまに怪しんでいた。
ただし、モノクマが大勢いるこの環境下では行くしかなく、最後には腐川も仕方なくシロクマについて行く事となった。
シロクマに連れられて、下水道まで降りた二人。
更に進むと、そこには巨大な貯水庫があった。
ここはどうやら、搭和シティーが出来た時からある古い施設で、子供達にも見つかっていない「大人の秘密基地」だった。
シロクマの言っていた通り、秘密基地には多くのオトナが身を寄せていた。
ここでの大人達のリーダーは、塔和灰慈(トウワ ハイジ)という右腕にギプスをはめた男だった。
「塔和」という名前の通り、灰慈は今こまる達がいる街である「塔和シティー」を統治している塔和グループの会長の息子だった。
ただし、灰慈は事業にはほとんど関わっていなかった為に、今この街で何が起きているのか、脱出ルートがあるのかも知らないようだった。
「何で戦おうとしないのよ」と灰慈に疑問を投げかける腐川だったが、「丸腰では到底モノクマ達に勝てないから、反撃の機会を窺っている」という灰慈。
それでも突っかかる腐川だったが、こまるには灰慈が「平凡」で「普通」だった頃の昔の自分と重なった気がして灰慈を庇った。
確かに今の時点で何の策もなく、脱出しようとしたり、こまるの腕輪を外そうとしたりは出来ない。
腐川が「腕輪ぐらい、未来機関なら一発で外せるわよ」と未来機関の名前を出し途端、灰慈はさっきまでと違い、急に不機嫌になった。
そして理由も言わず「早く出て行け」とこまると腐川に言って、どこかへ行ってしまった。
そう言われてしまったら、ここに留まる理由もない。
こまると腐川は秘密基地から出ようとするが、シロクマは二人に「一晩だけでも泊まっていけばいい」と言って出ていく二人を止めた。
そして、腐川が未来機関の人間だと知ったシロクマはいきなり無線機を出してきて「頼みたい事がある」と言った。
この無線機は、塔和グループが開発した最新機器であり、無線が飛ばせて、映像も送れるという素晴らしい機械だった。
それを使い、未来機関に助けを呼んで欲しいとシロクマは腐川に頼む。
しかし、基本的には塔和シティー全体を包んでいるジャミング電波の影響で通信は難しい。
電話やネットが通じていないのもその影響だった。
けれど、ジャミング電波を出しているという「塔和ヒルズ」という場所よりも高い場所に行けば通信が可能になるとシロクマは言う。
そして、今いる秘密基地から程近い場所にある「塔和タワー」であれば、塔和ヒルズよりも高い建物だった。
「モノクマと戦えるキミ達ならきっと出来る」とシロクマに言われ、こまると腐川は明日塔和タワーへ向かう事へした。
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目次 - Contents
- 『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の概要
- 『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』のあらすじ・ストーリー
- 監禁生活
- 謎の黒服集団の助力
- 人類史上最大最悪の絶望的事件
- 脱出失敗
- 希望の戦士
- 腐川冬子との合流
- 殺すリスト
- コロシアム
- 大門の死
- 白いモノクマ
- 塔和タワー
- 苗木誠
- 超高校級の絶望
- クロクマ
- 攫われるこまる
- 渚の考え
- 召使い
- 腐川とこまる
- 楽園
- 最後の希望
- 渚の死
- 塔和ヒルズ
- 言子の裏切り
- 江ノ島盾子とモナカ
- 葛藤するこまる
- ビッグバンモノクマ
- こまるの決断
- 『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』のゲームシステム
- 苗木 こまる
- コトダマ
- デコダマ
- スキル
- ゲームオーバー / ゼツボウタイム
- モノックマンルーム
- ジェノサイダー翔
- モノクマ
- モノクマ
- ボンバーモノクマ
- サイレンモノクマ
- ジャンクモノクマ
- ガードモノクマ
- ボールモノクマ
- ビーストモノクマ
- デストロイモノクマ
- 『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の登場人物・キャラクター
- メインキャラクター
- 苗木 こまる(ナエギ コマル/CV:内田彩)
- 腐川 冬子 / ジェノサイダー翔(フカワ トウコ/CV:沢城みゆき)
- 希望の戦士
- 大門 大(ダイモン マサル/CV:潘めぐみ)
- 煙 蛇太郎(ケムリ ジャタロウ/CV:上坂すみれ)
- 空木 言子(ウツギ コトコ/CV:荒浪和沙)
- 新月 渚(シンゲツ ナギサ/CV:伊瀬茉莉也)
- モナカ(CV:平野綾)
- その他
- モノクマ(CV:大山のぶ代)
- モノクマキッズ
- シロクマ
- クロクマ
- 塔和 灰慈(トウワ ハイジ/CV:三木眞一郎)
- 苗木 誠(ナエギ マコト/CV:緒方恵美)
- 十神 白夜(トガミ ビャクヤ/CV:石田彰)
- 葉隠 浩子(ハガクレ ヒロコ/CV:石黒千尋)
- 朝日奈 悠太(アサヒナ ユウタ/CV:青山桐子)
- 不二咲 太市(フジサキ タイチ/CV:宮田幸季)
- 召使い(CV:緒方恵美)
- 仲島花音(ナカジマ カノン)
- 『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の用語
- 超高校級
- 人類史上最大最悪の絶望的事件
- 塔和シティー
- 希望の戦士
- 『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ジェノサイダーと腐川が同時に出現
- ゲーム内に「どこでもいっしょ」のトロとクロが登場