ダンサー・イン・ザ・ダーク(Dancer in the Dark)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とは、2000年公開のデンマーク映画。監督はラース・フォン・トリアー。世界的に知られる歌手・作曲家のビョークが主演を務めた事で話題になった。どこまでも救いようの無いストーリー展開とショッキングなラストも相まって、公開後10年以上経った今も尚「後味悪い系、鬱映画」の代表として君臨し続けている。また、作中の楽曲もビョークが手掛けており、その中でも「I've Seen It All」はゴールデングローブ賞、アカデミー賞ともにノミネートされるなど高評価を得た。

ビルの妻。一見穏やかそうな人物だがかなりの浪費家で、ビル一家を無一文に追い込んでいた。セルマが貯金を取り返しに来た際、ビルに「セルマに言い寄られた」と嘘をつかれた。セルマが銃弾を放った際、瀕死のビルに促されて警察に通報する。ビルの仕掛けた嘘に引っ掛かり、最後までその嘘を見抜けず、法廷では「主人は無慈悲にも殺害された」と目に涙を浮かべていた。

ジェフ(演:ピーター・ストーメア)

セルマに好意を寄せる男。貯金を優先するセルマに断られたものの、失明しかけている事を早々に悟り、「目が見えないのか?」とセルマに尋ねた。劇中歌の中でも一際名曲と名高い「I've Seen It All」をセルマと共に歌う。

オルドリッチ・ノヴィ(演: ジョエル・グレイ)

チェコで著名なミュージカル俳優。セルマは手術費として医師に渡した資金を隠すべく、父に仕送りをしていると法廷で証言するが、その「父」とはノヴィの事を指していた。しかし彼自身はセルマとの面識は無く、証人として法廷に立った際にも「他人です」と証言した。

ブレンダ(演: シオバン・ファロン)

女性刑務官。刑務官という立場ではあるが、セルマに通気口から賛美歌が聴こえる事を教える、死刑場へ向かう際に足がすくむセルマを勇気づけるなど、慈悲深い一面も。死刑執行直前までセルマを勇気づけ、刑が執行された際には泣き崩れていた。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の主題歌・挿入歌

本作は2時間20分ほどの長編映画であるが、劇中で流れるミュージカル曲は、「最後から二番目の歌」を含めて6曲と比較的少なめである。
これらの楽曲は、主として本作の主演であるビョークが手がけたものであり、世界的アーティストとしての本領を劇中でも申し分なく発揮している。

前述の通り、これら劇中歌のうち「最後から二番目の歌」以外は、全てセルマの空想上で歌われている楽曲に過ぎない。セルマを待ち受ける悲惨過ぎる現実と、彼女の空想の対比こそが、これら劇中歌の存在意義と言っても過言ではないだろう。天真爛漫な空想により、現実の恐ろしさがより際立ち、鑑賞者は現実に引き戻された時の絶望に一気に叩き落される事となる。

以下、それぞれの劇中歌およびその概要について記載する。

Overture

本作のオープニングを飾る楽曲。この楽曲は、後述する「最後から二番目の歌」のインストゥルメンタル・アレンジとなっている。

Cvalda

工場での勤務中、プレス機などの機械音をリズムとして始まる楽曲。躍るように動くマシン、活気溢れる工員達を空想しながら歌い踊る。この空想の最中、プレス機に鉄板を2枚投入してしまい、のちに工場を解雇されてしまう。

I've Seen It All

ジェフに「目が見えないのか?」と尋ねられた際、電車の音をリズムとしてこの曲が始まる。壮大でありながら物憂げな雰囲気をも内包する本楽曲は、本作の劇中歌の中でも特に支持される楽曲であり、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞の歌曲部門にノミネートされた。サウンドトラックでは、ジェフのパートをRadioheadのトム・ヨークが歌っている。

Scatterheart

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@yukariina1221s9

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