メッセージ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『メッセージ』(原題:Arrival)とは、本作後に「ブレードランナー2049」を撮るドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSFムービー。
突如地球上に現れた巨大な宇宙船。飛来した目的を探ろうと、船内の異星人とコミュニケーションをとるため軍に依頼された女性言語学者が、彼らと接触するうちに未来を見ることが出来るようになり、自分の人生を見つめ直していくシリアスタッチの知的なドラマ。2016年製作のアメリカ作品。
サピア・ウォーフの仮説
イアンがルイーズに「ある論文で読んだけど、外国語を学ぶと考え方が変わるというのがある。思考は話す言語で形成され、物の見方にも影響してくる。どう思う」と話すと、彼女が「サピア・ウォーフの仮説ね。そういうことはあると思う」と答える場面が出てくる。
言語学者エドワード・サピアが1921年に「言語は人の考え方に影響を与える」と発表し、彼の教え子のベンジャミン・リー・ウォーフが師の考えを発展させ、1940年代に「ある言語を母語とする人の認識・思考はその言語によって影響される」と主張し、両者の名をとって“サピア・ウォーフの仮説”と呼ばれるようになった。言語相対仮説とも言われている。
『メッセージ』が日本のお菓子「ばかうけ」とコラボ
映画に登場する宇宙船が栗山米菓のお菓子「ばかうけ」に似ているとネットで話題になり、その反響を受けて「ばかうけ」とのコラボポスターが作られた。キャッチコピーもオリジナルの「ある日突然、巨大飛行体が地球に。その目的は不明―」をもじって「ある日突然、巨大ばかうけが地球に。その味は不明―」。
コラボした栗山製菓の社長・栗山敏昭社長は「ネットでの話題を聞き、そのビジュアルを見た時、私の目から見ても“ばかうけ”にしか見えず、他人事だとは思えない運命的なものを感じました」と話している。
また、ヴィルヌーヴ監督は、日本のお菓子“ばかうけ”の存在を知り、「親愛なる日本の皆さん、ご推察の通り宇宙船のデザインは“ばかうけ”に影響を受けた」と日本に向けたメッセージ動画でジョークを飛ばした。
『メッセージ』の主題歌・挿入歌
ヨハン・ヨハンソン「First Encounter」
ヴィルヌール作品「ボーダーライン」「プリズナーズ」の音楽も担当しているアイルランド出身の作曲家&鍵盤楽器奏者ヨハン・ヨハンソン。マックス・リヒターとともにポストクラシカルの代表アーティストと言われている。ヴィルヌール監督の「ブレードランナー2049」の音楽も担当する予定でメインテーマ曲も作曲していたが突如降板。降板の理由は明らかにされておらず、後をハンス・ジマーとベンジャミン・ウォルフィッシュが引き継いだ。ヨハンが作曲した「ブレードランナー2049」のテーマ曲はYUTUBEで聞くことが出来る。
「博士と彼女のセオリー」(14)で第72回ゴールデングローブ賞の作曲賞を受賞している。2018年、ドイツ・ベルリンのアパートで死亡しているのを発見された。死因は不明。48歳の若さだった。
ヨハン・ヨハンソン「Kangaru」
ヨハン・ヨハンソン「Heptapod B」
マックス・リヒター「On the Nature of Daylight」
映画の冒頭とエンディングに使われた印象深い曲。ドイツ出身の現代音楽家マックス・リヒターの曲で、この曲は映画「シャッターアイランド」(10)「ディス/コネクト」(12)でも使われている。
『メッセージ』の関連動画
『メッセージ』の日本版予告編
『メッセージ』の海外版予告編
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目次 - Contents
- 『メッセージ』の概要
- 『メッセージ』のあらすじ・ストーリー
- 謎の巨大物体が現れた日
- 異世界人の言語
- 異星人との接触
- ヘプタポッド
- 繰り返すルイーズのイメージ
- 各国の動き
- ヘプタポッドへの攻撃
- 一触即発の危機
- ヘプタポッドの目的
- エピローグ
- 『メッセージ』の登場人物・キャラクター
- ルイーズ・バンクス(演:エイミー・アダムス、吹替:中村千絵)
- イアン・ドネリー(演:ジェレミー・レナー、吹替:加瀬康之)
- ウェバー大佐(演:フォレスト・ウィテカー、吹替:立木文彦)
- デヴィッド・ハルペーン捜査官(演:マイケル・スタールバーグ、吹替:石原辰己)
- マークス大尉(演:マーク・オブライエン、吹替:川原元幸)
- シャン上将(演:ツィ・マー、吹替:堀越富三郎)
- ヘプタポッド(異星人)
- 『メッセージ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「シーナ・イーストンの曲がヒットした所」
- 「この先の人生が見えたら、選択を変える?」「自分の気持ちをもっと相手に伝えるかも」
- 「君との出会いだ」
- 防護服を脱いで異星人に顔を見せるルイーズ
- 空中に溶けるように姿が消えていく宇宙船
- 『メッセージ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- イアンが名付けた2体の異星人の呼び名“アボット&コステロ”
- 宇宙船のデザインの元になった小惑星エウノミア
- 異星人の円形の文字、ヘプタポッド語を作りあげるまでの苦心
- サピア・ウォーフの仮説
- 『メッセージ』が日本のお菓子「ばかうけ」とコラボ
- 『メッセージ』の主題歌・挿入歌
- ヨハン・ヨハンソン「First Encounter」
- ヨハン・ヨハンソン「Kangaru」
- ヨハン・ヨハンソン「Heptapod B」
- マックス・リヒター「On the Nature of Daylight」
- 『メッセージ』の関連動画
- 『メッセージ』の日本版予告編
- 『メッセージ』の海外版予告編