メッセージ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『メッセージ』(原題:Arrival)とは、本作後に「ブレードランナー2049」を撮るドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSFムービー。
突如地球上に現れた巨大な宇宙船。飛来した目的を探ろうと、船内の異星人とコミュニケーションをとるため軍に依頼された女性言語学者が、彼らと接触するうちに未来を見ることが出来るようになり、自分の人生を見つめ直していくシリアスタッチの知的なドラマ。2016年製作のアメリカ作品。
ルイーズ・バンクス(演:エイミー・アダムス、吹替:中村千絵)
モンタナ州で暮らす独身の言語学者。
突如、地球に飛来した宇宙船の異星人の目的を探るため、アメリカ軍から彼らの言語の解読を依頼される。異星人とのセッションを繰り返し、彼らの特殊な円形の言語を解読する中で、言葉の意味を理解するだけでなく、未来を見ることが出来る異星人の感覚をも共有できるようになる。
中国やロシアが宇宙船に脅威を覚えて攻撃を開始しようとした時、未来で中国の要人と会話したイメージが彼女の脳裏に浮かび、そのイメージを駆使して中国の武装を解除することに成功する。
異星人と接触を繰り返すうち、彼女の脳裏に少女のイメージが度々浮かび、少女が実は自分の娘で10代で重い病気にかかって亡くなるという未来を見てしまう。
彼女と一緒に異星人とのセッションを行った理論物理学者イアンと親しくなり、彼から結婚を申し込まれるが、自分と彼との間に生まれた娘が早くに亡くなると知ったうえで、何が起こってもその瞬間を大切にすると心に決め、それを承諾する。
イアン・ドネリー(演:ジェレミー・レナー、吹替:加瀬康之)
理論物理学者。
ルイーズと共に異星人の言葉の解読に努める。
異星人が7本の足を持っていたことから、ギリシャ語で7本の足を意味するヘプタポッドと名付ける。また宇宙船内にいた2体の異星人を、人間と同じように名前を付けて呼ぶことにしようとアボット&コステロと名付ける。地球になぜ12体もの宇宙船が現れたのかを異星人の円形の文字の群れから分析し、最後にその答えを導き出す。
ルイーズに好意を寄せており、解読の任務に疲れ気味の彼女を心配している。
世界がバラバラになりかけたのをルイーズの行為でまた元の平和な状態に戻った後、彼女にプロポーズする。
ルイーズの見た未来では、結婚後に彼女から娘が早くに亡くなることを教えられ怒った彼はルイーズと別れることになるが、そのことはまだ知らない。
ウェバー大佐(演:フォレスト・ウィテカー、吹替:立木文彦)
アメリカ軍の厳格な大佐。
ルイーズが、軍の諜報機関の依頼でペルシャ語を翻訳したことがあり、そのときの功績を買って異星人の声を彼女に聞かせ解読させようとする。ルイーズが直接異星に会ってセッションしなきゃ解読できないと言うと、それはできないと他の学者を当たろうとするが別の学者では荷が重く、結局彼女の主張を受け入れる。
異星人とのセッションでは、軍人らしくルイーズ達が余計なことをしないように行動を常にチェックしている。
異星人の飛来目的を早く知りたいとルイーズ達を急かせるが、順を追って異星人にこちらのことを理解させる必要があり、それには時間がかかると彼女が説明すると納得して受け入れるところもあり、あまり杓子定規に物事を考えることはないようだ。
デヴィッド・ハルペーン捜査官(演:マイケル・スタールバーグ、吹替:石原辰己)
CIA(中央情報局)の職員。
宇宙船が飛来したモンタナのキャンプ地で、宇宙船が現れた各国の出現地域とライン回線を通して情報交換を行う任務を取り仕切っている。
彼がたまたま机の上に置き忘れた携帯電話でルイーズが中国の宇宙船攻撃を阻止しようとシャン上将に連絡を試みているとき、それを知った彼は躍起になって電話をかけている人物を探す。
マークス大尉(演:マーク・オブライエン、吹替:川原元幸)
アメリカ軍兵士。
ルイーズ達が異星人とのセッションを行う時に同行し、セッションの様子をモニターカメラを通してキャンプ地に送っていた。
テレビのニュースや異星人の飛来を危惧する動画サイトを見て、異星人は人類の敵だと思うようになる。ルイーズ達の解読によって「武器を提供」という言葉が出てきた時、それが決定的なものとなり、同じ気持ちの兵士仲間と共に宇宙船破壊を計画して船内に時限爆弾を仕掛ける。
だが、仕掛けた後で警備兵に見つかり、地上で銃撃戦が始まるが彼が命を落としたかどうかは不明。(映画では銃撃音だけで結果は描かれていない)
シャン上将(演:ツィ・マー、吹替:堀越富三郎)
中国人民解放軍の幹部。
宇宙船に対し他国に先駆けて攻撃態勢をとることを決断する。だが、攻撃の直前にルイーズから直接受けた電話で、彼の愛する妻が死ぬ間際に言った言葉を聞き、自分しか知らないことを彼女が言ったことに驚き、「異星人は敵ではない」と言う彼女の話を信じて、攻撃の中止命令を出す。
ヘプタポッド(異星人)
宇宙船で地球に飛来した異星人。7つの足を持つことからヘプタポッドと名付けられる。ヘプタポッドには未来・現在・過去という概念がなく、時間を超越した生命体であり、未来に起こる出来事を認識することが出来る。
アメリカに飛来した宇宙船には2体のヘプタポッドが乗っており、ルイーズとイアンが自分の名前を彼らに伝えた時、彼らにも呼び名がいるとイアンが“アボット、コステロ”と名付ける。
マークス大尉が仕掛けた時限爆弾からルイーズ達を助けようとしてコステロは死んでいく。
残されたアボットは、ルイーズに自分達が地球にやって来た理由を伝え、彼女が自分達の円形の文字を解読するなかでヘプタポッド同様に未来が見えるようになったことを説明し、彼女を宇宙船への中国の攻撃を止めさせる行為へと導く。
『メッセージ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
「シーナ・イーストンの曲がヒットした所」
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目次 - Contents
- 『メッセージ』の概要
- 『メッセージ』のあらすじ・ストーリー
- 謎の巨大物体が現れた日
- 異世界人の言語
- 異星人との接触
- ヘプタポッド
- 繰り返すルイーズのイメージ
- 各国の動き
- ヘプタポッドへの攻撃
- 一触即発の危機
- ヘプタポッドの目的
- エピローグ
- 『メッセージ』の登場人物・キャラクター
- ルイーズ・バンクス(演:エイミー・アダムス、吹替:中村千絵)
- イアン・ドネリー(演:ジェレミー・レナー、吹替:加瀬康之)
- ウェバー大佐(演:フォレスト・ウィテカー、吹替:立木文彦)
- デヴィッド・ハルペーン捜査官(演:マイケル・スタールバーグ、吹替:石原辰己)
- マークス大尉(演:マーク・オブライエン、吹替:川原元幸)
- シャン上将(演:ツィ・マー、吹替:堀越富三郎)
- ヘプタポッド(異星人)
- 『メッセージ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「シーナ・イーストンの曲がヒットした所」
- 「この先の人生が見えたら、選択を変える?」「自分の気持ちをもっと相手に伝えるかも」
- 「君との出会いだ」
- 防護服を脱いで異星人に顔を見せるルイーズ
- 空中に溶けるように姿が消えていく宇宙船
- 『メッセージ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- イアンが名付けた2体の異星人の呼び名“アボット&コステロ”
- 宇宙船のデザインの元になった小惑星エウノミア
- 異星人の円形の文字、ヘプタポッド語を作りあげるまでの苦心
- サピア・ウォーフの仮説
- 『メッセージ』が日本のお菓子「ばかうけ」とコラボ
- 『メッセージ』の主題歌・挿入歌
- ヨハン・ヨハンソン「First Encounter」
- ヨハン・ヨハンソン「Kangaru」
- ヨハン・ヨハンソン「Heptapod B」
- マックス・リヒター「On the Nature of Daylight」
- 『メッセージ』の関連動画
- 『メッセージ』の日本版予告編
- 『メッセージ』の海外版予告編