時をかける少女(時かけ)のネタバレ解説・考察まとめ
『時をかける少女』とは、2006年に公開された、アニメーション映画である。監督は『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』などを手がけた細田守。筒井康隆の原作を元に作られており、原作の20年後が舞台となっている。時間を跳躍する力を手に入れた主人公が、その力を使いながら、本当に大切なものは何なのか気づいていく、青春SF作品。
「うん、すぐ行く、走って行く」
千昭の「未来で待ってる」という言葉に対しての、真琴の返事である。真琴らしい真っ直ぐな言葉が心にくる。
「走って迎えに行くのがあなたでしょ?」
真琴の叔母・和子が、千昭の真実を知り悩んでいた真琴へかけた言葉。
正しくは「でも真琴、あなたは、あたしみたいなタイプじゃないでしょ?待ち合わせに遅れてきた人がいたら、走って迎えに行くのがあなたでしょ?」である。
この叔母の言葉のおかげで、真琴は「すぐ行くよ」と素直な思いを、千昭へ伝えることができた。
タイムリープをするための跳躍
真琴がタイムリープをする際、実際に飛び込むように跳躍する。
この作品の中で時間の跳躍は表立ったテーマでもあり、真琴が走り抜ける様子は爽快感もあり見ごたえがある。
『時をかける少女』の用語・世界観
タイムリープ
真琴が手に入れた"時間旅行"の能力。正確には、時間を少し巻き戻すことができる。
元々は千昭が未来から持ってきた技術であるが、その装置を理科室で無くしてしまい、それをたまたま真琴が拾うことになる。
真琴はあまり気にとめていなかったようだが、クルミのような木の実型の装置に触れてチャージすることで能力が使え、回数には限りがある。
タイムリープができる回数は装置を押し付けた場所に赤く印字される。
この能力を真琴から相談された叔母の和子は、「若い頃にはよくあること」と返す。
千昭のルール
未来からタイムリープを使いやってきた千昭。
現代で過ごすためにはいくつかのルールがあり、そのうちの一つが『タイムリープ能力を過去の人間に知られてはいけない』ということだった。
しかし、最終的には事故を防ぐため、その能力を真琴の目の前で使ってしまう。
白梅二椿菊図
千昭がタイムリープをしてまで見たかった絵画。
作者不明、美術的価値があるかどうかも分かっていない。
大戦争と飢饉で溢れて世界が壊滅的な状態のときに描かれたもの。
『時をかける少女』の考察
作品に登場する1枚の絵画『白梅二椿菊図』
真琴の叔母・和子が勤める美術館で公開されていた。
この絵について深い話は出てこなかったが、千昭は「この絵を見てみたかった」と言い残して去ることになる。
この発言により、千昭がいた未来の世界には、この絵が残っていないのだろうということが予測される。
「川が地面を流れているのを初めて見た。自転車に初めて乗った。空がこんなに広いことを初めて知った。何より…こんなに人がたくさんいるところを初めて見た。」
「俺、この時代好きだよ。野球もあるし。」
という千昭の発言をふまえて考えると、未来は戦乱が巻き起こり、様々な遺産が紛失し、腐敗してしまっている世界なのだろう。
この絵が描かれた時代は、昔、同じように世界が飢餓に陥っていた頃。しかしこの絵からは、苦しみの感情だけはでなく、『優しさ』や『希望』のようなメッセージが受け取れる。千昭はこの絵を見ることで、画家の思いを共感し、何かしらの未来へのヒントを得たかったのかもしれない。
真琴が決めた"進路"とは
千昭がいなくなり、千昭が存在しない世界に戻った日。
男友達の功介は、いつものように真琴の進路をちゃかそうとするが、それを遮るように、青空を見上げながら真琴は言い放つ。
「私もさ、実はやること決まったんだ」
この"やること"については、作品内で明らかになっていない。
様々な解釈ができるが、千昭や未来の人たちが望んでいた、現代の遺産(絵画・娯楽・考え方など様々なもの)を守っていける職業に就くことを決めたのでは、という答えが導き出される。
また、「未来で待ってる」「走っていく」の名言。普通に考えると千昭のいる世界と真琴のいる世界が平行することはない。つまり、千昭とはもう二度と会えないのだ。
そのことに、真琴が言った"やること"を組み合わせてみる。現代の遺産を未来につないでいくことで、2人の世界はつながる、間接的に2人は出会える、という解釈ができる。
『時をかける少女』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
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目次 - Contents
- 『時をかける少女』の概要
- 『時をかける少女』あらすじ・ストーリー
- 『時をかける少女』の登場人物・キャラクター
- 紺野 真琴(こんの まこと)
- 間宮 千昭(まみや ちあき)
- 津田 功介(つだ こうすけ)
- 芳山 和子(よしやま かずこ)
- 藤谷 果穂(ふじたに かほ)
- 早川 友梨(はやかわ ゆり)
- 紺野 美雪(こんの みゆき)
- 上杉 盛子(うえすぎ たかこ)
- 野分 析美(のわけ ともみ)
- 高瀬 宗次郎(たかせ そうじろう)
- 福島(ふくしま)
- 加藤(かとう)
- 『時をかける少女』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「Time waits for no one. 」
- 「未来で待ってる」
- 「うん、すぐ行く、走って行く」
- 「走って迎えに行くのがあなたでしょ?」
- タイムリープをするための跳躍
- 『時をかける少女』の用語・世界観
- タイムリープ
- 千昭のルール
- 白梅二椿菊図
- 『時をかける少女』の考察
- 作品に登場する1枚の絵画『白梅二椿菊図』
- 真琴が決めた"進路"とは
- 『時をかける少女』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 絵を見に来ている千昭
- 真琴の制服
- 芳山和子
- 2010年公開された実写映画版『時をかける少女』
- 声優の起用について
- 『時をかける少女』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:奥華子『ガーネット』
- 挿入歌:奥華子『変わらないもの』