最高の人生の見つけ方(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『最高の人生の見つけ方』とは2007年にアメリカで公開されたハートウォーミングストーリー。全く違った人生を歩んできた2人の男が、ガンで余命宣告されたことをきっかけに、人生でやり残したことにチャレンジしていくという冒険物語。最後の旅を通して2人の間にはかけがえのない友情が芽生え、人生で一番大事なことは何かということに気付いていく。誰しも避けては通れない死というテーマを扱いながら、友情、冒険、家族愛など、人生で一番大事なエッセンスがギュッとつまった心温まる感動的なヒューマンドラマとなっている。

カーターとエドワードが訪れた刺青ショップの店員。
カーターに サーフィンをする男の刺青を入れる。

『最高の人生の見つけ方』の用語

コピ・ルアク

世界一希少だと言われているコーヒー。
非常に高価で、独特な風味と香りを特徴とするコーヒーだ。
このコーヒーがエドワードの趣味で、専用のカップやサイフォンを常に持ち歩くほどお気に入りだ。
しかし実はこのコーヒーは、スマトラ島の村で育ったコーヒー豆をジャコウ猫が食べ、フンをした中に混ざった種を原料にしている。
この事実を知ったエドワードとカーターは涙が出るほど大笑いし、「棺おけリスト」の「泣くほど笑う」を達成した。

棺おけリスト

カーターが書き出した棺おけリスト

カーターが大学1年の時に教授に出された課題。
人生でやりたいことを全部書き出すというもので、棺おけに入る前にやりたいこと、というブラックジョーク的なリストだ。
自分の死を悟り、カーターはリストに「見ず知らずの人に親切にする」「泣くほど笑う」「荘厳な景色を見る」などと書く。
そこにエドワードが追加し、2人のリストが出来上がった。
このリストを元に、2人は人生最後の冒険の旅に出発する。

マスタング

マスタングとはアメリカの大手自動車メーカー・フォードが発売した自動車である。
第二次大戦以降の好景気時代、アメリカ人にこよなく愛され大ヒットした乗用車だ。
乗用車としてだけでなく、アメリカを代表するスポーツカーとしても良く知られている。
自動車整備工として働くカーターにとっては長年憧れ続けた車で、孫にキーホルダーをプレゼントされるほどだ。
このキーホルダーをお守りに、スカイダイビングをなんとかやり遂げたという程、彼の中でこの車の存在は大きい。

『最高の人生の見つけ方』の名‌言・‌名‌セ‌リ‌フ‌/‌名‌シー‌ン・‌名‌場‌面

エベレストを登る謎の男

エベレストを登るトマス

冒頭のシーンで雪深いエベレストを1人登山する男の映像が流れる。
重装備のため誰なのかは判別はつかない。
観客としては多分主人公のカーターとエドワードのどちらかではないかという自然な予想が生まれる。
そしてカーターのナレーションで、まずエドワードが亡くなったことが告げられる。
またカーターの言葉からエドワードが死を悟ってから、いかに素晴らしい生き方をしたかが語られた。
そして締めにカーターは「彼がその目を永遠に閉じた時、心は開かれた」とエドワードの生き様を表現する。
死を目の前にした時、その人の人生にとって何が一番大事なのかが見えてくるということを表現している非常に深いセリフだ。
そして今作の最後にエベレストを登山している男の正体が明かされる。
既にカーターとエドワードは亡くなり、その遺志をついだ秘書のトマスがこの男だったのだ。
観客は静かな感動と彼らの絆を感じることができる名場面だ。

トマス「全財産を秘書に残します」

遺言について飄々と話すトマス(右)

2人の会話は常にブラックな内容なのだが、丁々発止なやり取りは実にウエットに富んでいて小気味いい。
例えばエドワードが余命宣告を受けた後、トマスに「お前がおれだったらどうする?」と質問する。
するとトマスは「全財産を秘書に残します」と飄々と答えた。
そのブラックジョークに思わず、エドワードから笑みがこぼれる。
一見、トマスをこき使うパワハラ上司にしか見えないエドワードであるが、実は2人は深い信頼関係で結ばれているということがこのセリフからわかる。

死の恐怖が現実になった時

余命宣告を受け、静かにショックを受けるエドワード

苦しいガン治療を闘ってきたカーターとエドワードは、同時期に医者から余命半年であることを告げられる。
一見2人とも落ち着いて余命宣告を受け止めている様子だったが、やはり心中は穏やかでなく大きな衝撃を受ける。
しかし、こんな時カーターは「カードでもやるか?」とエドワードに問いかける。
するとエドワードは「さっきからその言葉を待っていた」とニヤリとする。
どうしようもならない現実と向き合うことが難しいが、さりとて泣きわめくのもはばかれる。
そんな時、隣に同じ思いの人間がいてくれたことに2人は救われたのだろう。
今まではただの隣人であった2人が、この時から強い絆で結ばれ始める。
静かな悲しみとユーモアに満ちた感慨深い場面である。

カーター「人生に喜びを見つけたか?」

エジプトの壮大な景色の中で語り合う2人

博識なカーターはピラミッドの上で、古代エジプト人の死生観についてこんな話を披露する。
古代エジプト人は死ぬと天国の扉の前で神に2つの質問をされ、その答えによって扉が開くか開かないかが決まるというのだ。
その質問の1つが「人生に喜びを見つけたか?」だとカーターは語った。
それにエドワードは「イエス」と答える。
もう1つの質問「他者に喜びを与えたか?」とカーターが問うと、エドワードは娘エミリーとの確執を話し出した。
この会話を通じて、人生で最も大事な「棺おけリスト」がエミリーとの仲直りであることに、エドワードは後に気付くことになる。

カーター「私が幸せな夫なんだ」

バーでアンジェリカ(左)と話し込むカーター(右)

8qHAG
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