ダンケルク(Dunkirk)のネタバレ解説・考察まとめ
『ダンケルク』とはクリストファー・ノーラン監督・脚本・製作による2017年の戦争映画。第二次世界大戦の「ダンケルクの戦い」における史上最大の救出作戦、通称「ダイナモ作戦」を題材に描かれている。ポーランドを侵攻しそこから北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は、英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。絶望的な状況の中、若き兵士トミーと仲間たちの命がけの撤退を描いた物語。ノーラン監督にとって初の史実を基にした映画である。
日本語吹替:近藤隆
ファリアと同じイギリス空軍、スピットファイアの若きパイロット。
ダンケルクの海岸で救出を待つ40万人の兵士を空から防御する役割を担うがドイツ軍との戦闘で機体がやられ、海に不時着したところをドーソン一行に救出される。
ドーソンの舟に乗りこんでからは、彼もダンケルクの救出活動の手助けをする。
『ダンケルク』の用語
ダンケルクの戦い
第二次世界大戦の戦闘のひとつで、ドイツ軍によるフランス侵攻の1940年5月24日から6月4日の間に起こった戦闘である。
ドイツ軍はポーランド侵攻を皮切りにヨーロッパを西へ、オランダ、ベルギー、フランスの3カ国へと侵攻した。
対してイギリスも自国の本土が危険にさらされるのを防ぐために大規模な軍隊を派遣していた。しかし、ドイツは空軍との息の合った連携の下に、オランダ、ベルギー、フランス、イギリスの軍隊は瞬く間に蹴散らされていく。
そして、ドイツ軍はオランダ、ベルギー、フランス各地の飛行場を爆撃し、空軍を麻痺させることに成功。
これによってドイツ軍の空軍を用いた戦術は止める術を無くなり、イギリス・フランス軍は追い詰められてく結果となった。
ダンケルクとカレーの地へと追い込まれたイギリス・フランス軍はドイツ軍に完全に包囲される形となる。追い詰められたイギリス・フランス軍は、この戦闘でドイツ軍の攻勢を防ぎながら輸送船の他に小型艇、駆逐艦、民間船などすべてを動員して、イギリス本国に向けて40万人の兵を脱出させる「ダイナモ作戦」を決行した。
ダイナモ作戦
ダイナモ作戦は、ダンケルクに包囲された35万人のイギリス・フランス連合軍を救出するためにチャーチル首相が発令した作戦のコードネームのことである。
このダイナモ作戦では輸送船の他に小型艇、駆逐艦、貨物船、漁船、遊覧船、病院の救命艇など民間の船舶が大量に徴用され、結果的に860隻もの民間船舶がダンケルクの地へと向かったとされている。
約1週間の作戦で、合計33万人ものイギリス・フランス連合軍兵士を救出することに成功。
作戦完了の前、チャーチルは作戦の展望に悲観的になり、「重く、厳しい知らせがくるかもしれない」と警告していたが作成完了後の成果を受けてチャーチルはそれを「奇跡」と呼んだ。
『ダンケルク』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ドーソン「戦闘ショック状態だよ。もしかしたら2度と元の彼に戻ることはないのかもしれない」
海のシーンでショック状態の中、民間の船に救助される謎のイギリス兵士の怯えた様子を見て、その船を操縦するドーソンが言うセリフが、「戦闘ショック状態だよ。もしかしたら2度と元の彼に戻ることはないのかもしれない」である。
戦争がその人らしさを奪うということをはっきりと伝えているセリフ。
アレックス「だからこそ丁重に扱え」
ドーソンの船がダンケルクの海岸に近づきドイツ爆撃機に攻撃された海に輸送船から逃げ出した兵士達を救助。
舟に乗り込んできたアレックスがピーターに友人ジョージが亡くなっていることを伝えたセリフが、「だからこそ丁重に扱え」である。
このとき初めてピーターは、重体だった友人の死を知った。
老人「生きてるだけで十分だよ」
兵隊たちが無事イギリスに帰ってきた時、食糧などを渡して、兵士たちを労う老人がよくやった、と彼らに声をかけたシーン。
しかし、その老人にアレックスは「兵隊は逃げただけだ。何もしていない」と返す。
その言葉に老人は「生きているだけで十分だよ」と返した。
『ダンケルク』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
音楽担当はノーラン監督と6度目のタッグとなるハンス・ジマー
本作で音楽を務めるのは、ノーラン監督とは6度目のタッグとなるハンス・ジマー。
ダークナイトシリーズ以降ノーラン監督作品を一手に引き受けている。
敵側の侵攻、迫りくる死の恐怖を音楽で再現するように、追い詰められていく兵士たちを逃げ場なく取り囲んでいくような音楽がほぼ全編にわたって流れ続ける。
本作の音楽には、音が耳の中で上がり続けていくように錯覚する無限音階という技法が採用されており、またノーラン監督の時計の秒針音をサンプリングして音楽に取り込んでいる。
CGに頼らない大迫力の映像
ノーラン監督はCGを極力使わないことで有名。本作でもリアリティを追求し、極力CGを使わない大迫力の映像が見られる。
映画は実際にダンケルクで撮影。
浜辺で35万人の兵士がいる場面ではエキストラ6000人と段ボールを使って35万人に見せている。
また、戦艦や戦闘機も調達し、戦闘機にはカメラをくくりつけて実際に撮影したという。
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目次 - Contents
- 『ダンケルク』の概要
- 『ダンケルク』のあらすじ・ストーリー
- 陸の1週間
- 海の1日
- 空の1時間
- ダイナモ作戦の結末
- 『ダンケルク』の登場人物・キャラクター
- 陸の物語
- トミー(演:フィン・ホワイトヘッド)
- ギブソン(演:アナイリン・バーナード)
- アレックス(演:ハリー・スタイルズ)
- ボルトン海軍中佐(演:ケネス・ブラナー)
- ウィナント陸軍大佐(演:ジェームズ・ダーシー)
- 海の物語
- ドーソン(演:マーク・ライアンス)
- ピーター(演:トム・グリン=カーニー)
- ジョージ(演:バリー・コーガン)
- 謎の英国兵(演:キリアン・マーフィー)
- 空の物語
- ファリア(演:トム・ハーディー)
- コリンズ(演:ジャック・ロウデン)
- 『ダンケルク』の用語
- ダンケルクの戦い
- ダイナモ作戦
- 『ダンケルク』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ドーソン「戦闘ショック状態だよ。もしかしたら2度と元の彼に戻ることはないのかもしれない」
- アレックス「だからこそ丁重に扱え」
- 老人「生きてるだけで十分だよ」
- 『ダンケルク』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 音楽担当はノーラン監督と6度目のタッグとなるハンス・ジマー
- CGに頼らない大迫力の映像
- 脚本には台詞がほとんど存在しない
- 実際に戦闘があった場所で撮影を敢行
- メインキャストはほぼ新人俳優を起用
- 本作で人気アイドルグループ1Dのハリーが映画デビュー
- ノーラン映画に常連の俳優マイケル・ケインが声だけ出演
- クリストファー・ノーラン単独による脚本は3作目
- ノーラン監督は誰よりも早く来て最後に帰る
- 『ダンケルク』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):ハンス・ジマー「The Mole」
- 挿入曲:ハンス・ジマー「Supermarine」