遊☆戯☆王(遊戯王)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『遊☆戯☆王』とは高橋和希原作の漫画作品である。
ひ弱ないじめられっ子である武藤遊戯が、古代エジプトの出土品、千年パズルに宿る闇の人格と入れ替わり、様々なゲームによって敵と戦う点が本作の魅力である。
千年パズルの他にも多様な能力を持った千年アイテムが登場し、その所持者と熾烈なバトルを繰り広げる点も見どころである。
また、本作で登場するカードゲーム「M&W(マジックアンドウィザーズ)」は後に、「遊戯王デュエルモンスターズOCG」として商品化され、全世界で爆発的な人気を博した。

海馬「行く手に神が立ち塞がるなら、神を、なぎ倒してゆけ!」

遊戯はバトルシティで、レアカード強奪集団「グールズ」のメンバーたちを次々と倒し、順調に勝ち上がっていた。そんな遊戯の前に、次なる刺客として立ちはだかったのは、童実野町でパントマイマーとして、人気を博していた男だった。彼は人形と呼ばれ、親を殺した自責の念から心を閉ざしてしまい、今ではグールズのボス、マリクに意識を完全に乗っ取られてしまっている。そのため、彼との決闘は意識を乗っ取っているマリクが指示を出して行う。それは事実上、マリクとの直接対決を意味していた。
人形のデッキは、マリクが盗んだ神のカードの一枚、オシリスの天空竜を強化して戦うことをコンセプトにしたコンボデッキだった。手札の枚数が増えれば増える程、攻撃力を上げていくオシリスの天空竜をベースに、破壊されても即時復活するスライムモンスターと、モンスターが復活する度にカードを引く生還の宝札とのコンボで、次々に手札を増やしていく人形。オシリスの天空竜の攻撃力はもはや、通常のモンスターでは太刀打ちできない程の領域に達する。加えて、神のカードにはいかなる罠カードも通じず、魔法カードの効果も1ターンしか受け付けない。さらに、オシリスの効果に寄り、フィールドにモンスター呼んでも、攻撃力2000以下のモンスターはすぐに破壊されてしまう。絶望的な状況に、遊戯はひざを折り、戦意を喪失しかける。
そのとき、遊戯の宿敵、海馬が現れる。海馬は遊戯を倒すのは自分だと宣言。神を超えて、勝ち上がるように鼓舞するのであった。
バトルシティ編でカギとなる神のカード。他のカードとは一線を画す能力を持つことを表現したのが今回の決闘である。その力は、これまでどれほど追い込まれようとも、決してあきらめなかった遊戯でさえ、戦意を喪失するほどの恐ろしいものだった。かつてないほどのピンチに現れた海馬が遊戯を鼓舞することで、遊戯が戦意を取り戻すという展開は、彼ら二人の関係性が特別だということを、改めて読者に認識させる。
さらに、この発言によって冷静さを取り戻した遊戯は、このあと、コンボの穴を突き、山札がなくなるまでカードをドローさせて勝つという戦術を見せる。ライバルとの関係やその後の勝利への結びつきなど、この台詞は様々な要素が入り混じった名言といえるだろう。

闇獏良「オレ様にも気に入る勝ち方と気に入らねえ勝ち方があんだよ…!!」

バトルシティの決勝トーナメント第一回戦、遊戯は因縁の相手、獏良了との決闘が決まる。獏良は遊戯の同級生で、千年アイテムの一つ、千年リングの所有者でもある。普段は温厚な性格をしているが、彼に宿る闇の人格は残忍な性格をしており、千年アイテムを集めることを目的としている。
バクラは悪魔族とアンデッド族を中心に、相手の動きを妨害し、勝利するオカルトデッキを駆使し、遊戯を追い詰める。獏良は五枚の死のメッセージカードをフィールドに集めることで、プレイヤーを勝利させるとカード「ウィジャ盤」を使った勝利を狙う。
ありとあらゆるカードで遊戯の動きを封じ、死のメッセージカードを集めていく獏良。獏良の戦術の前に、なすすべもなくなった遊戯。だが、土壇場で遊戯は、人形戦で手に入れた神のカード「オシリスの天空竜」を引き当てる。
獏良のあらゆる妨害も、あらゆる罠カードを受け付けない神のカードには通じない。オシリスの天空竜を召喚したことで、形勢は逆転。獏良のフィールドには壁となるモンスターもおらず、オシリスの攻撃によって、敗北が決定する状況となる。
そんな折、獏良の意識にマリクが語り掛ける。マリクの持つ千年アイテム、千年ロッドには自分の意識を他者に潜り込ませる能力がある。獏良とマリクは事前に同盟を結んでおり、その際に、マリクは獏良に、自分の意志を潜り込ませていたのだ。マリクは遊戯に攻撃を躊躇させるため、獏良の表人格を盾にするように要求する。獏良の表人格では、オシリスの天空竜の攻撃には耐えられないという算段によるものだった。
攻撃を躊躇する遊戯。しかし、獏良はそんな方法で勝利することが許せなかった。獏良はマリクの提案を突っぱね、再び人格を交代する。そのときに、このセリフを放った。
本作の悪役キャラには、勝利のためなら、卑怯な手を辞さないキャラクターは少なくない。そんな中で、闇獏良は悪役でありながら、卑怯な手によって勝利することを嫌い、正々堂々と決着をつけることを選んだ。この台詞は、他の悪役キャラと獏良の違いを際立たせることで、獏良というキャラクターを読者に印象付けた一言であると言える。

海馬「神を生贄に捧げる!」

バトルシティ決勝トーナメントの第四回戦、海馬は自らに神のカードを託した張本人、イシズ=イシュタールと決闘を行う。イシズは千年アイテム、千年タウクの所有者であり、近い未来を見通すことができる。
序盤、海馬は持ち前の攻撃力を生かした戦術に寄り、決闘を優位に進めていく。一方、イシズは大した反撃を行わず、海馬の攻撃に追いつめられていく。流れに乗った海馬は、十八番の「死のデッキ破壊ウイルス」によるコンボを使った。死のデッキ破壊ウイルスは、攻撃力1000以下のモンスターを媒体にウイルスを相手の山札に感染させ、相手のデッキ内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊するという恐るべきカードであり、これにより、イシズの山札から攻撃力1500以上のモンスターが全て消滅してしまう。しかし、イシズは山札と墓地のカードを入れ替える罠カード「現世と冥界の逆転」を発動。海馬のコンボを逆手に取り、逆に海馬を追い詰めていく。山札を残り六枚まで減らされた海馬だったが、神のカード、オベリスクの巨神兵の召喚に寄り、窮地を乗り切ろうと考える。だが、それすらもイシズの計算の内であり、イシズは罠カード「生贄の抱く爆弾」の発動を試みる。このカードは場のモンスター一体に爆弾を仕掛け、そのモンスターを生贄にして召喚したモンスターが攻撃したとき、生贄召喚したモンスターを破壊し、攻撃力分のダメージをそのモンスターの持ち主に与えるという効果であり、オベリスクが破壊されれば、その瞬間、海馬の負けが確定となる。
海馬がオベリスクによる攻撃を宣言。イシズはその瞬間、勝利を確信した。その瞬間、海馬の脳裏にある光景が浮かぶ。それは、自身と酷似した古代エジプトの神官が、白髪の女性を抱きかかえ、悲しみに暮れるというものであった。さらに、その光景には青眼の白龍が写っており、海馬はそこで、青眼の白龍が何かを伝えていると考えた。そして、海馬はオベリスクによる攻撃をやめ、青眼の白龍を召喚すると宣言。青眼の白龍を召喚するための生贄がないと指摘された海馬だが、海馬は神のカード、オベリスクの巨神兵を生贄にすると宣言する。そして、召喚した青眼の白龍の攻撃により、海馬は見事に勝利を手にしたのだった。
本作、屈指の名言とされるこの台詞。高い攻撃力を持つ青眼の白龍だが、その反面、特殊能力は持ち合わせていない。それに対し、オベリスクの巨神兵は青眼の白龍を上回る攻撃力とあらゆるカードの効果を受け付けない特殊能力を持っており、通常なら、オベリスクを生贄にして、青眼の白龍を出すというのは、戦術として破綻している。だが、海馬は青眼の白龍を信じ、オベリスクを生贄にして召喚。その結果、決闘に勝利するするという流れが、読者に強い衝撃を与えたことが、この台詞が根強い人気を誇っている理由と考えられる。

遊戯「ならば、貴様の憎しみと怒りをすべて!!オレにぶつけて来な!! それでオレを倒せるならな!」

バトルシティ準決勝第二試合、遊戯は因縁のライバルである海馬との対戦が決まる。神のカードを持つ者同士の決闘は熾烈を極めた。オシリスの天空竜とオベリスクの巨神兵。二体の神のカードによるぶつかり合いは引き分けに終わり、どちらのカードも破壊された。次なる手を打つべく、二人はそれぞれの切り札、ブラックマジシャンと青眼の白龍を使った決着のため、策を講じる。まさに白熱の決闘が繰り広げられていた。
そんな中、海馬の中にはある想いがくすぶっていた。海馬とモクバは元々孤児だったが、養父であり、先代の海馬コーポレーション社長、海馬剛三郎に、後継者にすべく引き取られたのだった。剛三郎が海馬に施した英才教育は虐待めいたものであり、そのため、海馬は剛三郎を憎んでいた。やがて、海馬は憎しみを力の源とし、生きるようになり、憎しみに満ちた過去を振り返らず、未来のみを見ながら歩いていくと決めていた。
そして、海馬はバトルシティで遊戯を倒すことで、憎しみとともに過去を清算するつもりだと遊戯に宣言する。しかし、遊戯は憎しみを糧にする海馬に対し、憎しみや怒りを束にしても脆いと告げる。さらに、憎しみを重ねて勝利しても、そこに真の勝利はないと海馬を諭す。だが、海馬は憎しみと怒りこそが自分にパワーを与えてきたと言って、遊戯の言葉に耳を貸す様子を見せない。そんな海馬に対し、遊戯はこの台詞を放った。
一見、海馬の抱えているものすべてを否定するように受け取れるこの台詞だが、その言葉の裏には、ライバルであり、友でもある海馬を倒すことで、憎しみから解放するという決意が含まれている。遊戯と海馬の決闘は遊戯の勝利で幕を閉じるが、準決勝で敗れた海馬は、身寄りのない子供のためのテーマパーク、海馬ランドを築くという夢を思い出し、その夢のために新たな一歩を踏み出すことになる。海馬という人物のその後の人生に大きく影響を与えたという意味で、この台詞は名言といえるだろう。

王の記憶編

バトルシティに優勝し、三枚の神のカードを手に入れた闇遊戯は童実野美術館に向かい、石版の前で神のカードをかざす。その瞬間、闇遊戯は古代エジプトのファラオの玉座に座っていた。彼の周りには千年アイテムを身に着けた神官たちがいたが、誰も、闇遊戯の真の名前を口にはしなかった。時を同じくして、闇獏良と似た風貌の男、盗賊王バクラが王宮に侵入する。神官らとバクラは石版に封じ込めた魔物を召喚し、「ディアハ」という名の戦闘を始める。その戦闘は、現代のM&Wに酷似していた。
一方、遊戯とその仲間たちは美術館に取り残されていたが、闇遊戯の記憶と名前を明らかにするため、ファラオの記憶の世界に入り込み、奔走するのであった。

マハード「ファラオよ我が魂――貴方の永遠のしもべなり」

ファラオの臣下の一人、マハードはマジック&ウィザーズのモンスター、ブラックマジシャンに瓜二つの容姿をしている。彼は、先王アクナムカノンの臣下の一人、アクナディンが国防のために提案した千年アイテムの制作を容認したが、千年アイテムの作成のために多くの血が流れたことを伝えてしまったことで、アクナムカノンが心労によって亡くなってしまったという経緯から、アクナムカノンの死に責任を感じ、その息子である現王に忠誠を誓っている。
千年アイテム作成のために滅ぼされた村の出身である盗賊王バクラが、王国滅亡のために、動き始めたのを受け、マハードはバクラによって掘り返されたアクナムカノンを埋葬するふりをして、彼をおびき寄せる作戦に出た。
作戦は成功し、バクラが姿を見せる。二人は、現代の決闘とよく似たディアハという戦いを始める。このディアハは、石板に封じた魔物を操り、戦わせるという形式のものであり、バクラは自らの持つ魔物、ディアバウンドを操り、マハードを圧倒する。
追い詰められたマハードは、自らの命を生贄にし、魔物、幻想の魔術師と融合することで、バクラを倒すという策を思いつく。融合は見事に成功し、マハードはブラックマジシャンとなって、バクラを撃退した。しかし、命を犠牲にした融合により、マハードは死亡。その間際、この言葉を口にし、ファラオへの忠誠を誓うのだった。

闇遊戯「お前は弱くなんかない…ずっと誰にも負けない強さを持っていたじゃないか…「優しさ」って強さを…オレはお前から教わったんだぜ相棒…」

王としての記憶を全て取り戻した闇遊戯。遊戯は長い間連れ添った相棒である闇遊戯を冥界で安らかに眠らせるため、闇遊戯との最後の戦いに挑む。
元々、気弱な性格だった遊戯。だが、遊戯はもう一つの人格として、数多の強敵と戦い、打ち破ってきた闇遊戯の決闘を間近で見てきたことで、大きく成長していた。闇遊戯の猛攻に負けじと食い下がる遊戯。白熱する決闘の中、闇遊戯は墓地のカードを蘇生させる魔法カード「死者蘇生」を使い、神のカード「オシリスの天空竜」を呼び出して、決着をつけようともくろむ。ところが、遊戯は闇遊戯の切り札が「死者蘇生」であることを読んでおり、魔法カード「封印の黄金櫃」を発動する。このカードはあらかじめ、自分の山札のカード一枚を封印し、相手が同じカードを使ったとき、その効果を無効にするというものである。遊戯は「死者蘇生」をこのカードに封印していたため、闇遊戯の「死者蘇生」は不発に終わった。これが決定打となり、遊戯の勝利で二人の決闘は幕を閉じる。
決闘の結末を迎え、遊戯が自分を超えたことをしみじみと喜ぶ闇遊戯。その一方で、闇遊戯との別れを惜しみ、涙する遊戯。そんな遊戯に闇遊戯は、自分が勝者なら涙は見せないと告げる。遊戯は、自分は弱虫だから、ずっと闇遊戯を目標にしていたと告白する。それに対し、闇遊戯はこの言葉を伝え、遊戯から優しさを教わったことを伝えるのだった。
どれほどの強敵が相手でも果敢に立ち向かってきた闇遊戯は、気弱ないじめられっ子だった遊戯とは対照的な強い人物として描かれ続けていた。気弱ないじめられっ子だった遊戯にとって、強い闇遊戯は、まさに憧れの対象だったのであり、強く影響を受けてきたからこそ、最終的には目標だった闇遊戯を超えるほどの強さを手にすることができたのだった。
その一方で、闇遊戯もまた、遊戯の持つ優しさに影響されてきたことが、この台詞からくみ取れる。この台詞は、遊戯と闇遊戯の二人が、互いに影響し合い、成長してきたことを表現する一言であり、本作の締めくくりに相応しい台詞といえる。

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