PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

視力を失ってしばらく経ち、シェリルに諫められながらも、シャロンが受けるであろうショックを慮るブレイクは彼女にその事実を伝えられずにいた。ユラの屋敷にてオズの社交界デビューの催しが行われ、その場に赴いたシャロン、ブレイクは、屋敷に隠された封印の石を探すという裏の任務にあたることとなる。シャロンがつかの間の社交の場を楽しんでいる間、同じく任務のために潜り込んでいたレイムと話していたブレイクは、そろそろ眼のことを話すべきだと諭される。「子供が泣くのは苦手だ」と乗り気でないブレイクを「お前は馬鹿だ」と殴りつけたレイクは、それ以上のことは何も言わずに屋敷捜索のために去って行った。その後、ブレイクとともに風にあたりながら休んでいたシャロンは、任務に集中するために他の女性のようにパーティーに参加することはできなくともせめてその場の雰囲気を楽しもうとブレイクをダンスに誘う。「契約によって失ったものも多いがそこから何を得られるかは自分次第」と明るい表情で話すシャロンを目にしたブレイクは、シェリルやレイムに言われた言葉を思い出し、とうとう眼が視えなくなったことを彼女に告げた。思ってもみなかった事実を知ったシャロンはやはりショックを受けた雰囲気を漂わせ、ブレイクは「やはりまだ言うべきではなかった」と後悔する。しかし、一瞬の後、シャロンは悲しみを抑えながらも温かい笑顔を見せ、「――なら仕方がありませんわね。覚悟してください、ブレイク。私が特別に、手取り足取りみっちり教えこんで差し上げますわ!」「さあ、手を」と、ブレイクに向かって手を伸ばした。シャロンの内に秘められた強さを知ったブレイクはその手をとり、「いつのまにかこんなにも強い女性になっていたのだ」と彼女の成長を喜ぶのであった。

「私は、ここまで積み上げられた『今』も『世界』も、どちらも失いたくないんです!」

ロッティ(右下)と対峙するシャロン(上)

かつてのサブリエの幻影の中でロッティと相対したシャロンが発した言葉である。過去を改竄しようとするオズワルトを追ってオズ達とともにサブリエに向かったシャロンは、サブリエの幻影の中で一人はぐれ、同じくオズワルトを追ってきたロッティ達と遭遇する。ロッティは、このままでは世界が崩れることは避けられず、過去を変えて世界を救おうとしているオズワルトをなぜ止めるのかと尋ねる。そして、シャロンは、「私は、ここまで積み上げられた『今』も『世界』も、どちらも失いたくないんです!」だと答えた。そんなシャロンのことをロッティは強欲だと言うも、彼女は、「欲張りは母親譲り」と堂々と言い放った。非力ながらも世界を救うことに少しでも貢献しようとするシャロンの決意が現れた言葉である。

ザークシーズ=ブレイクの名言・名セリフ/名シーン・名場面

ザークシーズ=ブレイクの概要

ザークシーズ=ブレイク

ザークシーズ=ブレイクはレインズワース家の使用人で、パンドラ最強の騎士でもある。主にシャロン=レインズワースに付き従っている。所有するチェインはイカレ帽子屋(マッドハッター)である。藁人形のような人形・エミリーを持ち歩いており、腹話術のような会話をしょっちゅうしている。イカレ帽子屋との契約によって身体の成長は止まっており、見た目は24歳であるが、実年齢は39歳である。そのため、自身のことを「おじさん」と言ったり、シャロンに「中年オヤジ」と言われたりしている。極度の甘党であり、常にお菓子を持ち歩いている。つかみどころのない飄々とした性格で珍妙な行動が目立ち、よく人を喰ったような物言いで周囲を苛立たせている。しかし本来は忠誠心に厚く生真面目であり、前へ進めないオズやギルバートをさりげなく後押ししている。
もとは50年前の人間で、本名はケビン=レグナードと言い、シンクレア家に仕える騎士であった。主家の人間を逆賊に殺されたことを憂いて違法契約者となり、当時は「紅瞳の亡霊」と呼ばれていた。多くの人間を犠牲にするも望みは叶わずアヴィスに堕ち、30年の時を超えて現実世界へと戻ってきた。レインズワース家の扉の前に現れたところをレイムとシャロンに発見されたため、以後、レインズワース家に仕えることとなった。アヴィスに堕ちた際に白いアリスと遭遇し、左の瞳を奪われている。白いアリスとの会話を交わした際に彼女の本当の願いを聞いた唯一の人物である。また、このとき、サブリエの悲劇によって同じくアヴィスに堕ちたヴィンセント、ギルバートとも出会っていた。いったんアヴィスに堕ちて生還していることから現在の契約は二度目である。その影響で体に過度の負荷がかかっているため余命は残り僅かであり、物語中盤で盲目となった。しかし、本人いわく「もともと視覚から得る情報は信用していない」ため、その戦闘力にほとんど衰えは見られなかった。

「覚えておきたまえオズ君…最後に残されるものは決して希望とはかぎらない――!」

遠くのオズ(右)に語りかけるブレイク(左)

オズに残された未来の選択肢を思うブレイクの独白である。チェインと違法契約した契約者の胸には時計の形をした刻印が現れ、その針が一周したとき、契約者はアヴィスの最下層へと堕とされることになる。ブレイクの言うオズに残された未来は3つあり、そのうちの2つは、「時が経って刻印の闇に飲まれアヴィスへと堕ちる」こと、「自分の罪を求めることで助かる術を見つける」ことであった。そして残りの1つについて、ブレイクは「君がその罪を知ったとき、もしかしたら私は――」と最後まで言わないままに言葉を切っているが、後にこの言葉に続くのは「君を殺さなければならない」であることが発覚する。「覚えておきたまえオズ君…最後に残されるものは決して希望とはかぎらない――!」という彼の言葉は実際にオズに告げられることはないものの、彼に残された未来が険しいものであることを暗示している。

「ねぇオズ君…、君は一体どこにいるんだい?」

オズ(左)に問いかけるブレイク(右)

どんな現実をも受け入れるというオズに対するブレイクの問いかけである。自らがアヴィスの全てを掌握する力を持っているとまで告げられてもなお、オズは明るい態度を崩さずにすべてを受け入れようとする。しかしその様子を見たブレイクは、彼の事を「薄気味悪い」「歪んでいる」と言い、「ねぇオズ君…、君は一体どこにいるんだい?」と問いかけた。そこに存在するのに、どこか空虚でその中には何も見えない。感覚的な描写ではあるが、オズ自身も自覚していない彼の今の状態を的確に表現した言葉である。この問いに対する答えが見えなかったオズは、この後ひそかに悩むことになるのだった。

「ならばそんな感情は捨てて、利用出来るものの全てを利用してみせろ」

ギルバート(下)に彼のすべきことを語るブレイク(上)

ナイトレイ家の養子になることを拒むギルバートに対するブレイクの言葉である。オズがアヴィスに堕とされて悲しみに暮れるギルバートの前にブレイクが現れ、ナイトレイ家の養子になるようにと告げた。ナイトレイ家がベザリウス家と敵対する存在であったことからその要求を拒否するギルバートを、ブレイクは「ナイトレイ家の力を手に入れればオズを助けられるかもしれない」と誘う。それを聞いて食いついてきたギルバートに、ブレイクは、「ならばそんな感情は捨てて、利用出来るものの全てを利用してみせろ」と言い放った。ギルバートになりふり構わずオズを取り戻すことを決意させた言葉であり、ブレイク本人の行動原理そのものを表している言葉でもある。

「どうか君が、私の眼の代わりとなってほしい…!」

ギルバート(中央)に協力を求めたブレイク(左)

幼いギルバートに協力を求めたブレイクの言葉である。ブレイクの手を振り払った拍子に彼の前髪に隠れた左目が見えてしまったギルバートは、そこに眼球がないことを知って驚愕する。そしてブレイクは、「どうか君が、私の眼の代わりとなってほしい…!」と言い、ギルバートがナイトレイ家の力を利用してオズを助け出すのを手助けする代わりに、自分の代わりにナイトレイ家を監視してほしいと協力を求めた。どんな手段を使ってでもオズを取り戻したいと願うギルバートはその要求を受け入れ、ベザリウス家を去ることとなったのだった。
なお、このときのブレイクの言葉は後に長くギルバートの記憶に残ることとなる。実際に、成長したギルバートが窮地に陥ったブレイクを助けに現れた際、彼は「オレはこの馬鹿の左眼だ」と告げている。

「私はね、誰かのためなんていう無責任な言葉は――大嫌いなんですよ!」

チェシャ猫(右下)と戦うブレイク(左)

戦闘の中でブレイクがチェシャ猫に放った言葉である。チェシャ猫の住処にアリスとともに攫われたブレイクは、空間が作り出す自らの記憶を模した情景に取り込まれようとしているかに見えた。しかしそれはすべて演技であり、敵を打ち倒そうとチェシャ猫が彼に襲い掛かったとたん、ブレイクはいっきに反撃に打って出る。執拗に「あの子(アリス)のために」と繰り返しながら攻撃を続けるチェシャ猫に対し、ブレイクは「私はね、誰かのためなんていう無責任な言葉は――大嫌いなんですよ!」と、その言葉に対する極度の嫌悪感を露わにしながらとどめの一撃を放った。この後に、かつて仕えていた主人とその家族を救うために勝手に過去を書き換え、それによって一人の少女の命を奪ってしまったというブレイクの過去が明らかになる。「主人のために」という勝手な思いで少女の未来を閉ざしてしまったことに対してブレイクは強い後悔の念を抱いており、「誰かのために」を良しとしないブレイクの信念は彼の辛い経験によって形作られたものである。

「ナイトレイの溝ネズミめ…!」

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