PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

「傷つくことを恐れぬことの何が強さか!!そんなもの…何かを『背負う』覚悟すらない奴がほざく戯れ言だ!!!」

自分の信念を叫ぶエリオット

自分のことを蔑ろにするオズにエリオットが放った言葉である。バスカヴィルに連れ去られたオズを見つけたエリオットとその従者・リーオは、オズを助け、バスカヴィルを侵入者として捕えようとする。「自分の問題だから関わるな」「誰も巻き込みたくない」と叫ぶオズの言葉を聞いたエリオットは激昂し、愛読書である物語の登場人物になぞらえながら、「傷つくことを恐れぬことの何が強さか!!そんなもの…何かを『背負う』覚悟すらない奴がほざく戯れ言だ!!!」という自らの信念を言い放ったのである。オズの考え方を真っ向から否定するものではありながらも、オズがこれまでの自分の在り方を考え直すきっかけとなった言葉である。

「おまえの自己犠牲などしょせんはただの自己満足だ!!残された者の痛みも知らないくせに何が『傷つけることは重い』だ!おまえがそんな甘いことを抜かしていられるのはその『重み』を他人に押しつけているからだろうが!!おまえを大切に思う者…護ろうとする者――…その者達が代わりに背負っているんだ。自分の身すら護ろうとしないおまえを失わないために。いいか…このままではおまえは誰も護れない。自分の命を軽んじる奴に誰かの命を護る資格なんてねぇんだよ!!」

オズ(右)を責め立てるエリオット(左)

自己犠牲を良しとするオズにエリオットが放った言葉である。バスカヴィルに攫われたところをエリオットとリーオに助けられたオズは、彼らとともに外に出る道を探していた。自覚もないままに「自分なんてどうでもいい」という様子を見せ、さらには助けた自分達に対しても「関係ないのだから自分がどうなってもいいだろう」という態度を崩さないオズに対し、エリオットは怒りを露わにする。そしてエリオットはオズに「おまえの自己犠牲などしょせんはただの自己満足だ!!残された者の痛みも知らないくせに何が『傷つけることは重い』だ!おまえがそんな甘いことを抜かしていられるのはその『重み』を他人に押しつけているからだろうが!!おまえを大切に思う者…護ろうとする者――…その者達が代わりに背負っているんだ。自分の身すら護ろうとしないおまえを失わないために。いいか…このままではおまえは誰も護れない。自分の命を軽んじる奴に誰かの命を護る資格なんてねぇんだよ!!」と叫んで、彼の考え方の間違いを突き付けた。厳しい言葉ではあるが、この言葉によってオズは周りの者達が自分に言った言葉、自分の無事を心から喜んでくれたことを思い出す。「(父親に)望まれなかったのだから、せめて迷惑をかけないように」と生きてきて、しかしそれが本当は自分が傷つきたくなかったからだったのだという自らの気持ちに気づいたオズは、出会って間もないエリオットにこれまで誰にも言ったことがなかった胸の内をさらけ出した自分に驚きながらも、心が少し軽くなったように思うのだった。

「バッカかおめーは!」「だけどおまえは『気づけた』んだろう!?だったら―――その時点で既に一歩前に進んでんだよ!!そこから先は好きにしろ!そのまま進もうが戻ろうが違う道を行こうが、全ては…おまえ次第だ!」

オズ(右)を励ますエリオット(中央)

これまでの自分を思い返して落ち込むオズにエリオットが放った言葉である。エリオット、リーオと連れ立ってラトウィッジ校の地下から抜け出す途中、自らの弱さを実感すると同時に自分のことでさえもまったくわからないことに気づいたオズは、父親に否定されたときからまったく前に進めていなかったことを「悔しい」と言った。オズの懺悔を聞いたエリオットは「バッカかおめーは!」と言いながらも、「だけどおまえは『気づけた』んだろう!?だったら―――その時点で既に一歩前に進んでんだよ!!そこから先は好きにしろ!そのまま進もうが戻ろうが違う道を行こうが、全ては…おまえ次第だ!」と言い放つ。乱暴でも励ましの意がこもったエリオットの言葉は、オズに前へと進む勇気を与えたのだった。

「24にもなって学生服など恥を知れ!!!!」

ギルバートを詰るエリオット

オズを見つけて駆け寄ってきたギルバートにエリオットが放った言葉である。学校の地下から抜け出して戻ってオズとエリオット、リーオの元に、オズを探していたギルバート達が駆け寄ってくる。しかし、ギルバートの姿を目にしたエリオットは一転して不穏な空気を漂わせた。エリオットはギルバートのことを「ナイトレイ家から逃げ出した『臆病者』」だと嫌悪していたのだ。親しげに話そうとするギルバートだが、怒りのままに剣を抜いたエリオットはそれを激怒の表情で薙ぎ払った。さらにエリオットはギルバートが学生服を着ているのを目にし、「24にもなって学生服など恥を知れ!!!!」と言い放つ。だが、年齢不相応な格好を自覚していたギルバートは、まったく言い返せなかったのだった。なお、この「恥を知れ」という言葉は誇り高いが短気なエリオットの性格を象徴するものであり、おまけ漫画やカバー下パロディにしばしば登場する。

自らが首狩りの正体であることにエリオットが気づいた場面

自分の異変に気付いたエリオット

ユラの目論見によって、リーオはサブリエの悲劇を再来させる儀式のための生贄に選ばれる。リーオを救うために彼が囚われている部屋に駆け付けたエリオットは、母親がその場所にいるのを見て驚愕した。ユラの作り上げた偽りの宗教の信者になっていたエリオットの母親は、儀式の主犯格の一人となっていたのである。儀式が始まる時間になって彼女がリーオに剣をつきたてようとしたその時、エリオットの意識は飛び、我に返ったときには自らの母親を刺し殺していた。その瞬間、エリオットの目の前に、建物が燃えて周りが血の海になって兄達が倒れている光景がフラッシュバックする。そして、「忘れてしまえばいい」という囁きとともに彼の後ろに現れたのは、ハンプティダンプティであった。どこからか自分がおかしくなってしまっていたことに気づいたエリオットは、目を背けまいと事実を思い出そうとし、家族がリーオに害を及ぼそうとしていることに気づくたびに無意識にその者を殺してしまっていたこと、自らの胸に見えてきた違法契約者の刻印も見なかったことにしてしまったことに気づく。兄二人、姉、そして母親までも自らの手で殺してしまったことを知って呆然とするエリオットの胸に突如痛みが走り、触れた手には血がべっとりと付いていた。その場所は違法契約者の刻印がある場所であり、刻印の針が進みすぎたエリオットは、チェインが受けた傷をもその身に受けるまでになっていたのであった。エリオットが浮かべた虚ろな笑み、そして、彼が発した「自分がおかしいと気づけているのなら、それはまだ完全には壊れていないという証だ。だからきっと…それにも気づけていなかった自分は、もうとっくに壊れているんだ」という言葉から、自らが犯した罪とそれに気づけなかったことに対する彼の.絶望が見て取れる。

エリオットが死を覚悟でハンプティダンプティを否定した場面

ハンプティダンプティ(右上)を否定するエリオット(右下)

ユラが主導するカルト教団の一人が屋敷にあった封印の石を破壊したことにより、抑え込まれていたアヴィスの力が溢れ、その場にいた者達の所有するチェインが暴れ出した。そして、自分が首狩りの正体であったことを思い出して混乱するエリオットの意識は暴走したハンプティダンプティに取り込まれる。闇に沈む意識の中、エリオットの耳に「眠ってしまえばいい」「忘れさせてあげるから」とのハンプティダンプティの囁きが聞こえ、その眼にはハンプティダンプティの眼を通して外の光景が見えていた。ハンプティダンプティがオズ達を攻撃していることを知りながらも、「どうしようもない」「全てが遅すぎた」と諦めようとしたとき、エリオットは、自分がかつてオズに言った「気づけたらその時点で前に進んでいるのだ」という言葉を思い出す。何かに気づけたならまだできることがあるはずだと自分を奮い立たせたエリオットは、自らの手に剣を突き立てて意識を取り戻し、「忘れて…なるものか…目を背けてなるものか…!!オレの記憶も、過ちも、傷も、過去も未来も、何一つおまえにくれてやる気はない!」「オレがエリオット=ナイトレイであることを、貴様などに奪われてたまるか!!」と叫んだ。しかし、不安定な存在であるチェインにとって契約者に否定されることは死に等しく、刻印の針が進んでチェインの受ける傷をもその身に受けるようになっていたエリオットにとっても、自分のチェインを否定することは自殺行為に等しいものであった。離れた場所ではオズがハンプティダンプティと戦っており、オズがハンプティダンプティを攻撃するたびに、エリオットの躰は蝕まれていく。その場に居合わせたヴィンセントは、もうどうやっても救われることはないという残酷な事実を告げ、自分とオズのどちらに殺されたいかと尋ねた。それを聞いたエリオットは「どちらもごめんだ」と答え、自分の命を誰にも背負わせまいという強い決意とともに、「ハンプティダンプティ、オレはおまえの全てを否定する」と言ってその存在を否定したのである。その瞬間、オズ達を襲っていたハンプティダンプティの姿は弾け飛んで消え去り、エリオットは血の海に沈んでいった。罪を受け入れ、誇りを失わずに自ら死を選んだエリオットの気高い最期であった。

「わるい、リーオ」

リーオへの言葉をヴィンセント(中央)に託したエリオット(左)

エリオットが死の間際に残した言葉である。犯した罪とその結果を自分自身で背負うべく、死を覚悟して自らのチェインの存在を否定したエリオットは、血にまみれて虫の息となっていた。そして最期のとき、立ち会ったヴィンセントに彼が託したのは、残されるリーオに向けた、「わるい、リーオ」という一言であった。その命が尽きようとしているときでさえも自分を思いやっていたエリオットの言葉を聞いたリーオは涙を流し、グレンとなる覚悟を決めたのであった。

ハンプティダンプティの名言・名セリフ/名シーン・名場面

ハンプティダンプティの概要

ハンプティダンプティ

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