PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

「知らないことは罪ではないわ!罪深いのは、知ろうともせずに相手のことを決めつけてしまうことよ!!」

ノイズ(右上)に対抗するエイダ(下)

ノイズと相対したエイダが発した言葉である。人質としてノイズに連れ去られたエイダは、かつてのサブリエの幻影の中にいた。ヴィンセントに異様な執着を見せるノイズは、彼に近づくエイダを敵視し、八つ当たりのように攻撃を繰り返す。自分とヴィンセントはバスカヴィルなのだから、ただのうのうと生きる人間であるエイダとは違うのだ。そう突きつけるノイズに、エイダは、違っているからこそもっと知りたいと思えたのであり、同じである必要はないのだと言い放った。「知らないことは罪ではないわ!罪深いのは、知ろうともせずに相手のことを決めつけてしまうことよ!!」という言葉に現れたエイダの強い信念は、この後、彼女とまったく違う人生を歩んできたヴィンセントを救うひとつのきっかけとなる。

「今の私は、貴方に触ることもできない幽霊のようなものだけど。遠い未来の貴方に、沢山のものを…もらったのよ。」「―――だからきっと、また私と出会ってね」

ヴィンセント(右下)に優しく声をかけるエイダ(左下)

過去のヴィンセントにエイダが発した言葉である。ノイズに人質としてサブリエに連れてこられたエイダは、駆け付けたオズ達のおかげで窮地を逃れるもそのままオズ達に同行するより他なく、ともに100年前のサブリエの悲劇の場へと赴くこととなる。これ以上の危険をさけるために一人安全な場所で待つことになったエイダの前に、幼いヴィンセントが姿を見せた。当時のヴィンセントは、ジャックの策略に利用されてアヴィスの扉を開け、サブリエの悲劇を巻き起こした直後である。これまでエイダは、ヴィンセントの過去に何かがあったことは察しつつも、詳しいことは何もわからないでいた。しかし、周りの人間の血に塗れ、「僕は悪くない」「ただギルを助けたかった」と泣きじゃくるヴィンセントを見たことで、エイダはその身に何が起こったのかを悟ることとなる。本来であればこの時代の時間軸にいない存在であるエイダは、この場にいるヴィンセントに干渉する術をもたず、触れることもできない。しかし、それでもなおエイダは、ヴィンセントを優しく抱き、「今の私は、貴方に触ることもできない幽霊のようなものだけど。遠い未来の貴方に、沢山のものを…もらったのよ。」「―――だからきっと、また私と出会ってね」という心からの想いを告げた。そしてエイダは、100年を経てなおも苦しんでいるであろうヴィンセントを救うべく、今の彼の元へと向かうのだった。

「貴方が過去にどんな罪を犯し、世界の全てが貴方を憎んでいたとしても。私は…私だけは、貴方の全てを赦します」

ヴィンセント(左)を抱きしめるエイダ(中央)

自ら死を受け入れようとしたヴィンセントにエイダが告げた言葉である。自分のチェインであるドルディに操られたノイズに殺されそうになったヴィンセントは、その死を受け入れようと笑って身をゆだねる。ノイズがまさに引き金を引こうとしたその時、彼らの元にたどり着いたエイダ、そして、ノイズの意識の中で懸命のドルディに抗うエコーが、「それでいいわけない」と叫んで待ったをかけた。その場にいるはずのないエイダの姿を見止めたヴィンセントは戸惑いを隠せず、「来るな」「目障りだ」と頑なに彼女を拒絶する。しかし、エイダはそれでもなおヴィンセントに近づき、「たとえ貴方が消えたいと願ったとしても私は貴方と出会いたい」と強く語りかけた。そして、ヴィンセントを抱きしめたエイダは、「貴方が過去にどんな罪を犯し、世界の全てが貴方を憎んでいたとしても。私は…私だけは、貴方の全てを赦します」と告げる。その存在を認める赦しの言葉、それこそが、ヴィンセントが自分でも気づかないままにただひたすらに求めていたものだった。エイダの想いと言葉を受けたヴィンセントはようやく過去の柵から放たれ、その胸で泣き崩れたのであった。

オスカー=ベザリウスの名言・名セリフ/名シーン・名場面

オスカー=ベザリウスの概要

オスカー=ベザリウス

オスカー=ベザリウスは、オズとエイダの叔父である。自らオズとギルバートの父親代わりを買って出ていて、まるで本当の息子のように接している。ベザリウス家の現当主であるが、ベザリウス家の所有する黒翼のチェイン・鷹獅子(グリフォン)と契約しているのは兄のザイであり、オスカーは当主の地位のみを継承している。かつて身籠った妻とその腹の中にいた子供を同時に亡くすという辛い出来事を経験してるが、その悲しみを乗り越えて、「何でもない日」の素晴らしさを知った。英雄ジャックの子孫として一目置かれるだけでなく、気さくで陽気な人柄で身分を問わず皆から慕われている。

「おまえもギルも、オレにとって大切な息子なんだ!」「おまえらと今こうしていられることが、オレは何よりも尊いんだよ―――…」

オズ(右)とギルバート(左)を抱き寄せるオスカー(中央)

10年を経てオズとギルバートと再会したオスカの言葉である。ギルバートがなくした帽子を町に出て探していたオズたちの前に、オズがアヴィスから生還したことを聞いてやってきていたオスカーが姿を見せる。アヴィスに堕ちていたオズだけでなく、ギルバートもまた、ナイトレイ家の人間になった自分がオスカーに会うわけにはいかないと彼のことを避け続け、10年間オスカーと会っていなかった。それぞれに迷惑をかけたことを詫びるオズとギルバートだが、オスカーはそんなことはものともせず、「おまえもギルも、オレにとって大切な息子なんだ!」「おまえらと今こうしていられることが、オレは何よりも尊いんだよ―――…」と言って二人を抱きしめた。どんな境遇でもオズとギルバートを受け入れようとするオスカーの愛情の深さがうかがい知れる言葉である。

「空は晴れ、風は澄み、花は美しく咲いているというのに!おまえ達は室内にこもってうじうじぐじぐじと…実にけしからん!!」「こんな時にすることといったらあれしかないだろう、諸君!?そう、お茶会だ!」

お茶会開催を決めたオスカーの言葉

首狩り事件によって重苦しい空気が漂うパンドラを見かねたオスカーの言葉である。首狩り事件の再来という非常事態を受けて、その対応に誰もが疲れ果て、暗い顔をしていた。その事態に我慢ならなくなったオスカーは、「空は晴れ、風は澄み、花は美しく咲いているというのに!おまえ達は室内にこもってうじうじぐじぐじと…実にけしからん!!」「こんな時にすることといったらあれしかないだろう、諸君!?そう、お茶会だ!」と言って、お茶会を開催する。エリオットには「公爵家としての威厳が足りない」と言わしめたものの、明るく寛容なオスカーの人望は厚く、彼のお茶会には多くの人が集まって穏やかなひと時を過ごしたのであった。

「みんながここにいて、今、時を共有できる奇跡!どうだ、素晴らしき”なんでもない日”だろう?」「ハッピー、アンバースデイ!」

お茶会を締めくくるオスカーの言葉を聞くオズ(中央)

自身の主催するお茶会の締めを飾ったオスカーの言葉である。皆が楽しんだパンドラ内でのお茶会が終わりを迎えようとしたとき、オスカーはカメラを取り出して記念写真を撮ろうとする。しかしそれを見たオズは、戸惑ったように「駄目だ」と言った。実はオスカーのカメラは、彼自身の子供が生まれようとしたときに、生まれてくる子供の写真を撮るために用意していたものだった。記念日ごとにたくさん写真を撮るのだと嬉しげに話していたオスカーだが、体の弱かった妻は無事に子供を産むこと叶わず子供とともに亡くなったために彼の望みが実現することはなく、その後カメラは使われずにしまい込まれていたのだった。その経緯を知っていたオズは「今日は特に記念日でもないのだから勿体ない」と言う。それを聞いたオスカーは、「おまえはオレの大切な息子なんだ」とオズのことを抱きしめて、「みんながここにいて、今、時を共有できる奇跡!どうだ、素晴らしき”なんでもない日”だろう?」と告げ、「ハッピー、アンバースデイ!」と言ってコーヒーカップを掲げた。その言葉を聞いたオズは、穏やかな時が長くは続かないと知りながらも、今の夢のようなひとときが永遠になれば良いと願うのだった。

「オズ、おまえは知らないだろうな。おまえのその小さな手に縋られることが、オレにとってどんなに…どんなに『拷問』であったかを」「軽いわけねーじゃんかなぁ…」

オスカー(中央左)と幼いオズ(中央右)

4plowslayer
4plowslayer
@4plowslayer

Related Articles関連記事

ヴァニタスの手記(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

ヴァニタスの手記(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ヴァニタスの手記』とは、2016年より望月淳が『ガンガンJOKER』で連載しているスチームパンクバトル漫画、および漫画を原作としたアニメ作品である。19世紀のパリを舞台に、吸血鬼に呪いをかける「ヴァニタスの手記」を持つ青年・ヴァニタスと、田舎から来た吸血鬼・ノエのコンビの活躍を描いている作品である。2022年には舞台化がされている。キャラクターはもちろんのこと、パリの美しい背景やスチームパンク描写など美麗な絵柄が大きな魅力となっている作品である。

Read Article

アニメ最終回のその後に注目!原作漫画「PandoraHearts」衝撃展開・ネタバレまとめ

アニメ最終回のその後に注目!原作漫画「PandoraHearts」衝撃展開・ネタバレまとめ

アニメで伏線未回収に終わってしまったPandoraHearts(パンドラハーツ)の、気になるその後について簡単な解説付きでまとめています。「オズの正体は何だったのか?」「黒幕は誰だったのか?」「あのキャラクターは本当に死んでしまったのか!?」など、リアルタイム読者の間でも議論を呼んだ衝撃展開は度肝を抜かれること間違いなしです!

Read Article

【公式が病気ww】パンドラハーツのDVD特典映像がヒドすぎる件

【公式が病気ww】パンドラハーツのDVD特典映像がヒドすぎる件

ダークな本編とは裏腹にギャグ調が強いパンドラハーツのDVD特典映像まとめです。オズの腹黒加減に拍車がかかり、アリスの男前に磨きがかかり、ギルバートいじりはひどくなる一方…。さらに作中で「英雄」と謳われるジャックのキャラ崩壊と、まさかのショートストーリーに笑いが止まりません。

Read Article

大どんでん返しのダークファンタジー漫画 【PandoraHearts(パンドラハーツ)】

大どんでん返しのダークファンタジー漫画 【PandoraHearts(パンドラハーツ)】

不思議の国のアリスをモチーフに作られた本作品はダークファンタジー好きやストーリー重視の方におすすめしたい漫画のひとつ。謎に満ちた主人公達の過去と歪められた歴史の真実が明かされる時、物語の伏線が絶妙に作用するよう描かれている。読めば確実に筆者の仕掛けた罠に嵌る事間違いなし。

Read Article

目次 - Contents