PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

「ベザリウスとか、ナイトレイとか関係なくて。オレは!おまえと!!友達になりたいんだぁっ!!!」

眼を輝かせながらエリオット(下)に友達になりたいと告白するオズ(上)

敵対する家だからと冷たく接しようとするエリオットにオズが発した言葉である。サブリエからレベイユに戻る間際、エリオットとオズは険悪な雰囲気になりかける。会うたびに喧嘩のような流れになってしまうことを嘆きつつも「助けてくれたお礼が言いたいんだ」と話すオズだが、エリオットは、「ナイトレイ家の人間である自分がベザリウス家の人間であるオズを助けるはずはない」と冷淡な態度を崩さない。そんなエリオットにオズは、「ベザリウスとか、ナイトレイとか関係なくて。オレは!おまえと!!友達になりたいんだぁっ!!!」と言い放った。この言葉を聞いたエリオットは、戸惑いながらも家ではなくオズ本人を見ようとする様子を見せ、「また今度」と言い残してその場を去った。表向きは乱暴な態度を崩さずにいたエリオットだが、その実はオズのことを本当の友達として認めていたのであった。

「それでおまえが納得できないっていうんならさ、悩めばいいんだ。沢山、沢山、時間の許す限り。そしたらまたオレにその答えを教えてくれよ。」「今のオレにはそれを受け入れてやれるかわからないけど、それでもちゃんと、受けとめるから」

ギルバート(左)のどんな答えも受け止めると告げたオズ(右)

「答えが選べない」と迷うギルバートにオズが告げた言葉である。なぜか主に必要とされなければ不安に駆られるギルバートにとって、これまでオズは心の拠り所となっていた。しかし、サブリエでの戦いの中でブレイクに「君にとって必要なのは本当にオズなのか」と問われ、さらにその後目にしたジャックの魂の残滓からかつて仕えていた主人がジャックであったと聞かされたギルバートは、自分にとってのオズの存在とは何なのかと迷うようになる。「まだ答えを選べていないのに」と辛そうな様子を見せるギルバートに、オズは、「それでおまえが納得できないっていうんならさ、悩めばいいんだ。沢山、沢山、時間の許す限り。そしたらまたオレにその答えを教えてくれよ。」と告げた。そして、「今のオレにはそれを受け入れてやれるかわからないけど、それでもちゃんと、受けとめるから」というオズの言葉に、ギルバートは、彼を護りたいという今の自分の気持ちに正直になろうと決めたのであった。

「オレはもう一人でも戦えるよ。おまえがそれをどうとらえるかは知らないけど。オレは嬉しいよ、ようやくおまえと一緒に戦えることが。だからさ、おまえも全力でやってこいよ!!」

オズの言葉に勇気を得たギルバート

ブレイクを助けに行きたいと願い出たギルバートに対するオズの言葉である。失明したことをかたくなに隠そうとしていたブレイクだが、行動をともにしていたギルバートは次第に違和感を覚えるようになり、ユラ邸での混乱の中でその事実を察するに至る。エコーの発言からブレイクがバスカヴィルとの戦闘中であることを知っていたギルバートは、その身を案じるも、まず優先すべきは主人のオズであるという考えから助けに向かうことができずにした。しかし、以前ブレイクが告げた「優先順位を間違えてはいけない」という言葉を思い出したギルバートは、自ら判断を下し、ブレイクを助けに行くことを許してほしいとオズに請うたのである。ギルバートの願いを聞いたオズは、ようやく同じ場所に立って戦えることを嬉しく思い、「オレはもう一人でも戦えるよ。おまえがそれをどうとらえるかは知らないけど。オレは嬉しいよ、ようやくおまえと一緒に戦えることが。だからさ、おまえも全力でやってこいよ!!」と彼を鼓舞する言葉とともに送り出した。それぞれがお互いを思うあまり一方通行だったオズとギルバートの心が通じ合い、ようやく対等に戦えるようになった瞬間であった。

「アリス、泣かないで。…君を哀しませるもの、傷つけるもの、全部、ぜんぶぜんぶ、オレの手で壊してあげるから――――!」 「イスラ=ユラ…おまえの全てを否定してやる…!」

ユラ(下)に刃を向けるオズ(上)

イスラ=ユラに激昂したオズが発した言葉である。ユラが「圧倒的な未知を前に笑って逝きたい」という自らの望みのために多くの人を騙し、幼い子供たちをも利用していたことを知ったオズは激怒し、自分の手で彼を「壊す」のだと心に決める。連れていかれたアリスとリーオを救うためにエリオット、ヴィンセントとともに儀式の場に到着したオズは、抱きかかえられたアリスが涙を見せているのを眼にする。怒りのままに飛び出していったオズの前にフィリップが立ちふさがり、その後ろにチェイン・ハンプティダンプティが現れる。父親を殺されてフィアナの家に連れてこられたフィリップは、ナイトレイ家の行う実験に巻き込まれ、何も知らずに違法契約者にされてしまったうえに、ユラによって儀式の手伝いをさせられていたのだ。フィリップがチェインの力で「父親が死んだ」という悲しい出来事をなかったことにしてしまっていることを知ったオズは、「オレのわがままだ」と言いながらも、「お父さんは死んだんだ」と告げる。それを聞いたフィリップはかたくなに事実を認めずに泣き叫ぶが、オズは言葉を続け、「おまえの幸せを守ろうとしたお父さんの想いをなかったことにしないでくれ」と願う。フィリップが「嘘だ」と絶叫した瞬間、オズの瞳が紅く変わり、オズはどこからか現れた大鎌を手にしてフィリップの背後のハンプティダンプティを切り裂いた。そして、そのときオズの背後には、大きな黒うさぎの影が現れていたのである。
切り裂かれたハンプティダンプティは消え去り、フィリップは気を失った。傍らでその光景を目にしていたアリスは、アリス自身の力であるはずの黒うさぎの力をオズが使っていることに驚愕し、自分でも理由が分からないままに涙を流す。泣いているアリスに近づいたオズは、「アリス、泣かないで。…君を哀しませるもの、傷つけるもの、全部、ぜんぶぜんぶ、オレの手で壊してあげるから――――!」 とささやき、「イスラ=ユラ…おまえの全てを否定してやる…!」と言いながら狂ったような表情で黒うさぎの力で周囲の者達をなぎ倒していった。猛烈な破壊行動とともになぜか黒うさぎの力を発現するこのときのオズの言葉と行動は、この後明らかになる彼の出自に関わる秘密への伏線となっている。

「『たまたま出会っただけ』の何が悪いんだよ!!」「オレは、会えてよかったから。…だからっ、悲しくて悲しくて辛いけど、『出会わなければ良かった』なんて、そんなのは嫌なんだ!!」

リーオ(左上)に思いをぶつけるオズ(右上)

ひたすらに戦おうとするリーオにオズが放った言葉である。グレンとしての自覚を持った後にレベイユで再会したリーオとの戦闘中、パンドラに残ったシャロンからの呼び出しを受けたオズは、リーオとの戦いをやめて戻っていった。しかしジャバウォックを使ってオズを追ったリーオはパンドラに姿を見せ、やりたい放題の攻撃でその場を破壊していく。他の仕事をギルバートに任せたオズは一人リーオと対峙し、黒うさぎの力を行使して彼の攻撃を止めた。「戦う気になったのか」と言うリーオだが、オズはそれを否定し、ただ彼を止めたいのだと告げた。友達だから戦いたくないと言おうとするオズだったが、リーオは「『エリオット』を介してたまたま出会っただけ」「お互いを友人だと勘違いしただけ」であり、「エリオットがいなくなった今は敵同士でしかないのだ」と言い放つ。「壊したくてたまらない」と激しく戦おうとするリーオだが、その実は、自分のせいでエリオットを失ったことに対するやり場のない悲しみと絶望を破壊という行動に変えていたのであり、「壊したい」のではなく「自分が壊れてしまいたい」だけであった。彼自身も気づかない心の内を見抜いていたオズは、だからこそかたくなに戦うことを拒んだのである。そしてオズは、「『たまたま出会っただけ』の何が悪いんだよ!!」「オレは、会えてよかったから。…だからっ、悲しくて悲しくて辛いけど、『出会わなければ良かった』なんて、そんなのは嫌なんだ!!」と告げ、「今のリーオを見たらエリオットは必ずぶん殴る」と言いながらその手でリーオを殴りつけた。それを聞いたリーオは、生前のエリオットが悩んでいる自分を見て「めんどくさいやつ」「一発殴ってやろうか」と言っていたことを思い出して涙し、破壊を止めた。一度もケンカをしたことがないオズのパンチは弱弱しいものであったが、心からのオズの言葉は、我を失って破壊するしかなかったリーオが本当の自分を取り戻すきっかけとなったのであった。

オズの身体を乗っ取ったジャックがリーオを攻撃した場面

意図せずリーオ(左)を攻撃したオズ(右)

エリオットを死に至らしめた自分を憎むが故に破壊行動に走っていたリーオは、「出会えてよかった」というオズの言葉を聞いてようやく正気を取り戻そうとしていた。しかし、リーオがオズに近寄ったとき、オズの放った鎖がリーオの胸を貫く。目の前で倒れこむリーオを見たオズは、戸惑いながらジャックの名を叫んで理由を問うた。リーオを攻撃したのは、オズの身体を乗っ取ったジャックだったのである。オズの意識はそのまま沈み、代わりにグレンを脅威と見るジャックが身体を支配したことによって、リーオは窮地に立たされることとなる。

オズが自らの存在に関わる真実を知る場面

人間のアリス(下)と共にいた自らの姿を目にしたオズ(上)

オズの魂の元となった黒ウサギの人形

ジャックに誘われて再び彼の記憶に取り込まれたオズは、またもやサブリエの悲劇の場にいた。続きを見ることを拒否しながらもジャックの手に背中を押されたオズは、否が応でも真実を目にすることになる。レイシーを取り戻そうと狂気に駆られたジャックは、サブリエの悲劇の真っ只中でオズワルトと対峙していた。オズワルトに刃を向けたジャックは、大きな黒うさぎのチェインを出現させる。そして、彼が紹介したそのチェインの名は、「黒うさぎのオズ」であった。アリスであるはずの黒うさぎのチェインが、オズという名で呼ばれている。思わぬところで自分の名を聞いたオズが驚愕する中、ジャックは黒うさぎの力を行使し、多くの人間を手にかけていった。そして、訳が分からず呆然とするオズの前に、人間の少女だったアリスが何者かにやさしく声をかける光景が浮かぶ。「もしも私が苦しんでいたら、傷つける者がいたら、その時は貴方が私を助けて頂だいね?大好きよ、オズ。」と声をかけたその先にいたのは、小さな黒うさぎのぬいぐるみであった。ちっぽけなこのぬいぐるみが、後にジャックの手にかかってチェインと化し、今のオズという存在の元となる。驚くべき自らのはじまりを知ったオズは、「こんなちっぽけなものが…オレの…真実…?」と虚しさに打ちひしがれながらその事実を受け止める他なかったのであった。
なお、このときアリスがオズにかけた言葉は、100年を経てオズ=ベザリウスとして存在するようになった後にもなお、その記憶の中に強く残っている。物語の中盤、オズが我を失って破壊行動に出たときに発する「君を哀しませるもの、傷つけるもの、全部、ぜんぶぜんぶ、オレの手で壊してあげるから」との言葉は、ぬいぐるみとして存在していたときに聞いた言葉が元になっていると考えられる。

黒うさぎのオズがレイシーの記憶をジャックに伝えた場面

ジャック(左)にレイシーの記憶を届けて崩れ落ちるオズ(右)

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