うしおととら(うしとら)のネタバレ解説・考察まとめ

『うしおととら』とは、藤田和日郎により『週刊少年サンデー』で(1990年6号~1996年45号)連載された漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。寺の息子である「蒼月潮(あおつきうしお)」が500年前から獣の槍で封印されていた妖怪「とら」の封印を解いてしまう。うしおはとらを警戒して世に放たないために、とらはうしおを食べるスキを狙うために、奇妙な共同生活を始める。そしてこの奇妙なコンビによる壮絶な闘いが始まるのだった。

『うしおととら』の概要

『うしおととら』とは、小学館の漫画雑誌『週刊少年サンデー』1990年6号から1996年45号にかけて藤田和日郎が連載していた怪奇ファンタジー・バトルアクション漫画、およびそれを原作としたアニメなどのメディアミックス作品。通称「うしとら」。単行本は少年サンデーコミックスより全33巻+外伝1巻、同ワイド版より全18巻、小学館文庫より全19巻が発売されている。1992年から1993年の間に全10話のOVAが発売されており、2002年6月25日に全話他番外編を収録したDVDコレクションボックスが発売された。
テレビアニメはMAPPA&VOLN制作により、2015年7月から12月までの26話、2016年4月から6月までの13話の全39話が、分割3クールで放送された。
本作は、第37回(平成3年度)小学館漫画賞少年部門、優れたSF作品などに送られる1997年星雲賞コミック部門賞を受賞している。また、『週刊少年サンデー』連載作品では初の、日本のメディア芸術100選マンガ部門に選出された。

本作は、うしおととらの人間と妖怪を超えた深い絆を主軸に置きながら、多数の登場人物達のエピソードが描かれており、それらが終盤に向けて収束していきながら最終決戦へと至るという流れになっている。
主人公である寺に住む少年・蒼月潮(あおつき うしお/通称:うしお)は、自宅の蔵の中で一本の槍に縫いとめられていた妖怪を解放してしまう。その妖怪は、かつて近隣一帯を恐怖のどん底に叩き落していた大妖怪だった。また、妖怪を500年間縫い留めていた槍こそ、2000年以上も前の中国で妖怪を滅ぼすためだけに作られた「獣の槍」だったのだ。獣の槍の伝承者となったうしおはは、その妖怪を「とら」と名付けた。そして、自分達を襲ってくる妖怪を退治していたうしお達であったが、物語は次第に世界を滅ぼす大妖怪・白面の者との決戦を中心に廻りだす。

『うしおととら』のあらすじ・ストーリー

封印を解かれた妖怪

潮(左)ととら(右)。いつもいがみ合い、時に決裂もするが、妖怪相手に戦う時は息の合ったコンビネーションを見せる。

主人公である寺に住む少年・蒼月潮(あおつき うしお)が、「獣の槍」で刺され縫い付けられていた妖怪・とらの封印を解いてしまうことから始まる物語。
獣の槍はこれまで誰にも抜くことが出来なかった。この槍には「意思」があり持ち主を選ぶという。うしおはその獣の槍に選ばれたのだ。
しかしそれは獣の槍の因縁の敵、白面の者(はくめんのもの)を倒す宿命を背負うということを意味するのだった。

うしおはうしおの父・蒼月紫暮(あおつきしぐれ)に母親は死んだと聞かされていたのだが、とらと共闘して妖怪を倒していく中で、ある妖怪から母親が生きていることを知らされる。そのことを父、紫暮に問い正すうしお。そんなうしおに対して紫暮は北海道旭川へ行けと伝える。そうしてうしおととらの奇妙で壮絶な旅が始まるのだった。

過去を知る旅

実は紫暮の正体は、光覇明宗という妖怪退治を生業とする組織で、獣の槍ととらを長年監視していた。うしおは獣の槍の封印を解いたことにより、光覇明宗の獣の槍伝承者候補と、母・須磨子(すまこ)を憎む妖怪たちに追われることとなる。母が何故妖怪から憎まれるのか。この旅はその理由を知るためのものでもあった。
北海道への道中で、たくさんの人や妖怪たちと出会い、その昔中国の方でいくつもの国を滅ぼした「白面の者」という妖怪の存在。そしてうしおは、獣の槍がその白面の者を滅ぼすために創られたものだと知ることになる。

ようやく到着した旭川には白面の者の体の一部を封印した祠があり、白面の者に反応する獣の槍の導きにより祠にたどり着いたうしおはそこで時間を自由に遡ることができる妖怪「時逆」に出会う。
時逆により過去に遡ったうしおは白面の者、獣の槍、そして母のことを知ることとなる。

白面の者の復活

西の妖怪たちの誤った行動により白面の者は復活しかけるが、うしおの母・須磨子により結界内に封印し直すことに成功する。
しかしその代償として、力の大半を使ってしまった須磨子。それにより、白面の者を封印している結界は残り4ヶ月しか保てなくなってしまう。

人々の恐怖を最大の喜びとして己の力にしていた白面の者は、自分への恐怖が薄れていることに気付いていた。
獣の槍、そしてその使い手であるうしお、さらに他の妖たちに「2体で1体」「2体で最強」と言わしめて、うしおと見事なコンビネーションを見せるとら。槍と彼らに人々も妖さえも希望を抱き始めていたからだ。
それを面白くないとした白面の者は、使い魔の婢妖(ひよう)を用いて、人々と妖の記憶の中からうしおを忘れさせる。そのせいで、これまでうしおの活躍により団結していた沢山の関係がバラバラになってしまう。

そして白面の者は復活してしまい、人間と妖怪対白面の者の最終決戦を迎えることとなる。
さらにうしおが「兄ちゃん」と慕う獣の槍伝承者候補のひとりである秋葉 流(あきば ながれ)が白面の者側に寝返り、それをとらが殺したことを知ったうしおはとらと決別。
そんな最悪な状況の中、うしおは憎しみに身を任せ単身白面の者に勝負を挑むが、憎しみの塊である白面の者を憎しみでは倒せず獣の槍を粉々に砕かれ敗れる。とらもその後日本を滅ぼしに行った白面の者を追い勝負するも、敗北する。
白面の者に敗北し海底に沈みゆくうしお。その時、うしおはとらが人間(シャガクシャ)だった頃の夢を見て、とらの過去を知ることとなる。
そして我に返った時、憎しみでは白面の者に勝てないことを悟り、”みんなを死なせたくない”と強く願う。
すると破片となっていた獣の槍が全国各所に飛んでゆき、二人の存在を忘れさせられていた者たちの記憶を取り戻すのだった。
ここから人間、妖ともに本当の団結を見せる。

最終決戦ととらとの別れ

破片になっている獣の槍にうしおが呼びかけると、槍はとらの体を介して復活を遂げる。
また、白面の者により胴体に大きく穴を開けられ動かなくなっていたとらも、とらに好意を持ち4代目お役目様として覚醒した井上真由子(いのうえ まゆこ)の活躍により復活を遂げる。
光覇明宗、自衛隊、妖怪研究所ハマー。3代目お役目様の須磨子と4代目お役目様真由子。歴代の字伏(あざふせ)。そしていがみ合っていたがうしおにより団結した東と西の妖怪たち、日本中の人間と妖のが一丸となって白面の者に立ち向かう。

追い詰められた白面の者は紅蓮(ぐれん)を呼ぶが、紅蓮は鏢(ひょう)にやられていた。そして最後は、結界内でうしおととら対白面の者のタイマン勝負となる。
ピンチになった白面は、恐怖で獣の槍ばかりを意識していたことを認め、自分の目を自分で潰し見えなくする。気配だけを感じながら戦い始めた白面に、手も足も出ない。そこで、とらがとった最後の策。
白面と同じ匂いを持ったとらは、自分自身に獣の槍を刺し、槍の気配を封じ込め感じさせない手段に出る。とらの獣の槍によるダメージを心配し、槍を抜こうとするうしおだが、とらは止める。
うしおと出会ったことで、とらは他の人間がやられるのも惜しくなってしまったと言う。うしおは納得しつつも、とらだけを格好つけさせないと、二人で白面に突っ込む。
ついに白面は倒された。白面の散りゆく肉体は、赤子の幻影を残し消えていった。
そして消えていくとらに、うしおは自分を食べたいのではないのかと問う。しかし、とらはもう腹いっぱいだと言い残し、この世を去ったのだった。

『うしおととら』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

蒼月潮(あおつきうしお)

CV:畠中祐、冨樫かずみ(少年)

芙玄院(ふげんいん)という寺の息子で本作の主人公。父の蒼月紫暮は光覇明宗の法力僧。母は白面の者に結界を張る「お役目様」の3代目、日崎(蒼月)須磨子。
曲がったことが大嫌い、嘘も大嫌いな真っすぐな性格で困った人がいたら助けずにはいられない。それは人のみならず妖にも隔たりなく向けられる。
ある日、自宅の蔵の地下室で霊槍とこの霊槍に封じられていた妖怪「とら」を見つけ、その霊槍を引き抜いてしまい、そこから蒼月潮の戦いは始まる。
戦闘時には獣の槍の発動によりうしお自身も獣と化す。髪の毛が伸び、黒目が細くなり爪や牙が鋭く生える。身体能力、治癒能力が飛躍的にUPする。

とら

CV:小山力也

2000年を生きる大妖怪だがおよそ500年に渡り獣の槍によって封印されていた。見た目は虎に似ており、鋭い爪と牙を持っている。
「とら」という名はうしおが付けた。他にも長飛丸(ながとびまる)、字伏(あざふせ)など多くの呼び名があるが、とらは長飛丸という呼び名は嫌っている。
始めはうしおを喰らうために取り憑いていたとらだが、真っすぐなうしおとの共闘を重ねるうちに無意識に「絆」を感じるようになっていく。

中村麻子(なかむらあさこ)

CV:小松未可子

うしおの幼なじみでラーメン屋の娘。本作のヒロイン。
性格は底抜けに明るく元気で誰にでも親切なので、クラスでは男子のみならず女子からも慕われる人気者。
うしおとはいつもケンカばかりだが本心では好意を抱いている。麻子の両親も公認のようだが本人たちは上手く口に出せずにいる。
特別な力などはないけれども女版うしおとも言うべき真っすぐな心とうしおを想う気持ちで、物語の中でうしおの大きな支えとなっていく。

井上真由子(いのうえまゆこ)

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