デク／緑谷出久（僕のヒーローアカデミア）の徹底解説・考察まとめ

仮免を取得したA組のメンバーたちは本格的なインターン活動が始まる。緑谷は、職場体験でお世話になったグラントリノの勧めでナイトアイ事務所へのインターンを希望した。ナイトアイはオールマイトの元サイドキックであった。そのため、オールマイトからの紹介を受けようと試みる。しかし、過去にナイトアイの忠告を無視したオールマイトはバツが悪く、緑谷にナイトアイを紹介することができなかった。運よく、雄英高校3年の通形ミリオがナイトアイ事務所でインターンをしており、通形からの紹介を受けられることとなった。
そして、緑谷はナイトアイ事務所に出向いた。そこで待っていたのは、ナイトアイによる採用試験だ。ナイトアイの個性は「予知」。緑谷の動きを全て予測してしまう。しかし、最初から採用を決めていたナイトアイは緑谷を試しただけであった。無事にナイトアイ事務所でのインターンが始まる。
ナイトアイ事務所では、極秘に指定ヴィラン暴力団体「死穢八斎會（しえはっさいかい）」の調査を行っていた。緑谷と通形はパトロールに出かけた際、偶然にも死穢八斎會の若頭、オーバーホールと謎の少女に遭遇する。緑谷は少女が怯えていることにただ事ではないと感じ、助けようとする。一方、ナイトアイ事務所で極秘調査をしていることもあり、下手に出ると調査に影響が出てしまう。咄嗟の判断で通形は見てみぬふりをすることにした。
その後、調査が進み、オーバーホールたちが個性を消す違法薬物を製造していることが判明。また、その薬物の製造には、助けられなかった少女エリが利用されていた。その事実に、保護できなかった緑谷と通形は悔しさを滲ませる。そして、少女エリの救出するために、死穢八斎會のアジトへと突撃する。
死穢八斎會のアジトでは、待ち構えていたかのように、構成員たちが襲い掛かってくる。その場の対処はプロヒーローのリュウキュウたちに任せ、緑谷たちはアジト内部に潜入した。時間稼ぎのため、道中では雄英高校3年の天喰、プロヒーローファットガム、切島らが強力なヴィラン相手に応戦する。通形は「透過」の個性を駆使し、最短距離でオーバーホールの元へ向かう。通形は数的不利にもかかわらず、鍛え抜かれた予測と戦闘でオーバーホールたちを追い込む。しかし、エリを守るために個性を抹消する薬物を撃ち込まれてしまう。万事休すかと思われたところに緑谷たちが登場した。ナイトアイがオーバーホールと戦闘するが、致命傷を負わされてしまう。緑谷はエリを守りたい一心でオーバーホールに挑む。ボロボロになっても自分を守ろうとする緑谷たちを見たエリは、自分が助かるまでこの人たちは諦めないと感じた。そのとき、エリの個性が発動したのだ。エリの個性は「巻き戻し」。緑谷が今までボロボロになって繰り出していたワン・フォー・オールを100％で持続することが可能になった。緑谷の100％発揮時の身体損傷とエリの巻き戻し機能が打ち消しあっていたのだ。そして、その力を駆使し、緑谷はオーバーホールを翻弄する。その姿に、「エリの個性の活かし方を全く理解していない」とオーバーホールはいら立ちを隠せない。目の前の自らの感情で動く緑谷に対して、オーバーホールは「大局が見えない愚か者」と批判する。しかし、緑谷は「目の前の女の子1人救えないで、皆を助けるヒーローになれるかよ」と言い放ち、フルパワーの力でオーバーホールを撃退した。無事にエリを救うことに成功した緑谷だった。

文化祭

インターン活動が一旦終了し、緑谷たちがA組に合流した。相澤消太から文化祭が行われることを告げられる。文化祭は、体育祭とは違い普通科、経営科などがメインのイベントである。そのため、他の科の気晴らしのために、A組をはじめとするヒーロー科は出し物を用意しなければならない。そこで、クラス内で出し物を決めることになる。他の科を楽しませることができる出し物が良いという轟の提案から、クラスメイト耳郎が音楽の才能を買われ、彼女を中心としたバンドを結成することになる。緑谷の役割は、ダンスと演出係になった。また、緑谷はインターンで保護したエリを笑顔にするために、文化祭に誘うことを提案した。その提案が受け入れられ、待ちに待った文化祭がやってくる。その日の朝、緑谷は演出用のロープの買い出しに出かけていた。そこで、最近活発に活動しているヴィラン、ジェントルクリミナルとラブラバに遭遇する。彼らが雄英高校文化祭への侵入をもくろんでいることを知った緑谷は必死に止めようとする。本来なら、今回の文化祭の開催は当初中止を検討されていた。しかし、根津校長が警察側を説得し、警報が鳴った時点で中止、避難を条件として、行われようとしていたのだ。だから、緑谷は文化祭のために頑張ってきた人たちやエリのために、ジェントルたちに立ちはだかる。緑谷はサポート科の発目に考案してもらったサポートアイテムで遠距離攻撃を習得していた。その力を使い、ジェントルたちを食い止める。それでもジェントルたちの意志も強く、なかなか諦めない。そして、最後にはラブラバの個性によって、ジェントルの能力が強化される。しかし、緑谷は、その影響をもろともせず、返り討ちにしたのだ。
そして、無事に文化祭が始まる。A組の出し物の出番がやってきた。爆豪の掲げたスローガン「雄英全員、音で殺る」を体現するかのように大迫力のステージで観客を魅了する。バンドのメインでもある耳郎の歌唱力も圧倒的であった。笑い方が分からなかったエリも笑顔になるほどだ。こうして、雄英高校文化祭は中止になることなく大成功に終わる。

A組B組合同戦闘訓練

B組との合同戦闘訓練が行われる。ルールは4対4（あるいは5）のバトル。対戦相手を牢屋に入れるか、戦闘不能にした方のチームが勝利となる。下馬評では、経験値の多いA組が有利に思われた。しかし、B組も個性強化訓練を日々行ってきており、勝負は混戦を極めた。緑谷は、麗日、芦戸、峰田の3人とのチームで、第5試合に挑むことになる。
試合開始早々、機動力のある緑谷が先陣を切り、相手側へ向かっていく。緑谷は、相手チームの物間の個性「コピー」と心操の個性「洗脳」を警戒していた。そのとき、緑谷の個性が暴走してしまう。緑谷の手から「黒鞭」が飛び出し、周囲の建物を破壊していく。緑谷自身も黒鞭の個性を制御できておらず、苦しんでいた。そこに麗日が助けに入る。麗日は、相手チームの心操に、緑谷を洗脳することを提案する。麗日と心操の協力もあり、無事に個性の暴走が止まった緑谷であった。この黒鞭は、ワン・フォー・オール5代目継承者ラリアットの個性であった。緑谷の戦闘中の相手を捕縛したいという気持ちが個性の誘発を招いたのだ。
その後、試合は続行された。物間は緑谷の個性をコピーしようとするが、ワン・フォー・オールが長年培ってきたパワーまではコピーできず、スカとなる。そのため、コピーされずに済んだ緑谷をはじめとするA組が有利になった。そして、無事に勝利に終わる。

インターン活動（エンデヴァー事務所）

冬休みに入り、本格的なインターン活動が再開する。緑谷は爆豪と共に、轟からエンデヴァー事務所に誘われた。エンデヴァー事務所でのインターン活動を行うこととなる。轟の父親エンデヴァーは息子の轟焦凍しか面倒を見るつもりはなかった。しかし、スパイとしてヴィラン連合に潜入しているホークスから、異能解放軍とヴィラン連合が協力体制を築いた超常解放戦線と呼ばれる組織が結成、勢力拡大していることを暗号で知らされる。そこからヒーロー育成が急務だと理解し、緑谷と爆豪の指導もすることに決めた。本格的にエンデヴァー事務所での活動が始まったのだ。緑谷たち3人はこのインターン中にエンデヴァーより先に事件事故を解決することが求められた。しかし、事件や事故が発生すると、エンデヴァーが全て解決してしまう。緑谷たち3人はエンデヴァーの後を追いかけるだけで精いっぱいであった。エンデヴァーを追いかける日々が続くのであった。また、3人はそれぞれの課題を克服する必要があった。緑谷の課題は、合同戦闘訓練で暴走した個性「黒鞭」の習得である。
ある日のインターン活動が終わった晩、轟の姉・冬美の提案で、緑谷と爆豪は轟家の夕食会に参加することになる。冬美はエンデヴァーが壊してしまった家族を何とか修復しようとしていた。それでも轟の兄・夏雄は夕食の席を離れてしまう。その場は気まずい雰囲気になる。轟家の事情を知っている緑谷は、轟に対して、「今の轟はエンデヴァーを父親として受け入れる準備をしているのではないか」と優しく声をかける。そうして夕食会は終わりを迎えた。
その後、3人は寮へ帰宅するためにエンデヴァーの送迎車に乗り込む。その帰宅途中、エンディングと呼ばれるヴィランの襲撃を受ける。エンディングは夕食後外出していた夏雄を人質に取っていたのだ。その状況にエンデヴァーは身動きが取れなくなってしまう。しかし、このインターンで経験を積み上げた3人が本領を発揮する。緑谷は、黒鞭の個性を使い、周辺の安全を確保することに尽力する。そして、無事にヴィランを撃退、周辺への被害も0であった。こうして、エンデヴァー事務所でのインターン活動は終わりを迎える。

超常解放戦線掃討作戦

スパイとしてホークスが潜り込んでいた超常解放戦線をヒーロー総動員で一斉確保するために動き出した。緑谷たちA組メンバーもインターン先で遠征要請を受ける。緑谷たちは、死柄木がいる蛇腔総合病院の近隣住民の避難誘導を担当していた。蛇腔総合病院と超常解放戦線の幹部がいるアジトの2拠点を制圧するために、プロヒーローたちが動く。蛇腔総合病院では、エンデヴァー、ミルコ、イレイザーヘッドなどが活躍する。しかし、地下でオール・フォー・ワンの個性を引き継ぐために眠っていた死柄木が目を覚ましてしまう。そして、彼の個性「崩壊」で病院は崩れ去ってしまい、その崩壊の影響は、町全体に広がった。緑谷は45％のワン・フォー・オールで、崩壊を食い止める。死柄木は、エンデヴァーと対峙するが、緑谷の個性「ワン・フォー・オール」を奪うために緑谷を探す。狙われていることを知った緑谷は爆豪と共に、避難現場から離れる。しかし、死柄木は、一瞬のうちに緑谷の前に現れた。緑谷と爆豪の2人では到底死柄木にはかなわない。そこで相澤たちプロヒーローが加勢する。相澤の個性「抹消」で死柄木の個性を封じつつ、エンデヴァーと爆豪と共に応戦する。相澤もやられ、エンデヴァーも火力が下がってきており、ピンチを迎えていた。その追い込まれた状況で緑谷は7代目継承者・志村奈々の個性「浮遊」を発動する。緑谷は過去に何度も腕を酷使し、次限界を超えると使い物にならなくなると忠告を受けていた。しかし、なりふり構わずワン・フォー・オールの個性を使用していく。その力で死柄木を追い詰めていくのだった。そして、力を貯めていたエンデヴァーの渾身の一撃が死柄木を襲う。しかし、死柄木はオール・フォー・ワンに意識を乗っ取られ、緑谷に向かって攻撃を仕掛ける。油断していた緑谷は、その攻撃を受け止めることができない。そのとき、幼馴染の爆豪が緑谷を庇ったのだ。その後、緑谷はワン・フォー・オールを奪われそうになる。そこに、歴代継承者たちが現れ、ワン・フォー・オールを守り抜く。そして、奪い切れなかった不完全状態の死柄木は撤退をする。この死柄木の破滅への執念で多くのヒーローの命が絶たれたのであった。

デク／緑谷出久の関連人物・キャラクター

オールマイト／八木俊典（やぎ としのり）

オールマイトとは、雄英高校の教師であり、元ナンバー1ヒーローにして「平和の象徴」であった。彼は、緑谷と同じく無個性の人間だったが、個性を与えられる個性「ワン・フォー・オール」を志村奈々から受け継いだ。そして、ナンバー1ヒーローに上り詰めた。彼が平和の象徴となった社会では、ヴィラン犯罪率が低下し、世の中の平和が保たれていた。緑谷はそんなオールマイトに憧れを抱く。オールマイトは緑谷と出会った際に、「無個性ではヒーローは務まらない」と厳しいことを緑谷に言った。しかし、その後のヴィラン事件で、緑谷は自分を犠牲にしてまで、人質に取られていた爆豪を助けようとする。その行動は、まさにヒーローの本質を表していた。そして、緑谷に感化されたオールマイトは、緑谷に自らの個性「ワン・フォー・オール」を譲渡することを決める。そして、指導者の立場として、緑谷をふさわしい後継者に育て上げることとなった。
雄英高校での生活が過ぎ、ヴィラン連合に爆豪を誘拐される事件が起こった。そこに現れた因縁の相手オール・フォー・ワンと戦うことになる。その戦いでオールマイトに残っていたワン・フォー・オールの残り火が消え、ヒーロー引退を宣言したのだった。これ以降、緑谷の育成により力を入れることとなる。

大・爆・殺・神ダイナマイト／爆豪勝己（ばくごう かつき）

大・爆・殺・神ダイナマイト／爆豪勝己とは、雄英高校1年A組の生徒である。また、緑谷の幼馴染だ。彼の個性は「爆破」。掌からニトロ物質を含んだ汗を出し、爆破を引き起こすことができる。爆破を活かした戦闘力や機動力はA組でもトップクラスだ。爆豪は、幼いころから強力な個性を持っており、周囲から称賛されながら育ってきた。そのため、人1倍自尊心が高い。幼馴染の緑谷に対しても、常に見下す態度を取っており、度が過ぎるいじめも行っていた。それでも緑谷は爆豪の個性や勝利のへの執着心に少なからず尊敬をしていた。だから、爆豪の背中を常に追いかけていた。そんな緑谷にいら立ちを隠せない爆豪は緑谷との関係がこじれてしまう。雄英高校入学後も2人の争いは絶えなかった。その理由として、無個性のはずの緑谷が強力な個性を持っていたこと、それを爆豪が隠していたと勘違いしたからだ。そして、屋内戦闘訓練では、爆豪は緑谷に敗れてしまう。肥大化した自尊心が折れてしまったのだ。それでもナンバー1ヒーローになるために立ち上がり、雄英高校で1番を目指そうと新たに決意した。
その後、林間合宿で爆豪はヴィラン連合に誘拐されてしまう。そして、その影響でオールマイトがヒーロー引退に追いやられた。その責任を爆豪は1人で抱えようとしていた。その気持ちを受け止めたのは緑谷であった。お互いが本音をぶつけ合い、全力勝負をする。その中で、爆豪は緑谷がオールマイトの個性を譲渡されていたことやワン・フォー・オールの個性について知ることとなった。
この一件以来、緑谷と爆豪は真のライバルとして切磋琢磨していくのである。

ショート／轟焦凍（とどろき しょうと）

ショート／轟焦凍とは、雄英高校1年A組の生徒である。また、プロヒーロー・エンデヴァーを父親に持つ。彼の個性は、「半冷半燃」。氷と炎を自在に操ることができる強力な個性だ。この個性を駆使し、入学当初は圧倒的な力を見せつけていた。その力は爆豪をも動揺させるレベルであった。しかし、轟は氷の個性しか使っていない。それは、父親の存在が大きく関係していた。エンデヴァーはオールマイトを超えるナンバー1ヒーローを生み出すために、結婚相手を息子に遺伝させたい個性のみで選ぶ個性婚をし、息子たちに虐待同様の厳しい訓練を課していた。その暴力は嫁の冷にまで及んだ。そのエンデヴァーの過去を憎んでいた轟は、母親から受け継いだ氷の個性のみでナンバー1になろうとするのであった。しかし、体育祭で緑谷から、「炎の個性も君の力じゃないか」と言われる。炎の個性はエンデヴァーのモノではなく自分のモノであると気づかされた。そして、徐々に炎の個性を使っていくとともに、エンデヴァーとの向き合い方も変化していくのであった。

ウラビティ／麗日お茶子（うららか おちゃこ）

ウラビティ／麗日お茶子とは、雄英高校1年A組の生徒である。また、緑谷が雄英高校で初めて会話した生徒だ。彼女の個性は「無重力」。触れた対象を浮かせることができる。救助や避難活動に特化した個性である。雄英高校入学試験では、身動きの取れない状況に追い込まれたところを緑谷に助けられる。それ以来、麗日と緑谷は親しくなるのであった。麗日は、出来損ないを由来とする緑谷のあだ名デクを「頑張れって感じのデクだ」と肯定してくれた。その影響で、緑谷はヒーロー名をデクにしたのであった。
期末試験ではクラスメイト青山に緑谷のことを好きになっているのではないかと指摘される。それ以来、麗日は緑谷を意識しだすのであった。本人曰く、緑谷のヒーローに対する姿勢に憧れているのであって、恋愛感情はないと自らに言い聞かせるのであった。A組B組合同戦闘訓練で緑谷の個性「黒鞭」が暴走した際には、自らの危険を顧みず、緑谷を助けることに全力を注ぐ。その姿は、まさしく自らを犠牲にしてまで他人を救おうとする緑谷の行動そのものであった。

インゲニウム／飯田天哉（いいだ てんや）