ゴースト/ニューヨークの幻(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ゴースト/ニューヨークの幻』とは、監督をジェリー・ザッカー、脚本をブルース・ジョエル・ルービンが務めた1990年公開のアメリカの恋愛映画である。同棲を始め幸せに暮らしていた銀行員のサムと陶芸家のモリー。しかし突然サムは何者かによって殺害されゴーストとなってしまう。果たしてサムは殺人犯からモリーを守り切れるのか。ラブロマンス・コメディ・サスペンスが混ざったアメリカの恋愛映画を代表する作品として語り続けられている作品だ。
『ゴースト/ニューヨークの幻』の概要
『ゴースト/ニューヨークの幻』とは1990年7月13日に公開されたジェリー・ザッカーによるアメリカの恋愛映画を代表する映画である。日本での公開日は1990年9月28日。本作が大ヒットを記録したことで、恋人が死んでゴーストとなるストーリーの作品が後に続いた。
霊媒師であるオダ・メイ・ブラウン役のウーピー・ゴールドバーグがアカデミー賞やゴールデングローブ賞の助演女優賞を受賞。本作もアカデミー作品賞、編集賞、作曲賞にノミネートされ、脚本を担当したブルース・ジョエル・ルービンがアカデミー脚本賞を受賞した。また、監督の母親であるシャルロッテ・ザッカーが銀行の受付役を演じ、妹のスーザン・ブレスラウはサム・ウィートの同僚として登場している。他にも脚本を担当したブルース・ジョエル・ルービンの母もシスター役で出演した。
ニューヨークで同棲を始めた銀行員のサム・ウィートと陶芸家のモリー・ジェンセン。ある日、サムは巨額の資金が動いている銀行のデータの異変に気付く。そこで同じ銀行に勤める友人のカール・ブルーナーがサムに協力しようとするが、サムはカールの申し出を断り1人で真相を突き止めようとしていた。しかし後日、サムとモリーが人気の無い道を歩いていた時のこと。2人の前に突如銃を持った男が現れる。サムは男と揉み合いになり、男は銃を発砲。サムは逃げる男を追いかけたが捕まえられず犯人を逃してしまう。仕方なくサムは諦めてモリーの元に戻ったのだが、そこには血だらけのサムを抱えて泣き叫ぶモリーの姿があった。死んでもモリーを守ろうとするサムの愛。究極のラブロマンスでありながらサムの不器用さによりすれ違っていたものが、ゴーストとなったことで気持ちを通じ合わせるチャンスを得ることになる。全てを懸けて愛を貫いたサムの情熱が描かれている。
『ゴースト/ニューヨークの幻』のあらすじ・ストーリー
銃殺されゴーストとなったサム
ニューヨークに住む銀行員のサム・ウィート。彼は陶芸家のモリー・ジェンセンと同棲を始め、幸せに暮らしていた。しかし勤め先の銀行でコンピューター内の口座データに異変があることに気付くこととなる。そこに同僚であり友人のカール・ブルーナーが声をかけ手伝おうとするが、サムはその提案を断り1人で調べようとしていた。そしてサムとモリーが舞台「マクベス」を観に行った帰りのこと。モリーはサムに自身の心の内を打ち明ける。「あなたと結婚したい。」サムはモリーがこれまで結婚の話を避けていた為、驚きを隠せなかった。しかし結婚が見えてきた2人を悲劇が襲う。突然男がサムに襲いかかってきたのだ。2人はそのまま揉み合いになり男は銃を発砲して逃走。サムは捕まえることができず諦めてモリーのもとへ戻るが、そこには血だらけのサムを抱えるモリーがいた。
サムによって霊媒師としての力に目覚めたオダ・メイ
サムはゴーストとなり物に触れることやモリーに声を届けることもできず、もどかしさに駆られていた。唯一できることと言えば誰にも見つからず、好きに移動できることくらいである。しかしサムは自身の全てを懸けてモリーを守ろうと決心をするのであった。しかしそんなサムの決意を知らず、モリーに近づく人物がいた。カールである。サムの死後、モリーにやたらと近づいてくるカール。モリーは最初彼を拒んでいたものの、ある日カールの押しに負け一緒に出かけることとなる。しかしその留守を狙い、サムを殺した男がモリーの家に侵入してきたのだ。モリーの家にいたサムは男を追い返そうとするが、どれだけ叫び殴りかかったとしても全て無意味であった。そこで飼い猫のフロイドを驚かし男に襲いかかるよう仕向け、なんとか男を家から追い出すことに成功する。フロイドにはどうやらサムが見えているらしい。こうしてモリーのアパートから逃げた男はそのまま電車に乗り、遠く離れた街のアパートへ入っていった。男の名前はウィリー・ロペス。サムはウィリーに気付かれることなく住居と正体を突き止めたが、モリーに伝える術が無い。そこでサムのとった方法が霊媒師の力を借りることであった。しかしサムが目をつけた霊媒師のオダ・メイ・ブラウンはインチキ霊媒師であることが判明。そこでサムが野次を飛ばすと、なんとオダ・メイはサムの力によって初めて霊媒師としての才能を目覚めさせるのであった。だがオダ・メイにもサムの姿は見えない。彼女に分かるのはサムの話し声だけなのだ。それでもサムはオダ・メイを脅すようにしてモリーのもとへ彼女を向かわせようとする。なかなかサムが思うようには進まなかったが、サムとモリーだけが知っている内容をオダ・メイを通してモリーに伝え、なんとかモリーに信じてもらおうとした。しかし傷心のモリーがその話をすんなり受け入れられるはずがなく、彼女はカールや警察に相談した。だがカールには話を否定され、刑事からはオダ・メイが詐欺師であった記録を突きつけられ、不信感は募る一方であった。
ウィリーと繋がっていたカールに対するサムの反撃
モリーからサムやウィリーの話を聞いたカールが向かった場所は、なんとウィリーの住居であった。カールはサムを殺したウィリーと繋がっていたのである。そしてサムを襲うように指示していたのはカールだったのだ。カールの後をつけていたサムが彼らの会話を聞いているとも知らずに、サムは全てをその場で明かす。カールは麻薬組織と交わした取引の為に、銀行の架空口座を使って組織の資金である400万ドルの資金洗浄をしていたのだ。サムはその不正に気付いた為口座への送金用コードを変更し、そのコードを自身の手帳にメモし財布にしまっていた。コードが無ければ組織へ資金を送ることができない為、カールはウィリーに財布を盗むよう頼んだのだ。サムが死んでしまったことはカールにとって想定外のことであったが、全てを知ったサムはカールたちへの怒りに震えていた。
サムはカールとウィリーからモリーを守る為、物体を自在に動かすことのできるサブウェイゴーストとの接触を試みる。そのゴーストにサムは頼み込み、物体を動かす術を身につけた。次にサムは400万ドルがカールの手に渡らないようオダ・メイに頼み、資金を移動させようとする。サムはオダ・メイに偽物の身分証を用意させ銀行へと連れて行く。そして銀行で架空口座の名義人になりすまし400万ドルの入った口座の解約に成功。小切手を手放したくないオダ・メイであったが、最終的に彼女の手で慈善団体へと寄付された。400万円が架空口座から無くなり、組織にいつ殺されてもおかしくない状況に陥ったカール。取り乱す彼に対しサムはポルターガイスト現象を起こし、カールを煽った。そこでモリーからサムとオダ・メイの話を聞いていたカールは、再び彼女から話を聞き出し全てを受け入れざるを得なくなる。そこでカールはモリーを人質にとり、ウィリーと共にオダ・メイを殺そうと画策するのであった。しかしカールの動きに気付いたサムは、なんとかウィリーたちよりも先にオダ・メイの元に到着したことで最悪の事態を防ぐことに成功する。その後、オダ・メイが暮らしていたアパートにウィリーらが到着。まずサムはウィリーに狙いを定め、物体を動かし再びポルターガイスト現象を起こしてウィリーを追い詰めていく。やがてパニックに陥ったウィリーは平常心を保てず、アパートから道路へ飛び出し車に撥ねられ死亡。サムと同じくゴーストとなったウィリーだが、地獄からの使者によってウィリーは叫びながら連れ去られていくのであった。
カールとの戦いに決着がつき訪れたサムとの別れ
オダ・メイを詐欺師と知りモリーは彼女を信じられなくなっていたが、オダ・メイを通したサムの説得や、実際に物体を動かしてみせたことで、モリーは今度こそオダ・メイの言うことやサムがゴーストとなってそばにいることを信じる決心をする。ようやくモリーと心が通じたことで、もう一度モリーに触れたいというサムの願いをオダ・メイは聞き入れ、彼に体を貸す。こうして束の間の再会の時を2人は過ごした。しかし甘い時間は長く続かず、モリーの家に警察が到着するよりも先にカールが辿り着いてしまう。オダ・メイ、モリーを人質にとり見えないサムに400万ドルを返すよう要求するカールであったが、彼の策は失敗に終わる。不慮の事故によりカールもまた死亡し、ゴーストとなったカールはサムと再会することとなる。しかしすぐさまウィリーと同様地獄の使者によって連れ去られていくのであった。カールたちとの戦いに決着がつきモリーの身が安全になったことで、大きな心残りが無くなったサム。彼の姿は光に包まれ僅かな間モリーとオダ・メイの目に映り、ようやく対面することが叶う。サムはオダ・メイに礼を伝え、モリーにはこれまで伝えられずにいた「愛してるよ。」と愛の言葉を届け、天国へと向かうのであった。
『ゴースト/ニューヨークの幻』の登場人物・キャラクター
日本語吹替の説明はソフト版/フジテレビ版/テレビ朝日版の順に表記。
主要人物
サム・ウィート(演:パトリック・スウェイジ)
出典: ameblo.jp
吹替:江原正士/江原正士/堀内賢雄
銃殺されゴーストとなった銀行員。幸せな暮らしが始まったところで、突然人生が終わりを告げた。モリーを守る為、死んだ後もゴーストとなって地上に残り奮闘する。モリーへの愛で溢れていながらも、生前はモリーに「愛してる。」と伝えられない男性であった。
モリー・ジェンセン(演:デミ・ムーア)
吹替:高島雅羅/金野恵子/松井菜桜子
陶芸家のショートヘアの女性。サムと同棲を始め幸せに暮らしていたが、突然のサムの死に人生が転落する。サムの死後は陶芸にも力が入らず涙を流す日が続く。すぐそばにサムがいても、彼女にはゴーストとなったサムを見つけることはできない。しかし飼い猫のフロイドにはサムが見えているのであった。
ゴースト
地下鉄のゴースト(演:ヴィンセント・スキャヴェリ)
出典: ameblo.jp
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目次 - Contents
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の概要
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』のあらすじ・ストーリー
- 銃殺されゴーストとなったサム
- サムによって霊媒師としての力に目覚めたオダ・メイ
- ウィリーと繋がっていたカールに対するサムの反撃
- カールとの戦いに決着がつき訪れたサムとの別れ
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- サム・ウィート(演:パトリック・スウェイジ)
- モリー・ジェンセン(演:デミ・ムーア)
- ゴースト
- 地下鉄のゴースト(演:ヴィンセント・スキャヴェリ)
- 老人のゴースト(演:フィル・リーズ)
- 昇天したゴースト(演:J・クリストファー・サリヴァン)
- オーランド(演:オージー・ブラント)
- サムの周囲の人々
- オダ・メイ・ブラウン(演:ウーピー・ゴールドバーグ)
- カール・ブルーナー(演:トニー・ゴールドウィン)
- その他
- クララ(演:アルメリア・マックィーン)
- ルイーズ(演:ゲイル・ボグス)
- ウィリー・ロペス(演:リック・アビレス)
- 巡査部長(演:スティーヴン・ルート)
- 婦警(演:ローラ・ドレイク)
- オルティシャ(演:ヴィヴィアン・ボネル)
- ライル・ファーガソン(演:ブルース・ジャーチョウ)
- タクシードライバー(演:サイード・ファラジ)
- ローザ・サンチャゴ(演:アンジェリカ・エストラーダ)
- 銀行の同僚(演:ウィリアム・コート)
- アーセニオ・ホール(演:アーセニオ・ホール)
- ローズ(演:マルティナ・ディーグナン)
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の用語
- サブウェイゴースト
- ポルターガイスト現象
- 資金洗浄
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- サムとモリーが手を重ね合いろくろを回すシーン
- モリー「愛してるわ。心から。」サム「同じく。」
- サムの姿が見えるようになり訪れた別れのシーン
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 最初は陶芸家ではなく彫刻家の設定であったモリー
- 脚本家ブルース・ジョエル・ルーピンにとって死をテーマにした映画の3作目にあたる作品
- 公開日の近い映画『ダイ・ハード2』を上回るヒットを記録しながらも製作費は1/3以下
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ライチャス・ブラザース「アンチェインド・メロディ」