ゴースト/ニューヨークの幻(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ゴースト/ニューヨークの幻』とは、監督をジェリー・ザッカー、脚本をブルース・ジョエル・ルービンが務めた1990年公開のアメリカの恋愛映画である。同棲を始め幸せに暮らしていた銀行員のサムと陶芸家のモリー。しかし突然サムは何者かによって殺害されゴーストとなってしまう。果たしてサムは殺人犯からモリーを守り切れるのか。ラブロマンス・コメディ・サスペンスが混ざったアメリカの恋愛映画を代表する作品として語り続けられている作品だ。
犯罪や裏取引などで不正に得た資金を、架空の口座や他人名義の口座に入れ転々と移すことで出所をわからなくし、正当な手段で得た資金と見せかける手段。
『ゴースト/ニューヨークの幻』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
サムとモリーが手を重ね合いろくろを回すシーン
出典: www.thecinema.jp
『ゴースト/ニューヨークの幻』の有名なシーンが、このろくろを2人で回しているシーンである。2人が手を絡ませ合う様子は官能的でもあり、日本でも陶芸教室が大人気になった。ろくろを回していたモリーの後ろにサムが腰かけ、2人で手を重ねながら戯れるように作っていく。一度崩れて作り直していくうち再び棒状に上に伸びていく粘土。これは男性器のメタファーであり、サムがこの時はまだ生きていることが表現されている。サムの亡き後モリーがろくろを回すシーンが描かれているが、そこでは粘土は上手く上に伸びることなく崩れサムの不在を表している。
モリー「愛してるわ。心から。」サム「同じく。」
幸せでいるとその幸福を失うのではないかという不安にかられると話すサム。そう漏らす彼にモリーは「愛してるわ。心から。」と伝えた。普通ならばこの時「愛してるよ。」の言葉で返すところだろう。しかしサムはそこで「同じく。」という言葉で、モリーに彼なりの愛の返事をするのであった。しかしサムから「愛してる。」と言葉で伝えて欲しかったモリー。一方のサムは「”愛してる”の乱用は嫌いだ。」と言い、結局想いを言葉にすることはなく死んでしまう。だがこの「同じく。」が2人だけが知る合言葉のようになり、ゴーストとなったサムとモリーを繋ぐ言葉となった。
サムの姿が見えるようになり訪れた別れのシーン
ずっとそばにいても、決してモリーやオダ・メイの目に映ることのなかったサム。それが叶ったのはカールが地獄へ連れ去られ、全てが終わった後のことだ。光り輝くサムを涙を流しながら見つめるモリー。ここにきてやっとサムは「愛してるよ。いつも愛してた。」と言葉にすることができたのである。そしてその返事に今度はモリーが「同じく。」と返す。これまで「愛してる。」と伝え続けてきたモリーの言う「同じく。」は「愛してる。」の言葉以上に愛の伝わってくるシーンであった。
『ゴースト/ニューヨークの幻』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
最初は陶芸家ではなく彫刻家の設定であったモリー
出典: ameblo.jp
当初モリーが彫刻家として設定されていたところを陶芸家へ変更したのはジェリー・ザッカーのアイデアである。彫刻家よりも陶芸家のろくろを回すシーンの方が2人のラブシーンを効果的に演出できると考えられてのことであろう。この変更が間違いなかったことを証明するものとして作品を代表するシーンが、2人で手を重ね合わせながらろくろを回す場面となり話題になった。
脚本家ブルース・ジョエル・ルーピンにとって死をテーマにした映画の3作目にあたる作品
脚本を手がけたブルース・ジョエル・ルービンは『ゴースト/ニューヨークの幻』の前にダグラス・トランブル監督の『ブレイン・ストーム』とウェス・クレイヴン監督の『デッドリー・フレンド』という作品に携わっている。『ブレイン・ストーム』は他人の思考や記憶などを体感できる機械が開発されたことで巻き起こる争いが描かれている。死の記録が映像化されているなど死が一つのテーマとなっている。次に『デッドリー・フレンド』では天才少年が脳死状態の少女をロボットとして蘇らせる物語だ。『ゴースト/ニューヨークの幻』でもサムがゴーストとなって奮闘する様子が描かれておりブルース・ジョエル・ルービンが死に対して作品を通して向き合い続けてきたことが窺える。
公開日の近い映画『ダイ・ハード2』を上回るヒットを記録しながらも製作費は1/3以下
『ゴースト/ニューヨークの恋人』のアメリカでの公開日は1990年7月13日。この4日前には大人気シリーズ『ダイ・ハード2』が公開され、その独走が予想されていた。しかし『ゴースト/ニューヨークの恋人』は公開した週から『ダイ・ハード2』を超えるヒットを記録したのである。ブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード2』を妻のデミ・ムーアが出演している本作が追い越し、全世界で5億ドルを売り上げた。また製作費7000万ドルの『ダイ・ハード2』に対し本作はその1/3以下の2200万ドルであり、大きな利益率を出したことでも有名な作品となっている。
『ゴースト/ニューヨークの幻』の主題歌・挿入歌
主題歌:ライチャス・ブラザース「アンチェインド・メロディ」
ポピュラー音楽のジャンルの一つであるブルー・アイド・ソウル(黒人のものであったR&Bやソウルミュージックを白人が取り入れて形成した白人の音楽)の代表デュオ、ライチャス・ブラザーズによる楽曲。映画と同様に全米ヒット・チャートの4位にランクインする人気を獲得し、ライチャス・ブラザーズの代表曲となった。
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目次 - Contents
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の概要
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』のあらすじ・ストーリー
- 銃殺されゴーストとなったサム
- サムによって霊媒師としての力に目覚めたオダ・メイ
- ウィリーと繋がっていたカールに対するサムの反撃
- カールとの戦いに決着がつき訪れたサムとの別れ
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- サム・ウィート(演:パトリック・スウェイジ)
- モリー・ジェンセン(演:デミ・ムーア)
- ゴースト
- 地下鉄のゴースト(演:ヴィンセント・スキャヴェリ)
- 老人のゴースト(演:フィル・リーズ)
- 昇天したゴースト(演:J・クリストファー・サリヴァン)
- オーランド(演:オージー・ブラント)
- サムの周囲の人々
- オダ・メイ・ブラウン(演:ウーピー・ゴールドバーグ)
- カール・ブルーナー(演:トニー・ゴールドウィン)
- その他
- クララ(演:アルメリア・マックィーン)
- ルイーズ(演:ゲイル・ボグス)
- ウィリー・ロペス(演:リック・アビレス)
- 巡査部長(演:スティーヴン・ルート)
- 婦警(演:ローラ・ドレイク)
- オルティシャ(演:ヴィヴィアン・ボネル)
- ライル・ファーガソン(演:ブルース・ジャーチョウ)
- タクシードライバー(演:サイード・ファラジ)
- ローザ・サンチャゴ(演:アンジェリカ・エストラーダ)
- 銀行の同僚(演:ウィリアム・コート)
- アーセニオ・ホール(演:アーセニオ・ホール)
- ローズ(演:マルティナ・ディーグナン)
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の用語
- サブウェイゴースト
- ポルターガイスト現象
- 資金洗浄
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- サムとモリーが手を重ね合いろくろを回すシーン
- モリー「愛してるわ。心から。」サム「同じく。」
- サムの姿が見えるようになり訪れた別れのシーン
- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 最初は陶芸家ではなく彫刻家の設定であったモリー
- 脚本家ブルース・ジョエル・ルーピンにとって死をテーマにした映画の3作目にあたる作品
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- 『ゴースト/ニューヨークの幻』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ライチャス・ブラザース「アンチェインド・メロディ」