天使にラブ・ソングを2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『天使にラブ・ソングを2』とは、1993年に公開されたアメリカのコメディ映画で、1992年に公開された『天使にラブ・ソングを』の大ヒットを受けて制作された続編だ。前作で殺人現場を目撃したことから尼僧へ身を扮していた歌手のデロリス・ヴァン・カルティエが、シスター達からの要請により再びシスター・メアリー・クラレンスとなり廃校寸前の学校と生徒たちを救っていく物語である。前作はサスペンス風だったのに対し、今作では学校がメイン舞台となり青春的な要素も含んでいる。

『天使にラブ・ソングを2』の概要

『天使にラブ・ソングを2』とは、1993年に公開されたアメリカのコメディ映画だ。前作の『天使にラブ・ソングを』では、北米だけでも1億3000万ドルをあげるほどの大ヒットとなり、続編である本作にも多くの期待が寄せられた。本作のアメリカでの興行収入は5700万ドルと前作と比べて大きく下がったものの、日本では高評価を受けゴスペルブームを生むきっかけとなった作品である。
歌手としての大成功一歩手前まで登りつめたデロリス・ヴァン・カルティエ。毎日分刻みのスケジュールの中、せわしなく数々のショーをこなしていたデロリスの元に、かつて修道院で寝食を共にしたシスター達が現れる。大成功まであと一歩というところだったデロリスだが、かつて殺人現場を目撃した際に身を匿ってくれた修道院の院長先生が精神的にまいっていると知り、再び修道院へと足を運ぶのだった。院長の悩みの種は、地域の奉仕活動先である聖フランシス高校の生徒たちだった。自身の母校だったこともあり、デロリスは歌手活動を休止して再びシスター・メアリー・クラレンスとなり生徒たちに音楽を教えることを決意。しかし問題児ばかりの授業は思うように進まず、デロリスも思わず諦めかけてしまう。そんな時にたまたま聖フランシス高校が今学期いっぱいで廃校になるという情報を聞いてしまったデロリスや生徒たちは、地域で唯一の学校である聖フランシス高校を救うため聖歌隊を作ることとなった。最初は「聖歌隊なんか恥ずかしい。」と反対する生徒たちだったが、デロリスの力で次第に音楽への熱意が広がっていくのだった。
前作同様、デロリスの自由奔放で型破りな言動を主にコメディとして描かれているが、生徒たちの思春期であるからこその葛藤や、親や教師との衝突も描かれており、劇中の様々なシーンで涙を誘う感動作となっている。

『天使にラブ・ソングを2』のあらすじ・ストーリー

歌手、デロリス・ヴァン・カルティエ

ラスベガスで歌手として、毎晩満員御礼のショーを行っていたデロリス・ヴァン・カルティエ。かつてはマフィアのボスの愛人で、彼が殺人を犯す現場を目撃したことにより、組織に追われて聖キャサリン修道院でシスターに身を扮していた経歴がある。物珍しい経歴も相まって、その日もショーの大トリとして出演していた。

デロリスの元に、聖キャサリン修道院シスターの中でも特に仲の良かったメアリー・ロバート、メアリー・パトリック、メアリー・ラザラスの3人が現れた。
ショーの後、デロリスの楽屋に呼ばれたシスター達は再会を喜び、自分たちが現在地域奉仕活動の一環として高校で教師をしていることを話す。その高校はデロリスの母校である聖フランシス高校だが、やんちゃな生徒達に困り果てていた。そこで院長からデロリスを連れてくるよう頼まれてやってきたのだ。

自分を呼び戻すなんてよっぽどの事だと思い、デロリスは修道院のあるサンフランシスコへと戻った。到着を聞いた院長はデロリスの元へ駆け寄り、2人は抱き合い再会を喜んだ。
院長から高校の生徒たちはシスターでは手に負えず、デロリスの周りにいい影響を与える力が必要だと話した。歌手としてやっと軌道に乗ったところだと断ろうとするデロリスだったが、院長に説得されて音楽を教えることを決意した。

歌手からシスターへ

神父たちにシスターではないことが知られると大問題になるため、再び修道着を身にまといシスター・メアリー・クラレンスとして生活することとなった。
シスター達に学校内を案内してもらっている途中、校長のモーリス神父と2~3か月前に赴任してきたという理事長のクリスプを見かける。クリスプは、生徒達とシスター達から評判はあまり良くない様子だ。

癖のありそうな各教科担当の神父たちを紹介され、不安になるデロリスだった。そして校長から聞かされた教育方針は躾だった。その言葉にデロリスは、聖フランシス高校の全てを悟った気がしたのだった。

音楽クラスの惨状

音楽室を探していたデロリスは、道中爆睡する生徒や教師をなじる生徒を目にする。
デロリスが教室に入ると、想像以上に悲惨なものだった。生徒達はお互いの母親をけなしながらラップバトルをしており、デロリスが入ってきたことにさえ気付かない。デロリスは黒板を爪で引っ掻き、生徒達に席に着くよう指示すると、文句を言いながらだらだらと机を戻した。

自己紹介の後、一人ずつ名前と顔を確認しながら出席を取っていくデロリス。途中で生徒のリタ・ワトソンが全員いるかを一斉に問いかけたことで出席確認が終わった。
デロリスは授業の進行具合を確認しようとしたが、天井にはちぎられた教科書のページがくっつけてあった。リタは「この音楽コースは出席するだけで単位がとれて卒業ができる。鳥のようにスイスイと進級できるからバード・コースと呼ばれているのよ」と言った。

生徒達のいたずら

デロリスは屋上でラップバトルをして遊んでいる音楽クラスの生徒達を見かけた。ラップの腕前は中々いいものだったが、デロリスが乱入したせいで生徒達はラップを辞め、文句を言いながら帰って行った。
その夜、路上で「あのシスターを何とかしよう」と話し合う生徒達だか、話しは進まなかった。

翌日、生徒達はデロリスの椅子に接着剤を塗る悪戯を決行する。デロリスが椅子に腰かけると、修道服と椅子が接着剤でしっかりとくっついた。立ち上がれないデロリスは椅子ごと移動して、着替えて動けるようになった。
駆けつけてくれた院長やラザラスから、「デロリス、もう歌手に戻った方がいいかもしれないわ」と勧められる。デロリスは否定も肯定もしなかった。

廃校の危機

デロリスが校長室の前を通りかかった時、協会本部の役員らが来ていた。そして、今学期で学校を廃校にすると校長とクリスプへ伝えているのを聞いた。
一人校長室へ残った校長は、生徒達のことを思いひどく心を痛めていた。

それを知ったデロリスは、院長やロバート達に廃校を知らせて決起集会を開いた。
院長やシスター達が生徒のためになんとかしなければと必死の姿を見て、デロリスは「ここにいる私達でなんとかしなくちゃ」と聖フランシス高校に残る事を決意した。

バード・コースの改革

デロリスは生徒達に「今日から学校は生まれ変わる。バード・コースはなくなり、勉強しない者は落第させる」と伝えた。
リタが立ち上がって歯向かい、それに続きクラス中も立ち上がった。しかし留年はできない生徒や、親に怒られるという生徒の言葉を聞いて、リタ以外は大人しく席に着いた。

誰も賛同してくれないリタは「皆友達じゃないわ」と一人教室から去った。リタは教室を出た後、何度も後ろを振り返っていた。

生徒達の隠れた才能

翌日の授業でデロリスは、生徒達の音楽の才能に驚いて聖歌隊を結成することを提案したが、生徒達は乗り気ではなかった。
デロリスは聖キャサリン修道院の聖歌隊を聞かせたいと、課外活動に連れていく。聖歌隊はその日、老人ホームに招待されており生徒達も一緒に聴かせてもらえることとなった。

聖歌隊のメンバーには、生徒達をよく知るラザラス、ロバートもおり、デロリスも久しぶりに聖歌隊のメンバーに加わった。
老人ホームの利用者達は、とても喜び大盛り上がりだった。しかし生徒達は、観客が老人だから盛り上がったのだと馬鹿にした。聖歌隊の結成に関してはいまだに乗り気ではない様子だった。

デロリスが学校に戻ると、至急校長室へ呼ばれた。廃校まで問題を起こさずに過ごすよう、課外活動を禁止された。
デロリスが校長室へ呼ばれたのを聞いた生徒達はこっそり後をつけており、廃校の話題が一気に広がった。そして生徒達も「聖歌隊を結成すれば廃校は免れるかもしれない」と、いつもの路上に集まり話し合っていた。リタは、自宅の窓からじっとそれを見つめていた。

新たな一歩

聖歌隊を結成することに賛成した生徒達は、デロリスと共に音響効果の良い旧音楽室で授業を行うことにした。
旧音楽室は汚く、唯一あったピアノも足が折れて傾いている状態だった。しかし音はきちんと出るため、生徒のマーカスが弾き手を担った。デロリスがこの日のテーマに選んだ曲は「メリーさんの羊」。生徒は各々得意なジャンルや、好きなジャンルで歌声を披露した。クラスの歌のレベルはかなり高いものだった。

窓の外にリタの姿を発見し、デロリスは教室の中から手招きしたが、リタは去ってしまった。

リタを救ってほしい

その日の放課後、ロバートが教会内から聞こえる歌声に惹かれ足を運ぶと、リタがオルガンを弾いてタニアが歌っていた。リタはタニアに、母親が歌手という仕事について反対していると悩みを打ち明けていた。
タニアは今の歌を一緒に歌うことを提案し、リタとのデュエットを楽しんでいた。しかし、物陰から様子をうかがっていたロバートに気付き、二人は歌うのを止めてしまった。

ロバートはリタの高いレベルの歌声を褒めて、聖歌隊へ入ることを勧めたが頑なに拒まれた。
その後、ロバートはリタが大きな悩みを抱えているため、救ってくれるようデロリスへ頼んだ。デロリスはリタを待ち伏せし、リルケの『若き詩人への手紙』という本を手渡す。

聖歌隊の誕生

本を読んだリタは、翌日旧音楽室へと足を運んで練習へ参加した。生まれ変わった音楽クラスに、クリスプだけは面白くない顔をした。
歌の練習は相変わらず発声練習ばかりで生徒達も飽き飽きしていたが、デロリスはあの手この手で発声練習を行った。

ついに聖歌隊の結成を記念し、校内でコンサートを開くこととなり、曲目は「Oh Happy Day」に決まった。しかし、大人数の前で歌ったことのない生徒達は、緊張して声も小さく張りがない。
デロリスは曲に合わせていつもの発声練習を行った。飽きるほどした発声練習の成果もあり、生徒達は少しずつ伸び伸びと歌い始めた。

他のクラスの生徒達も少しずつ音楽にノリ始め、ラストにはスタンディングオベーションが起こり、校内コンサートは大成功を収めた。

音楽コンクール

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