頭からしっぽまで英国的なバンド ブラー(Blur)の光と影

ブラーは今も活動を続けるイギリスのオルタナティブバンドです。そのどこを切ってもイギリス的なサウンドの変遷と魅力に迫ります。

この画像は2014年初頭、日本でのコンサートチケット発売を伝えるWebサイトにアップされたブラーのメンバーの写真です。
右から二人目がフロントマンのデーモン(Damon Albarn)。
20代の頃と比べると、あごひげなどはやしていて随分と男っぽくなったような印象です。

ブラーは1990年に結成されたイギリスのオルタナティブ・バンド。
メンバーは、デーモン・アルバーン(Damon Albarn)(vo,gu,key) グレアム・コクソン(Graham Coxon)(gu,vo,sax,drms)
アレックス・ジェームス(Alex James)(base) デイヴ・ロウントゥリー(Dave Rowntree)(drms )の4人です。

足掛け25年の長いバンド歴の中、グレアムが一度脱退をしたり、メンバーがアルコール依存症に陥ったりと、けっして良いことばかりではなかったブラー。
しかし2015年の今現在も彼らは現役でバンド活動を行っています。
わたくし事ながら、筆者は彼らをTwitterでフォローしており、折々の活動を見守っているところです。

デビューアルバム「レジャー(Leisure)」と「シーズ・ソー・ハイ(She's So High)」

「シーズ・ソー・ハイ(She's So High)」は、1990年に発表されたブラーのメジャー・デビュー曲であり、初めて作られた曲。
この曲が収められたアルバム「レジャー(Leisure)」には、最初のメジャー・ヒット曲である
「ゼアズ・ノー・アザー・ウェイ - There's No Other Way )」も収められていました。

ちなみに、アルバム6曲目の「シング ( Sing)」は、1996年のイギリス映画『トレインスポッティング』のサウンドトラックに使用されています。

1992年2月にブラーは初来日。
同年、マネージャーのバンド資金使い込みが発覚し、バンドは破産の危機に陥ります。
また、この頃はニルヴァーナに代表されるグランジミュージックが圧倒的人気を博しており、ブラーのような「ブリティッシュポップ」バンドは殆ど顧みられていませんでした。
そういった逆境の中で、メンバー達は次第に疲れ、アルコール依存に陥るなど、精神的にかなり辛い日々を過ごしたようです。

2ndアルバム『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」リリース

しかし逆風が吹き荒れる中、デーモンは「英国らしさ」にこだわった音作りを目指すようになりました。
1993年にリリースされた2ndアルバム「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ(Modern Life Is Rubbish)」は、ビートルズ以来数々のブリティッシュミュージシャン達によって脈々と引き継がれて来た、正に「very BRITISH」と言うべきサウンドに満ちあふれていました。

セールス的にはまだ今ひとつでしたが、これでブラーは自分たちが進むべき方向を見つけたのだと思います。

チョイスしたのは、アルバムに収録された「フォー・トゥモロウ(For Tomorrow )」

大ブレイク作「パーク・ライフ(Park Life)」

「近いうちに必ず愛国的なサウンドが好まれる時が来る」
そんなデーモンの「読み」がぴたりと当たり、ブラーが大ブレイクを果たすのは1994年のこと。
3rdアルバム「パークライフ(Park Life)」がリリースされ、3月に先行発売されたシングル曲「ガールズ&ボーイズ(Girls & Boys)」は、ポップでキャッチーなサウンドで大ヒット。
アルバムも彼らの作品として初めて全英一位になりました。

「 Girls And Boys」
キャッチーなメロディ、タイトな演奏。文句なし。

このアルバムでの成功により、ブラーは一躍イギリスのトップアーティストの仲間入りをし、当時イギリスに多数登場した英国的なサウンドを持つバンドの総称「ブリット・ポップ」の代表格と呼ばれるようになったのです。

Oasisとの軋轢と4thアルバム「ザ・グレイト・エスケープ(The Great Escape)」

ブラーより少し遅れて人気が出たOasis。
ぞれぞれに熱狂的なファンを持つバンドの間で、「ブラー・オアシス戦争」(シングルを同時に発売してチャートでの順位を競う)が起きました。
チョイスしたのは、オアシスの「ロール・ウィズ・イット(Roll With It)」を抑えて全英一位になったブラーの「カントリー・ハウス(Country House)」

こうしたジャーナリズムがらみのばか騒ぎに巻き込まれるうち、ブラーは一時的に活動休止状態に追い込まれてしまいます。

「ブリット・ポップは死んだ」宣言と5thアルバム「ブラー」

1997年、デーモンは「ブリット・ポップは死んだ」と宣言し、バンド名をそのままタイトルにした5thアルバム「ブラー」をリリース。
前作までとはがらりと作風が変化して、アメリカンオルタナティブ寄りのサウンドになりましたが、ブラーらしさは失われておらず、全英一位を獲得しました。

チョイスした「ソング2(Song2)」は、中でもぶっちぎりでカッコいい一曲。

ゴスペルやソウルの要素も取り入れたアルバム「13」

1999年にリリースされたアルバム「13」では、チョイスした「テンダー(Tender)」のように、ゴスペル要素を取り入れたり、ソウルの要素をちりばめたりと、これまでにないアプローチが見られました。このアルバムも全英1位になっています。

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