Blur(ブラー)の徹底解説まとめ

Blur(ブラー)とは、1990年結成のイギリスのオルタナティヴ・ロックバンド。結成後すぐにシングル『She's So High』でメジャーデビュー。独自の詩情と豊かな音楽性で1990年代のブリットポップ最盛期を支え、これ以降もイギリスのロックシーンを代表する存在としてカリスマ的な人気を誇っている。2003年のメンバー脱退から長らく休止状態にあったが、各々のソロ活動の合間を塗って音源制作やライブでの活動を続けている。

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Blur(ブラー)の概要

2014年初頭、日本でのコンサートチケット発売を伝えるWebサイトにアップされたブラーのメンバーの写真

Blur(ブラー)とは、1990年結成のイギリスのロックバンド。ボーカルのデーモン・アルバーン(Damon Albarn)、ギターの グレアム・コクソン(Graham Coxon)、ベースのアレックス・ジェームス(Alex James)、ドラムの デイヴ・ロウントゥリー(Dave Rowntree)の4人で結成し、バンド名の改変などを経て、1990年に「Blur」名義での活動を開始する。
同年にシングル『She's So High』でメジャーデビュー。デビュー当時はTHE BEATLESやThe Kinksの再来と評され、1990年代にイギリスで起こった大きなポップスの流行「ブリットポップ・ムーブメント」を牽引するバンドとして存在感を放つようになり、Oasisとの衝突も当時の音楽ファンの間では大きな話題となった。
ムーブメントの終息後も独自の詩情があふれる歌詞と豊かな音楽性で、イギリスのロックシーンを代表するバンドとして、カリスマ的な人気を不動のものとしている。
2003年にオリジナルメンバーのグレアム・コクソンが脱退し、同年に7thアルバム『Think Tank』をリリースしてからは活動のペースを緩め、各自のソロ活動の合間に音源の制作やライブ活動を継続して行っている。

Blur(ブラー)の活動経歴

ブリットポップの牽引役として台頭

1988年にロンドンで結成。初期はシューゲイザー寄りの音楽性で、「Circus」(サーカス)や「Saymour」(シーモア)などの名義で活動していたが、次第にブリティッシュ・ロックへの回帰を志向し、1990年にバンド名を「Blur」とし、路線を大幅に変更。
その後すぐにシングル『She's So High』でメジャーデビューを果たし、1992年には初来日公演も行うが、同年、マネージャーのバンド資金使い込みが発覚し、バンドは破産の危機に陥ってしまう。さらに当時は、NIRVANAに代表されるグランジミュージックが圧倒的人気を博しており、彼らのようなブリットポップ路線のバンドは殆ど顧みられることはなかった。
そういった逆境の中で、メンバー達は次第に疲弊し、アルコール依存に陥るなど精神的に辛い日々を過ごす。逆風が吹き荒れる中、ボーカルのデーモンは「英国らしさ」にこだわった音作りを目指すようになっていく。こうして1993年にリリースされた2ndアルバム『Modern Life Is Rubbish』は、THE BEATLES以来数々のブリティッシュミュージシャン達によって脈々と引き継がれてきた、まさに「very BRITISH」と言うべきサウンドに満ちあふれていた。セールス的な伸びは今一つ足りなかったものの、彼らはブリットポップというジャンルで進むべき道を見出すこととなった。

ブリットポップ・ムーブメントの到来

「近いうちに必ず愛国的なサウンドが好まれる時が来る」と読んでいたデーモンの勘はぴたりと当たり、Blurが大ブレイクを果たしたのは1994年のこと。
3rdアルバム『Parklife』をリリースし、このリリースを受けて同年3月に先行発売されたシングル曲「Girls & Boys」が、そのポップでキャッチーなサウンドで大ヒットを記録。アルバムも彼らの作品として初めて全英一位になった。
ブリットポップ・ムーブメントの波に乗り、このアルバムで世界各地の音楽ファンの心を掴んだ彼らは、イギリスのロックシーンの中心的存在として、世界的人気バンドへと成長を遂げていく。
このころ、同じくブリットポップ・ムーブメントの代表格として知られるロックバンド、Oasis(オアシス)とのライバル関係が激化したことも度々取り沙汰された。両バンドはシングル売り上げを競い合い、この諍いはメディアを巻き込んだ「ブリットポップ戦争」として大きな話題を呼んでいる。この時期、彼らはイギリスのバンドとして最も注目を集める存在となり、商業的な成功と批評家からの高い評価を両立させるに至った。

生まれ変わりを続けるBlur

出典: cicaberry.com

2009年のハイドパーク公演の模様

1997年、ブリットポップのブームが落ち着くと、デーモンが「ブリット・ポップは死んだ」と宣言し、Blurは再び音楽性を大きく転換した。
当時アメリカで人気を博していたアメリカンオルタナティヴ・サウンドや、ローファイなサウンドを取り入れ、自身のバンド名をタイトルに冠した5thアルバム『Blur』をリリース。しかし、この時期からメンバー間の対立が表面化し始め、特にボーカルのデーモン・アルバーンと、ギターのグレアム・コクソンの間の溝はどんどん深まっていき、2002年にグレアムはバンドの脱退を表明する。その後、2003年にリリースされた7thアルバム『Think Tank』では、アフリカの民族音楽の要素なども取り入れられ、歌詞にも政治的な意味合いを含むものが出てくるなど、Blurの音楽性には更なる変化が見られるようになった。同年の8月にはグレアムの代役にサポートメンバーを入れる形でサマーソニックに出演。その後、バンドは事実上の活動休止状態に陥ったが、2009年にグレアムを含むオリジナルメンバーで再結成し、イギリスのハイド・パークで復活ライブを敢行した。これを皮切りとして不定期ながらも活動を行い、2012年にはロンドンオリンピックの閉会式記念ライブに出演、2015年には12年ぶり、コクソンを含むオリジナルメンバーでは16年ぶりとなる8thアルバム『The Magic Whip』をリリース。
その後は再び沈黙していたが、2019年にデーモンが主催するイベント『アフリカ・エクスプレス』のステージにBlurのメンバーが登場し、3曲をサプライズで披露。2022年にはロンドンのウェンブリー・スタジアムで再始動ライブが行われることを発表した。同公演のチケットは数分で完売し、急遽翌日の追加公演も決定するという人気の健在ぶりを見せつけた。
以降はそれぞれのソロ活動も行いながら、節目節目でバンドとしての活動を継続。2023年には9thアルバム『The Ballad of Darren』をリリースしている。

Blur(ブラー)のメンバー

Damon Albarn(デーモン・アルバーン)

1968年3月23日生まれ。ボーカル、キーボード、ギターを担当。芸術家の両親の元で、幼少期から音楽やアートに親しんで育った。一大ムーブメントを巻き起こしたBlurの活動だけに留まらず、1998年に、カートゥニストのジェイミー・ヒューレットと共に結成したバーチャルバンド、Gorillaz(ゴリラズ)でも世界的な成功を収めた。

Graham Coxon(グレアム・コクソン)

1969年3月12日生まれ。ギター、ボーカル、コーラス、サックス、ドラムスを担当。ノイジーでありながら、時にはメロディックで繊細なサウンドを生み出したことで、ブラーの音楽に唯一無二の個性をもたらしたギタリスト。2003年に脱退を表明するも、2009年の再結成後は再び活動を共にしている。

Alex James(アレックス・ジェームズ)

1968年11月21日生まれ。ベース、ウッドベースを担当。派手さよりも堅実でメロディアスなプレイが多く、デーモンのポップなメロディとグレアムの実験的なサウンドをつなぐ、バンドのサウンドの要ともいえる存在。ミュージシャンとしてだけでなく、チーズ職人としてや農業の分野でも広く活躍し、コラムなどを執筆していることでも知られる。

Dave Rowntree(デイヴ・ロウントゥリー)

1964年5月8日生まれ。ドラムス、パーカッション、サブボーカルを担当。楽曲のジャンルを問わず、安定した力強いリズムでグルーヴを生み出すことに定評がある。バンドの活動休止中、イギリスの労働党員として地方議会議員選挙に立候補するなど、積極的に政治活動を行っていた。弁護士資格も取得しており、法律家としても活動していることでも知られる。

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@matsurika

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