Aerosmith(エアロスミス)の徹底解説まとめ

Aerosmithは1970年にボストンで結成されたロックバンドだ。地元のバンドでドラムを担当していたスティーヴン・タイラーと、Gt.のジョー・ペリーを中心に活動を開始。1973年のシングル『Dream On』など、ヒット曲を連発して成功を収めた。1980年代前半にはメンバーの薬物問題で一時活動が停滞したが、1980年代後半に克服。その後、アルバム『Pump』など再び支持を得て、復活を果たす。全米のみならず世界でその人気を確立し、ロック界のレジェンドバンドとして知られている。

Aerosmithの概要

「Aerosmith(エアロスミス)」とは、Vo.のスティーヴン・タイラーとGt.のジョー・ペリー、Gt.のブラッド・ウィットフォード、Ba.のトム・ハミルトン、Drs.のジョーイ・クレイマーからなるアメリカの5人組ロックバンドだ。

1970年にマサチューセッツ州ボストンでバンド活動をしていたジョー・ペリーとトム・ハミルトンが、当時別のバンドでDrs.兼Vo.を担当していたスティーブン・タイラーと出会った。このことをきっかけにAerosmithの前身バンドが誕生。それまでGt.を務めていたレイモンド・タバーノの後任として、1971年にブラッド・ウィットフォードが加わり現在の編成となった。

1972年夏にはコロムビア・レコードとの契約を締結し、1973年1月に1stアルバム『Aerosmith』でデビュー。シングルカットされたアルバム収録曲「Dream On」は同年に、全米チャート59位にとどまったが、1976年に再リリースされた際にはBillboard Hot 100で6位にランクイン。その前の1974年3月リリースの2ndアルバム『Get Your Wings』が1年以上全米チャート200位圏内入り、1975年4月リリースの3rdアルバム『Toys in the Attic』の全米チャート11位を記録するなど、デビューから数年でアメリカでの人気を絶大なものとした。

そして日本では『Get Your Wings』のリリースとともにデビューし、当時人気の高かったロックバンド「Queen」や「Kiss」と並び、3大バンドの1つとして認知されるようになった。

スティーヴン・タイラーの男性ボーカルとは思えないほどの高音でハスキーな歌声とともに、ブルースやロック、R&Bやカントリーなど、さまざまなジャンルから影響を受けたメンバーが織りなすバンドサウンドは、誰が聴いても魅了されてしまうことだろう。1998年には洋楽アーティストとして初めて日本の4大ドームを制覇。2001年にはロックの殿堂入りを果たし、アルバムの圧倒的なトータルセールスを誇るなど、誰もが認める生きるレジェンドとなっている。

Aerosmithの活動経歴

Aerosmithの原点

AerosmithのVo.でフロントマンのスティーブン・タイラー

AerosmithのフロントマンでありVo.のスティーヴン・タイラーの音楽的な原点については、彼の幼少期のときまで遡る。ニューヨーク出身で幼少期は父親がクラシックピアニストかつ音楽教師であったこともあり、音楽に囲まれた環境で育ち、初めは父親の影響からクラシックを聴き、その後は当時大人気だったビートルズなどの音楽にも触れた。

父親のピアノ演奏などに合わせてドラムを叩き始め、ティーンエイジャーのころはロックやブルースから大きな影響を受け、地元のバンドでDrs.&Vo.を務めるようになる。これらが彼のミュージシャンとしてのルーツとなっており、ほとんどの楽曲の作詞・作曲を手がける存在としてAerosmithの根幹を支えていると言っても過言ではないだろう。

バンド結成からデビューまで

1973年に発売した1stアルバム『Aerosmith』

スティーヴン・タイラーが、1970年にジョー・ペリーとトム・ハミルトンらによるバンド「ザ・ジャムバンド」の演奏を鑑賞。新しいバンドを組まないかと彼らに声をかけたことがきっかけで、Aerosmithの前身となるバンドが結成された。

その後、同バンドにはDrs.にジョーイ・クレイマー、当時のもう1人のGt.であるレイモンド・タバーノが加入し、Aerosmithが誕生。ここからティーブン・タイラーは、フロントマンとしてボーカルのみを務めることとなっていく。

翌年1971年にはレイモンド・タバーノが脱退。バークリー音楽大学卒で、さまざまなバンドで活動していたブラッド・ウィットフォードが同年に加入し、現在のAerosmithのメンバー構成に至っている。

同バンドは地元のクラブやライブハウスで演奏を続け、比類なき歌唱力とバンドサウンドで大きな人気を獲得。
1972年にコロンビア・レコードと契約を結び、翌1973年に1stアルバム『Aerosmith』をリリースしてデビューした。なお、2ndアルバム『Get Your Wings』をリリースして日本デビューに至っている。

3rdアルバムからチャート上位に入る有名バンドに変貌

アルバム『Toys in the Attic』に収録されている「Walk This Way」

2ndアルバム『Get Your Wings』までは、全米チャートで上位に食い込むことはなく我慢する時期が続いていたが、1975年4月に『Toys in the Attic』をリリースすると、全米チャート11位にランクイン。

同アルバム収録の「Walk This Way」や「Sweet Emotion」も、シングルとして圧倒的な評価・人気を獲得。バンドとして初めて同アルバムでプラチナ・ディスクを獲得し、世界でも知られる有名バンドに変貌した。

そして1976年5月には4thアルバム『ロックス』を発表し、こちらも全米チャート3位にランクインし、1977年には5thアルバム『Draw The Line』で全米チャート11位になるなど、バンドとしての黄金期を迎えた。

1980年代前半はメンバーの薬物問題などで低迷期が続く

当時喧嘩別れをしたスティーブン・タイラー(向かって右側)とジョー・ペリー(向かって左側)

1979年までは精力的な活動を続けていたものの、以前から問題となっていたメンバー内での薬物蔓延によって楽曲制作にまで影響を及ぼすこととなり、1979年7月にはロック・フェスティバル「World Series of Rock」に出演後、スティーブン・タイラーとジョー・ペリーとの間で大喧嘩が起こり、その結果ジョー・ペリーが脱退する。

もう1人のギタリストであるブラッド・ウィットフォードも脱退し、後任のギタリストを迎えて制作した1982年リリースの7thアルバム『Rock In A Hard Place』は、全米チャート32位となるなど1980年代前半はバンドとしての人気はどん底まで落ちた。

第2次黄金期を迎えてヒット作を連発

Run-D.M.C.がカバーした「Walk This Way」

1984年にはスティーブン・タイラーとジョー・ペリーが和解。このタイミングでジョー・ペリーだけでなく、ブラッド・ウィットフォードも復帰したことでオリジナルメンバーのAerosmithが復活するに至っている。

1986年にはRun-D.M.C.が「Walk This Way」をカバーし、そのレコーディングにスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーが参加。ミュージック・ビデオにも出演。同カバー曲が大ヒットしたことをきっかけにAerosmithの人気が再燃。

1987年にリリースした『Permanent Vacation』が全米チャート11位にランクインするなど、1980年代後半からの第2次黄金期を迎えた。

映画の主題歌に楽曲が起用され爆発的な人気を獲得

「I Don't Want to Miss a Thing」が主題歌に起用された映画『アルマゲドン』

1980年代後半からの人気を更に高め、さまざまな人気作を連発していた最中、1998年にはリリースされたシングル『I Don't Want to Miss a Thing』が、映画『アルマゲドン』の主題歌として起用され大ヒットを記録。

全米チャートで初めて1位に輝き以降、4週連続で1位の座にとどまり、バンドとしてのキャリアの中で最も成功を収めたシングルとなる。

更にオーストラリア、ドイツ、アイルランド、イタリア、スイスなどでもシングルチャート1位に輝いたほか、日本や韓国、スウェーデン、スペインのアーティストなどにもカバーされるなど、世界中から爆発的な人気を得た。

2017年にフェアウェル・ツアーの開催を発表

フェアウェル・ツアー「「Peace Out」のポスター

2004年にはブルース楽曲のカバーを中心としたアルバム『Honkin' on Bobo』をリリースしたほか、スティーブン・タイラーとジョー・ペリー以外のメンバーが作詞・作曲を手がけたアルバム『Music from Another Dimension』などをリリースするなど、更なる進化を遂げた。

そんな最中、2016年6月にスティーブン・タイラーがアメリカのラジオ番組「ハワード・スターン・ショー」に出演した際、2017年にフェアウェル・ツアーの行ったあとに解散することを宣言。2017年にはバンドからヨーロッパ15か国17公演を行う同ツアーの開催を正式に発表。以前から噂は多少あったものの、あまりに突然のことでファンのみならず、世界中の人を大いに驚かせたことは容易に想像がつく。

2023年5月1日にはツアー名を「Peace Out」として、同年9月から行うことがバンドのオフィシャルサイトで発表されたが、スティーブン・タイラーの声帯損傷を理由に延期。しかし、なかなか回復しないことからツアー活動から引退することを発表、同時に延期していたフェアウェル・ツアーも中止という残念な結末となり、バンド活動も休止という今日の状態に至る。

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