サンクチュアリ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サンクチュアリ』とは原作・史村翔、作画・池上遼一による漫画である。2人の主人公、相楽系の直属組織、北彰会初代会長からどんどんと躍進する裏社会に生きる北条彰(ほうじょうあきら)と民自党代議士の秘書から国民全体を動かすまでに成長を遂げる表社会に生きる浅見千秋(あさみちあき)が共同して世の中を変えていこうとする社会派ドラマの漫画である。1990年代の日本社会を反映した内容であり、無気力に陥る国民を鼓舞しようと二人の主人公が奔走、躍進する姿は日本人に大きな影響、勇気を与えている。

伊佐岡紀元「動くだけが政治ではない!動かぬこともまた政治なのだ!」

浅見が代表を務める立風会が憲法改正を謳い政界再編成を宣言し注目を集める中民自党幹事長の伊佐岡は「パフォーマンスに付き合っている暇はない」「今の安定と繁栄を見てみろ」と言いどっしりと構える態度を見せる。その中の言葉が「動くだけが政治ではない!動かぬこともまた政治なのだ!」である。また伊佐岡は若い議員たちの現状をなんとかしようとする様をいっときの“麻疹(はしか)”としてあしらいもする。敗戦後という厳しい環境下での長年の政治経験を培い続けた伊佐岡だからこそ言える言葉である。

市島陽介「去るも器量…継ぐも器量…そして…守り切るのもまた器量!」

神戸山王会の総長の座を伊吹に譲った緒方が極道の影の支配者で黒幕の市島にその退任の旨を報告する際緒方は「負けたということか?」と緒方に尋ねる。これに対し緒方は「ただ自分(おのれ)の限界を知っただけ」と決して負けを認めない。これに対し市島は「それも器量だ」と言う。更に続けて言った言葉が「…去るも器量、継ぐも器量…守り切るのもまた器量!」である。裏社会を牛耳る市島が決して負けを認めることがない神戸山王会元総長緒方に対し送る最大限の賛辞と言える。

北条彰「頭に立ったこれからがオレが汚れる時なんですよ!」

神戸山王会三代目緒方の跡目に伊吹が就任したことに不満を抱く神戸山王会直系の長崎組が単独で北彰会の事務所を襲撃する。これを機に北条は神戸港に相楽、九州、沖縄の兵隊5000人を神戸港に招集し神戸山王会ののど元へ刃を突きつける。神戸山王会の本意ではないが神戸山王会伊吹は相楽連合総長北条と神戸港の船上で会合を行う。北条は「こちらの肚の中を見せたまで」とし「今まで何一つ傷つくことなく神輿に乗ってきたとする。」更に加えて言い放った言葉が「頭に立ったこれからが、オレが汚れる時なんですよ!」である。今まで北条という神輿を担ぎ上げ続けてくれた仲間達に対する感謝と、その仲間と自分の信念のためならどのような汚れ役も厭わないとする北条の固い決意が伺える言葉である。

伊佐岡紀元「…俺は10年、日本の政治を遅らせたわ…」

新北リゾート開発における裏金問題を見事くぐり抜けた伊佐岡は反撃に出る。そこでついに伊佐岡は浅見と北条の過去を知り、浅見の背後と政治資金の出どころを掴む。伊佐岡は早速北条との食事会をセッティングをする。北条が向かうとそこには既に浅見がいる。伊佐岡は「二人の関係が世間に報道されたらどうなる」と二人の記事が載った雑誌のゲラ刷りをちらつかせ二人を揺さぶる。浅見の議員辞職を求めるかと思いきや伊佐岡が出した提案は浅見と狩谷に大臣のポストを用意するというものであった。更に浅見の思う通りの政治をするまで「10年待て」ともつけ加える。これに対し浅見は「今すぐ伊佐岡派を引き継げるのなら」と一蹴する。北条も止めない。そのような二人に対し弱気になった伊佐岡の言葉が「…俺は10年、日本の政治を遅らせたわ…」である。伊佐岡が北条と浅見を認め、初めて見せる弱気な姿、言葉である。

ビセット「…私の惚れた男はどんな逆境にも負けない!…必ず蘇る!」

首相公選制のための憲法改正に向けまず議員の3分の2の賛成獲得を目指し奔走する浅見であったが突如アメリカ通信社から浅見の重病説の記事がのったファックスが届く。これは以前米国車の日本市場開放を求めてきた米国大統領補佐官ベネットがリークしたものだった。現在の日本の動静はアメリカにストレートに影響するゆえ混乱に早く対処するためのリークであったと米国大統領クリントに打ち明ける。そこでベネットが言った言葉が「私の惚れた男はどんな逆境にも負けない!…必ず蘇る!」である。米国産車両の日本市場開放求め来日した際、浅見の手腕に苦汁をなめたが同時にそんな浅見にほれ込んだビセットは浅見を案じ涙を浮かべる。アメリカ政府の要人、ビセットがいかに浅見に惚れ込んでいたかが分かる、更には惚れ込ませた浅見の政治手腕の大きさが垣間見れる、一言である。

伊佐岡紀元「敗北を認めるのは最後まで見届けてからでも遅くはない!!」

市島が警戒し止まないロシアと手を組む北条や伊佐岡、また華僑の総帥江東輝との縁を切られた市島が北条ら若手の躍進に敗北を認めようとするような発言を伊佐岡にする。この時伊佐岡もまた敗色濃厚であった。ここで伊佐岡が市島に放った言葉が「敗北を認めるまで見届けてからでも遅くはない!!」である。この後伊佐岡は初代公選制首相に、自身でなく、浅見を指名し敗北を認める。この伊佐岡の敗北は自身の政治家のキャリアの終止符となる。去るとしても自身の政治家としての矜持を保ち続けようとする伊佐岡の信念がいかに強固なものであったかが分かる一言である。

『サンクチュアリ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者の「史村翔」という名前は『北斗の券』などで有名な「武論尊」の別ペンネーム

作者が「武論尊」ではなく「史村翔」名義としてクレジットするようになったきっかけは『週刊少年ジャンプ』編集部と揉めたことにある。
他誌の連載を認めない専属契約を求めてきた『週刊少年ジャンプ』編集部と作者は揉めてしまった。
以降アクション系作品では「武論尊」それ以外のコメディー系やシリアス系の作品では「史村翔」と使い分けるようになった。

実業家ガーシーの構想「ネオトウキョウ構想」は本作の影響から

ガーシーこと東谷義和が考える「ネオトウキョウ」という構想は本作の主人公が考える「和僑」を元に得た構想である。
ドバイに日本人が集まって安心して暮らせる街をつくるというものが「ネオトウキョウ構想」である。(自身が人脈のある)日本や韓国のアーディストを集め音楽フェスなどを開催、日本エンターテイメント振興にも寄与できる。

立憲民主党の最大派閥の名称が「サンクチュアリ」

実際の日本政治におけ立憲民主党の最大派閥の名称が「サンクチュアリ」である。この派閥における「サンクチュアリ」の意味としては「止まり木」「野鳥の聖域」とされている。漫画『サンクチュアリ』の影響があるかは定かではない。

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@tanu33387

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