サンクチュアリ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『サンクチュアリ』とは原作・史村翔、作画・池上遼一による漫画である。2人の主人公、相楽系の直属組織、北彰会初代会長からどんどんと躍進する裏社会に生きる北条彰(ほうじょうあきら)と民自党代議士の秘書から国民全体を動かすまでに成長を遂げる表社会に生きる浅見千秋(あさみちあき)が共同して世の中を変えていこうとする社会派ドラマの漫画である。1990年代の日本社会を反映した内容であり、無気力に陥る国民を鼓舞しようと二人の主人公が奔走、躍進する姿は日本人に大きな影響、勇気を与えている。
北条彰(ほうじょうあきら)
第1巻1話から登場する。
本作の主人公である。北彰会の初代組長、更には第二代相楽連合総長を務め裏社会の日本統一を掲げる。表社会で躍進するもう一人の主人公浅見と共にベトナム戦争に巻き込まれた経験を有する。ベトナム戦争における難民キャンプからタイの国境まで脱走した原体験は母国日本に対する危機感を醸成させる。平和ボケした日本を変えるべく北条は裏社会で躍進する。高校はトップの成績だったにもかかわらず中途退学、渡海が組長を務める渡海興行事務所の門を叩くところから北条の裏社会の躍進は始まる。
裏社会で躍進するも北条の壮大な目標に活きた人間を創るというものがある。これは奇しくも裏社会の黒幕市島と表社会の影の支配者伊佐岡の戦後の焼け野原で掲げたものであった。また北条の構想には裏社会に生きる人間が表で活躍するというものもあり、中国籍でありながら海外で居住する華僑に倣ったグローバルに活躍できる“和僑”の育成も念頭に置いている。“和僑”の先兵として北条は極道出身者を活躍させようとする。
浅見千秋(あさみちあき)
第1巻1話から登場する。
本作のもう一人の主人公である。
北条と共にベトナム戦争に巻き込まれ、難民キャンプからタイの国境へ向け脱走した過酷な過去を有する。浅見のこの原体験もまた母国日本に対する大きな危機感を醸成する。
裏社会で躍進する北条に対し表社会で躍進する浅見は東京大学法学部卒業後まずベテラン民自党代議士佐倉の公設秘書となる。内外から様々な圧力受けながらも北条や仲間のバックアップなどのおかげで議員に当選する。浅見の考える政策は多い。まず日本労働市場の開放というものがある。これはあえて外国人を日本で働かせることで日本人の労働意欲を掻き立てるという目的を有する。また首相選出の手法を首相公選制とし国民に積極的に政治に参加させ責任を持たせ当事者意識を沸かせるという目的がある。この首相公選制には憲法の改正がという最もハードルの高い法案を通す必要とされ浅見は果敢にもこれに挑む。また政治手腕も卓越したものがある。アメリカから突如来日したアメリカ大統領補佐官のベネットがアメリカ自動車日本市場開放を求めてきた際はそれを白人至上主義と一蹴する。しかしただ一周するだけにとどまらずその後ベネットを手厚くフォローすることで何事もなかったかのように帰国させる。この際、ベネットは浅見の手腕に惚れこみ、浅見と言う人間自身にも惚れる。また信念も強い伊佐岡の「大臣のポストを用意する」などどのような甘言にも乗ることはない。だったら自分たちで築き上げる、勝ち取る、という主体性はベトナム戦争の原体験に由来する。
暴力団関係者
渡海(とかい)
第1巻9話から登場する。
相楽連合傘下の渡海興行の組長。北条の兄貴分にあたる。北条の面倒をよく見てきたものの段々と北条が台頭してくると苛立ちを隠せず、北条と対立する。しかし北条が相楽連合総長に就任し、日本統一を掲げてからなど、またも北條に惚れなおす。自ら相楽連合に破門状を出し独立してからも北条とは常に密接な関係にあり結果的に北条掲げる相楽連合の日本統一、更には裏社会の統一に加担し続ける。暴力的な性格ですぐに手が出る。無類の女好き。
田代(たしろ)
第1巻1話から登場する。
北条が北彰会の組長をしていた際は北条の側近的な役割を果たす。北条が相楽連合の二代目総長に就任した際は二代目北彰会の組長に就任する。田代が裏社会に足を踏み入れたきっかけは田代の息子光一の命を救うため相楽連合まで直接出向き自分自身を売るところから始まった。ここで門前払いされるもこの騒ぎを聞きつけた北条が受け入れ、田代の裏社会入りが決定する。なので田代は北条に対し大きな恩を感じている。
村田(むらた)
第2巻3話から登場する。
北条の側近。相楽連合の総長が北条になる以前は相楽の側近であった。北条の相良襲撃後はすんなり北条側に着く。自身を野心のないサラリーマンと評し組織の存亡が一番大事とする。
相楽(さがら)
第1巻2話から登場する。
関東三大組織の初代総長。北条や渡海にとっての親分にあたる。北条が力をつけるにあたり段々と北条に対し警戒心を持ち始める。
市島陽介(いちじまようすけ)
第2巻8話から登場する。
裏社会全体を操る黒幕。一見穏やかそうではあるがその権力は簡単に巷の組織が消滅させる程の力を持つ。活きた人間を創るという北条と同じような目的があったものの「自分にはできなかった」とする。民自党幹事長伊佐岡とも旧知の仲で戦後日本再建のため奔走した経験を有する。巣鴨プリズンの受刑者でもある。ロシアを敵対視する。その警戒感はロシアに付くとなったものは皆敵とする程のものである。
緒方栄蔵(おがたえいぞう)
第6巻1話に登場する。
神戸山王会三代目総長。決して負けを認めることがない自身が代表を務めるこの組織に並々ならぬ矜持を抱いている。北条との直接対決の際、自身の衰え否定できず総長の座を退く決断をした時でさえ負けを認めず、辞任の理由を「自身の身体の衰え」とする。日々の自身の体力づくりにも余念がない。
伊吹英明(いぶきひであき)
第6巻4話から登場する。
神戸山王会TOP2。後に神戸山王会4代目会長に就任する。10年先を見越した判断を下すことが出来るとする能力は神戸山王会三代目総長緒方から絶大な信頼を寄せる。北条率いる相楽連合との全面戦争を避け逆に北条と共に裏社会再編と裏社会の表社会進出のため奔走することになる。
宮村政信(みやむらまさのぶ)
第5巻1話に登場する。
武山連合宮村組組長。武山連合傘下の組超で最も頭がキレる人物。北条と古くから付き合いがありやがて北条の日本統一構想の一役を担う。
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目次 - Contents
- 『サンクチュアリ』の概要
- 『サンクチュアリ』のあらすじ・ストーリー
- 北条の相楽連合2代目総長就任
- 政界へ進出する浅見
- 襲撃をくらう北条
- 北条襲撃からの復帰と神戸山王会三代目総長緒方の引退
- 立風会の民自党入党
- 選挙戦への立候補を表明する北条と浅見の病発症
- 北海道における抗争とロシアン・マフィアの進出
- ロシアと手を結ぶ北条
- 白旗を上げる伊佐岡
- 『サンクチュアリ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 北条彰(ほうじょうあきら)
- 浅見千秋(あさみちあき)
- 暴力団関係者
- 渡海(とかい)
- 田代(たしろ)
- 村田(むらた)
- 相楽(さがら)
- 市島陽介(いちじまようすけ)
- 緒方栄蔵(おがたえいぞう)
- 伊吹英明(いぶきひであき)
- 宮村政信(みやむらまさのぶ)
- 大西英二(おおにしえいじ)
- 中城規介(なかしろきすけ)
- 岩田浩徳(いわたひろのり)
- 瀬川(せがわ)
- 赤間(あかま)
- 木村(きむら)
- 渡海悠子(とかいゆうこ)
- 石塚(いしづか)
- 今井睦夫(いまいむつお)
- 河津清介(かわづきよすけ)
- 松田守隆(まつだもりたか)
- 加藤辰巳(かとうたつみ)
- 徳田貞幸(とくださだゆき)
- 飯田(いいだ)
- 亀井修一郎(かめいしゅういちろう)
- 長崎重好(ながさきしげよし)
- 大島悠大(おおしまゆうだい)
- 武藤昇一(むとうしょういち)
- 石坂(いしざか)
- 足立(あだち)
- ツトム
- 辰男(たつお)
- 政界関係者
- 伊佐岡紀元(いさおかのりもと)
- 望月(もちづき)
- 狩谷久雄(かりやひさお)
- 仙石慎一郎(せんごくせんいちろう)
- 吉川秀丸(よしかわひでまる)
- 五木克彦(いつきかつひこ)
- 佐倉秀一(さくらしゅういち)
- 原口賢二(はらぐちけんじ)
- 岡村(おかむら)
- 池内(いけうち)
- 佐川和子(さがわかずこ)
- 河合圭三(かわいけいぞう)
- いいだ好秋(いいだよしあき)
- あだちちえ子(あだちちえこ)
- 水戸(みと)
- 岸本(きしもと)
- 仙石辰巳(せんごくのちち)
- 朝間(あさま)
- 鯨井隆(くじらいたかし)
- 坪田条一(つぼたじょういち)
- 岡崎三男(おかざきみつお)
- 宋(そう)
- 大沢晴男(おおさわはるお)
- 河井俊輔(かわいしゅんすけ)
- 蜂谷義孝(はちやよしたか)
- 警察、警視庁、検察関係者等
- 石原杏子(いしはらきょうこ)
- 尾崎(おざき)
- 熊谷(くまがい)
- 平山隆(ひらやまたかし)
- 石垣和義(いしがきかずよし)
- 金沢静男(かなざわしずお)
- 細山(ほそやま)
- 白井(しらい)
- 巻田(まきた)
- 赤岡(あかおか)
- 水口(みずぐち)
- 鹿浜勇介(しかはまゆうすけ)
- 高木源一郎(たかぎげんいちろう)
- 新川将司(あらかわしょうじ)
- 渡辺伸二郎(わたなべしんじろう)
- 塚山喜朗(つかやまよしろう)
- 河内信介(かわうちしんすけ)
- 田丸洋一(たまるよういち)
- 金融会社関係
- 青木(あおき)
- 海野(うみの)
- 水沢(みずさわ)
- 香港の暴力団、華僑
- 黄志陽(こうしよう)
- 黄のボス
- 江東輝(こうとうき)
- アメリカ政府高官
- ビセット
- クリフ
- ロシアンマフィア、ロシア政府高官
- ウラジミール・ソロコフ
- ザチャーミン
- エルツェン
- グリノフスキー
- その他
- 食い詰めたカメラマン
- 佐倉由香(さくらゆか)
- 田代優美(たしろゆみ)
- 田代光一(たしろこういち)
- 佐倉千代(さくらちよ)
- 水口(みずぐち)
- 松下(まつした)
- 亀山(かめやま)
- 小暮(こぐれ)
- 武井(たけい)
- 塚原(つかはら)
- 狩谷俊一(かりやしゅんいち)
- 大江有紀(おおえゆき)
- 金沢静夫夫人(かなざわしずおふじん)
- 『サンクチュアリ』の用語
- 裏社会組織
- 北彰会(ほくしょうかい)
- 相楽連合(さがられんごう)
- 渡海組事務所
- 関東武山連合(かんとうたけやまれんごう)
- 東日本土門会(ひがしにほんどもんかい)
- 神戸山王会(こうべさんのうかい)
- 表社会組織
- 大東信用金庫
- TOKYO WORLD
- 北都銀行
- ブルーワールド
- ブルーワールドフィットネスクラブ
- フューチャーランド北海道
- 新北リゾート開発
- 北拓ファイナンス
- 大北新聞
- (株)相楽連合会警備保障部
- 政党、政治組織等
- 民主自由党
- 社会民主党
- 日本共産党
- 社民新党
- 佐倉秀一後援事務所
- 政治派閥
- 伊佐岡派
- 金沢派
- 塚山派
- 望月派
- 70年会
- 立風会
- 新日本
- その他
- ジャンケン
- 符牒
- 盃事
- クラブ美々
- IWATAYA手提げバッグ
- 東南リゾート開発
- 新北リゾート開発関連資料
- ロシアンロビー
- 週刊太陽
- 週刊早春
- 華僑
- 和僑
- 『サンクチュアリ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 佐倉秀一「ヤクザに犯されようが…財界のバカ息子に嫁にやるのと大した変わりはない!!」
- 伊佐岡紀元「政治家に常識は要らん。自分の尻の穴を見せるのを恥ずかしがっとる様じゃ政治家にはなれん」
- 北条彰「どこの世界も喰うか喰われるかなんだよ!!」
- 中城規介「力に翻弄され、てめえの意志とてめえの手足で動かなきゃ、屈辱と後悔しか残らねえ!!」
- 伊佐岡紀元「動くだけが政治ではない!動かぬこともまた政治なのだ!」
- 市島陽介「去るも器量…継ぐも器量…そして…守り切るのもまた器量!」
- 北条彰「頭に立ったこれからがオレが汚れる時なんですよ!」
- 伊佐岡紀元「…俺は10年、日本の政治を遅らせたわ…」
- ビセット「…私の惚れた男はどんな逆境にも負けない!…必ず蘇る!」
- 伊佐岡紀元「敗北を認めるのは最後まで見届けてからでも遅くはない!!」
- 『サンクチュアリ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者の「史村翔」という名前は『北斗の券』などで有名な「武論尊」の別ペンネーム
- 実業家ガーシーの構想「ネオトウキョウ構想」は本作の影響から
- 立憲民主党の最大派閥の名称が「サンクチュアリ」