超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(愛おぼ)のネタバレ解説・考察まとめ

『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』とは、1984年に公開された日本のSFアニメーション映画。TVアニメ『超時空要塞マクロス』を再解釈したもので、当時の最高峰の作画クオリティで描かれ、高い評価を受けた。キャッチコピーは「それは時空を超えたラブソング」、略称は「愛おぼ」。
地球統合軍のパイロットである一条輝は、アイドルのリン・ミンメイ、母艦のオペレーターを務める早瀬未沙と親しい関係となる。輝が2人の間で揺れ動く中、人類は巨人型宇宙人との戦争に苦戦し滅亡寸前まで追い詰められていく。

作中に登場し、輝たちが登場する機動兵器のカテゴリー名。戦闘機形態、人型形態、その中間のガウォーク形態と3つの形態を状況に応じて使い分けることが可能。
わざわざ戦闘機に変形機構をつけたのは、巨人型宇宙人であるゼントラーディとの白兵戦を考慮して設計されたためである。

バルキリー

輝たちが登場する可変戦闘機の機種名。名前は北欧神話に登場する戦乙女のワルキューレ(ヴァルキュリア)から取られている。

フォールド

作中におけるワープ技術の名称。もともとはゼントラーディの技術であり、地球統合軍がそれをそのまま自分たちのものにしたという経緯がある。

ゼントラーディ

50万周期に渡ってメルトランディとの熾烈な戦争を繰り広げている巨人型宇宙人。男しかいない種族であり、生殖ではなくいくつか存在する拠点で“製造”されることで増殖する。
本人たちも完全に忘れているが、その起源は「プロトカルチャーによって作られた、巨人型の生物兵器」である。

メルトランディ

50万周期に渡ってゼントラーディとの熾烈な戦争を繰り広げている巨人型宇宙人。女しかいない種族であり、生殖ではなくいくつか存在する拠点で“製造”されることで増殖する。
本人たちも完全に忘れているが、その起源は「プロトカルチャーによって作られた、巨人型の生物兵器」である。

ヤックデカルチャー

ゼントラーディとメルトランディの言葉で、ヤックは「とても」あるいは「なんと」、デカルチャーは「恐ろしい」を意味している。

プロトカルチャー

50万周期以前に宇宙に存在し、高度な文明を築いていた宇宙人。ゼントラーディとメルトランディという傑作生体兵器を作り出すが、これにより生じた大規模な宇宙戦争の末に滅亡し、主を失ったゼントラーディとメルトランディだけが今も戦い続けている。
地球の人類もプロトカルチャーによって作られた存在である。

『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

マックス「美しい…」

メルトランディのエースパイロットとの一騎打ちを繰り広げ、ほぼ相打ちの形でこれが決着した後、中破した機体から脱出したマックスは負傷して動けなくなった敵の巨人を見上げる。
虫の息の彼女はしかし、荘厳なまでの美を備えており、これを見たマックスは思わず「美しい…」とつぶやく。

この後マックスはマクロスを離れ、彼女と行動を共にするようになる。マックスがどれほどの衝撃を受けたのかがよく分かる。

輝「君はまだ、歌が歌えるじゃないか!」

ゼントラーディとメルトランディの、地球圏における決戦が始まる。どちらからも「敵性存在」と見なされたマクロスが、戦場を必死に逃げ惑う中、輝はミンメイに「人類を救うために、未沙が見つけた歌詞を歌ってほしい」と頼み込む。
輝にフラれて傷心の中にあったミンメイは、「どうして自分がたった今負けたばかりの恋敵の用意した歌を歌わなければならないのか」と叫ぶ。これに対し、輝は「先輩も柿崎もみんな死んだ。やりたいことだっていっぱいあっただろうに…君はまだ歌が歌えるじゃないか!」と言って、死んでいった者たちの分まで自分たちが生きなければならないこと、ミンメイはまだ“自分のやりたいこと”ができる立場にあることを訴える。

本作の中で散っていった者たちは、それぞれが極めて印象的な最期を迎えている。それだけに輝の言葉は、強いインパクトと共に胸を打つものとなっている。

ミンメイ「私、歌うわ。思いっきり!」

輝の激励を受けたミンメイは、わずかな逡巡の末に笑顔を浮かべ、「歌手を目指したのは自分なのにどうかしていた」と言って彼が差し出したプレートを受け取る。「私、歌うわ。思いっきり!」とはその際にミンメイが口にした言葉で、ここから“伝説”とまで絶賛される圧倒的なクオリティの反撃が始まっていく。
どうしようもなく胸湧き踊るシーンであると同時に、「人類の救世主たる歌姫」ではなく、「1人の女の子」として輝に支えてもらうことを本心では願っていただろうミンメイの心を思うと、一抹のほろ苦さを感じられる。

ブリタイ「リン・ミンメイの歌を聞く全ての者に告げる。我らの敵はただ一つ。ゴルグ・ボドルザーを倒し、再び文化を取り戻すのだ」

ミンメイの歌を聞いたゼントラーディとメルトランディの兵士たちが次々と戦闘を放棄していく中、この状況を観察していたブリタイは己の心が昂っていることに気づく。それが自分たちの遺伝子提供者たるプロトカルチャーの血によるものだと知ったブリタイは、「戦うことしか知らなかった我々が文化を取り戻そうとしている」ことに驚き、同時にそれがゼントラーディとメルトランディの在り方を変える千載一遇のチャンスでもあると悟る。
直後、ブリタイはあくまで歌を“敵を容易に無力化する兵器”としてしか理解せず、自分たちごと敵を葬ろうとしたゴル・ボドルザーから離反。「リン・ミンメイの歌を聞く全ての者に告げる。我らの敵はただ一つ。ゴルグ・ボドルザーを倒し、再び文化を取り戻すのだ!」と宣言し、これに呼応した戦場にいる兵士たちと共に決然とボドルザーに挑んでいく。

なお、ボドルザーの名称は公式でも「ゴル・ボドルザー」と「ゴルグ・ボドルザー」で揺れており、本項目では作中での発言に合わせて「ゴルグ・ボドルザー」として表記する。

未沙「ただの流行歌よ。何万年も昔に…異星人たちの街で流行った…当たり前の…ラブ・ソング…」

プロトカルチャーの遺した歌の力によってゼントラーディとメルトランディの双方と和解し、ボドルザーを撃退したマクロス。この歌は何か特別なものだったのだろうかと訝しむ同僚に、未沙はそうではないと自身の見解を語る。
「ただの流行歌よ。何万年も昔に…異星人たちの街で流行った…当たり前の…ラブ・ソング……」とは、その際に未沙が発したセリフで、後半部分は半ばモノローグとなっている。特別な力を持つ歌ではなく、ごく普通の流行歌が星間戦争を止めて人類を滅亡から救ったという事実が、より感動を引き立たせてくれる。

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