マクロスF(フロンティア)のネタバレ解説・考察まとめ
『マクロスF』(マクロスフロンティア)とは、2008年に放送されたテレビアニメ作品。1982年に放映された『超時空要塞マクロス』から始まる『マクロスシリーズ』の6番目の作品となる。舞台は西暦2059年、超長距離移民船団マクロス・フロンティアに住む人類と、超時空生命体バジュラとの戦いの中で、パイロット候補生早乙女アルトと歌姫シェリル・ノーム、そして普通の女子高生ランカ・リーとの恋の三角関係を描いたスペース・ファンタジー。
『マクロスF』の概要
『マクロスF』(マクロスフロンティア)とは、2008年に放送されたTVアニメ。「歌」と「三角関係」をテーマとするSFロボットアニメ『マクロスシリーズ』の25周年記念作品であり、初代から数えて6番目の作品である。
アイドルとの恋愛や謎の敵バジュラとの熾烈な戦い、CGを利用したアクロバティックなアクション、物語を盛り上げる数々の名曲が高く評価され、初代以降OVAなどを中心に展開しややマニア向けの印象を持たれていた『マクロスシリーズ』の客層を大きく広げた。
新たな移民星を求めて銀河を進む超長距離用都市型宇宙船マクロス・フロンティア船団。ある時、ここに“銀河の歌姫”こと宇宙的人気アイドルのシェリル・ノームが来訪する。ファンが沸き返る中、ひょんなことからシェリルと知り合ったパロイット候補生の早乙女アルト(さおとめ アルト)は、彼女の奔放な性格に呆れつつもその誇り高い精神に惹かれていく。
一方、シェリルに憧れる少女ランカ・リーは、友人となったアルトの後押しもあって芸能界に挑戦。徐々に頭角を現し、“超時空シンデレラ”として持て囃される。
アルト、ランカ、シェリルの三角関係が複雑さを増していく中、フロンティア船団をバジュラという謎の宇宙生物が攻撃。やがてランカとシェリルの歌がバジュラに特別な影響を与えることが分かり、民間軍事会社に入社したアルトは銀河の命運を懸けた戦いに巻き込まれていく。
『マクロスF』のあらすじ・ストーリー
2人の少女とパイロット候補生
西暦2059年、1,000万人規模もの居住民を乗せた超長距離移民船団「マクロスフロンティア」は銀河の中心を目指す航海の途中にあった。
ある日、近隣を航行中の移民船団「マクロス・ギャラクシー」より、トップアイドルの「シェリル・ノーム」がコンサートツアーのためにマクロスフロンティアを来訪する。
シェリルのコンサート演出のためエアアクロバットに参加することになったパイロット養成コースに通う高校生「早乙女アルト」(さおとめ アルト)は、その準備中にシェリルに憧れるごく普通の女子高生「ランカ・リー」と出会う。
ところが、人々がシェリルのコンサートに熱狂する中、宇宙から謎の生命体「バジュラ」がマクロスフロンティアを襲撃してきた。
人類でも異星人でもない、巨大な虫のような姿をした「バジュラ」の攻撃に、反撃した新統合軍は次々とダメージを受けてしまう。その危機を救ったのは、民間軍事プロバイダーS.M.Sだった。
ランカの義兄オズマ・リーを中心としたS.M.Sはバジュラと互角に戦うことのできる最新型バルキリー(可変型戦闘機)VF-25を用い、フロンティアを守るために戦う。学友たちがすでにS.M.Sに入っていることを知ったアルトは、「何も知らないまま、戦うこともできないまま殺されるのは真っ平だ」として自身も入社。オズマに徹底的にしごかれつつ、徐々にパイロットとしての頭角を表していく。
歌声が招く脅威
バジュラは最新型のバルキリー相手にも互角以上に渡り合う高い戦闘能力を持ち、さらに種全体で情報を共有して特定の攻撃への耐性を得る恐るべき力を持っていた。強い武器を持っていても迂闊に使うことができずに、アルトたちは苦戦する。バジュラによって全滅したギャラクシー船団の生き残りであるブレラ・スターンが新たな戦力として加わるも、戦いは激化し、アルトの戦友までもが戦死する。
一方、シェリルに憧れて芸能活動を始めたランカは、徐々に脚光を浴びるようになっていた。そんな中、ランカの歌声がバジュラの行動に影響を及ぼすことが判明。それを知ったフロンティア政府は、彼女をバジュラとの戦闘に利用しようとする。
ギャラクシー船団出身でシェリルのマネージャーを務めていたグレイス・オコナーは、バジュラの力を利用し全宇宙を支配しようとしていた。ランカの力を知ったグレイスは、その野望のために当初利用するはずだったシェリルを捨て、ランカ獲得へと動き出す。シェリルの歌声もまたバジュラに影響を与える力を持ってはいたが、ランカのそれは遥かに強力なものだった。
戦乱の中、ランカはあくまでバジュラを「殲滅」させようとする人類に疑問を抱き始める。一方で「自分の歌声がバジュラを呼んだのではないか」との疑念に囚われた彼女は、これ以上フロンティア船団に留まることはできないと考え、アルトに別れを告げバジュラの元へ向かう。
決戦と和解と新たな旅立ち
シェリルとランカの歌声がバジュラに影響を与えるのは、彼女たちが幼い頃にバジュラと接触し、その共生菌を体内に取り込んでしまったためだった。完全な共生体であるランカと違い、中途半端な共生体であるシェリルは徐々に体を蝕まれ、長くはもたない状態となる。
バジュラの本星を発見したフロンティア船団は、バジュラとの戦いに決着をつけるべく総攻撃を開始。余命少ないシェリルが必死に歌声を響かせ、バジュラの動きを弱めようとする。しかしグレイスに洗脳されたランカの歌声がシェリルの歌声を掻き消し、S.M.Sとフロンティア船団を追い詰めていく。
ブレラもまたグレイスに洗脳されていたが、アルトとの戦いでそのための装置が破壊され、「自分はランカの兄である」という記憶と本来の人格を取り戻す。アルトとブレラの必死の呼びかけと、心折れて命尽きかけてもなお歌い続けるシェリルの歌声によってランカもまた正気を取り戻す。
シェリルとランカの歌声が、人類を「意思疎通のできない敵」と認識していたバジュラに「人とは何か」を理解させるに至る。人類への誤解を解いたバジュラとS.M.Sにより、グレイスとその背後にいたギャラクシー船団の生き残りの野望は打ち砕かれる。
その後バジュラは別の銀河へと去って行き、ランカの体内の菌を取り込むことでシェリルの体調も回復。人類は自然豊かなバジュラの本星へと降り立ち、アルトは夢だった「どこまでも続く空」を思うまま飛び回るのだった。
「マクロスフロンティア」の主要登場人物・キャラクター
早乙女アルト(CV:中村悠一)
美星学園高等部パイロット養成コースに通う高校生。
歌舞伎の名門の家系に生まれたため、中等部は演劇コースへ在籍していたものの、高校進学時に転科。
空への憧れと父親との確執から、バルキリーパイロットを目指している。
普段は反抗的で斜に構えた性格をしている。
成績は次席、端正な顔立ちと長い髪の容姿から「万年2位のアルト姫」とからかわれている。
バジュラに襲われそうになったランカを助けるためにバルキリー「VF-25」に乗り込んだことがきっかけで、民間軍事部隊S.M.Sへ入隊することになる。
ランカ・リー(CV:中島愛)
お嬢様学校である名門「聖マリア学園」に通う普通の女子高生。
中華料理店「娘々(にゃんにゃん)」でアルバイトをしながら、兄であるオズマ・リーと暮らしている(血縁関係はない)。
ゼントラーディ人(巨人の異星人)のクォーター。
シェリルに憧れており、歌うことが好き。
のちに彼女の歌が、人類とバジュラとの戦いの重要なカギとなる。
シェリル・ノーム(CV:遠藤綾、歌:May'n)
マクロス・ギャラクシー船団出身のトップアイドル。
「銀河の妖精」と呼ばれている。
銀河ヒットチャートでは常に上位にランクインされており、「この銀河に暮らしてシェリルの歌を聞かない日はない」と言われている。
マクロス・フロンティアでも不動の人気を誇る。
その美貌と卓越した歌唱力ゆえか、ひときわプライドが高く、自信を持っている。
ミハエル・ブラン(CV:神谷浩史)
美星学園パイロット養成コースの高校生。
アルトの同級生であり、良きライバルでもある。「アルト姫」のあだ名をを命名した張本人。
親しい人からは「ミシェル」と呼ばれている。
女性と見れば口説かずにはいられない。
射撃の腕が抜群で、敵も女も、狙った獲物は必ず落とすことをモットーにしている。
ルカ・アンジェローニ(CV:福山潤)
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目次 - Contents
- 『マクロスF』の概要
- 『マクロスF』のあらすじ・ストーリー
- 2人の少女とパイロット候補生
- 歌声が招く脅威
- 決戦と和解と新たな旅立ち
- 「マクロスフロンティア」の主要登場人物・キャラクター
- 早乙女アルト(CV:中村悠一)
- ランカ・リー(CV:中島愛)
- シェリル・ノーム(CV:遠藤綾、歌:May'n)
- ミハエル・ブラン(CV:神谷浩史)
- ルカ・アンジェローニ(CV:福山潤)
- 松浦ナナセ(CV:桑島法子)
- オズマ・リー(CV:小西克幸)
- キャサリン・グラス(CV:小林沙苗)
- クラン・クラン(CV:豊口めぐみ)
- グレイス・オコナー(CV:井上喜久子)
- ブレラ・スターン(CV:保志総一朗)
- これだけは最低押さえたいマクロスフロンティア用語解説
- 超長距離移民船団マクロスフロンティア
- マクロス・ギャラクシー船団
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