アスラン・ザラ(機動戦士ガンダムSEED)の徹底解説・考察まとめ

アスラン・ザラとは、『機動戦士ガンダムSEED』の登場人物。続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では「主軸となる3人」の1人を演じている。
アスランは遺伝子レベルで強化されたコーディネイターで、スペースコロニー群プラントが擁する軍事組織ザフトの若きエースパイロットである。プラント最高評議会の議長パトリック・ザラを父に持つ。親友のキラ・ヤマトと戦場で殺し合うことに苦悩し、後に彼と共に「戦争と憎悪の連鎖を止める」ために戦い始める。真面目で高潔な少年で、様々な女性から思いを寄せられた。

「でも…なんで俺は生きてるんだ?」

キラとの壮絶な死闘を制したアスランの顔には、喜びどころか絶望しか浮かんでいなかった。カガリに「どうしてキラを殺した、あんなにいいヤツだったのに」と糾弾されたアスランは、「敵だったから殺した」と言いつつ、「でも…なんで俺は生きてるんだ?」と言葉を続ける。
アスランの苦悩と絶望がこれでもかと感じられる。キラを友人として信頼していたカガリも、「頼むから殺してくれ」と言わんばかりのアスランの憔悴ぶりに絶句し、彼らを戦い合わせた戦争の無情さに涙するしかなかった。

「あいつらを死なせたくない!」

キラと再会したアスランは、これからどうするのかをかつての仲間に問われ、迷いながらも「あいつらを死なせたくない!」との言葉を口にする。キラにとって最大最強の敵だったアスランが、今度こそ仲間として戦ってくれることが分かり、これまで物語を追ってきた者の心がどうしようもなく沸き立つ名シーンだ。

「お前がほしかったのは、本当にそんな世界か!力か!」

メサイアを巡る攻防の中、「デスティニープラン実行のため、世界から戦争を無くすためなんだ」と己に言い訳しながら、母国であるオーブを滅ぼすために戦い続けるシン。アスランはそんなシンに「お前がほしかったのは、本当にそんな世界か!力か!」との言葉をかけ、彼が本当に望んでいたのがなんなのかを改めて問い質す。
アスランとシンとの関係は、アスランが「自分がやっていることは正しいのか」と悩み続けていたこともあってうまくいっていたとは言いがたいものだった。しかしこの最後の戦いにおいては、アスランは敵対する立場ながらシンの導き手としての役目を全うし、彼の過ちを正した。

アスラン・ザラの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ファンも気になる「アスランの最終的なパートナー」

美形で優しく、若いながらも社会的なステータスが高いアスランは、作中でも様々な女性たちと関わっている。親同士の決めた婚約者であるラクス・クライン、オーブの公人で初めて自ら好意を抱いた女性でもあるカガリ・ユラ・アスハ、ラクスの替え玉として利用される中でアスランをも手に入れようとしたミーア・キャンベル、ミーハー気分でアスランに憧れたルナマリア・ホーク、そのルナマリアの妹でアスランのザフト脱走に自ら巻き込まれていったメイリン・ホーク。
『機動戦士ガンダムSEED』シリーズが放送中だった頃から、「アスランが最終的に選ぶパートナーは誰なのか」は、ファンの間でも様々な形で話題になっていた。特にアスランとの関係について取り沙汰されるのが、カガリとメイリンである。

1度は別れたとはいえ、アスランとカガリは未だに互いを特別な存在として意識しており、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の作中でもそれはたびたび描写されている。立場などの問題が解決すれば、2人はそのまま結ばれるのではないかとする声も多い。しかし「プラントの英雄」と「オーブの公人」というそれぞれの立場はもはや本人たちにはどうすることもできないほど2人の人生に深く関わっており、アスランたちが「広く世のために自分の力と立場を活かそう」と振る舞う限りは彼らの結婚は難しいのではないかとする意見もまた根強い。
メイリンは『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のラストシーンではちゃっかりアスランの隣をキープしており、「アスランが必要としてくれるなら、どこまでも彼についていく」との覚悟をある程度固めていると思われる。キラたちが「アスランがメイリンと行動を共にしている」ことについて苦言を呈する様子はなく、他ならぬカガリまでもが「アスランのことを頼む」とメイリンに告げている。つまりアスランの周囲は「本人がそれを嫌がらないのであれば、メイリンにはアスランのサポート役になってもらった方がいい」と考えていることになるが、事実上祖国と肉親を捨てることになるメイリンの将来については誰も何も言及していない。

これが「アスランがメイリンを選ぶのならそれは個人の自由」だと考えているからなのか、「アスランはカガリを愛しているから、他の女と一緒に行動させても問題ない」と考えているからなのかは特に明言されていない。しかし後者だとすれば、利用される形になっているメイリンに実の姉のルナマリア辺りから一言くらい助言があっても良さそうである。
『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ完結編として制作された劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』では、描写自体は少ないものの、アスラン周りの女性の関係が改めて整理されることとなった。この作品では、「それぞれの歩む道の違いから距離を置くことにはなったが、アスランとカガリは今も強い絆で結ばれている」、「メイリンは相変わらずアスランと共に行動しているが、あくまで仕事上のパートナーである」という形で彼らの姿が描かれ、「アスランはやはりカガリを愛し続けているのだ」との意見がファンから相次いだ。

しかし考えようによっては「アスランとカガリは別れても相思相愛である」、「メイリンはアスランについていく覚悟と彼の相棒として十分な能力はあるが、彼女自身の将来については誰も言及していない」という、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』終了時点でのアスランたちの状況が“公式にはっきり描かれた”だけとも取れる形で、何も変わっていないという見方もできる。
最終的にアスランの隣にいるのが、深い絆で結ばれたカガリなのか、どこまでも彼に従うメイリンなのか、ファンは熱い議論を続けている。

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