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タイガーマスク（漫画・アニメ）のネタバレ解説・考察まとめ

『タイガーマスク』とは、原作：梶原一騎、作画：辻なおきによる1968年の漫画作品である。「月間ぼくら」、「週刊ぼくらマガジン」、そして「週刊少年マガジン」と3種類の雑誌に連載された。尚、本作はメディアミックス作品であり1969年からはTVアニメの放映もはじまり、全105話が放映されていた。謎の組織「虎の穴」から送り込まれてくる悪役レスラーと戦いながら、みなしごたちのためにつくそうとする覆面レスラーのタイガーマスクこと伊達直人（だて なおと）の姿を描いた作品である。

常識はずれの特訓

タイガーマスクの回想の中に出てくる特訓シーン

梶原一騎作品の大きな特徴として、常識はずれの壮絶な特訓シーンがある。『タイガーマスク』は特に極端な方に分類されるが、その中のひとつに、後ろにうごくベルトコンベアーの上を走り続けることがある。どれだけ疲れても走り続けなければならず、力尽きれば、後ろのノコギリにより命を絶たれることとなる。その他にもライオンや虎、豹などの猛獣と素手で戦うことなど、生きているのが不思議なほどの特訓が、いやというほど登場してくるのである。『タイガーマスク』ほどではないにしろ、他の作品でも過激な特訓を行う描写がある。『巨人の星』の星飛雄馬は、大リーグボール養成ギブスという名の強力なエキスパンダーを服の下に四六時中着こんでいた。『侍ジャイアンツ』の番場蛮は、跳躍力を鍛えるため、バイクで突っ込んでくる相手を飛び越える訓練や、モーターボートに紐をくくりつけ海中にひそみ、海上でぐるぐる旋回することで、高速回転に目を慣れさせる訓練を受けていた。『ジャイアント台風』の作中では、ジャイアント馬場は、顔面上部をつかみ痛さで失神させるアイアンクローという技に対抗するため、顔面上部を、ジープでひかせて耐えるというとんでもない特訓を受けていた（なお、インタビューを受けたジャイアント馬場の回答によると、完全なフィクションとのことである。実際にそんな特訓を行えば、命を失うと笑って答えたそうである）。現実にはあり得ない壮絶な特訓ばかりであるが、不思議と実現可能な気にさせられるのが梶原一騎作品の特徴である。

続編①_漫画版の分

タイガーマスク二世とスパーリングパートナーのアイアンガー

『タイガーマスク』の漫画版とアニメ版は途中から大きく話の流れが異なってしまったため、最終回も全然趣きが違うものとなっている。そんな二つの話にはそれぞれ続編が存在するのだが、当然、全く別の話になっている。そこではタイガーマスクという言葉のみ共通するパラレルワールドのような話が展開されている。
漫画版の続編は『タイガーマスク二世』という話である。事故で亡くなった初代タイガーマスクこと伊達直人の遺志を受け継ぎ、こまどり学園の孤児である亜久竜夫（あく たつお）が、新たなるタイガーマスク＝タイガーマスク二世としてプロレス界で活躍する物語である。タイガーマスク二世は、強くなるために虎の穴で修行を積んでいたという設定になっている。残党がいるとしても壊滅的な打撃をうけたはずの虎の穴がどのように復活したのか、またファイトマネーの上納などの掟はどうなっているのかなど、気になる点は存在するが、物語はそれ以上言及していない。そもそも虎の穴は敵ではないのだから、ここまでの扱いとなっている模様である。では、タイガーマスク二世の戦う相手は何なのかというと、オイルダラーのアーマン・ハッサンが支配する「宇宙プロレス連盟」である。その組織も怪奇な覆面レスラーたちをかかえており、タイガーマスク二世は、その宇宙プロレス連盟のレスラーと死闘を繰り広げるのである。1980年から1982年まで、増刊少年マガジンに掲載されていた。1981年にはアニメ化もされている。さらには、二次元の世界にとどまらず、まるで物語とリンクするかのごとくアントニオ猪木の率いる新日本プロレスに、タイガーマスクがデビューすることとなった。あたかもアニメから抜け出てきたかのような超人的なファイトぶりと原作者の梶原一騎の漫画とクロスオーバーする演出効果のおかげで、人気はすさまじいものとなり、新日本プロレスの躍進の大きな原動力となったのである。

続編➁_アニメ版の分

タイガーマスクWの二人の主人公

一方のアニメ版の続編は『タイガーマスクW』である。こちらは、アニメ化に焦点がしぼられている。2016年10月から2017年7月までテレビ朝日系列で放映されていたが、この時点で既に梶原一騎が故人となっているため、良くも悪くも梶原一騎の作風を感じさせないアニメとなっている。数十年の経過後という設定であり、長い時を経て復活した虎の穴と、新たなるタイガーマスクとの戦いを描いている。タイガーマスクWというタイトルは二人の主人公に由来している。ひとりは初代タイガーマスクの意思を引き継ぎ虎の穴と正面から戦う物であり、名を東ナオト（あずま ナオト）という。もうひとりは、虎の穴に所属していながら、その虎の穴を内部から崩そうとするものであり、名前を藤井タクマ（ふじい タクマ）という。この二人の主人公がそれぞれ別々のタイガーマスクとなっている。時に味方となり、時に敵となりながら、最終決戦では、虎の穴打倒のため共闘していくのである。タイガーマスクのアニメ版の登場人物と何等かの因縁を持っている人物が多数登場していて、アニメファンにとっては、人物繋がりを調べてみると、より楽しめる作品となっている。

「タイガーマスク運動」について

発起人の河村正剛（かわむら まさたけ）さん

『タイガーマスク』の物語は架空のものであるが、現実社会に大きな影響を与えたことがある。2010年12月25日、群馬県前橋市の児童養護施設に、「伊達直人」名義でランドセルが贈られたことをきっかけに、全国の施設で寄付行為が相次いだ「タイガーマスク運動」こそが、まさしくそれである。伊達直人が実際に現れ、『タイガーマスク』の物語と同様、善意ある行動をとったことが話題となり、タイガーマスク運動はたちまち社会現象となったのである。発起人は、群馬県前橋市に在住の会社員・河村正剛（かわむら まさたけ）さん。最初は正体を明かしてこなかったが、2016年12月7日、プロレスラーの初代タイガーマスクこと佐山聡（さやま さとる）氏のデビュー35周年大会でリングに上がり、自らが伊達直人であることを公表した。売名行為などといわれない中傷をうけることもあったそうだが、みなしごたちの支援が民間レベルで終わることがなく行政にまでおよぶことを期待して、氏名の公表を決意したとのことである。その甲斐あって、2017年3月には、前橋市と共にふるさと納税を活用した社会的養護の支援制度「タイガーマスク運動支援プロジェクト」が発足されたのである。『タイガーマスク』の物語の中では、伊達直人はひたすらみなしごたちの幸せのため戦い続けていたが、その願いが、現実世界では意外な形で実現していたのである。

『タイガーマスク』の主題歌・挿入歌

OP（オープニング）：新田洋「行け！タイガーマスク」

作詞：木谷梨男
作曲・編曲：菊池俊輔

ED（エンディング）：新田洋「みなしごのバラード」

作詞：木谷梨男
作曲・編曲：菊池俊輔

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