タイガーマスク(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『タイガーマスク』とは、原作:梶原一騎、作画:辻なおきによる1968年の漫画作品である。「月間ぼくら」、「週刊ぼくらマガジン」、そして「週刊少年マガジン」と3種類の雑誌に連載された。尚、本作はメディアミックス作品であり1969年からはTVアニメの放映もはじまり、全105話が放映されていた。謎の組織「虎の穴」から送り込まれてくる悪役レスラーと戦いながら、みなしごたちのためにつくそうとする覆面レスラーのタイガーマスクこと伊達直人(だて なおと)の姿を描いた作品である。

タイガーマスクの3大必殺技(タイガーマスクのさんだいひっさつわざ)

ウルトラ・タイガー・ドロップ

ウルトラ・タイガー・ドロップ

タイガーマスクが編み出した必殺技のひとつ。相手が突進してきたところを見計らい、態勢を低くして、相手の膝から自分の肩に肩車の要領で乗せる。そして後ろ向きでロープを上り、最上段から、マットに向かって飛び降りて、勢いを利用しながら、マットにたたきつける。まともに決まれば対格差をものともせず、相手をKOすることができる。この技で数人の強豪を撃破してきたが、ロープを上る前に相手がロープ最上段をつかむと、それ以上身動きがとれなくなり、反撃を許すことになるという致命的な弱点が露呈されてしまい、その後は使用されることはなかった。

フジヤマ・タイガー・ブリーカー

フジヤマ・タイガー・ブリーカー

タイガーマスクが編み出した必殺技のひとつ。相手の両手を持ちながら巴投げをかけて、背中が地面を向くようにけりあげる。その後数回蹴り上げることを続けてから、最終的にはより高く蹴り上げて、落ちてくるまでの間にさっと立ち上がり、相手の背中を頭で受け止める。結果として背骨折りが決まり、相手を戦闘不能に追い込む技である。応用のきく技であり、柔軟性が高いブラックV相手には、背骨折りをかけたまま、場外に飛び込みダメージを増幅させたり、チェーンデスマッチで戦ったザ・コンビクト相手には、自らも飛び上がることで、自分の頭ではなくコーナーポストにたたきつけたりと、様々なバリエーションを見せていた。しかしミラクル3には通用しなかった、落ちてきて背骨折りをきめられる瞬間に、体操のあん馬の要領で、タイガーマスクの頭を両手で支えて背骨折りを決めさせないという荒業で破られたのである。もっとも、それはミラクル3だからこそ成しえたことであり、通常の相手であれば十分に有効な技となる。現に悪役ワールドリーグ戦の中で、1回、使用されている。なお、アニメ版では、ウルトラ・タイガー・ドロップに次ぐ必殺技の意味を込めて「ウルトラ・タイガー・ブリーカー」と命名されている。

タイガーV(タイガーヴイ)

タイガーV

タイガーマスクが編み出した技のひとつ。漫画版のみ登場。ロープ際で突進してくる相手を待ち受ける。ぎりぎり当たる寸前で、寝転びながら、相手を場外に蹴り飛ばす。その際に両足首をつかむことで、脳天があたるよう、相手の体勢をコントロールする。自分も同時に落ちてしまわないよう、ロープ最上段に足を引っかけることで技が完成する。リング上では無敵の技であったが、虎の穴との最終決戦で、この技を屋外で使用したときには、ロープがないことを忘れ自爆したことがあった。

『タイガーマスク』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

若月ルリ子「くるしくてもまじめにただしくいきぬくべきだと」

タイガーマスクに願いを伝えるルリ子

タイガーマスクがブラック・パイソンと戦っていた時に、リング下で若月ルリ子が、タイガーマスクに懇願していた台詞である。健太がちびっこハウスを抜け出し、タイガーマスクの試合会場にきているものと察知した若月ルリ子は、予想通り、リングのすぐそばでタイガーマスクを応援している健太を見つけることができた。その時に健太は、タイガーマスクは自分のあこがれであり、悪役殺法にとてもしびれること、そして自分もタイガーマスク同様人生の悪役になるのだと言い放つのだった。どうせみなしごだから、反則で人生をわたってやるとまで言われたのである。ルリ子は健太をしかることはせず、タイガーマスクに向かって話しかけ始めた。「ひとりの少女の命がけのお願いです。いまおききのとおり、この子はまちがった道にまよいこもうとしています。この子のあこがれのあなたからおしえて。世の中ってそんなものじゃない。くるしくてもまじめにただしくいきぬくべきだと」。その言葉を聞いたタイガーは、その瞬間から悪役レスラーではなく、正統派レスラーとしてファイトすることを誓ったのである。タイガーマスクという物語の根底に流れるテーマが表現された場面である。

若月ルリ子「人間ってそんなにたやすくうまれかわるものではないわ」

健太に教えさとすルリ子

タイガーマスクが、赤き死の仮面と対戦した時、勝つには勝ったが、それはさんざん反則技を駆使した上での勝利であった。タイガーマスクが再び悪役レスラーに戻った姿をみて、落ち込む健太。そんな健太に対して、若月ルリ子は「タイガーマスクは、また反則にくるってしまったけれど、ひっしにわざのレスラーとしていきようとしたこと。それは健太くんもよくしっているわね。そのどりょくがとうといのよ」と語る。さらに「人間ってそんなにたやすくうまれかわるものではないわ。でも、うまれかわろうとするどりょく。そのどりょくをわすれない人なら、いつの日かよみがえることができるわ」とも語りかけていた。その言葉を聞き、涙を流しながらも、タイガーマスクの復活を願う健太であった。

大岩鉄平「七ころび八おきの根性を教えてやってください」

身体をはって話しかける大岩鉄平

タイガーマスクがミラクル3に敗北して姿を消していた時、付き人をしていた大岩鉄平(おおいわ てっぺい)がテレビを通して、タイガーマスクに語り替えていた言葉である。もはや、ちびっこハウスの子供たちにとってのヒーローではなくなってしまったが、大事なことはこの後であり、敗れてもなお立ち上がる姿を子供たちにみせてあげてほしいとの、魂のさけびであった。「今こそタイガーさんが身をもって七ころび八おきの根性を教えてやってください」。この叫びにこたえ、再びタイガーマスクは、虎の穴との戦いを始めるのである。

ジャイアント馬場「ほんとうにえんをきりたい人間なら」

度量の大きさを見せるジャイアント馬場

ミラクル3がタイガーマスクに敗れてしまった後、もはや手段を選ばなくなったミスターXはちびっこハウスの健太を攫い、タイガーマスクを虎の穴本部におびきだした。現れたタイガーマスクに対して一斉におそいかかる練習生たち。次第に劣勢となっていき、ついにダウンして危機一髪の状況となったのだが、その場にかけつけたジャイアント馬場たち日本プロレス協会の精鋭たちの助太刀で、形成は逆転された。命拾いしたタイガーマスクは、ジャイアント馬場にどうして縁をきったはずの自分を助けにきてくれたのかと聞いたところ、「ほんとうに縁をきりたい人間ならにくまれぐちなどたたかず、もっときれいごとをいうものさ」と馬場は答えたのである。身体の大きさのみでなく、人間としての器の大きさを見せつけたジャイアント馬場であった。

ミスターX「とらの穴にプロレスのスポーツマンシップを期待するとは」

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