巨人の星(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『巨人の星』とは星飛雄馬が主人公の日本を代表する野球マンガで、1960年代と1970年代に大ヒットした。その後も続編『新・巨人の星』が制作されただけではなく、原作を母体とした別の作品まで制作された。『巨人の星【特別編】 猛虎 花形満』などである。『巨人の星』の内容は、飛雄馬が野球のスターを目指していく物語。最初は速球での勝負だが通用しなくなると魔球で戦っていくことに。この基本ストーリーに、父、姉、ライバル、巨人軍実在選手との人間関係を絡ませていき、当時の社会情勢も背景に取り入れている。
『巨人の星』の概要
『巨人の星』とは1966年から1971年まで講談社の『週刊少年マガジン』に連載されていた作品で、原作者は梶原一騎、作画者は川崎のぼるである。5年間にわたり連載が継続した大ヒット作品。そのためついにアニメとしてテレビ放送されるまでになった。一般論として作品の誕生の仕方は二つある。ひとつは、作者が主体となって自分で気に入って制作した作品を、出版社が正式に作品として世の中に送り出す方法。もう一つは、出版社が主体となって、作者に依頼し制作した作品を正式に作品として送り出す方法の二つ。『巨人の星』は後者の作品であった。少年マガジン編集部が、大ヒットするような野球漫画を制作したいということを実現させた作品である。
『巨人の星』は、『週刊少年マガジン』で1966年19号から1971年3号まで連載された。その直後KC版という『講談社コミックス』で、全19巻が刊行されることに。その後1995年には、文庫版、全11巻が刊行された。『巨人の星』は、さらにその続編まで製作されたのである。『新巨人の星』(TVアニメは『新・巨人の星』という表記)で、これは1976年から1979年まで『週刊読売』に連載された。『巨人の星』は、日本テレビでアニメ化された影響で、『新・巨人の星』は読売新聞社も参加することになったのであった。そして『新巨人の星』も、KC版全11巻、文庫版全6巻刊行された。『巨人の星』と同じく『新巨人の星』も日本テレビでアニメ化もされることに。
『巨人の星』のアニメ放送は、1968年3月30日から1971年9月18日までであった。毎週土曜日の19時00分から19時30分まで日本テレビ系列で放送された。アニメはもちろん原作漫画を土台としていて、ほぼ忠実に再現している。それに加えてアニメ独特のストーリーがたくさん盛り込まれており、アニメ独自のすぐれた作品になっている。そのため、原作漫画とは違い、別の楽しみ方ができるのだ。アニメはアニメ独自の新たな作品となっているからである。ではどういう箇所が原作漫画と違うのかだが、特に最終回のシーンは、原作漫画とアニメは大きく違う。その違いは以下の方法で楽しむことができる。原作漫画は、講談社コミックス(KC版)全19巻、講談社漫画文庫(文庫版)全11巻、KCデラックス(HGT版)全7巻、これらで読むことができる。アニメは、2006年にDVD化している。
『巨人の星』のあらすじ・ストーリー
星飛雄馬の幼少期
六大学野球で活躍した長嶋茂雄(ながしましげお)が巨人軍に入団した。そのころ、主人公の星飛雄馬(ほしひゅうま)は、子供のころから、父親の星一徹(ほしいってつ)からスパルタ訓練を受けていた。巨人軍に入団してスター選手になるためにである。星一徹は、元巨人軍の三塁選手であったが、挫折した経験がある。そこで自分の息子の飛雄馬に、絶対に自分の代わりにその夢を実現させてもらいたかった。そのため、一徹は飛雄馬に一日中厳しい訓練を課していた。
飛雄馬は正義感が強く、困っている同級生を助けるために訓練で身に着けた腕前を使っていた。しかし父親の一徹は人前では野球の腕前を見せてはいけないという考えを持っていた。そこで飛雄馬が自由に体を動かすことができず、かつ訓練にもなる方法を考えた。そうすれば、キャッチボール、ノック、うさぎ跳び、といったお決まりの訓練時間内だけでの訓練にとどまらず、日常生活すらも訓練にすることができる。飛雄馬はエキスパンダーの鉄でできたバネがたくさんついているチョッキのような養成ギプスを、絶えず上半身に身に着けることを強制された。学校に行く時もである。学校での授業中も、絶えず鉄製のバネによる反対方向に引かれる力に、耐えていなくてはならないのである。父親の一徹はこのように、飛雄馬に常に厳しい態度で接していた。
ある日、飛雄馬は球場で甲子園で活躍した王貞治(おうさだはる)の練習を見ていた。その時、花形満(はながたみつる)の少年野球チームのブラックシャドーズがやってきて、グランドの奪い合いになってしまった。飛雄馬はこの時花形満という宿命のライバルと出会った。中学3年生になった飛雄馬は、進学か就職か迷っていた。このころ花形は紅洋高校の野球部で活躍しており、その花形から甲子園で会おうと言われる。
飛雄馬には姉の明子(あきこ)がいたが、母親がいなかった。そこでこの明子が飛雄馬の母親代わりであった。厳しい父親の一徹とは正反対で、飛雄馬が一徹と対立した時など、常に味方になってくれた姉。その明子は、家計を助けるためガソリンスタンドで働いていた。そこへ花形がやってきて飛雄馬の進学先の高校を尋ねたが、まだ決まってはいなかった。一徹は飛雄馬に青雲高校で野球をせよという。しかし青雲高校のPTA会長の伴大造(ばんたいぞう)は飛雄馬の入学に反対するのだった。
星飛雄馬の高校時代
星飛雄馬(ほしひゅうま)は青雲高校に入学した。ここで将来の親友となる伴宙太(ばんちゅうた)と出会う。しかし入学した時は伴宙太は飛雄馬に攻撃的で、野球部に入部した飛雄馬を徹底的にしごき始めた。飛雄馬は、伴の技術コーチ就任に反対する。そこで伴はピッチング対決を申し出た。その戦いを経て、伴の飛雄馬に対する気持ちが変わり、柔道部だった伴は野球部に入部した。2人はそれぞれピッチャー、キャッチャーとして固い友情で結ばれていくことになった。
青雲高校は花形の高校と練習試合をすることに。花形の高校は甲子園候補の高校だった。8回裏、3対1で花形の高校がリード。その場面でピッチャーは飛雄馬で、バッターは花形だった。この練習試合では、飛雄馬のおかげで引き分けになったため、飛雄馬は周囲からおだてられる。飛雄馬はいい気になったが、一徹はそれを不快に思った。
一徹は青雲高校の野球部の監督に就任する。この時から飛雄馬と父一徹の対決が始まった。山寺の階段を何度も往復させられたり、街中をうさぎ跳びさせられたり、校内のごみを埋める穴掘りをさせられたり、さらにごみ捨ての作業までさせられる始末であった。野球の練習をまったくさせてもらえなず、一徹監督の練習に対して野球部員の不満が高まる。
高校内部で紅白試合が行わられることになった。レギュラーチーム対補欠チームの戦いである。部員たちは飛雄馬をエースにするための試合であろうと疑う。レギュラーチームの監督は一徹に。一徹はメンバーに飛雄馬打倒の仕方を教えた。一徹のへそ作戦で飛雄馬は苦戦することに。
甲子園の地区予選が始まった。東京地区予選で青雲高校の第1回戦の相手高校は前年度の東京代表、帝都学園になった。第2回戦は関東高校であった。準決勝は旭高校であった。決勝戦の朝、伴大造主宰の祝勝会で野球部員達は食べすぎて下痢で倒れてしまう。元気なのは飛雄馬と宙太だけであった。しかしどうにか甲子園大会に出場することができた。甲子園大会まであと10日という時に、伊豆の南禅寺で合宿訓練をすることに。一方神奈川地区予選では、花形の高校が決まる。
甲子園大会開幕。1回戦の相手は前年度の優勝校愛知県代表の三河高校であった。しかし青雲高校野球部員たちは花形の高校を相手にするより良かったと安心する。甲子園大会初日の第3試合、飛雄馬の豪速球と太刀川の魔球との戦いであった。1回戦終了後、雨天練習のため虹ケ丘高校の体育館を借りる。元女子高であったため、女子生徒が多い高校であった。準決勝戦は熊本農林高校であった。ここで左門豊作と戦う事に。しかしこの試合で、左門の折れたバットを叩き落し、飛雄馬は左親指の爪を割ってしまった。決勝戦の朝、雨が長く降って決勝戦が延期になるようにと飛雄馬は願う。
ついに決勝戦が始まった。この時、巨人軍の藤田投手コーチと荒川打撃コーチも観戦に来ていた。花形のサヨナラホームランで花形の高校が優勝。花形は記念としてホームランボールをもらったがそれには飛雄馬の血がついていたため、飛雄馬がけがをしていたことを知る。ここで飛雄馬は花形だけではなく将来のライバルになる左門豊作とも出会うことに。花形満と左門豊作。二人は全く対照的なライバルだった。花形満は、自分より恵まれた地位にいて劣等感を持つライバル。しかし左門豊作は、自分より不幸な地位にいるため優越感を感じるライバル。そのため飛雄馬の二人に対する対応が全く違うのであった。花形満には、全く容赦しないで対決していく。しかし左門豊作には、全力を出すことに躊躇してしまうのであった。
試合の結果に伴大造が不満を持ち、野球部を解散させると言い出した。その後、伴大造は何者かに襲撃される事件が起きる。これは解散すると言われた野球部員の何者かによる犯行だと疑われた。飛雄馬は友人の牧場の身代わりとして退学することに。
このころ花形満はマスコミから取材攻めになっていた。花形は、飛雄馬の優秀さを話題にしたがったが、マスコミは相手にしなかった。しかし飛雄馬の決勝戦での負傷のことが分かると、飛雄馬の評価が変わることに。11のプロ野球球団がスカウトに殺到することになった。
飛雄馬の巨人軍入団
高校を退学した飛雄馬は、巨人軍の入団テストを受けることになった。飛雄馬は一徹から渡された思い出のスパイクををはき、気を引き締めて受けることに。入団テストでは伴宙太がいた。1次審査、2次審査、3次審査の打撃審査と行われていく。飛雄馬は合格し入団した。背番号は永久欠番の16番。このころ、花形満は阪神タイガースに、左門豊作は大洋ホエールズにプロ野球チーム入団が決まった。飛雄馬の二軍の合宿訓練が始まった。飛雄馬は東映戦で完封勝利をしたりして二軍で活躍を見せる。しかし一軍に行くまではかなりの苦労であった。そこへ伴宙太がやってきて、飛雄馬は喜ぶ。
飛雄馬はまずは、巨人対阪神戦で7回表、ノーアウト、ランナー二塁で、リリーフに送られる。飛雄馬に試練が与えられた。次は巨人対大洋戦であった。ここで飛雄馬が登場したが、代打が左門であった。左門は予告ホームランを出す。飛雄馬は勝負に負けて落ち込んでしまう。飛雄馬は逃げるようにして街を出て行った。伴宙太は飛雄馬が心配になり練習にも身が入らない。飛雄馬と伴の2人はボクシングジムに行くことに。飛雄馬はここに足りなない訓練があると、投手として復活するための訓練を始めた。リング上のプロボクサーとのスパーリングを申し出る。飛雄馬と伴はこうして新しい変化球を生み出す訓練を開始した。
飛雄馬は川上監督から一軍昇格を告げられる。巨人軍は、倉田投手のおかげで大洋との3連戦で連敗を止めたが、中日戦で負けてしまう。このような状況で飛雄馬はついに大リーグボール1号を身に着けて復活を果たした。
大リーグボール1号
飛雄馬は対大洋ホエールズで左門豊作と対決。ボールは左門のバットに命中して、内野ゴロに。これで大洋ホエールズはせっかくのチャンスを失ってしまう。しかしこの光景を見た世間は飛雄馬の左門に対する苦手意識から手元がくるってボールが左門のバットにぶつかってしまったのであろうという受け止め方であった。たまたま左門にとって不幸なことなのであったのであろうと。しかし左門はそうとは受け止めなかった。この試合をテレビで見ていた一徹も世間とは違う見方であった。飛雄馬が新しい投法を身に着けたことを喜んだのである。
その後、世間もこの大リーグボールを認めるようになった。こうして遂に飛馬は阪神タイガースと試合することに。花形満は飛雄馬の大リーグボールをこの時、目の前で初めて見ることになった。4番打者カークランドがバッターボックスに入ると、彼は突然バットを回転させた。しかし飛雄馬はそのようなことに動揺しなかった。投げたボールは見事命中。そしてついに次の打者、5番花形満と対決することになった。2軍のバッター練習投手として落ち込んでいた飛雄馬と、今まで1軍スター選手として活躍していた花形満との対決である。結果は飛雄馬は花形満のバットに命中させ投手フライにさせることができた。
花形満はオールスターで投票第1位になったが大リーグボールに負けたショックで落ち込んでいた。しかし入場セレモニーの時に風船のひもが手に絡んだことで、大リーグボールに勝つヒントをつかむ。花形は早速鉄バットで秘密の訓練を開始。自動車工場内鉄バットを使用しての訓練であった。首位を競いあう巨人対阪神戦。6対5で巨人有利の8回裏、代打で花形満が登場する。花形満は飛雄馬に予告ホームランを告げた。飛雄馬の大リーグボール1号は、負けてしまう。この様子を見ていた左門豊作は失望した。自分が一番先に大リーグボールを打倒したかったからである。巨人は次に中日と戦った。飛雄馬はこの対中日戦では、完全試合を達成できそうだった。六回裏、アームストロング・オズマが登場。飛雄馬はカウント、ノースリーから大リーグボールを投げると、オズマはバットをベース上に出して、また構えなおすという花形と同じ打法をとった。大リーグボール1号はこうして打ち負かされてしまった。飛雄馬は疲れ果ててグランドに倒れてしまう。
大リーグボール2号
飛雄馬は大リーグボール1号の敗北でショックを受けていた。このころ姉の明子に花形から花束が贈られてきた。飛雄馬は花形と明子が結婚するのであれば自分のこれまでの野球人生は無駄ではなかったと喜ぶ。しかし明子は飛雄馬を叱った。姉の明子からも見放された飛雄馬は公園で一日中自分の手を見つめていた。そこで子供のゴムまり遊びからのヒントを得て、ボールが消える投げ方を身に着けることに成功。大リーグボール2号の完成だった。完成した大リーグボール2号のテスト打者とされた川上監督は、飛雄馬をさっそく対中日戦で戦わせることにした。飛雄馬はオズマと再び対決する。このとき飛雄馬が投げた球が、一瞬見えなくなってしまった。オズマはこれに恐怖を感じて震えてしまう。オズマだけではなかった。オズマ以外の中日の選手も呆然としてしまう。この光景で球場は大騒ぎになった。一徹は何とかしてオズマに打たせようと躍起になるが、結局オズマは敗北してしまった。オズマはその後アメリカに帰国して、飛雄馬のライバルから離脱することになってしまった。一方、花形満と飛雄馬の姉の明子との交際が発展していたが、花形が飛雄馬のこの大リーグボール2号の打倒に、立ち向かうことになった。
飛雄馬はこの大リーグボール2号の活躍が認められて、巨人軍との契約更新で給与の2倍アップの提示がされる。しかし伴の契約が据え置きと聞いてすなおには喜べなかった。このころ、中日ドラゴンズから伴のトレード話が持ち上がっていた。しかし伴は断る。飛雄馬と伴は多摩川で自主トレを始めた。飛雄馬はこの練習で中途半端な友情を捨てるつもりであった。中日は伴の獲得をあきらめて、大リーガーを獲得することになる。しかし一徹は、伴しかいないと断言した。
飛雄馬の大リーグボール2号は、対大洋戦で左門に負けてしまった。巨人は、伴のトレードを決めるが、伴は承諾しなかった。そこで一徹は友情というものの甘さを伴に思い知らせる。結果、伴はついに中日に入団することになった。こうして飛雄馬は、父、姉、伴、すべてを失ってしまう。飛雄馬は宮崎キャンプで立ち上がろうとしていた。森選手や中尾コーチはそんな飛雄馬を高く評価していた。しかし川上監督は評価できなかった。
中日に入団した伴は、柔道着姿で両手を縛り、土管から受け身せずに飛び降りる練習をしていた。伴にはこの練習の意味が分からなかったが、大リーグボール2号打倒の練習だと聞かされる。こうして対中日戦で遂に飛雄馬は伴と対戦することに。大リーグボール2号はついに打たれてしまったが、ピッチャーフライで終わってしまった。こうして飛雄馬の大リーグボール2号は生き延びることができた。しかし次の対阪神戦で花形についに敗北してしまった。飛雄馬は自暴自棄になりチンピラと喧嘩したりして行方不明になる。球団は飛雄馬を追放するよう求めたが、川上監督は飛雄馬をかばった。
大リーグボール3号の完成
大リーグボール2号の敗北で行方不明になっていた飛雄馬は、不良グループの女性、お京と関わっていた。一徹は中日に退団届を出していた。花形は、父から野球から引退して自分の会社の経営者になれと言われる。このような状況で、飛雄馬はお京の手紙を読んで再起を決心する。飛雄馬こうしてまた新しい魔球のヒントをつかんでいく。大リーグボール3号であった。
飛雄馬はオールスター戦でアンダースローで投げ始める。今までとは違う投げ方だった。この投げ方に対して世間は、批判的だった。これが新しい魔球の完成だとは思われなかったのだ。しかしこの試合をテレビで見ていた、中日の一徹と伴宙太は大リーグボール3号の完成だと喜び合った。今まで飛雄馬に厳しかった一徹はうれし涙まで流すほどだ。ついに飛雄馬が父親を超えたのだ。今までの大リーグボール1号と2号は、まだ父親を超えてはいなかった。大リーグボール1号は、正確に球を投げることができるという訓練を一徹から幼少期から受けていたからだ。大リーグボール2号は、一徹の魔送球を応用した投法であったからである。どちらも一徹からの基礎訓練のおかげで完成した魔球だ。しかし大リーグボール3号は、完全に自分自身で生み出した魔球だった。一徹はわが子が自分を超えたことに対するうれしさと同時に熱意が燃え出したのであった。飛雄馬を倒す。一徹は伴宙太に飛雄馬を討ち負かす命令を出した。一徹と伴宙太の、これから打倒飛雄馬の訓練が始まった。飛雄馬に対抗意識を持ち始めたのは一徹だけではない。花形満と左門豊作もだった。
最終回
巨人軍は中日ドラゴンズと戦うことになった。飛雄馬は一徹と伴宙太と戦う。しかしこの頃、飛雄馬の腕は限界を迎えていた。これ以上投げ続けると、腕が崩壊してしまい選手生命も終わりになってしまうと、ドクターストップが宣告されていたのだ。しかし、飛雄馬は戦う。
試合は飛雄馬のペースで試合が進んでいき、順調だった。中日ドラゴンズの選手たちは、次々と飛雄馬に負かされていく。完全試合が達成できそうなペースで進行だった。一徹はそうはさせまいとバント作戦を開始。しかしこれに対して飛雄馬は外野選手も内野を守備させるということで対抗した。このままでは飛雄馬の完全試合が達成されてしまう。一徹はそこで伴宙太に逆立ちをするよう命じた。疲労させるのが目的であった。大リーグボール3号の弱点は、強打者よりも弱小打者に打たれやすいところにある。一徹は伴宙太を疲れさせて、それからピンチヒッターとして飛雄馬と戦わさせる計画を立てたのだ。逆立ちを続けていた伴宙太は、ついに倒れる。一徹はそんな伴宙太にバットを数本持たせ素振りを続けるように命じた。
9回、中日ドラゴンズの最後の攻撃。最初の2人の打者がアウトになり、最後の打者の番になってしまった。そこで一徹は、ピンチヒッターを起用。伴宙太である。疲労の限界に達していた伴宙太がバッターボックスに立った。しかしこの時すでに、飛雄馬の腕は崩壊寸前になっていた。飛雄馬が最後の一球を投げた時だった。ついに飛雄馬の腕は壊れ地面に倒れてしまった。ボールは伴宙太に向かってゆっくりと進んでいく。ボールが宙太のそばに来ると、宙太はフラフラになりながらもバットを振った。ついにヒットが出た。これで完全試合はなくなってしまったかと思われた。しかし、伴宙太は一塁ベースに向かう途中、疲労のため倒れてしまった。一徹は伴宙太のそばに駆けつけて懸命に呼びかける。宙太は必死になり立ち上がり、一塁ベースに向かう。一方、ボールは一塁めがけて投げられてきた。伴宙太は、一塁ベースに飛び込んだ。ボールは一塁手のグローブの中に。一塁手はグローブを、飛び込んできた伴宙太の体にタッチした。アウト。ついに完全試合達成。球場は観客たちの喜びで大騒ぎになった。しかし一徹は、倒れている飛雄馬のところに行き、飛雄馬をおぶさり球場を立ち去って行った。
『巨人の星』の登場人物・キャラクター
星一家
星飛雄馬(ほしひゅうま)
CV:古谷徹
『巨人の星』の主人公。幼少期から巨人軍入団のため父一徹から特訓を受ける。最初は直球一本であったが、魔球を生み出しライバルたち相手に戦っていく。
幼少期の星飛雄馬(ほしひゅうま)
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目次 - Contents
- 『巨人の星』の概要
- 『巨人の星』のあらすじ・ストーリー
- 星飛雄馬の幼少期
- 星飛雄馬の高校時代
- 飛雄馬の巨人軍入団
- 大リーグボール1号
- 大リーグボール2号
- 大リーグボール3号の完成
- 最終回
- 『巨人の星』の登場人物・キャラクター
- 星一家
- 星飛雄馬(ほしひゅうま)
- 幼少期の星飛雄馬(ほしひゅうま)
- 星一徹(ほしいってつ)
- 星明子(ほしあきこ)
- 飛雄馬の味方
- 伴宙太(ばんちゅうた)
- 飛雄馬のライバル
- 花形満(はながたみつる)
- 左門豊作(さもんほうさく)
- アームストロング・オズマ
- 飛雄馬をめぐる女性
- 日高美奈(ひだかみな)
- 橘ルミ(たちばなルミ)
- 京子(きょうこ)
- 巨人軍実在人物
- 川上巨人軍監督(かわかみきょじんぐんかんとく)
- 王選手(おうせんしゅ)
- 長島選手(ながしませんしゅ)
- その他
- 牧場春彦(まきばはるひこ)
- 速水譲次(はやみじょうじ)
- 『巨人の星』の用語
- 大リーグボール1号
- 大リーグボール2号
- 大リーグボール3号
- 『巨人の星』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 星一徹「巨人の星を目指すのだ」
- 星一徹「勉強で死んだやつはいない」
- 星一徹「飛雄馬がチームを乱している」
- 花形満「どうせなら、俺にかけてくれ」
- 星飛雄馬「俺に負けたら契約金減るんだよなあ」
- 星一徹「速球ピッチャーとしてお前は死ぬ」
- 金田投手「お前は若い、新しい変化球」
- 花形満「本当に完成したのか」
- アームストロング・オズマ「俺は野球ロボットじゃない」
- 星飛雄馬「俺は人間だ」
- 川上監督「かつて日本一の大投手、金田が一度は、二軍行きを宣告されたのは昭和44年度の巨人キャンプが生んだまぎれもない」
- 星明子「大リーグボール2号の完成のためにしばらく私は貴方とはなれて暮すことに決めました。お元気で」
- 星一徹「これを越えねば」
- 花形満「八百長は許さん」
- 星飛雄馬「18.44メートルにあるのは」
- 観衆「懐かしのメロディー」
- 伴宙太「飛雄馬は父の呪いで野球をしている」
- 星明子「なんで戦うの」
- 星一徹「確実に殺す」
- 花形満「大リーグボール3号打たれる」
- 星飛雄馬「大リーグボール3号が見破られました。説明してる時間はありません」
- 登場人物たちの個性的な呼びかけ
- 星飛雄馬「とーちゃん」
- 星飛雄馬「ねーちゃん」
- 星一徹「飛雄馬!」
- 星明子「ひゅうーまあ」
- 伴宙太「ほし―」
- 花形満「ホシくーん」
- 『巨人の星』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 声優・古谷徹の原点である「星飛雄馬」
- 『巨人の星』の主題歌・挿入歌
- TVアニメ『巨人の星』
- OP(オープニング)・ED(エンディング):アンサンブル・ボッカ「ゆけゆけ飛雄馬」
- 副主題歌:ジ・エコーズ「友情の虹」