8 Mile(エイトマイル)のネタバレ解説・考察まとめ
『8 Mile』とはラッパー、エミネムの半生を題材としたアメリカの映画。貧困層として生きる主人公ジミーがラップを通じてどん底の生活から這い上がろうとする様を描いたヒューマンドラマである。90年代後半、格差社会の広がったアメリカのミズーリ州デトロイトにあった貧困層と富裕層、黒人と白人を隔てる境界線「8マイルロード」を貧困層側から富裕層側へ超えようとするジミーの信念、家族、恋、友情、そして成長を描いている。2002年公開。
日本語吹替:伊藤健太郎
フリーワールドのメンバーとよくつるんでいる人物。ジミーの敵対グループと行動を共にすることが多いながらも、ジミーのラッパーとしての才能を認めている。ステファニーのトレーラーハウスの近所に住んでいて、芸能業界に顔が広い。自分が何かで名を挙げるよりも、才能ある人物を自分の力で有名にすることに生きがいを感じている。その中でアレックスの夢の実現のためのコネづくりにも協力、見返りにアレックスの身体を要求した。
演じるのはユージン・バード。子役として1986年の『マイリトルガール きらめきの夏』でデビュー。本作『8 mile』、アメリカの人気ドラマ『BONES』では主人公ブレナン博士のアシスタントを演じたことでよく知られている。また、ゲーム『バトルフィールド ハードライン』『Gears of War 4』内で声の出演をしている。
フリーワールドのメンバー
パパ・ドク (演:アンソニー・マッキー)
日本語吹替:内田夕夜
ジミーと敵対するラップグループ、フリーワールドのリーダー。ストーリー序盤のラップバトルで優勝を勝ち取る。白人ラッパーであるジミーの存在を認めず、何かにつけてジミーとその仲間たち、313のメンバーを邪魔者扱いする。終盤のラップバトルではジミーのラップが観衆を飲み込み、その様子に負けを確信したパパ・ドクはマイクに何かを発することなくステージを降りた。
演じるのはアンソニー・マッキー。本作が映画デビュー作となった。2004年にはLGBTにをテーマにした映画『Brother to Brother』でNPO法人フィルム・インディペンデント(自主制作映画会社や俳優を支援する団体)が主催するインディペンデント・スピリット賞で最優秀新人賞にノミネート。その後、2009年『ハートロッカー』でインディペンデント・スピリット最優秀助演俳優賞に再度ノミネートされた。2014年から参加となったマーベルのアベンジャーズシリーズで、キャプテンアメリカの相棒サム・ウィルソンを演じたことで世界的に広く知られるようになり、以降マーベルのアベンジャーズシリーズの作品に継続して出演、2021年Disney+のオリジナル連続ドラマ作品でサム・ウィルソンのスピンオフ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』では、MTV映画& TV賞で最優秀ヒーロー賞も受賞している。また、舞台俳優としてブロードウェイのステージで演じていた経歴を持つ。
『8 Mile』の用語
8マイルロード
「8マイルロード」はアメリカに実在する一般道の名前である。本作内では、富裕層地区と貧困層地区、あるいは白人と黒人を地区ごとに区切るための境界線の比喩として用いられる場合が多い。貧困層地区で犯罪や劣悪な環境から抜け出すことを「8マイルロードを超える」と表現している。実在する道路は、ミシガン州デトロイトの北部、ウィットモア湖とセントクレア湖の間を東西に走っている。8マイルロード以北で主に白人の富裕層が、以南で主に黒人の貧困層が生活をしていた。
シェルター
劇中に登場するデトロイトのライブハウスの名称。定期的にラップバトルが行われ、観客も満員である。劇中でラップバトルのメインMCを務めるのはフューチャー。この建物は実在し、エミネム自身もシェルターにおいてラップで名を上げた。他にもシンガーソングライターのジョン・メイヤーやデイヤ、ポップパンクバンドのオール・タイム・ロウなどを輩出しているライブハウスである。2022年時点で稼働中のライブハウスであり、監督のカーティス・ハンソンとエミネムは映画をよりリアルに寄せようと実際のシェルターをロケ地にすることで合意していたが、撮影時のシェルターの内装があまりにきれいで清潔感があったため『8 mile』の世界観にそぐわず、ロケを断念。劇中のラップバトルは、デトロイトのリバータウン ウェアハウス通りの工場内で撮影された。
ラップバトル
バックミュージックに合わせて言葉を節に乗せてリズムよく発し、パフォーマンスの出来を二人以上で競うこと。劇中では1対1で行われ、ライブハウス「シェルター」内の観衆の間での公式試合以外にも、ラッパーのたまり場や炊き出し場所でも、人が集まる場所では自然とラップバトルが発生している。本作をきっかけにラップバトルがラップパフォーマンスのメインストリームとなった。もともとは80年代アメリカの東海岸のヒップホップシーンから発生。その頃は非公式なバトルしか存在していなかったが、1995年までにニューヨークで毎年行われていた音楽の会議と祭典である「ニュー・ミュージック・セミナー」でMCとDJの音楽技術のぶつかり合いであるバトルが定着し、そこからMC同士のバトルが市民権を得ていく。1994年にラップの名手スーパーナチュラルがステージでパフォーマンス中観衆に同じくラップの名手クライグGを発見し彼をステージに上げ自然とラップのバトルが発生し、二人は以降2000年になるまで2回ラップバトルを行った。このこともあってか90年代後半にはフリースタイルのラップバトル人気が広がりを見せ、その流れの中でエミネムの飛躍、『8 mile』の公開に至っている。
トレーラーハウス(モビールハウス)
ジミーの母ステファニーと恋人グレッグ、ジミーの妹リリーが暮らし、ジミーが一時身を寄せることとなった簡易住宅。牽引車をつけて走るタイプのものではなく、安価という理由で低所得者が利用する賃貸形態のひとつである。劇中のトレーラーハウスにおいては、キッチン、リビング、ベッドルームが登場している。
313(three one third)
ジミーが所属するラップグループの名称。313とはもともとデトロイトで実際にも使用されている電話番号の市外局番。8マイルロード以南の貧困層地区の一部をカバーしており、ジミーたちの所属地域であることからこの番号がグループの名前に採用されたと思われる。
フリーワールド
ジミーと敵対するラップグループの名称。リーダーはパパ・ドク。ラップ文化において排他的な考え方をもっており、白人のラッパーは許さないという勢いでジミーを蔑む。常にラップバトルで勝ち残っていくほどラップの実力がある面々で構成されている。
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目次 - Contents
- 『8 Mile』の概要
- 『8 Mile』のあらすじ・ストーリー
- ラップバトルでの敗北とどん底への転落
- 擦れた生活とアレックスとの出会い
- 信頼していた人たちとのすれ違い
- 怒りと情熱を噛み締めて挑んだラップバトル
- 『8 Mile』の登場人物・キャラクター
- 夢を追いかける同志
- ジミー・スミスJr. (演:エミネム)
- アレックス(演:ブリタニー・マーフィ)
- ラップグループ313のメンバー
- デヴィッド・“フューチャー”・ポーター(演:メキ・ファイファー)
- チェダー・ボブ (演:エヴァン・ジョーンズ)
- ソル・ジョージ(演:オマー・ベンソン・ミラー)
- DJ イズ(演:デアンジェロ・ウィルソン)
- ジミーの家族と隣人
- ステファニー・スミス(演:キム・ベイシンガー)
- リリー・スミス (演:クロエ・グリーンフィールド)
- グレッグ(演:マイケル・シャノン)
- ジャニーン (演:タリン・マニング)
- ウィンク(演:ユージン・バード)
- フリーワールドのメンバー
- パパ・ドク (演:アンソニー・マッキー)
- 『8 Mile』の用語
- 8マイルロード
- シェルター
- ラップバトル
- トレーラーハウス(モビールハウス)
- 313(three one third)
- フリーワールド
- 『8 Mile』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- フューチャー「一度お前のラップを聴けば、やつら肌の色なんか気にしないさ。」
- ジミー「いや、自分でやる。」
- ラップバトル
- 『8 Mile』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ロケ地はミズーリ州デトロイト
- 主人公ジミーの愛称「ラビット」はエミネムの耳が大きかったことから名づけられた
- 劇中のラップの歌詞はすべてエミネムが作詞
- 駐車場でのラップーシーンではエミネムの別人格がラップをしている
- 主題歌「Lose Yourself」はエミネム初のヒットチャートNo.1とオスカー受賞
- 映画タイトルは当初『8 Mile』ではなかった
- エミネムは当時金髪だった髪をかつての自分の見た目に寄せるため暗く染めた
- 映画を機にエミネムは一時期薬物中毒となった
- フューチャー役のオーディション免除
- 『8 Mile』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:エミネム「Lose Yourself」
- 挿入歌:モブ・ディープ「Shook Ones Pt. II」
- 挿入歌:エミネム「8 Mile」
- 挿入歌:レーナード・スキナード「スウィート・ホーム・アラバマ」
- 挿入歌:ノトーリアス・B.I.G.「ジューシー」
- 挿入歌:ノーティー・バイ・ネイチャー「フィール・ミー・フロー」
- 挿入歌:アウトキャスト「プレイヤーズ・ボール」
- 挿入歌:ウータン・クラン「C.R.E.A.M.」