さんかく窓の外側は夜(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『さんかく窓の外側は夜』とは、ヤマシタトモコによる、日本の漫画作品。霊が見えるという能力を持つ書店員、三角康介(みかどこうすけ)が、除霊師の冷川理人(ひやかわりひと)と共に除霊をし、殺人事件の謎を解くミステリー・ホラー漫画。除霊師として優秀だが生活能力や人間関係における常識が欠けている冷川と、生真面目で誠実な性格の三角という凸凹コンビが活躍する謎解きミステリーをコミカルなやりとりを交えながら繰り広げつつ、三角や冷川の生い立ちや暗い過去など陰のあるドラマも展開する。

『さんかく窓の外側は夜』の概要

『さんかく窓の外側は夜』とは、ヤマシタトモコによる、日本のミステリー・ホラー漫画作品。月刊MAGAZINE, BE×BOYに2013年から2021年まで連載されていた。全11巻。累計発行部数200万部を突破したベストセラー。書店員、三角康介は、霊が見えるという能力を持つが霊を恐れており、霊が見える能力も負担に思っていたが、除霊師の冷川理人と出会い、冷川から自分と一緒にいれば怖くないと言われ、除霊の仕事を手伝うことになる。ふたりは共に除霊をし、連続殺人事件や、不可解な事件の謎を解く。三角は、冷川の仕事を手伝ううちに、冷川の過去や自分の父親についても知ることになる。冷川が除霊で三角の霊視能力を使うためには、三角の身体に接触している必要があり、除霊作業で魂が触れあったときには快感を覚えるという現象が起こる。三角と冷川はあくまで友人同士ではあるが、巻が進むにつれて関係も深まることもあり、わずかにボーイズラブ要素が含まれる。霊能力を持つ登場人物は、三角や冷川だけではなく、非浦英莉可(ひうらえりか)や迎系多(むかえけいた)も能力を持つ。霊能力を持つ彼らが、能力を持たない普通の人間との間に感じる溝や、自分の居場所を求める気持ちや生きづらさも描かれている。三角と冷川、もしくは他の登場人物が関わる個々の霊的な事件が、コミカルなやりとりを交えつつ描かれ、それと共に三角と冷川の過去についてのストーリーも進む。

『さんかく窓の外側は夜』のあらすじ・ストーリー

三角が冷川の助手になり、冷川によって霊的に紐で繋がれるまで

書店員の三角康介(みかどこうすけ)は、死者(霊)が見えると言う能力を持っているが、霊を恐れているため、自分の能力をありがたいとは思っていない。三角は、ある日、書店での勤務中に、冷川理人(ひやかわりひと)と出会う。冷川は、除霊を生業としている霊能者だった。冷川は、三角が死者をはっきりと見ることができる能力を持つことを見抜き、三角の身体(や魂)に触れることで、自分も三角と同じくらいに死者が見えるようになることを知り、除霊の仕事を手伝って欲しいと三角に頼む。霊を恐れている三角は、当初は気が進まなかったが、冷川から“自分と一緒にいれば怖くなくなる”と言われ、除霊を手伝うことになった。

アパートやホテルの部屋に出る霊などの除霊を続けているうち、三角と冷川は、殺人課の刑事である半澤日路輝(はんざわひろき)から殺人事件の捜査協力を依頼される。三人の女性が行方不明になり、その後、バラバラの死体となって見つかった事件があった。事件の犯人は逮捕されたものの、犯人像からはほど遠く、しかも自殺した。被害者の死体は人一人分だけ少なかったという。三角と冷川は、失われていた死体の各部位をつなぎ合わせたものを発見し、その際に犯人の霊が非浦英莉可(ひうらえりか)に騙されたと言うのを聞いた。何者かによって作られた、その継ぎ接ぎの死体は、人を呪う道具として使われていた。その後に引き受けた、女子校での除霊の仕事の際、三角と冷川は、非浦英莉可に出会った。英莉可に魅入られたようになっている三角を見た冷川は、バイトの契約書だと言って三角に自分の名前を書かせ、冷川以外の誰にも三角が乗っ取られないように霊的に三角を紐でつないだ。三角は、同じく冷川が依頼された仕事で出会った占い師の迎系多(むかえけいた)からは、冷川には気をつけたほうがいいと忠告されるが、理由が理解できない。冷川は嫉妬深く、三角を独占しようとする。三角は、霊が見えることで味わった恐怖を誰にも言えなかった寂しさから、冷川に出会ったことで解放されたことがあるため、冷川が自分をどうするつもりなのかわからないままでいる。いっぽう、三角を気に入った英莉可は、冷川と三角のところへ来て、呪い屋(のろいや)の仕事を辞めたいのだと話す。

三角が冷川に紐を付けられていると知った後

冷川と三角は半澤から、町の中のある場所について調べて欲しいと頼まれる。なぜかそこでいなくなった失踪者が多いが、ヤクザに関連があるわけでもなく、理由がわからないとのことだった。冷川は、自分は事務所にいるままで、幽体離脱して三角に入るかたちで、半澤と共に、その場所を調べる。罠のような場所だと気づいた冷川は、半澤と三角に戻ってこさせる。三角は、その場所で母親が昔、持っていた宝石箱を見ていた。それは、昔、母親が、失踪した三角の父親からもらったものだった。三角は、その場所は毒を貯めておくような所だと感じた。同じようなものを作ろうかと思ったことがあると冷川が言うのを聞いた三角は、冷川が悪い人間なのかと悩み、迎に相談する。迎は、三角は背中に冷川がつけた紐が付いていると言う。その後、三角は冷川と、依頼された案件を処理している最中に、自分が冷川に利用されていると感じて、冷川に怒りをぶつける。しかし、冷川はなぜ三角が怒っているのか理解できない。

三角の母親が三角の父親に出会った頃の話(回顧談)

三角典子(みかどのりこ、三角康介の母親)は、職場で昼休みに通っていた公園で、墓掘り人をやっているという美青年と知り合う。青年(三角の父親)は、三角典子のことを、周りの空気がきれいで悪いものを寄せ付けない力があると言う。三角典子と青年は、やがて同棲し始め、康介(こうすけ)という息子も生まれた。しかし、青年は康介も霊能力を持つことを知り、自分と康介がいると、三角の悪いものを寄せ付けない力が足りなくなることに気づき、二人の元を去った。

三角の過去と冷川の過去が明らかになり始める

三角は、冷川に対しての苛立ちは堪えて、しばらく歩み寄って様子を見ることにした。町の中にあった罠のような場所は、他の場所にもあり、霊などの悪いものが呼び寄せられていた。それらのスポットは、下水管のように繋がって、どこかに集められているとわかった。三角と冷川は、その行く先を調べる。そこは、掌光の教え(しょうこうのおしえ)という名の宗教団体(この団体の前身が、冷川の母親と少年時代の冷川が関係していた団体、掌光会(しょうこうかい))の施設だった。二人は幽体離脱して調べに行くが、施設にいた非浦英莉可から、危険だから来るなと止められる。三角は、無反応になった冷川を引き連れて、ただちにその場から去った。
一行は、以前自分が作った、人を呪う非浦英莉可が道具として使った装置(継ぎ接ぎの死体)があった場所に、再生可能エネルギーを回収しに行く。その現場近くを、たまたま妻を連れて外出していた半澤が通りがかり、非浦英莉可は職務質問される。半澤を心配して通報しようとする妻、冴子(さえこ)と半澤とのやりとりを聞いた英莉可は、半澤が妻を信じていることを知り、とっさに冴子に呪いをかけて、その場から逃げる。
冷川は半澤から、半澤の妻が英莉可に呪われた話を聞き、英莉可が掌光の教えに関係している可能性があると告げる。冷川が掌光の教えに所属していたことを知った三角は、昔のことを話して欲しいと冷川に言う。冷川は、かつて掌光会と呼ばれていたその団体の代表だった母親の意向で、幼い頃から信者の除霊作業を無理強いされていたことを話した。その生活に耐えられなくなった、少年時代の冷川は、会員たち全員に対して力を爆発させ、皆殺し状態にしてしまい、それを半澤たち警察が発見した。半澤は、冷川少年を発見した当時、冷川が常識的な話し方もできない上に自分で服も満足に着られないのを見て、被害者か加害者か判断がつかないと思った。
非浦英莉可は、自分のことを警察に話したのは三角だと考え、ボディーガード役のヤクザ、逆木(さかき)と共に三角を問い詰め、自己嫌悪で自分を呪って死にそうになる。三角は、警察に言ったのは自分ではなく、英莉可のことは友だちだと思っていると伝え、英莉可を彼女自身の呪いから助ける。三角は、英莉可のことを冷川や迎に相談した。英莉可は、宗教団体「掌光の教え」で“先生”と呼ばれている男が、町の中に、通りすがりの人々から悪いものを集める“貯金箱”のようなものを作っている話をする。三角たちは、その“貯金箱”が、以前、自分たちが見たスポットのことだと推察する。

三角と冷川そして仲間たちと、先生との対決

三角と冷川は、迎と英莉可と逆木に協力してもらい、幽体離脱して先生の家を調べに行く。その家は、以前、掌光会の建物があった場所に建てられていた。二人は家の探索中に床下収納を見つけて、中を見ようとするが、先生がその場に残していた影のようなものに見つかりそうになって逃げる。一方、先生は、過去に息子までもうけたほど大切に思っていた相手である三角典子(みかどのりこ)のことで悲しまずにすむように、彼女を思いださないように自分を戒めていた。そのため、今では彼女の名前も顔も思いだせなくなっていた。
英莉可と逆木は、刑事の半澤から、掌光の教えの弱点を知るため帳簿を手に入れられないかと頼まれ、教壇の事務所に密かに忍びこむ。しかし、英莉可を心配した母親がついてきてしまい、三人が一緒になったところで先生と出くわしてしまう。英莉可たち三人は、数日前から所在不明の英莉可の父親を探しに来たと言い訳するが、逆木が英莉可を守ろうとして、先生に攻撃される。そこで英莉可の母親が先生をスタンガンで倒し、隠してあった車と隠れ場所となる家の場所を書いた紙とスマホを英莉可に渡し、逃げるように言う。隠れ場所の家に落ち着いた英莉可と逆木は、三角と冷川や半澤に連絡を取る。英莉可の母親は、教団の帳簿や英莉可の父親のスマホを英莉可に送ってくれていた。
冷川は、先生のところに直接行って金や力を奪えばいいと三角に言うが、三角は冷川が自分の怒りを理解していないことを心配する。冷川は、心配をする三角の善意が理解できず、三角を、以前に仕事で扱った“一度入れば出られない家”に閉じ込め、単独で先生の家に行く。三角は閉じ込められた場所からなんとか抜けだし、先生の家で冷川に合流する。三角を見た先生は、自分で自分にかけた呪いのために分裂しかけていた。先生が溜めこんだ憎しみに冷川は捕われ、動けなくなる。三角は様子を見に隣家から出てきた無関係の人を助けるために、冷川のほうは助けられないまま、その場から逃げる。

三角は迎や英莉可や逆木と協力して、冷川を助けに行く。以前見つけた、悪いものを溜める貯金箱のようなものをつないだ管はすべて先生の家につながっていた。三角たちは、半澤に先生の家の周囲に水を撒いてもらい、結界を作る。家の中に入った直後、三角、迎、英莉可と逆木は、それぞれ別々の部屋に閉じ込められ、家の出口を塞がれる。英莉可と逆木は死者を消しながら、仲間を捜す。いっぽう迎は一人でいる冷川を見つける。三角は先生に会い、先生が自分の父親だと知らされたうえ、いなくなれば良かったと言われ、絶望しそうになる。その頃、結界が壊れそうになっていることに気づいた英莉可は、先生の家にいる死者を使って仲間たちまでの道を作る。母親のことを思いだして持ち直した三角は、先生から、家を出て行った理由は母親を守るためだったと聞く。三角は先生の作った呪いの結界を壊し、冷川のいる部屋へ行き、三角に拒絶されることを恐れる冷川に側にいることを約束して説得し、彼自身が作った呪いから冷川を救い出す。三角は、冷川が自分にサインさせた契約書を破り、冷川に霊的に付けられた紐を切り、紐で繋がれていなくても側にいると言う。

『さんかく窓の外側は夜』の登場人物・キャラクター

主要人物

三角 康介(みかどこうすけ)

演:志尊淳、CV:島﨑信長。
書店員。身長177cm。24歳。真面目で流されやすい性格。幽霊が見える能力を持つが、幽霊を恐れており、霊感があることを隠している。生きている人間と見分けが付かないほどはっきり見える死者を避けるため、目が悪いのに眼鏡を外していることが多い。霊に好かれる体質。冷川から自分と一緒にいれば死者が怖くなくなると言われ、助手として除霊を手伝うことにする。自分の身体に、霊的に人をすんなり受け入れやすい体質で、それを避けるためにと、出会って間もない頃の冷川から密かに霊的に紐で縛られる。冷川の助手をするようになった後、次第に除霊もできるようになる。

冷川 理人(ひやかわりひと)

演:岡田将生、CV:羽多野渉。
除霊師。身長186cm。31歳。清掃業を営む会社という名目で除霊を請け負っている。除霊に関しては有能だが、人間関係については必要な常識や感覚が欠如している。幼い頃、母親が所属していた特殊な宗教団体(掌光会(しょうこうかい))で、あがめ奉られ、信者の除霊を無理矢理させられていた。霊が見える能力を持つ三角との出会いを運命だと考えており、他の人間に盗られないように、三角の背中に霊的に縛る紐を付ける。

半澤 日路輝(はんざわひろき)

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