冥冥（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ

メカ丸は虎杖に明治神宮前駅に戻り地上から渋谷駅を目指すよう指示を出す。その間に五条が封印されたことを全呪術師に伝え、五条救出を最優先、そして全呪術師の共通目標にするよう言った。対して冥冥には虎杖がこの場を突破する隙を作るように指示。呪詛師撃退後はこの線路を守りつつ臨機応変に動くよう伝えた。冥冥はそれに了承しながら、「ところで君の口座はまだ凍結されていないね？」と意味深な言葉を呟いた。

冥冥達を殺しにやってきた呪詛師は蝦名仁次（えびな にじ）と呼ばれる男だった。呪霊と見紛うほどの悍ましい顔をしており、手にはどこで捕まえてきたのか野良の呪霊を連れている。冥冥は虎杖をこの場から離れさせるために、「好きに動いていいよ。合わせるから。」と余裕綽々に声をかける。虎杖はそれに「押忍！！」と声を上げた。

10月31日22時02分。東京メトロ明治神宮前・渋谷間の線路上で、冥冥と蝦名の戦闘は続いていた。蝦名が連れていた呪霊は既に倒されており、線路の片隅で憂憂の椅子になっている。冥冥と蝦名の実力差は歴然で、蝦名は冥冥の斧から逃げ惑うことしかできなかった。蝦名を追い詰めながら冥冥は自身の術式について語る。自身の術式「黒鳥操術」はカラスを操るというシンプルなものであり、かつハッキリ言って弱い、と。冥冥はそのため術式に頼らないでいいように体を鍛えて、鍛えて、鍛え抜いた。その若かりし日の努力が今の自分を作り上げたのだ。急に語りだした冥冥に蛯名は命乞いをするも、憂憂に「静かに。まだ姉様のお話の途中です。」と遮られる。

冥冥の高説は尚も続く。「自分に言い聞かせた。術師の真価は術式ではないと。でもね、限界がきたんだ」。呪術師が身体能力の向上に努めるのも、呪力で肉体を強化するのも限界がある。延々と向上するようなものではないし、年を取れば衰えてもいくだろう。冥冥は過去それに挫けたと言う。しかしそこで折れたままで終わる冥冥ではない。冥冥はそこから自身でも弱いと評価する術式「黒鳥操術」と向き合うことで1級呪術師として花を開かせたのだ。

その話が終わると憂憂が大きな拍手を冥冥に送った。蝦名は突然のことに驚き声も出ない。蛯名は憂憂に「拍手を。」と促され、自身も冥冥に控えめであるが称賛の拍手を送った。しかし無情にも冥冥から返ってきた言葉は「じゃ、殺すね。」だった。これに蛯名はさらに驚き、その驚きのあまり「え゛ぇ！？」と思わず声をあげる。蛯名は土下座をして命だけは助けてほしいと冥冥に懇願する。

「憂憂。命の価値、命の重さは何に比例すると思う？」

そんな蝦名を見ながら、冥冥は美しい笑みをたたえ憂憂に尋ねた。

「勿論！！どれだけ姉様にとって利用価値があるかです！！」

憂憂は最高の笑顔を浮かべて答える。
冥冥は蝦名に「君は？（私にとってどんな利用価値があるの？）」と問うた。しかし蝦名は即答できない。冥冥はそのまま蝦名の頭上に斧を振り下ろした。
冥冥が蝦名を殺してすぐ、渋谷方面から ” 帳 " が上がる気配を感じた。虎杖達が「術師を入れない ” 帳 " 」の破壊に成功したのだ。冥冥は渋谷駅方面を見据えて想像する。五条が封印され、自分はこれからその五条を助けに渋谷駅に向かうのだ。それはつまり五条に貸しを作ることに他ならない。

「五条悟に貸しを作るだなんて一体いくらになるのやら。胸が踊るね。」

冥冥は興奮さめやらぬ表情を見せた。

夏油傑との邂逅

冥冥が渋谷駅方面の線路を憂憂と共に進んでいると、前方から誰かが歩いてきた。袈裟に身を包んだその男を見て、冥冥は表には出さずに驚く。「お久しぶりです」と挨拶をしてきたその男は夏油であったのだ。

冥冥は夏油とは旧知の仲だ。夏油が呪術高専に在学している頃から知っており、五条よりも夏油を気に入っていた。真面目で誰よりも非術師のために戦っていた夏油は、ある日を境にその考えに疑問を持ち始め、遂には非術師を大量に殺害し呪詛師の道へと堕ちた。そして2017年12月24日、東京・新宿と京都に呪霊を1,000体ずつ放つという呪術テロ「百鬼夜行」を決行する。しかし夏油は当時まだ呪術高専1年生だった特級呪術師・乙骨憂太（おっこつ ゆうた）に敗れ、最後に親友である五条にトドメを刺されて死んだはずだ。

夏油を目の前にして、冥冥の頭の中に疑問が生まれる。何故生きているのか。五条がトドメを刺し損ねたのか。もしかしてこの渋谷事変は夏油と五条が共謀して起こしたものなのか。最後の疑問はすぐに消えた。五条は一人で日本の人間を全て殺せるだけの力を持っているのだ。誰かとわざわざ協力をする意味はない。冥冥は夏油を偽物だと断定する。しかし目の前の夏油は、夏油の生得術式「呪霊操術」を使ってみせた。生得術式は一人に一つ。同時代で同じ術式を使用できる人間は存在するが、それは御三家のような呪術師の家系で多く見られる話である。スカウトで呪術高専に入学し、両親も非術師である夏油の持つ術式を使える人間がそうほいほい同時代にいるはずがないのだ。

夏油は「冥さん、私も残念です。かつての先輩を手にかけるのは。」と、そう言いながら特級特定疾病呪霊・疱瘡神（ほうそうがみ）／疱瘡婆（ほうそうばばあ）を呼び出す。それを見た冥冥は夏油が偽物であるという判断は間違いだったかと身構えた。夏油は疱瘡神をその場に残し冥冥に背を向ける。

「線路で待ってますね。ソイツ（疱瘡神）を祓えたら私が相手をします。」

その瞬間、冥冥と憂憂は疱瘡神の領域に引きずり込まれた。

特級呪霊・疱瘡神／疱瘡婆との戦い

疱瘡神の領域は墓地のような場所だった。冥冥は領域に引きずり込まれてすぐ棺桶に閉じ込められてしまう。疱瘡神はそれを見て右掌に左手の拳を落とし「墓」と唱えた。すると冥冥が閉じ込められた棺桶の上に巨大岩が降ってくる。その岩には太い縄が巻かれて紙垂（しで）が飾られていた。どうやら墓石のようである。疱瘡神は墓石を落としてから、「3、2…」とカウントダウンを始めた。しかし冥冥はカウントダウンが0になる前に墓石を粉砕し棺桶から脱出。久方ぶりに対峙する強敵に、「幾年振りかな。私の命に指が掛かるのは。」と斧を構えた。

冥冥は戦いの中で疱瘡神の領域について分析する。
完成された領域内で発動する術式には必中効果が付与されるのだが常。疱瘡神の領域では、以下の三段階が秘中効果だ。

一、棺桶に対象を拘束する。
二、墓石を落とし、棺桶を埋葬する。
三、3カウントダウンを開始。

そしてこの最後のカウントダウンが0になる前に棺桶から脱出できない場合は病に罹り死ぬ。なお、必中術式は一人ずつにしか発動できないもよう。

疱瘡神の「疱瘡」とは、天然痘の俗称である。天然痘は天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つであり、日本では6世紀半ばから広まり始めたと言われている。何度も大流行を繰り返し江戸時代には定着、誰もがかかる病気となった。伝染力が非常に強く死に至る疫病として人々から恐れられており、疱瘡神はそんな人々の天然痘への恐れが呪いになったものであると思われる。

冥冥はカウントダウンが0になる前に棺桶から脱出することに何度か成功しているものの、あと二回も墓石を喰らえばいつもの動きができなくなるというところまで追い詰められていた。必中術式は一人ずつにしか効果はないようだが、領域内で呪力が最も高いものを反射的に狙う仕組みになっている。領域に巻き込まれたのは冥冥、憂憂、一羽のカラスのみ。冥冥が自由に動き疱瘡神を倒すには、攻撃対象を冥冥から憂憂に移す必要があった。憂憂は呪術師であるが、墓石攻撃に耐えられるだけの胆力はなく、一度でも墓石攻撃を喰らえば死ぬ。

「憂憂。私のために死んでくれるかい？」

しかし冥冥は憂憂に命を差し出すように笑いながら問いかけるのだった。憂憂はこれに嬉しそうに笑顔見せる。

「いいのですか？姉様のために死んでも。」

そして次の瞬間、冥冥は呪力を抑え、代わりに憂憂が呪力を解放した。疱瘡神は反射的に憂憂を棺桶に閉じ込めて、「墓」と唱える。しかしいくら待っても墓石が降ってこない。疱瘡神がそのことに混乱している隙に冥冥は素早く間合いを詰め疱瘡神の両手首から上を斧で切り落とした。
棺桶の中の憂憂は弱者の領域と呼ばれる呪術流派「シン・陰流」の簡易領域を発動して領域を中和していたのだ。そのため簡易領域内の術式必中効果が消え墓石が落ちてこなかった。疱瘡神は両手を再生させ、側に立つ冥冥に襲いかかる。その時、疱瘡神の体を何かが貫いた。
疱瘡神を貫いたのは冥冥の操るカラスだった。疱瘡神はそのままその場に倒れ絶命、また冥冥のカラスも命が尽き死亡した。

カラスのような小動物にも呪力は存在するが、特級クラスの呪霊を一撃で倒せるほどの呪力はない。しかし冥冥の術式「黒鳥操術」の技「神風（バードストライク）」がそれを可能とする。
冥冥の「神風（バードストライク）」はカラスに自死を強制し、その代価として本来微弱であるカラスの呪力制限を消し去り対象に体当たりをさせるというものだ。疱瘡神を倒したカラスは、その生命と引き換えに絶大な呪力を得、その力で疱瘡神を倒したのだった。

領域の主である疱瘡神を祓ったことで冥冥と憂憂は無事に領域から脱出。冥冥はそのまま大勢のカラスを引き連れ、夏油と対峙するのだった。

戦線を離脱

10月31日22時36分（現地時間）。冥冥は憂憂とマレーシアの首都・クアラルンプールのホテルにいた。夏油との戦闘で命の危機に陥った冥冥は、憂憂の術式で逃れマレーシアに渡ったらしい。クアラルンプールと日本の時差は1時間。日本のほうが約1時間早く時間が進んでいる。つまり日本時間は23時36分ごろということだ。

冥冥と夏油の戦闘がどのようなものだったのか、どうやって日本からマレーシアまで短時間で移動したのか、憂憂の術式とは何なのか。詳しいことは本編では描かれていない。

渋谷事変は日付が変わる頃に終局。その後冥冥が今もクアラルンプールにいるのかどうかは不明である。

劇場版『呪術廻戦 0』

原作漫画『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』では大きな活躍はなく、背景に描かれた呪術師の一人として登場していたが、劇場版『呪術廻戦 0』では登場し華麗な戦闘シーンが描かれた。

夏油傑が呪術高専に”百鬼夜行”の決行を宣言しに来た際に登場。夜蛾正道が発した校内にいる準1級呪術師以上の招集に応えて七海建人（ななみ けんと）や猪野琢真（いの たくま）らと共に現れた。
”百鬼夜行”当日新宿サイドで呪霊の撃破を担当。自身の術式「黒鳥操術（こくちょうそうじゅつ）」でカラスを従えて屋上に待機するシーンから始まり、武器である大斧を振り回して呪霊を次から次へと祓う戦いを見せた。撃破数によってボーナスが出るような発言をしており、大好きなお金を得るために積極的に呪霊に立ち向かう。

冥冥の関連人物・キャラクター

憂憂（ういうい）

冥冥の弟。この弟というのは「弟分」という意味ではなく、「リアルな弟」であるらしい。冥冥の名前が偽名であることから憂憂の名前も偽名であることが予想される。

外見は10歳～12歳ぐらいの少年であり、『呪術廻戦』に登場する呪術師の中では最年少。この年齢層の呪術師はあまりいないらしい。『呪術廻戦 公式ファンブック』で呪術師であることが明記されているが、等級や術式／生得術式については不明。術式については、原作漫画第133話「渋谷事変50」で冥冥が少し触れており、なんらかの術式を習得していることだけがわかっている。本編では冥冥の武器である巨大な斧を担いで運べる身体能力や、領域対策として呪術流派「シン・陰流」の簡易領域を使用する様を披露している。
姉である冥冥を異様なまでに慕っており、その偏愛は一部の読者から変態的であるとの評価を受けている。姉の所有物でありたいとい願望を持っており、呪術の使用は冥冥の許可がないとできないという " 縛り " を設けている。

渋谷事変で初登場。虎杖悠仁と共に冥冥のチームに配属された。冥冥と常に行動を共にし、特級呪霊・疱瘡神／疱瘡婆との戦闘時には冥冥のために命を差し出す異常とも言える献身的な愛を見せた。偽夏油／加茂憲倫／羂索との戦闘でピンチに陥ったところを術式を使い、冥冥と共にマレーシアまで逃れている。

憂憂（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

renote.net

憂憂（ういうい）とは、『週刊少年ジャンプ』の人気漫画『呪術廻戦』の登場人物。人間の負の感情を元に生まれ出づる呪霊と呼ばれる化け物を祓う（倒す）力を持つ呪術師と呼ばれる人間の一人である。
一級呪術師である冥冥の弟であり、常に冥冥と行動をともにしている。姉の所有物でありたいと願っている。見た目は長めの前髪を左から右に流しており、ハイネックのシャツをサスペンダー付き半ズボンにインしてハイソックスを履いている。年齢は公表されていないが、外見から10代前半ぐらいと推測される。

五条悟（ごじょう さとる）

呪術高専1年生の担任。世界に4人しかいない特級呪術師の1人であり、呪術界のエリート家系・五条家の当主でもある。五条家の特異体質「六眼（りくがん）」と相伝の術式「無下限呪術（むかげんじゅじゅつ）」を受け継ぎ、最強の呪術師の名をほしいままにしている。冥冥のことを冥さんと呼ぶ。

冥冥といつから知り合いだったかは不明である。ただ過去編で五条が呪術高専2年生の時、冥冥は既に1級呪術師であったため、五条から見れば冥冥は大先輩に当たる。伏黒甚爾（ふしぐろ とうじ）／禪院甚爾（ぜんいん とうじ）との戦闘を経て力に開花した後は修行に付き合ってもらうなど、関係は昔から良好なようだ。その際冥冥の術式「黒鳥操術」の技「神風」を防いだ記録がある。
姉妹校交流会ではやんわり敵対しているかのようにも見えたが、お金さえあればというスタンスの冥冥に敵対する意図はない。その証拠に原作漫画第63話「共犯」では、五条が冥冥に1,000万円の報酬を振込んでいるシーンがあり、時には依頼人と請負人として付き合いがあることがわかる。

渋谷事変では単独平定に向かうが、偽夏油／加茂憲倫／羂索らの仕掛けた罠で特級呪物「獄門疆」に封印されてしまった。羂索の陰謀を防ぎ、人類を存続させるために五条の封印解除が虎杖悠仁らの最優先課題になっている。

五条悟（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

renote.net

五条悟（ごじょう さとる）とは、『呪術廻戦』の登場人物で、日本に四人しかいない特級呪術師の一人にして自他ともに認める「最強の呪術師」。特級呪術師の中でも別格の実力者である。
作中屈指の実力者たちをまとめて相手にしてなお圧倒するほどの恐るべき戦闘能力の持ち主で、存在そのものが呪術界のバランスを成すジョーカー的存在。特級呪霊・宿儺の宿主となってしまった主人公虎杖悠仁を、東京都立呪術高等専門学校に誘った張本人で、同校では教師を務める。呪詛師として暗躍する夏油とは、かつては親友の間柄だった。

夏油傑（げとう すぐる）

元呪術高専の生徒。とある事件をきっかけに呪術師から転変、呪詛師の道を歩むようになった。五条の親友である。実力は特級に分類され、呪霊を取り込み使役する術式「呪霊操術（じゅれいそうじゅつ）」の使い手である。

過去編に登場しており、その際に冥冥と面識があるように描かれているが、細かい絡みは特になかった。
2017年12月24日に東京・新宿と京都に呪霊を各1,000体放つという呪術テロ「百鬼夜行」を行っており、その際に呪術高専1年生の特級呪術師・乙骨憂太と戦って敗れている。重症を負った身で敗走していたが、五条に発見され、親友である彼の手で殺された。

しかしその遺体は偽夏油／加茂憲倫／羂索に利用されることになり、五条封印のために暗躍することとなる。渋谷駅で夏油と相対した冥冥は死んだはずの夏油が渋谷事変の首謀者であったことに驚きを隠せない様子を見せていた。冥冥は夏油のことを「私は五条くんより君を買っていたんだよ。ニヒルな笑顔もチャーミングだった。」と評価しており、夏油のことを気に入っていたことがうかがえる。

夏油傑（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

renote.net

夏油傑（げとう すぐる）とは、『呪術廻戦』の登場人物で、体内に宿した数千もの呪霊を使役する呪霊操術の遣い手。呪術を悪用する呪詛師の中でも特に強力な存在である。
『呪術廻戦』本編が始まる一年前に起きた百鬼夜行事件の首謀者で、自身の持つ全ての呪霊をも超える力を有する特級呪霊祈本里香を我が物にせんと、その被呪者たる乙骨憂太と激しい戦いを繰り広げた。
かつては人々のために尽くさんとする高潔な呪術師を志し、最強の呪術師五条悟とは親友の間柄だった。道を違った現在も、五条とは互いに友情を捨て切れずにいる。