
『宇宙兄弟』とは、2007年に講談社『モーニング』にて連載がスタートした小山宙哉による漫画及び、原作をもとにしたアニメ、実写映画作品である。「兄弟二人で宇宙飛行士になる」という幼いころの約束を守って宇宙飛行士になった弟・日々人と、夢を諦めた兄の六太。そんな六太のもとへ、もう一度宇宙へのチャンスがやってくる。『宇宙兄弟』には、一度は夢を諦めた主人公・六太の熱いセリフが数多く登場しており、人々の胸を打っている。
「ところが実は……一番なりたがってるのは……俺です」
先輩宇宙飛行士の紫三世から「一番宇宙飛行士にふさわしいのは誰か?」と質問された時、ムッタは「一番ふさわしいと思うのはケンジです でも一番なってほしいと願うのは…せりかさん」と他の日本人合格者の名前を挙げた。しかし続けて「ところが実は……一番なりたがってるのは……俺です」と発言。宇宙飛行士になりたいムッタの思いがあふれているセリフ。
「宇宙服は俺らの味方だ」

純粋に宇宙に憧れていた子供の頃のことを思い出させるムッタ(奥)
ヒビトは月での重大事故の後遺症によって、宇宙服を着るとPD(パニック障害)を起こし呼吸困難など様々な症状が現れるようになってしまった。ロシアの英雄的飛行士であるイヴァンやNASAの仲間たちの協力によって徐々に症状を克服できたヒビトは、宇宙飛行士たちをまとめる存在であるバトラーに宇宙飛行士への復帰試験開催を懇願し了解を得た。
しかしNASAからの帰り道、タクシーでうたた寝していたヒビトはPDの症状が出てしまう。どうしようもなく不安に陥ったヒビトは、「絶対に知らせずに治してやろう」と誓っていたムッタにPDの事を打ち明けたのである。
ヒビトから相談事を受けることなどめったになかったムッタは訝しがるが、PDの話を聞かされ内心大きな衝撃を受ける。それでもムッタは「今度PDの症状が現れそうになったらPD(プリティードッグ)め、って呟いてやれ」とアドバイスする。プリティードッグとはヒューストンで流行しているパグが主役のアニメで、「PDの症状が現れる前にパグの飼い犬アポの間抜け面を思い出すだろう」とのムッタなりの励ましだった。
酒場を出た後ムッタは買い物に行くと言ってヒビトと別れる直前、「タクシーで症状が出たことで不安になっているだろうが、俺はむしろ安心したぞ」と話しかける。訝しがるヒビトに対してムッタは「宇宙服着てるかどうかは発作と関係ないってことだろ。子供のころからの憧れだったじゃねーか。宇宙服は俺らの味方だ」と続ける。ムッタの言葉を聞いて安心したヒビトは、帰り道のタクシーの中で行きとはうって変わり笑顔で帰路についた。
ムッタなりの不器用な優しさが詰まった名セリフである。
「ちょっとだけ無理なことに挑戦していこーぜ」

NEEMO訓練からムッタとケンジどちらか一人しかミッションに選ばれないと知らされ、二人の関係が一時的に悪くなってしまう。空気に耐えられなくなってきたムッタが流されようとしていた時に、アンディと会話し迷いがなくなる。開きなおったムッタが目の前の仕事に取り組んで効率化を図り、無理だといわれて諦めかけた月面望遠鏡に再び挑戦しだした。風佳からの言葉で前向きに取り組みだすようになったケンジに、ムッタが「ちょっとだけ無理なことに挑戦しよーぜ」と声をかけケンジも決心。二人の友情はより強固なものへと変わった。
「先のこと考えるのやめたんだ わかってたけど…大事なのは結局…”今”だ」
月ミッションに選ばれるのは、ムッタかケンジのどちらかになった。その関係でムッタはケンジと気まずくなってしまうが、「先のこと考えるのやめたんだ わかってたけど…大事なのは結局…”今”だ」と伝える。ムッタは選ばれるかどうかではなく、訓練について考えようと決めたのである。
「We are ”Space brothers”(僕たちは“宇宙兄弟”です)」

地球の見える場所で生み出されたムッタの最高の名言
月面でヒビトとの再会を果たしたムッタは、一息遅れてジョックやフィリップと医師のクジョーが遠隔操作するブギー、「マクシム4」のメンバーと合流する。そして改めてヒューストンに「無事会うことができた」と伝えると、キャプコム(管制官)のビンスから今の心境を尋ねられた。ムッタは「なんて言ったらいいのか」と前置きしつつ、「宇宙に来てから地球を眺めるたびに、関わってきたたくさんの人たちに仲間以上の気持ちを抱えてきた。それが今ヒビトと再会し、マクシム4と出会えたことによって何なのか分かりました。”We are space brothers”(僕たちは”宇宙兄弟です”)」と述べたのである。ムッタの言葉を聞いた管制室のメンバーたちは笑顔と拍手で盛り上がり、”兄弟”たちを祝福した。
念願であった弟ヒビトとの再会を地球が見える場所で果たし、作品タイトルでもある「宇宙兄弟」がムッタの口から語られた感動の一言である。
「俺の敵は だいたい俺です」

NASAでの宇宙飛行士選抜試験の最終試験である閉鎖ボックスでの試験でのシーン。ビンスに「あなたの敵は誰ですか?」と問いかけられたムッタは、「俺の敵は だいたい俺です」と答える。このセリフは、過去の経験から学びを得たムッタが自分自身と向き合った結果を示す名セリフである。自身の夢を阻むものは他者ではなく、自身の弱さや迷いであるという彼自身の答えを示している。
「一位と最下位との差なんて大したことねーんだよ ゴールすることとしないことの差に比べりゃ」

NASAでの宇宙飛行士選抜試験で六太は、「一位と最下位との差なんて大したことねーんだよ ゴールすることとしないことの差に比べりゃ」と心の中で呟く。このセリフは、自身の宇宙飛行士としての覚悟を示すと同時に、順位よりも目標を達成することの重要性を述べた名セリフである。
「リーダーというのはやはり 安心と興奮を同時にくれる」

六太が所属する「ジョーカーズ」のリーダーとして、ベテラン宇宙飛行士のエディ・Jがチームに合流した場面でのセリフ。個性的なメンバーが集まったジョーカーズはチームとしてはまとまりきれていなかったが、エディがリーダーとして加わったことで、チームが一体となった。エディのリーダーシップに感銘を受けた六太は、心の中で「リーダーというのはやはり 安心と興奮を同時にくれる」と呟くのだった。リーダーの資質を的確に表現した名セリフである。
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目次 - Contents
- 『宇宙兄弟』の概要
- 南波六太の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「グーみたいな奴もいて、チョキみたいな奴もいて、パーみたいな奴もいる。誰が一番強いか答えを知っている奴はいるか」
- ヒビトの打ち上げを見守るムッタ
- 「ずっと知りたかったことがある。日々人が月に降りた時 私の顔は笑っているだろうか。それとも泣いているだろうか。それがどっちか今わかった。 両方だ」
- 「本気の失敗には価値がある」
- 「死ぬまでに宇宙に行けないのはもっと嫌だ」
- 「本当は 死ぬ覚悟……………できてません」
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