翔の伝説(高橋陽一)のネタバレ解説・考察まとめ

『翔の伝説』とは、原作者高橋陽一によるテニスを題材にしたスポーツ漫画。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて、1988年から1989年にかけて連載された。ジャンプコミックス単行本は全3巻。大ヒット作『キャプテン翼』の次に高橋陽一が発表した期待作であった。
高見沢翔という名の日本人が、テニス史にその名を深くきざみつけることになる半生を描いた物語という壮大なスケールで連載開始し、テニスに賭ける翔と父親との関係が描かれたストーリーであったが、あっという間に打ち切りとなってしまった。

『翔の伝説』の概要

『翔の伝説』とは、原作者高橋陽一によるテニスを題材にしたスポーツ漫画。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて、1988年から1989年にかけて連載された。ジャンプコミックス単行本は全3巻。世界中に大ブームを巻き起こしたサッカー漫画『キャプテン翼』で一躍有名になった高橋陽一が、次作として『週刊少年ジャンプ』で連載開始したテニス漫画。
主人公は高見沢翔という、後に日本を代表する名テニスプレイヤーとなる少年。父親である高見沢涼は学生時代に日本一に輝いたことがあるテニスプレーヤーであったが、選手としてこれからという時に結婚して引退。その後はクラブのコーチとして働いていた。涼は妻の圭子が翔を生んだと同時に死んでしまい、そのショックから酒浸りになってしまう。『翔の伝説』とは、そんな環境の中で翔が世界一のテニスプレーヤーを目指すストーリーである。
『キャプテン翼』という大ヒット作の次作として発表された期待作であり、連載最初のページから、ウインブルドンのセンターコートに立つ日本人選手の後ろ姿と共に「これは日本人として初めてテニス史に、その名を深くきざみつけることになる翔という名の若者の半生を描いた物語である」と、長期連載を想定した壮大なスタートとなっている。その幼少時代から話は始まるが、ジャンプ黄金期の中にあって人気が低迷し、数多くの伏線も回収されず、半生を描くはずが小学生編の冒頭であっという間に打ち切りとなってしまった。
高橋陽一はこの作品の他にも野球の『エース!』、ボクシングの『CHIBI』といった、スポーツを題材にした作品を『週刊少年ジャンプ』で発表しているが、いずれも短命で終わっている。これは、『キャプテン翼』の成功イメージが大きすぎて、それを超えられなかったためであると考えられている。

『翔の伝説』のあらすじ・ストーリー

百発百中のサーブ

翔の父親である28歳の高見沢涼は、学生時代にテニス日本一に輝いた名テニスプレーヤーで、将来を期待されていたが、妻の圭子と結婚して引退した。その後は学生時代の後輩である村松の運営するテニスクラブのコーチとして働いていた。しかし、妻が息子の翔を生んだと同時に死んでしまったため、そのショックで酒浸りになってしまう。それ以来飲んだくれコーチとして学生時代以来の付き合いである村松明をはじめとした周囲からも心配されてしまう存在になっていた。一方、息子の翔はテニスプレイヤーを夢見る5歳の少年で、いつもビデオで見ている、学生時代の父がテニスをプレイする姿に憧れて、日本一のテニスプレイヤーを目指して毎日サーブの練習をしていた。翔は子供ながらに妻を亡くしたという父親の心の傷を理解して、毎日酒を飲むことも責めずに、父親に冷たくほったらかしにされながらも、父を尊敬し、いつかテニスプレーヤーになる事を夢見て1人黙々とテニスの練習するのであった。
何とかテニスを父親から教わりたい翔であったが、何故か涼は翔に教えることはせず、涼は百発のオーバーハンドサーブを失敗することなく相手のコートに入れることができたら教えてやるという冷たい態度を取るのであった。父からテニスを教えてもらいたい一心の翔は、ある日保育園から帰ると、一心不乱にサーブを連発し、その驚異的な集中力と才能で99発を成功させてしまう。翔の体力は限界に達し、手のマメが潰れて血が噴き出るが、そのしなやかなフォームから繰り出された最後のサーブは、見事コートを捉え、保育園児にして百発のサーブを成功させる翔であった。

翔と仲の悪い保育園の同級生の父親が翔の通うテニスクラブを買収しようと企む。ある日、涼の勤めるテニスクラブにガラの悪い男たちが嫌がらせにやってきた。それに立ち向かおうとした翔は、逆に振り払われて怪我をしてしまう。それを知った父親の涼は激怒し、相手のテニスクラブに殴り込みをかける。すると相手の社長は、この買収の件はコーチ同士のテニス勝負で決めるという事を提案し、涼もそれを受諾した。飲んだくれの涼はやる気を取り戻し、相手のテニスクラブと勝負するために翔と共にテニス勝負の特訓を開始する。こうして涼は酒をやめ、真剣にテニスに向き合うこととなった。
いよいよ勝負当日、試合は子供vs子供、コーチvsコーチ、その二人のダブルスの3本勝負となった。1本目は翔と同級生のとの試合だが、実力の差は圧倒的で翔が一気に5-0まで持っていく。5歳とは思えない翔のプレイに観客も酔いしれる。すると相手は卑怯にも途中で選手を交代してくる。その選手とは、その同級生の兄で、何と小学生テニスチャンピオン。契約書には社長の息子と記載してあるだけで、兄であっても出場の権利があると主張する相手サイド。年齢差もあり、実力差は歴然で、翔は5-0から一気に追い込まれてしまうが、涼の的確なアドバイスによって、翔は涼の現役時代の必殺技サーブ&ボレーで勝利。翔と父親の絆の力で何とか勝利して一勝をあげる。しかし翔は体力的にもボロボロになってしまい、そのあとのペアダブルスは棄権することになってしまう。一勝一敗となった勝負は、涼と相手チームのコーチとの試合に委ねられた。ここで相手はまたもや汚い手を使う。何と臨時コーチとして現役の大学生日本一を出してきたのである。元日本一とはいえ5年間酒浸りだった涼は、最初は苦戦させられるが、翔のために踏ん張り、次第に勝負は涼のペースになっていく。見事学生チャンピオンを撃破した涼は、クラブを守ったのであった。こうしてテニスによって親子の絆も復活した涼と翔であった。

父親との別れ、そして伝説へ

親子の絆を取り戻した涼と翔であったが、ある日、父親の涼は突然翔が本当の息子ではなく、母親の連れ子だったから血は繋がってないと語り出す。物語開始時は、母親は翔を産んですぐに死んでしまったといっており、この発言には矛盾が生じているが、どちらが真実かは明らかになっていない。涼は年々母親に似てくる翔を見るのが辛く、もともと母親に会ったことでテニスを諦めたが、やはりアメリカでテニスをやるのが夢だと言い出した。そうして早々に、翔を置いて1人でアメリカに行ってしまう。その後何の説明もなしに翔は、飛鳥家の養子になることになった。大会社の社長である飛鳥幸司に引き取られて飛鳥家の一員として迎えられた翔であったが、飛鳥家では幸司以外からはあまり歓迎されずに孤立してしまい、突然やってきた父との別れに翔は号泣するのであった。何故飛鳥家に引き取られることになったのか、涼とはどのような関係なのか、などは原作中では描かれていない。

5年後の全日本Jr.選手権

舞台は変わってそれから5年後、テニスに打ち込んで10歳になった翔は、突然全日本Jr.選手権に乗り込んでくる。目的は白鳥純の弟でテニス界のエリートであり、小学5年生にしてテニス小学生日本一になった白鳥研を倒すこと。出場した大会一回戦で、翔は昨年大会ベスト4の須崎との対戦し、互角以上の戦いを繰り広げる。突然大会に現れた謎のプレーヤー飛鳥翔が、実力者の須崎と互角に打ち合う試合を繰り広げたため、一躍選手間で注目の的となっていく。さすがの翔も強豪須崎相手に苦戦したが、各地方の代表選手が見守る中、5年で鍛えられたその実力で撃破し、1回戦を勝ち抜く。そしてここで、そのまま伝説を作ることを誓い連載終了となった。

『翔の伝説』の登場人物・キャラクター

主人公の家族と関係者

高見沢翔 / 飛鳥翔(たかみざわしょう / あすかしょう)

本作品の主人公。連載初登場時は5歳で、終了時には10歳であった。高見沢家から途中で飛鳥家に引き取られたため、苗字が変わった。元日本一のプロテニスプレーヤーの息子であり、5歳児にしてオーバーハンドサーブを百発百中入れることができる天才的な才能を持っている。テニスプレーヤーとしての父親を大変尊敬している。

高見沢涼(たかみざわりょう)

翔の父親。学生時代に日本一に輝き、テニスプレーヤーとしてこれからという時に結婚して選手としては引退した。その後、テニスクラブのコーチとして働いていたが、妻が翔を生んだと同時に死んでしまったため、そのショックで酒浸りになってしまう。アメリカに渡るため、翔を飛鳥家に引き取ってもらうが、その理由は作中では明らかにされなかった。

高見沢圭子(たかみざわけいこ)

故人。高見沢涼の妻であり、翔の母親。涼と結婚し、翔を産んだ後にすぐ亡くなってしまった。涼は好きなテニスを捨てて圭子と結婚したこともあって、圭子が亡くなってしまった事で、その後酒浸りの人生となってしまう。

村松明(むらまつあきら)

高見沢涼の学生時代の後輩でテニスクラブを経営している。涼はプレーヤーとして引退後は、そのクラブの専属コーチとして働いている。自分本位にエネルギッシュに生きてきた涼に憧れており、涼が酒に溺れていたときも心配していた。

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