翔の伝説(高橋陽一)のネタバレ解説・考察まとめ

『翔の伝説』とは、原作者高橋陽一によるテニスを題材にしたスポーツ漫画。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて、1988年から1989年にかけて連載された。ジャンプコミックス単行本は全3巻。大ヒット作『キャプテン翼』の次に高橋陽一が発表した期待作であった。
高見沢翔という名の日本人が、テニス史にその名を深くきざみつけることになる半生を描いた物語という壮大なスケールで連載開始し、テニスに賭ける翔と父親との関係が描かれたストーリーであったが、あっという間に打ち切りとなってしまった。

テニス全日本Jr.選手権に出場し、一回戦で翔と対戦した。昨年ベスト4の実力者。打倒白鳥を目標に出場したが、翔に敗戦したことで叶わなくなった。翔を追い詰めたが、最後は逆転負けを喫した。

『翔の伝説』の用語

ウインブルドン

ウィンブルドンとは毎年6月に開催される「グランドスラム」と呼ばれるテニスの世界的大会の1つ。「グランドスラム」とは全豪オープン、全米オープン、全仏オープン、そしてウィンブルドンの世界4大大会の総称を指し、4大会すべてで優勝を記録すると「グランドスラムを達成」と言われる。会場は、ウィンブルドンにあるオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ。本作の最初のページに、翔がウインブルドン立っているシーンが描かれている。

サーブ&ボレー

サーブを打った後に、ネットに近づいてボレーやスマッシュを使って戦うプレースタイル。試合を早い展開で進めると同時に、ネット付近からのボレーやスマッシュで、積極的にポイントを取りに行けるのが特徴。高見沢涼が現役時代に得意としていた技である。

『翔の伝説』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

これは日本人として初めてテニス史に、その名を深くきざみつけることになる翔という名の若者の半生を描いた物語である

本作は、「これは日本人として初めてテニス史に、その名を深くきざみつけることになる翔という名の若者の半生を描いた物語である」という言葉とともに、翔がテニスの聖地であるウインブルドンのコートに立っているシーンから始まる。連載開始時は日本の名テニスプレーヤーになる筈だった人間の半生を描こうとする壮大なスケールを想像させたが、実際はウインブルドンが登場することはなく、翔が10歳になった際の全日本Jr.選手権一回戦で連載が終了となった。

翔「やったよ とうちゃん おれのサーブ100発100中になったよ〜〜っ!!」

日が暮れても手のマメが潰れて出血しても、父親からテニスを教わりたい一心で、課題として言い渡されていた100本のオーバーヘッドサーブを決めた時に言った翔の言葉「やったよ とうちゃん おれのサーブ100発100中になったよ〜〜っ!!」。いくら冷たい態度を取られても変わらない翔の父親への愛情がうかがえるセリフ。

翔の伝説は始まったばかりなのだ

長編構想が裏目に出てしまい、小学生編で早々に打ち切り未完に終わった本作。大会一回戦に勝利したところで突然終了してしまったが、当時の『週刊少年ジャンプ』の他の打ち切り作品によく見られたように、「戦いはこれからだ!」という典型的なパターンでの最終話となっている。

『翔の伝説』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

多くの伏線が未回収で終わっている

本作は早期終了となってしまい、原作者の高橋陽一も「僕の力不足で最初の構想の10分の1も描けないまま終わってしまいました」と述べている。「翔の半生を描く物語」という想定であったため、当然、伏線も大量に張り巡らされていたが、連載打ち切りによって多くの伏線が回収されずに終わってしまった。特に、突然涼は何故翔を置いてアメリカに行ってしまったのか、や、何故飛鳥家に引き取られて行ったのか、などは謎のままである。

鬼のような父親

高見沢涼はかつてテニスの学生選手権で優勝した名選手だが、父親としてはこれ以上ない酷い振る舞いをしている事で知られている。まず、翔の母親・圭子が翔を生むと同時に死んで以来、酒浸りの毎日を送っている事。「俺が愛していたのは圭子で翔じゃない」と言いながら、翔に対しても冷たく当たる。遂には翔を飛鳥家に預けて自分は夢を追いかけてアメリカに行ってしまうというひどい父親である。

『キャプテン翼』の二番煎じ

本作が早期連載終了となってしまった理由としてはいくつか議論がなされている。原作者の画力不足によって顔の描き分けが出来ていない、絵柄がそもそもシリアスな人間ドラマに向いていない、全体的に暗いストーリーなど様々な理由が挙げられているが、その最大の理由は大ヒット作『キャプテン翼』の二番煎じ的な作品になってしまった事である。翼と似た顔の翔、ロベルト本郷のようなキャラクターの涼などである。一度ヒットを起こした作者にはありがちであるが、似たようなジャンルでスタートしてしまうと新作をよほどの強烈なインパクトや印象を与えないと失敗しやすいと言われている。本作はその典型であったと言える。

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