不安の種(不安の種+、不安の種*)のネタバレ解説・考察まとめ

『不安の種』とは2002年から中山昌亮によって執筆されたホラー漫画、およびそれを原作としたホラー映画。
日常の中に潜む様々な怪異を描いたオムニバス形式となっており、それぞれのストーリーが独立している点が特徴。
怪異のビジュアルや謎が残るストーリー、ショートスタイルゆえの読みやすさなどの点で人気を博した。

2020年、日高氏のある山で発生した怪異。存在しないはずの学校やそこで遊ぶ子供などが出没したが、かつてこの山でおこった出来事を、山が記憶しているのではないかと推測されている。
この怪異を目撃した男性が特に悪い感じはしないとしながらも、触れてはいけないものと感じたことや、子供たちの顔が塗りつぶされているなど、不審な点が確認される。

『不安の種』の用語

怪異

作中における怪物や怪現象すべてを指す言葉。基本的にはその出現理由や正体などは明かされない。

場所は伏す

怪異が発生した場所がどこか伏せる際に使われる言葉。本来場所が分からないときは記述そのものをしないため、あえてこの言葉を使うということはフィクションではなく実際にあった話なのではないかと推測されているが、真偽は不明。

『不安の種』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

龍太「ぼくのうちはぼくとおとおととおかあさんとたまにおとさんとそれからおちょなんさんがいます」

「オチョナンさん」に登場する人物、龍太が書いた日記。作中では彼の日記でオチョナンさんの様子が描かれており、その日記の始まりに「ぼくのうちはぼくとおとおととおかあさんとたまにおとさんとそれからおちょなんさんがいます」と書かれ、これが龍太とオチョナンさんをめぐる物語の始まりとなった。
本来であれば他人が侵入することのできない家族の場に、子供にしか見えない異質な何かが存在している恐怖が感じられる。
不安の種最大の魅力である、日常の中に潜む恐怖をこれ以上ない形で体現した台詞と言える。

作者「想像への入り口は優しくも厳しくも開かれている」

『不安の種+』の三巻冒頭にて発せられた名言。
『不安の種』では日常に潜む怪異をテーマにしているだけあって、本来であれば関わることのない怪異と不幸にも遭遇してしまう場合がほとんどである。人間が自ら危険な場所に行くのではなく、怪異の方が無理矢理その姿を現し、人間に悪意を向けるという図は、まさしく人間の前に常に想像の扉が開かれている状況と酷似していると言える。
このように、不安を生じさせるきっかけとなる「想像への入り口は優しくも厳しくも開かれている」を作品の冒頭に置くことで、我々がその後知っていく怪異に対する想像を、より強くさせることに成功している。

作者「この本に収められた種の幾粒かが現実に芽吹くか否かは貴方の持つ想像力が決めます」

『不安の種*』の一巻にて作者が読者に向けて発した名言。
『不安の種』はあくまでフィクションではあるが、私たちの身近にこのような怪異は常に潜んでいるかもしれない。また我々の日常には、怪異はいなくとも様々な不安が常に付きまとっている。そういった不安の数々は、むしろ突然発生し私たちに降りかかるのではなく、この作品のように我々が気づいてしまったことで姿を現すのである。
そんな中、作品終盤での「この本に収められた種の幾粒かが現実に芽吹くか否かは貴方の持つ想像力が決めます」という結びの言葉は、私たちが読んできた怪異は、もしかしたら存在しているかもしれないという不安に対する気づきへの大きなきっかけと言える。

『不安の種』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

オチョナンさんがモデルとなった動画『ウ”ィ”エ”』

『不安の種+』の中でも屈指の人気キャラクターであるオチョナンさん。そんなオチョナンさんがモデルではないかと噂されている動画が存在する。
その動画は、EDM系の動画を投稿しているユーチューバー、バーバパパによって製作された『ウ”ィ”エ”』である。動画の内容は、不思議な世界で謎の人間がひたすらにダンスを踊り続けるという奇妙なものだが、この人物の顔がオチョナンさんと酷似しているのである。
視聴者の間ではオチョナンさんをモデルにして制作されたのではないかと噂されているが、作者が何もコメントしていないため真偽は不明となっている。
オチョナンさんと酷似しているだけあって非常に不気味な動画ではあるが、不思議な中毒性があるため、バーバパパの視聴者の間でも特に人気のある作品である。

雨穴と不安の種の関係

2018年にWebサイト・オモコロでデビュー後、YouTubeでも活躍している有名クリエイター、雨穴氏。
ホラー風の世界観をテーマにした動画が人気となり、ミステリー小説『変な家』を出版するなど人気を博している雨穴だが、実は『不安の種+』には彼と酷似している怪異が登場する。
それが『不安の種+』の四巻に収録された、「空耳」にて登場した怪異である。その姿は両者とも白い皮膚に黒い目と口が空いているという酷似した外見をしており、さらに両者ともホラーの世界に登場する存在という共通点を持っているのである。
実際に雨穴氏が明言していないため真相は不明だが、その姿から何らかの関係性を見出そうとする視聴者や読者も存在している模様。

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