咲-Saki-(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『咲-Saki-』とはスクエア・エニックスの『ヤングガンガン』で連載されている小林立による麻雀漫画である。麻雀に青春を捧げる少女たちの熱い思いや人間関係、丁寧に描かれる対局の様子が魅力であり、シリーズ累計発行部数は1000万部を突破。多くのスピンオフ作品が描かれ、アニメ作品にもなっている。舞台となるのは麻雀が広く浸透した世界。主人公の宮永咲は原村和という美少女と出会って麻雀の楽しさを知る。そして麻雀を通してなら仲違いしている姉とも話せるかもしれないという思いから全国大会を目指すことになる。

記者の西田を相手に語る藤田プロ。

藤田靖子が常識では考えられない打ち手を指して言った言葉。藤田は宮永照、神代小蒔、天江衣の3人を挙げていた。

九面

神代小蒔が降ろす女神たち。九面が降りると小蒔本人は「寝た」状態になる。降ろす九面によって麻雀の強さ、スタイルが異なり周りからはぶれて見える。

『咲-Saki-』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

咲「私は麻雀それほど好きじゃないんです」

物語の冒頭、京太郎に連れられて行った麻雀部で、咲は和、優希、京太郎を相手に3連続プラスマイナスゼロという結果を残した。その結果の異常性に気づいた部長の久は「圧倒的な実力差があったからできたことかもしれない」と言う。中学生の時にインターミドルを制していた和はプライドを刺激され、麻雀部を後にしていた咲を追った。追いついた和は「もう一局打ってくれませんか」と咲に言うが、家族麻雀の影響で麻雀に良い思いがなかった咲は「私は麻雀それほど好きじゃないんです」と断った。この言葉が和のプライドをさらに刺激し、和は咲に勝ちたい、咲と戦いたいと熱望。2人の間に麻雀を通した絆が生まれるきっかけとなった。

和「そんなオカルトありえません」

県予選決勝、和は鶴賀学園の東横桃子と戦っていた。桃子はとてつもなく影の薄い人物で、本人の存在感のなさが牌にまで影響を及ぼすほどだった。そのせいで桃子のリーチや捨て牌に対局者は気づかず、桃子から出あがりすることはできないはずだった。実際、龍門渕高校の龍門渕透華は何度もリーチの桃子に振り込んでしまっていた。しかし和は普通に桃子から出あがりした。「私の捨て牌が見えないんじゃ」と驚く桃子に、和は「そんなオカルトありえません」と言い放った。理論派の打ち手であっても能力の存在を認識しているのが通常である本作において、絶対に認めない和の頑なな態度を表した言葉である。またそんなことを言う割に「和本人は現実の麻雀をデジタルのゲーム画面のように知覚している」というおかしさもある。

華菜「そろそろまぜろよ」

昨年の県予選で天江衣に負けた池田華菜は、「今年は勝つ」という意気込みをもって今年の県予選決勝に臨んでいた。しかし衣によって一時は0点になるほどへこまされてしまう。咲の差し込みで0点からは脱したものの、残り局数はあと僅か。1位とは10万点以上の差があり、逆転は絶望的だった。だが華菜は自分が図々しい性格だというのを思い出し、諦めずにどんどん手を変えて高目を目指していく。「リーチせずにはいられないな」とリーチをかけて数え役満をあがった華菜は「そろそろまぜろよ」と言ったのだった。どんな状況になっても諦めない華菜の精神的な強さを表した言葉である。華菜は最後の局でも役満をあがるチャンスがあったのに「ここであがっても1位にはなれないから」とあがることを拒否し、最後まで立派に戦った。この姿勢を、コーチの久保は高く評価したようだった。

照「私は麻雀それほど好きじゃないんです」

照がまだ白糸台高校に入学したばかりの頃、彼女は麻雀部に所属していなかった。しかし弘世菫と当時の監督との会話を偶然聞き、麻雀部へと赴くことになる。そこで彼女は自分が選んだメンバーと部内でトップの面々を戦わせ、「スコアが低くても強い人がいる」ということを証明する。熱心に指導しているものだから、菫や監督は、てっきり照は麻雀が好きなのだと思い、麻雀部へ勧誘するが照は「私は麻雀それほど好きじゃないんです」と言って断った。これは咲が第1話で言った言葉とまったく同じである。照と咲の間には確執があって別居しており、会話どころか目も合わない姉妹だが、2人の間には複雑に絡み合った縁があると感じさせるセリフとなっている。

『咲-Saki-』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

咲と照の確執

インターハイ会場の廊下ですれ違う照(左)と咲(右)。

主人公の咲は長野県で父親と共に暮らしている。しかし姉の照は東京で母親と共に暮らしている。昔はとても仲の良かった姉妹だが、現在の2人の間には大きな隔たりがあり、以前咲が姉のもとを訪ねに行った時はまともに話してくれなかったという。咲は「麻雀を通してなら姉と話せる気がする」と考え、全国大会を目指し始めた。姉の照が咲のことをどう思っているのかは原作21巻の時点では不明。しかし照はインターハイで咲とすれ違った後に「何を話すべきか分からなかった」と語ったり、高校1年生の時に咲のことだと思しき「プラマイゼロでも強い子」の誇りのために好きではなかった麻雀に関わったりなど、単に嫌っているというわけではなさそうな描写がある。

2人の間に何があったのかというのも原作21巻の時点では不明。咲は姉がまだ怒っているのだと考えている。咲が姉のいるインターハイの会場を訪れようとした際には従姉妹の光と思われる女の子や火事の様子などがフラッシュバックしており、従姉妹の光が何らかの形で関わっていると示唆されている。

和と阿知賀女子学院の穏乃、憧、玄との再会

和は小学生の頃、東京から奈良県へ引っ越している。奈良県では阿知賀こども麻雀クラブという麻雀教室に通うことになり、そのクラブには高鴨穏乃、新子憧、松実玄という後の阿知賀女子学院のメンバーも所属していた。和と穏乃たちは麻雀以外にも川に遊びに行くなどをして友情を育んでいたが、中学2年生の初めに和は長野へ転居しなければならなくなり疎遠になってしまう。穏乃たちとの別れは、一時友達を作ることに消極的になるほど和に影響を与えていた。しかし優希との出会いにより和は立ち直り、優希と共に入った麻雀部でインターミドルに挑む。残念ながら団体戦は初戦で敗退してしまったが、個人戦では優勝を果たした。

その和の活躍を穏乃たちがテレビで観戦し触発を受け、麻雀で再び和と会うことを決意。阿知賀女子学院の麻雀部を復活させるきっかけとなった。その後和は清澄高校の一員として、穏乃たちは阿知賀女子学院の一員として全国へ進出。阿知賀女子学院の準決勝の試合中に、和と穏乃たちは再会を果たす。穏乃は決勝で和と戦うことを望み、和も確約はできないとしながらも穏乃の思いに答えたのだった。ちなみに和はトーナメント表をあまり注意深くは見ておらず、穏乃たちのことに気づいたのは準決勝で戦う玄をテレビで見てからである。

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