グッドライアー 偽りのゲーム(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『グッドライアー偽りのゲーム』とは、ニコラス・サールの小説『老いたる詐欺師』を映画化したクライムミステリーである。監督は数々のヒット作を持つビル・コンドン。イギリス映画界の重鎮であるヘレン・ミレン、イアン・マッケラン、ジム・カーターを起用し、緊張感に満ちた、良質な大人のサスペンスを生み出した。世間を知らない初老の資産家ベティの全財産の乗っ取りを企む老獪な詐欺師ロイと、相棒のヴィンセントが仕掛ける危険な罠。60年もの間ベティの心の奥底にくすぶっていたロイへの怒りが今、解き放たれようとしていた。

ロイとベティの初デートとなるレストランで、インターネットの出会い系サイトに載せた自分のプロフィールが嘘だったとロイが白状するセリフ。ロイが卑劣なベテラン詐欺師ということを考えると皮肉に聞こえるだろう。

ロイ「新しいのが必要になってね」

ブリンを地下鉄で殺害した後、ベティとの待ち合わせ場所に、別れた時とは違う黒いコート姿で現れたロイ。ベティに「新しいコートね?」と言われたロイが返したセリフ。つい先ほど殺人罪を犯したことさえ笑いに変えてしまえるようなロイの無神経さが露わになる。

ベティ「自分がわかっている?私に孤独を感じさせない唯一の人よ。あなたといる時だけは孤独を忘れられる」

ベティは穏やかにロイに話しかける。ベルリンのマルティン・ガイガーのアパートでロイと口論になり、スティーヴンが去ったあとにベティがロイに言うセリフ。こんな言葉をかけられると、ロイは自分がベティに好かれていると確信するだろう。

ベティ「あなたの新聞記事もいくつか呼んで参考にしたわ。あなたが狙う『うぶな老女』になるためにね」

ベティとの共同口座からお金を引き出すのに必要なキーパッドを取りにベティの家に戻ってきたロイと対決した時のベティのセリフ。ロイと知り合う手段としてインターネットの出会い系サイトを利用。ロイの詐欺のカモになりそうな、警戒心が薄く容易に操れそうな人物像を作り上げ、ロイが接触してくるのを待つ計画を立てたのだ。

ベティ「なぜなら60年間、私はあなたと閉じ込められていた。それから自由になるには、あなたと対峙するしかない」

ラストシーンのベティの家で。ロイとの対決の時に「だが、なぜ何十年も経って?なぜここまでする?」と聞かれたベティが返したセリフ。ベティにとっての60年間は決して長くはなかった。心の傷は簡単には消えないこともあるのだから。

ヴィンセント「生活費として少しぐらいベティに残してやれよ」

ロイとヴィンセントが詐欺投資の会合で借りていたビルの撤収作業をしていた時に、ヴィンセントがロイに言ったセリフ。「ベティの資金を全額引き出してやる」と言い張るロイにヴィンセントは「それはやり過ぎだろう」と反対の意見を出す。実はこの時すでにヴィンセントは自分たちの詐欺がベティとスティーヴンにバレたことを知っていたことを考えると、ヴィンセントとしてはできればロイの行動を止めたいという意志の表れなのか。

共同口座開設後にベティが自分のパスワードを「リリー」と決めた時に彼女を見るロイの視線が一瞬険しくなる

記憶の奥に押し込んであった何かが刺激されたのか。しかし、すぐに現実に立ち返り、お互いのパスワードを入力し終わる。

友人の見舞いと称して、スティーヴンの車で病院に送ってもらったロイが軽い足取りで歩いていく

スティーヴンがいなくなった途端、病院から出てきてバッグを肩に担ぎ、スタスタと若者顔負けの動きで歩きだす姿には驚かされる。

ロイがブリンを地下鉄に誘い、頭上の監視カメラを傘で上に押す

9mtm1969
9mtm1969
@9mtm1969

Related Articles関連記事

ファンタジーの定番「ドワーフ」とは!?元ネタ・特徴・能力・有名キャラクターを徹底解説!

ファンタジーの定番「ドワーフ」とは!?元ネタ・特徴・能力・有名キャラクターを徹底解説!

ドワーフとは、ファンタジー風の異世界を舞台とする作品にたびたび登場する、人間に近い姿をした「亜人」と呼ばれる種族の1つである。もともとは北欧神話に登場する妖精の一種で、『指輪物語』や『ロードス島物語』といった作品で取り上げられながら設定が整理されていった。 ドワーフは小柄で屈強な体を持ち、手先が器用で鉱物の加工を得意とする。酒を好み、髭が長く、偏屈なところはあるが人間に対して友好的である。ここでは、ファンタジー物の作品では定番のキャラクターであるドワーフについて解説していく。

Read Article

美女と野獣(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

美女と野獣(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『美女と野獣』(原題:Beauty and the Beast)は2017年にアメリカで制作された映画。1991年に制作された、ディズニーアニメーション不朽の名作を完全実写化。魔女の呪いによって醜い野獣の姿に変えられてしまった王子と、孤独を抱えながらも前向きに生きる美しい娘ベルが出会い次第に惹かれあっていく模様を描く。愛すること、信じ抜くことを描くファンタジーロマンス。

Read Article

ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』とは、2001年~2003年に公開された、J・R・R・トールキン作の『指輪物語』を原作とした『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』三部作映画の第一作目。中つ国(ミドル・アース)を舞台に、主人公のフロドを含む9人の旅の仲間が、冥王サウロンを完全に滅ぼすため、全てを統べる「一つの指輪」を破壊する物語である。

Read Article

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』とは、映画三部作の興行収入が全世界で3,000億円を超える大人気シリーズ『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』三部作の完結編で、2003年に公開された。原作はJ・R・R・トールキンの小説『指輪物語』で架空の種族や架空の地が舞台である。すべての指輪を統べる強大な力を持つ「一つの指輪」を葬る旅に出たフロドは目的地の滅びの山があるモルドールの目の前まで来ていた。アラゴルン達は人間の国ゴンドールに加勢し、サウロン軍に勝利、とうとう最終決戦を迎える。

Read Article

ドリームガールズ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ドリームガールズ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドリームガールズ』とは、2006年にアメリカで製作されたミュージカル映画。ソウル/R&B系レコードのモータウン・レーベル所属の黒人女性グループ、ダイアナ・ロスとスプリームスをモデルに、実話を素に描かれたブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品。アメリカにおける60年代から70年代の音楽シーンと華やかなショービジネス界を背景に、デトロイトで結成された黒人女性ボーカル・グループ『ザ・ドリームズ』のサクセス・ストーリーと、その裏にある確執・裏切り・挫折など、様々な人間ドラマを描く。

Read Article

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』とは、映画三部作の興行収入が全世界で3,000億円を超える大人気シリーズ『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』三部作の第二作目で、2002年に公開された。原作はJ・R・R・トールキンの小説『指輪物語』でエルフなど架空の種族や架空の地が舞台となっている。前作ですべての指輪を統べる強大な力を持った「一つの指輪」を葬る旅に出たフロドたちは、何人もの仲間を失いながらも3手に分かれ、それぞれの戦いに挑んでいく。中つ国では闇の勢力がますます力を増大させていた。

Read Article

ホビット 思いがけない冒険(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ホビット 思いがけない冒険(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ホビット 思いがけない冒険』は、『ロード・オブ・ザ・リング』の60年前の前日譚となる『ホビット』三部作の1作目で、2012年に公開された。原作はJ・R・R・トールキンの小説『ホビットの冒険』。ニュージーランドの壮大な風景に加え、最新技術を活用した今までにない映像美、臨場感溢れるアクションシーンの連続で、観客を興奮の渦に巻き込む。ホビット族のビルボが困難を乗り越えながら仲間との友情を築いていく冒険物語で、『ロード・オブ・ザ・リング』につながるシーンも多く、シリーズの理解も深まる見逃せない作品。

Read Article

ホビット 決戦のゆくえ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ホビット 決戦のゆくえ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ホビット 決戦のゆくえ』とは、『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』の60年前が舞台となる『ホビット』3部作の最終章で、2014年に公開された映画。原作はJ・R・R・トールキンの小説『ホビットの冒険』。ホビット族のビルボが仲間と共にドワーフ王国の再興を目指す冒険物語で、壮大な世界観や臨場感溢れる映像、圧倒的スケールの戦闘シーンが観る者を魅了する。町を襲う竜や闇の勢力との壮絶な死闘に加え、ビルボとドワーフら旅の仲間の絆、エルフの女性とドワーフの若者の切ない恋の行方も魅力の作品。

Read Article

ホビット 竜に奪われた王国(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ホビット 竜に奪われた王国(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ホビット 竜に奪われた王国』とは、『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』の60年前が舞台となる『ホビット』3部作の2作目で、2013年に公開された。原作はJ・R・R・トールキンの小説『ホビットの冒険』。ホビット族のビルボが仲間と共に困難を乗り越えながら、ドワーフ王国の奪還を目指す冒険物語で、大蜘蛛や火を吐く竜との戦い等、最新技術を活用した臨場感溢れる映像が観る者を圧倒する。『ロード・オブ・ザ・リング』の人気キャラクター、レゴラスの再登場や彼の想い人の初登場、冥王サウロンの復活など見所満載。

Read Article

ダ・ヴィンチ・コード(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ダ・ヴィンチ・コード(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ダ・ヴィンチ・コード』とはダン・ブラウンの小説を原作に、2006年に公開されたアメリカの映画。監督はロン・ハワードで、脚本は原作者のブラウンとアキヴァ・ゴールズマンである。2006年の映画興行収入は2番目に高いが、批評家からは酷評も目立つ話題作。大学教授のロバート・ラングドンは、友人でルーブル美術館館長のソニエールが死体で見つかったことから警察に呼び出される。ロバートが追っ手を避けながらソニエールの孫娘と一緒に、ダ・ヴィンチの絵画に秘められたキリストの謎に近付いていくミステリーサスペンス映画。

Read Article

クィーン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

クィーン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『クィーン』とは、2006年にイギリスで制作された政治映画である。ダイアナ元皇太子妃の交通事故死を受けて、ただ1人沈黙を貫き通すエリザベス女王の姿と就任間もないブレア首相が国民と王室との和解に奔走する姿が描き出されていく。 『ゴヤの名画と優しい泥棒』のヘレン・ミレン、『フロスト×ニクソン』のマイケル・シーンが共演し、『ヴィクトリア女王 最期の秘密』、『疑惑のチャンピオン』などを手掛けたスティーブン・フリアーズが監督を務めた。

Read Article

【美女と野獣】ハリー・ポッターシリーズ俳優が共演している作品まとめ!こんなにあった!【マレフィセント】

【美女と野獣】ハリー・ポッターシリーズ俳優が共演している作品まとめ!こんなにあった!【マレフィセント】

かつて『ハリー・ポッター』シリーズに出演していた俳優たちは、別の作品でも共演していることが多々あります。この記事では、そんな映画の数々についてまとめました。たとえば、2017年の映画『美女と野獣』。ハリポタでハーマイオニー役を務めたエマ・ワトソンの他、トレローニー先生役だったエマ・トンプソンが出ています。偶然とはいえ、同じエマ繋がりなのか面白いですね!

Read Article

目次 - Contents