イエスタデイ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『イエスタデイ』はイギリスで制作されたスタイリッシュでハートフルなラブコメディ映画である。売れないシンガーソングライター、主人公のジャックはある日バスに跳ねられる。意識不明の状態から回復したものの、目覚めた世界には伝説のバンド「ビートルズ」が存在していなかった。なぜかジャックだけがビートルズを憶えている。記憶を頼りに披露した曲「イエスタデイ」をきっかけに、ジャックの平凡な人生が徐々に変化していく。ファンタジーな要素とリアルを織り交ぜながら友情、恋愛、苦悩をビートルズの名曲と共に楽しめる映画だ。
正式には「Wembley Stadium」。イングランドのロンドンにあり、収容人数90,000人の巨大サッカースタジアム。屋根付きスタジアムとしては世界最大。作品内では最後にジャックが告白をするシーンで登場する。
実際にエド・シーランがここでライブをし、その後ステージも観客もそのままに撮影している。巨大な会場を埋め尽くす観客の迫力や、ステージの広さでジャックが大物になったとゆう事が一目で伝わる。
『イエスタデイ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ロッキー「俺には時間の概念がない」
自由人ロッキーらしい発言。なんて事ない言葉だが、パラレルワールドである作品全体を表現しているような一言。
なかなか有名になれず、ただ日々が過ぎていくことにヤキモキしている現実的なジャックとは違い、自由奔放に生きているロッキーが対照的に表現されている。また後々有名になるにジャックの付き人として、分単位で時間を気にするようになるロッキーの変化も効果的になっている。
エド「君はモーツァルト、俺はサリエリだ」
ジャックに即興で曲を作るゲームを持ちかけ、エドが負けを認めた時に言ったセリフ。ライバル関係にあったと言われるモーツァルトとサリエリに例えたアーティストらしい表現。真の天才は自分ではなくジャックだと伝え、潔くパーティを後にする。皮肉めいてはいるが、心からジャックの才能を讃えている一言。
デブラ「かな。は要らない。イエスと言って」
ロサンゼルスの事務所でのデブラのセリフ。ビートルズの曲でどんどん有名になろうとしてる自分にまだ戸惑いがあり、はっきりした答えが出せないジャック。ここまで来て未だに方向性に迷い、「イエスかな」と返事の語尾を濁すジャックが気に入らず「イエスと言いなさい」と要求する。何事にも自分の思い通りに事を進めたい、デブラの強気な性格が表れている言葉。
ロッキー「まだ道は続くぞ」
アルバム発表ライブの直前に、ロッキーがジャックにかけた言葉。思い悩むジャックを知ってか知らずか、明るくポジティブにジャックを送り出すロッキー。デビューがゴールではなくスタートだと表現している。不成者の自分を選び、ここまで連れてきてくれたジャックへの感謝もあり、古くからの友人であるが故の喜びも含んでいる。これからも共に歩もうという意思もあり、飄々としたロッキーが感情深い一面を見せる一言になっている。
リズ「ビートルズのいない世界はたまらなく退屈」
ビートルズを知るもう1人の人物、リズの言葉。ビートルズの歌で有名になったジャックを責めるわけではなく、彼らの曲を残してくれたことに感謝しているリズ。彼女のビートルズ愛が伝わる一言。この一言で、悩んでいたジャックの気持ちが晴れる。同じくビートルズを愛するジャックも、気持ちは一緒だった。
ジョン・レノン「幸せだった。それ以上の勝ちはない。」
ジャックの「勝ち組とは?」の質問への返答。愛と平和を願うジョンらしいシンプルな言葉。人生複雑なこともあるが、愛してる人に愛していると伝えることが幸せになる秘訣とアドバイスする。このジョンとの会話をきっかけにジャックは偽りの自分を辞め、エリーへの告白と、世界へ真実を告げることを心に決める。
世界規模で停電になる場面
世界の名所からライトが次々に消えていく場面。12秒間の停電を表現するため、とてもスピーディーな映像になっている。この一瞬でジャックはバスに跳ねられるのだが、ジャックが宙に浮く演出があり、そのシーンだけスローになる。その後すぐ明かりがついていく様子が流れる。
映像に緩急をつけ、この不思議な現象をきっかけに、上手く物語がパラレルワールドへ切り替わっている。
ジャックがビートルズを検索するシーン
ビートルズが存在しないという仮説を確認するべく、ジャックがインターネットで検索をするシーン。ビートルズで虫や車がヒットしたり、曲のタイトルでも出てこない。その他有名なミュージシャンはヒットするが、ビートルズに影響をうけたといわれるバンド、オアシスは存在していなかったりと、監督のセンスが光るシーン。検索結果にジャックが一喜一憂するリアクションがリアリティがあってユーモアに表現されている。
「Help!」を熱唱するシーン
アルバム発表のステージとなったピア・ホテルの屋上でジャックが「Help!」を熱唱するシーン。この時のジャックの感情を全て歌詞にし、歌っているような場面でジャックの心の叫びが伺える。このシーンにもビートルズに対するオマージュが表現されており、実際に6千人の観客を集め、演奏している為迫力がある。観客がジャックの演奏に合わせ飛んだり跳ねたりと大盛り上がりしており、印象深いシーンだ。
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目次 - Contents
- 『イエスタデイ』の概要
- 『イエスタデイ』のあらすじ・ストーリー
- 音楽の夢と事故
- ビートルズの存在しない世界
- エドとの出会いとツアーへの参加
- イギリスからの旅立ち
- ビートルズを知る他の人物
- ジョン・レノンとの出会いと結末
- 『イエスタデイ』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- ジャック・マリック(演:ヒメーシュ・パテル)
- ジャックの友人達
- エリー・アップルトン(演:リリー・ジェームズ)
- ロッキー(演:ジョエル・フライ)
- ギャビン(演:アレクサンダー・テンアーノルド)
- ニック(演:ハリー・ミシェル)
- キャロル(演:ソフィア・ディ・マルティノー)
- ルーシー(演:エリス・チャペル)
- ジャックの仕事仲間
- デブラ・ハマー(演:ケイト・マッキノン)
- エド・シーラン(演:エド・シーラン)
- ジャックの家族
- ジェッド・マリック(演:サンジーヴ・バスカー)
- シェリア・マリック(演:ミーラ・サイアル)
- ジャックを取り巻くキーマン
- レオ(演:ジャスティン・エドワーズ)
- リズ(演:サラ・ランカシャー)
- ジョン・レノン(演:ロバート・カーライル)
- 『イエスタデイ』の用語
- ビートルズ
- ラティチュードフェスティバル
- ウェンブリー・スタジアム
- 『イエスタデイ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ロッキー「俺には時間の概念がない」
- エド「君はモーツァルト、俺はサリエリだ」
- デブラ「かな。は要らない。イエスと言って」
- ロッキー「まだ道は続くぞ」
- リズ「ビートルズのいない世界はたまらなく退屈」
- ジョン・レノン「幸せだった。それ以上の勝ちはない。」
- 世界規模で停電になる場面
- ジャックがビートルズを検索するシーン
- 「Help!」を熱唱するシーン
- ウェンブリースタジアムでのステージ
- 『イエスタデイ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- エド・シーランのキャスティング
- 主役を掴んだ、ヒメーシュ・パテルの歌声
- ビートルズ以外にも存在しない物たち
- 『イエスタデイ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):ヒメーシュ・パテル『サマーソング』
- ED(エンディング):The Beatles『Hey Jude』
- 挿入歌:The Beatles『Yesterday』
- 挿入歌:The Beatles『I Want To Hold Your Hand』
- 挿入歌:The Beatles『In My Life』
- 挿入歌:The Beatles『Back In The U.S.S.R』
- 挿入歌:The Beatles『Help!』
- 挿入歌:The Beatles『All You Need Is Love』
- 挿入歌:The Beatles『Ob–La–Di、Ob–La–Da』
- 挿入歌:Ed Sheeran『Penguins』
- 挿入歌:Ed Sheeran『One life』