零~月蝕の仮面~(Fatal Frame IV)のネタバレ解説・考察まとめ

『零~月蝕の仮面~』は和風ホラーゲーム・『零』シリーズの第4作目である。「恐怖を体験する。」がキャッチコピー。時代背景は1980年代の日本。全12章の構成で水無月流歌、麻生海咲、月森円香、霧島長四郎の4名の視点で進行する。舞台は朧月島という離島。朽ちた廃墟と化した病院や和風建築の屋敷での探索及び怨霊との戦闘がメインとなる。

灰原朔夜(はいばら さくや)

CV:田中理恵
本作のラスボスにして巫女。灰原院長の一人娘で灰原耀の最愛の姉。二十年前(神隠し事件の十年前)臘月神楽の巫女を務めたのがきっかけで月幽病を患い、隔離病棟に収容される。耀の手帳によるとそれ以来精神は幼い子供のまま停滞している。
彼女の母親もまた霊媒体質で早くに他界しており、娘にも巫女の資質が受け継がれていた。故に月幽病の進行が非常に早く、正常な会話が成立しない程に悪化してしまった。まだ正気だった頃、自分の病室に迷い込んだ幼い海咲と親交を結んで人形・海夜を渡している。
灰原父子はもはや回復が絶望的となった彼女を治療する為、帰来迎の器に抜擢する賭けにでた。彼女の魂を零域に送って自我を浄め、正常な形にして戻すのが目的だったが、月蝕の仮面と両輪で儀式の要となる月守歌が欠けていたせいで儀式は失敗し朔夜は魂の抜け殻となる。その後二年間の昏睡状態を経て目覚め、無苦の日の惨劇を引き起こした。
以降は怨霊化し島を徘徊、流歌が上陸した日に全ての人間を咲かせて現世を終焉に至らしめる為に三度目の帰来迎に臨んだ。
本来は優しく温和、慈愛に富んだ女性で海咲に慕われていた。彼女が遺した日記には耀や亞夜子への言及箇所も散見され、二人の境遇を憂う記述から特別な間柄だったことが窺える。

灰原耀(はいばら よう)

CV:櫻井孝宏
長四郎が執拗に追跡していた連続殺人事件の容疑者にして朔夜の弟、享年27歳。
実姉の朔夜に肉親以上の愛情を抱き、父・重人と同様に朔夜を治す為なら手段を問わない冷酷な性格。東京で経営していた自分の病院でも月幽病の研究を続け、違法な手術や実験を行った罪状で手配される。その後も姉の治療法を死に物狂いに模索する中で禁忌とされていた帰来迎を行うしかないと決断、島へ帰還後に父・重人や流歌の父・宗也と共謀し、臘月神楽の日に5人の少女を誘拐して奏に仕立てる。
しかし儀式は失敗し朔夜は昏倒、それから二年間灰原は亞夜子の隠し部屋に匿われ続ける。亞夜子は彼を「ようちゃん」と呼んで慕い、耀も亞夜子を可愛がっていた。「亞夜子は俺に似たのか…」「朔夜が治ったら3人で暮らそう」という灰原の手記の記述、朔夜の遺書で両名が名指しされていた事から、灰原と朔夜の近親相姦で生まれたのが亞夜子と推測される。
朔夜が咲いて無垢の日を引き起こした現実に絶望し、病院の屋上まで追ってきた長四郎をナイフで刺すも最後は彼に抱かれて転落死した。

灰原重人(はいばら しげと)

CV:福沢良一
臘月島で灰原病院を経営する院長にして朔夜と耀の父、享年53歳。霊媒体質だった妻と、母親から霊媒体質が遺伝した朔夜が相次いで月幽病を発症し、その事を思い詰めた妻の自殺をきっかけに朔夜の治療を目的とした研究と実験にのめりこむ。愛娘の治療が叶うなら手段を問わない冷酷な性格で、他の月幽病患者をモルモットにしてはカルテの改竄を指示していた。息子の勧めもあって朔夜を器にした帰来迎を決意、当時入院していた流歌達を月の泉で洗脳し奏に仕立てる。
しかし帰来迎は失敗に終わり朔夜は昏倒、二年後に目覚めた彼女によって引き起こされた無苦の日に巻き込まれる。

片桐省二(かたぎり しょうじ)

CV:こねり翔
本土出身の医者で重人の助手、享年29歳。治療方針の効果は認めながらも灰原病院で秘密裏に繰り返される非道な実験の数々に苦悩し、臘月神楽と帰来迎が行われた日、島を訪れた長四郎に地下道に連れていかれた流歌達の存在を匿名で報せる。しかしその二年後、朔夜が引き起こした無苦の日に巻き込まれ院長と共に命を落とす。

亞夜子(あやこ)

207号室に入院していた少女。享年12歳。
院長の縁故で特別室を使っていた月幽病の患者。嗜虐的で残忍な性格で幼い円香を階段から突き落とすのにとどまらず、彼女が母から贈られ大事にしていたカナリアの首をハサミで切断する。それを注意した看護婦の耳をハサミで傷付けるなどし周囲に敬遠されていた。

灰原耀の手記には亞夜子との関係を示唆する一文があった。

一方灰原耀と朔夜には溺愛されており、耀は亞夜子の性格を「自分に似たのかもしれない」と指摘。姓は不明だが院長の肝煎りな事、探索中に入手できる日記や朔夜の遺書から耀と朔夜の近親相姦でできた子供ではないかと推測される。
円香を「中身の綺麗なおもちゃ」と呼んで反省の素振りもなく虐待を繰り返す反面海咲を嫌っていたが、それは朔夜と仲良くしていた事への嫉妬が原因と思われる。
耀の事は「ようちゃん」と呼んで懐いており、彼を自身の病室の奥の隠し部屋に匿っていた。
朧月島の島民が全滅した無苦の日に咲いた朔夜を目撃しながら唯一生存。後日臘月島に訪れた定期船の船長が警察に通報した際に発見され本土の病院に担ぎ込まれるが、その半年後に治療の甲斐なく衰弱死した。最期の言葉は「おかあさん…」だった。

水無月小夜歌(みなづき さやか)

CV:鵜飼るみ子
流歌の実母。夫の宗也を深く愛しながらも面打ちに没頭し家庭を顧みない姿に不満を募らせていたが、娘に試作品の仮面を被らせ実験台にし、挙句月幽病を発症させた夫に遂に忍耐が切れ、流歌を家から遠ざける意図で灰原病院に入れる。しかし宗也に月蝕の仮面作りを依頼した元凶だった重人によって流歌は拉致、奏に仕立てられる。流歌の神隠し事件の時に刑事だった頃の長四郎と知り合い、彼からもたらされた情報で娘を含む5人の失踪への夫の関与を確信。
長四郎の活躍で流歌は救出されたものの夫婦仲に決定的な亀裂が走り、宗也と離縁したのち娘を連れて島を去る。以降流歌は小夜歌の旧姓の水無月を名乗る。
実は既に故人であったが、島へ渡った流歌の身を危ぶんで霧島に保護を依頼。霊石灯なる武器を手渡す。
見た目通り奥ゆかしいが芯の強い性格で、面打ちに憑かれた夫から娘を引き離す為に病院に入れる、島を出るなどいざという時の行動力と決断力も備わっている。また古くから臘月島で行われていた帰来迎で大役を担う月守の巫女の末裔で、彼女の血筋が継承する月守歌を奏でる事で、帰来迎は初めて成功する。

四方月宗也(よもつき そうや)

CV:立木文彦
流歌の実父で先祖代々の面打師。帰来迎の儀式に使う月蝕の面の技術を継承していた。灰原重人に月蝕の面の製作を持ちかけられて以降、帰来迎の末に至る零域に魅了される。究極の仮面を完成させる執念に取り憑かれ、試作品の仮面を娘の流歌に無理矢理付けさせるなどしたせいで妻の小夜歌に離縁される。流歌の祖父にして宗也の父である宋悦も優れた面打師だったが、月蝕の仮面を打ち損じて無苦の日を招いており、帰来迎の完遂は父子二代の悲願でもあった。
しかし帰来迎は失敗、咲いた朔夜が無苦の日を引き起こしてしまうが、一連の事件にも深く関わった面打師の務めとして島の終焉を見届ける覚悟をし、自分のもとを訪れた朔夜を直視し絶命。
灯台にて三度目の帰来迎を阻んだ流歌の前に現れ、呪縛から解き放たれた父親としての顔を最後に見せた後、回収した月蝕の仮面と共に海の底深く沈んだ。

海夜(みや)

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