君の名前で僕を呼んで(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name)』とは、2017年に公開されたルカ・グァダニーノ監督による青春・ラブロマンス映画。17歳エリオは大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーとひと夏を共に過ごす。そんなエリオの初めての、そして生涯忘れられない恋の痛みと喜びを描いている。本作はアンドレ・アシマンが2007年に出した小説『Call Me by Your Name』を原作としている。今作では原作の物語の途中までしか描かれておらず、続編の構想が明かされている。

考古学者の父親、古代ギリシャ文明や芸術を好む母親の元で育った17歳の少年。毎年夏は、母親が持つイタリアの避暑地の別荘で過ごしていた。両親の影響でイタリア語、フランス語、英語を操り、ピアノ、ギターをも弾ける秀才であり、別荘でも読書やピアノを弾いて過ごしたりしていた。今回、父親が別荘にインターンを招き、生徒として来たオリヴァーに恋心を持つようになる。初めて男性に対して抱く恋心に戸惑いつつも、同性愛に対して偏見を抱かない両親の助言から、エリオは初めての恋愛、失恋を経験する。

オリヴァー(演:アーミー・ハマー / 日本語吹替:津田健次郎)

博士課程である24歳の大学院生。厳格な両親の元に生まれ、どこか自信家っぽい雰囲気に周りの女性達の注目を集めるセクシーさがある青年。エリオの父親のインターンに選ばれ、別荘に訪れる。今までの生徒の中で1番知性があり、周りとの馴染むのも早かったため、直ぐに人気者になっていった。エリオが自分に対して気持ちがある事を分かりつつも、抑えるように促していたが、オリヴァー自身の気持ちも抑える事ができず、エリオと強く愛し合い短い夏を過ごす。帰国後、オリヴァーは長年付き合ったり別れたりを繰り返していた彼女と結婚する事になったとエリオに告げる。

Mr.パールマン(演:マイケル・スタールバーグ / 日本語吹替:星野充昭)

大学で考古学を教えている教授。同じ様に芸術を好む妻アネラと一人息子のエリオの3人家族。夏が訪れると、イタリアの別荘にインターンを招き生徒と共に研究を行っている。息子がオリヴァーに対して特別な感情を抱いている事を察し、オリヴァーと離れ離れになってしまった息子に対して「お前が感じた喜びをその痛みとともに葬ってはいけない、お前達が羨ましいよ」と語り、慈愛と理解に満ちた父親。オリヴァーの事も義理の息子にように接していた。

アネラ・パールマン(演:アミラ・カサール / 日本語吹替:沢海陽子)

奥に座っている女性がアネラ

芸術作品を観たり詩を読んだりすることが好きなMr.パールマンの美人妻。ドイツ語や英語など数ヶ国語の言語が話せる翻訳家。息子のエリオにも古代ギリシャの本を読み聞かせ、芸術に触れさせていた。別荘では友人の同性愛者カップルを招き食事会を開いたりと、偏見を持たない寛大な心の持ち主。息子が抱く恋心に気づいており、オリヴァーと別れた後の息子を駅まで迎えにいき、泣き続ける息子をそっと見守っていた。

マルシア(演:エステール・ガレル / 日本語吹替:下山田綾華)

エリオの女友達の1人。ダンスパーティーでエリオと一緒に踊り、関係を持つようになる。エリオはマルシアの事を好きになろうとしていたが、オリヴァーの事が気になってばかりいた。そんなエリオと恋人関係にあると思っていたマルシアは、どこか上の空になってしまっているエリオから離れていくようになる。オリヴァーが街を去った後、エリオの辛そうな様子を見てオリヴァーに対して特別な感情があった事を察したのか「私達、一生友達でいましょう」と優しく話しかける。

ムニール(演:アンドレ・アシマン / 日本語吹替:宮崎敦吉)

白いスーツを着ている男性がムニール

エリオの母親の友人。母親が別荘に招待し食事をしに来た同性カップルの1人。パートナーはアイザック。周りの様子も気にならないぐらい自分達ばかりが話をして盛り上がっている。因みに、本作の原作者である。

アイザック(演:ピーター・スピアーズ / 日本語吹替:さかき孝輔)

ピンクのスーツを着ている男性がアイザック

エリオの母親の友人。母親が別荘に招待し食事をしに来た同性カップルの1人でパートナーはムニール。とてもムニールとはラブラブで、終始寄り添い2人の世界に入ってしまう事がある。因みに、本作のプロデューサーである。

『君の名前で僕を呼んで』の用語

ダビデの星のネックレス

ダビデの星のネックレスとは、劇中でオリバーがしていたネックレスのこと。ダビデの星のマークはイスラエルの国旗にもなっている。これはユダヤ人の象徴とされており、オリヴァーとエリオはどちらともユダヤの血筋を引いている。最初はこのネックレスをエリオはせず、オリヴァーのみが使用していた。しかし、エリオがオリヴァーに恋心を抱くようになってからエリオも同じネックレスをするようになった。エリオにとってネックレスは、オリヴァーと繋がっているという証なのだろう。

ガルダ湖

pop_cat81s9
pop_cat81s9
@pop_cat81s9

Related Articles関連記事

シェイプ・オブ・ウォーター(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

シェイプ・オブ・ウォーター(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『シェイプ・オブ・ウォーター』とは、2017年にアメリカで制作・公開された、声を発することのできない中年女性と半魚人が愛を育むラブ・ロマンスを描いた映画である。2018年に日本でも公開され話題になった。1962年冷戦下アメリカの機密機関で働く声を失った女性清掃員イライザと、アマゾン奥地からそこに運び込まれた正体不明の半魚人との心の交流を中心に描いている。前代未聞のラブストーリーということで、ギルレモ・デル・トロ監督作品の中でも傑作と呼ばれた。

Read Article

メッセージ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

メッセージ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『メッセージ』(原題:Arrival)とは、本作後に「ブレードランナー2049」を撮るドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSFムービー。 突如地球上に現れた巨大な宇宙船。飛来した目的を探ろうと、船内の異星人とコミュニケーションをとるため軍に依頼された女性言語学者が、彼らと接触するうちに未来を見ることが出来るようになり、自分の人生を見つめ直していくシリアスタッチの知的なドラマ。2016年製作のアメリカ作品。

Read Article

コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)』とは、2015年の英米合作で制作されたスパイ・アクション映画。1960年代に、アメリカや日本で放映されたテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』をリメイクした映画。監督は『シャーロック・ホームズ』シリーズを手掛けたガイ・リッチーが務めた。アメリカの「タイム」誌は、本作を「2015年の映画トップ10」の第9位に挙げている。 東西冷戦下を舞台に、米ソ両国のエージェント同士が手を組み凶悪テロを阻止するというスリリングなストーリー。

Read Article

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』とは、1868年出版のルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』が映画化されたもの。2019年12月に全米、2020年6月に日本公開。監督のグレタ・ガーウィグが脚本も担当。今作に挑むに当たってガーウィグ監督は、著者であるオルコットが「本当は何を言いたかったのか」という命題を深く掘り下げることに焦点を当てた。古来、女性が置かれてきた状況を顕在化することで、自分らしく生きたいと願う現代の女性へのオマージュに昇華させている。

Read Article

ホテル・ムンバイ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ホテル・ムンバイ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ホテル・ムンバイ』とは、2018年に製作されたオーストラリア・インド・アメリカの合作映画である。2008年にインドのムンバイで発生した同時多発テロの際、タージマハル・ホテルに閉じ込められた人たちの様子を実話をもとに描いている。ホテルのレストランで給仕を担当しているアルジュンはロビーからの銃声を聞いて宿泊客を頑丈な部屋へ避難させ、テロリストとの戦いが始まる。監督はアンソニー・マラスが務め、デヴ・パテル、アーミー・ハマー、ジェイソン・アイザックスらが出演した。

Read Article

完全なるチェックメイト(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

完全なるチェックメイト(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『完全なるチェックメイト』とは、2015年にアメリカで公開された天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの半生を描く伝記ドラマ映画。冷戦下の1972年、15歳でチェスのグランドマスターとなったボビー・フィッシャーは、その奇抜な言動から周囲から変わり者と扱われてきた。そんなボビーは世界が見守るチェス最強国のソ連が誇るボリス・スパスキーとの対局で苦戦しながらも驚くべき戦略でスパスキーに立ち向かう。チェスの世界で精神の極限状態に追い込まれるボビーを緊張感のある表現で描かれている。

Read Article

【君の名前で僕を呼んで】心に響くおすすめ洋画5選【アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー】

【君の名前で僕を呼んで】心に響くおすすめ洋画5選【アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー】

2017年に公開された洋画の中から、心に響くおすすめの5作品をまとめました。「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「レディ・プレイヤー1」、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、「ワンダーストラック」、「君の名前で僕を呼んで」の各作品のあらすじや見どころを紹介していきます。

Read Article

目次 - Contents