ルパン三世 ルパンVS複製人間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ルパン三世 ルパンVS複製人間』とは、モンキー・パンチの漫画が原作の人気TVアニメ『ルパン三世』の劇場用映画化第1作。1978年12月東宝系公開。劇場公開時のタイトルは『ルパン三世』。観客層は大人をターゲットに想定し、1年間の製作期間と5億円の製作費を投じて製作された。エジプトのピラミッドから、人間に永遠の生命を与えるという“賢者の石”を盗み出したルパン三世。複製人間(クローン)を操る天才科学者マモーとルパン一味との”賢者の石”をめぐる激しい争奪戦を描く。

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ケンカをして袂を分かつ決断をしたにも関わらず、やはり心配でルパンの元へ向かってしまう次元と五右エ門。その道中で次元は「なんだかんだルパンが心配か。腐れ縁は切れそうもねぇなぁ。」と五エ門を茶化すのだが、これに対し五エ門は「馬鹿を言え。ルパンを他人に殺させたくはない、それだけだ。」と冷たく切り返すのであった。
文句を言いつつもルパンのことを想って助けに向かってしまうので、言葉とは裏腹に本当にルパンを大切な仲間だと思っていることがわかる。

マモーとの最終決戦に赴くルパンを止める次元

マモーに誘拐された不二子を助けに行こうとするルパンを止めようとする次元に対し、ルパンはマモーの悪行を科学的な視点で分析して語り始めた。それに対して次元は声を荒げ 「ルパン!理屈だ!てめぇの言ってることは何もかもだ!」と激怒し、自らは行かないと断言した。しかしルパンは動じることなく、「いいよ、信心深い奴には向かねぇ仕事だ」と力なく告げるのであった。
一度は黙って見送ろうとする次元だが、遠ざかるルパンの足元にある空き缶を正確に撃ち抜き「行くなぁ!ルパン!」と叫ぶが、ルパンを止めることはできなかった。

ルパン三世「……実際、クラシックだよ。お前ってやつは」

マモーに「夢を盗まれた」と心中を吐露したルパンに、次元は「夢ってのは、女のことか?」と尋ねる。ルパンはそれに対し「実際クラシックだよ、お前って奴ぁ。」と茶化す一言を残し、マモーとの最終決戦に向かっていくのであった。この、ルパンが次元を評して言った「クラシック」は、映画冒頭で繰り広げられたエジプトでのバイクのチェイスシーンで、風で飛ばれそうになった帽子を慌てて被り直す次元をルパンが茶化した際の「お前さんもしっかりクラシックだねぇ。いい加減その帽子脱いだらどうよぉ。」という台詞が由来となっており、この粋な展開も理由となって、シリーズ屈指の名セリフとしてファンの間では絶大な人気を誇っている。

マモー「何と言うことだ!ルパンは”夢”を見ない!空間!虚無!それは白雉の、あるいは神の意識に他ならない!」

ルパンの精神を盗み見ようとしたマモーが、女の裸の事ばかり考え、深層意識では何の夢も見ていないことを知って衝撃を受けた際のセリフがこの「何と言うことだ!ルパンは”夢”を見ない!空間!虚無!それは白雉の、あるいは神の意識に他ならない!」である。数万年という永遠とも思える時を生き、自称「神」であるマモーにとって、ルパンの持つ常人を超えた意識は「神」のそれと同等に見えていたようだ。本当に「神」に近い存在は自分ではなく、ルパンではないのかと考えたマモーは、その事実を許す事ができず、彼はその場でルパンを殺そうとするほど激昂する。
マモーは、自分が神であることを揺るがすルパンを許す事ができず、ルパンは自分がを否定するマモーを許すことができない。クライマックスの対決は、常識を越えた2人の人間が、互いの存在証明を賭けて戦うものとなっていくのであった。

マモー「君は世界の滅亡を考えたことがあるかね? 予言しよう。世界は滅亡する」

マモーは、作中でまるで的中することを見通しているかのように「君は世界の滅亡を考えたことがあるかね? 予言しよう。世界は滅亡する」とハッキリと断言する。
数万年の時間を生き、「神」を自称するほどの根拠があるマモーだからこその発言だ。
彼は「神の国だ。どこか遠い宇宙の果て、死を超越した文明がある。私はそこで不死となり、いつか本当の神となり、地上に君臨しよう…」と言い残し、脳だけの姿となって旅立っていくのであった。

マモー「地上におるもの 皆死ぬべし 生き残るのは私と君だけ アダムとイヴのようにね」

誘拐した不二子に「不死の世界へ行けるボタン」を押すことを促した際のマモーのセリフが「地上におるもの 皆死ぬべし。生き残るのは私と君だけ アダムとイヴのようにね。」である。
不二子は素直にボタンを押すが、その頃、彼女を取り戻すべくルパンがその場へ向かっていた。最終決戦への布石となる重要シーンである。

『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

クローン技術をテーマにした背景は1978年に話題となった「試験管ベビー」

本作に登場する「試験管ベビー」のシーン

本作は、クローン技術をテーマにしたSF作品となっているが、劇場公開された1978年は、イギリスの生理学者ロバート・G・エドワーズが「試験管ベビー」と呼ばれる世界初の体外受精児誕生に成功した年である。それによりクローンはこの年の旬のテーマだった。本作以外にもクローン人間をテーマとした小説『ブラジルから来た少年』の映画化(小説は1976年に発表)、ノンフィクションという触れこみのデービッド・ロービック著『複製人間の誕生(In His Image:the Cloning of a Man)』の刊行があった。
本作中に、細胞分裂の限界などクローンに関する見解を盛り込む一方で、達成が難しいとされる「複製人間」が登場している。また、その「複製人間」であるマモーが「クローンによる世代交代を続けた結果、コピーを繰り返せば像がぼやけるようにゲノム(遺伝子情報)の劣化が生じ、不死は130代目で限界に達する」という件があるが、科学ライターの金子隆一氏によれば、「コピーを重ねるとゲノムが劣化する」という問題を扱った作品は、日本のメジャー作品では珍しいと評価している。

また、本作でやりたかったことについて監督の吉川惣司は「やりたかった事はルパンとマモーの超越者同士の闘いそのものではなく、2人が何をしても大国である米ソには敵わないという構造だった」と語っており、それを聞いた『アニメスタイル』の編集長を務めるライターの小黒祐一郎は非常に驚いたという。
小黒による本作への批評などは、WEB『アニメスタイル』のコラムで全文読むことが可能だ。

僕も、前に少しだけ吉川さんに話をうかがった事があり、その時も、やりたかった事はルパンとマモーの超越者同士の闘いそのものではなく、むしろ、2人が何をしても、大国である米ソには敵わないという構造だったと言われて、ちょっと驚いた。最後のミサイルが降り注ぐシーンの事だろう。やはり創り手の真意というのは、聞いてみないと分からない。

出典: www.style.fm

実は声優として特別出演していた三波春夫と赤塚不二夫と梶原一騎

特別出演がすごいメンバー。三波春夫は本作の主題歌「ルパン三世音頭」を歌唱している。

本作の特別出演陣には、原作者のモンキー・パンチの漫画家仲間である赤塚不二夫(大統領役)や梶原一騎(書記長役)が出演している。
なお、エジプト大統領役を演じた三波春夫は、この作品のエンディングテーマ「ルパン音頭」も歌唱している。

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