ロッキー3(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロッキー3』とは、1982年公開のアメリカ映画。『ロッキー』シリーズの3作目であり『ロッキー2』(1979年)の続編。前作に引き続きシルヴェスター・スタローンが監督・脚本・主演の三役を務め、シリーズ最終章の予定で製作された。世界チャンピオンとなり、順風満帆な生活を送っていたロッキー。そこへ強敵黒人ボクサー・クラバーが挑戦して来た。だが、ハングリー精神を忘れたロッキーは無残に敗れ去る。再起をかけるロッキーにかつての宿敵アポロがトレーナーとして名乗りをあげ、クラバーとのリターンマッチに挑む。

元ボクシング世界ヘビー級チャンピオン。
圧倒的な強さを誇るボクサーだったが、ロッキーに敗れた後は暫くつらい日々を送っていた。
ロッキーとクラバーの試合のコメンテーターを務めた際には、ゲストとしてリングに上がり、クラバーからは侮辱され、ロッキーには応援の言葉を送る。
クラバーに敗北したロッキーに、トレーナーとして名乗りを上げ、クラバーからのタイトル奪還に協力する。一方で、試合が終わった後には、頼みたいことがあるとロッキーに話す。
クラバーとの再戦では自分がロッキーと戦った時の星条旗模様のトランクスを彼に履かせた。

クラバー・ラング(演:ミスター・T)

ロッキーと世界タイトルマッチを行った挑戦者の黒人ボクサー。
地道な努力を重ね、ロッキーが失ったハングリー精神の持ち主として登場。次々と防衛戦でKO勝ちを重ね、世界ランキング1位になりロッキーへの挑戦権を得る。
強さを恐れたロッキーのマネージャーであるミッキーの意向もあり、ロッキーへのタイトル挑戦のチャンスを得られないため、傍若無人な振る舞いで、ロッキーだけではなく、妻のエイドリアンも侮辱し、ロッキーを怒らせて試合に引きずり出すことに成功する。ロッキーとのタイトルマッチに勝利し新チャンピオンとなるが、リターンマッチでは敗戦する。
ロッキー、エイドリアン、アポロに対して侮辱の言葉を吐き、挙句の果てにミッキーを突き飛ばして死に追いやってしまったことで、真の悪役と言うイメージを着けてしまった。

サンダー・リップス(演:ハルク・ホーガン)

ロッキーと異種格闘技戦を戦うプロレスラー。
ヘビー級チャンピオンの悪役レスラーで、客席からはブーイングを浴びていた。
レオタード姿の金髪の美女を引き連れ、白い帽子に、背中に唇をデザインした赤いガウンに、チャンピオンベルトをした姿で入場してくる。
チャリティ・マッチでお遊び気分と思っていたロッキーに対して、強烈な打撃や投げ技を食らわせる。だが、本気になったロッキーの反撃を受け、客席に投げられてしまう。試合が引き分けに終わると、ロッキーに対して友好的な態度を示し、ロッキーの家族と記念写真を撮る。

デューク(演:トニー・バートン)

かつてアポロのトレーナーを務めていた男。
アポロがずっとトレーニングをして来たスラムのジムで、現在もトレーナーをしている。
ロッキーのトレーナーに就いたアポロに協力してロッキーのトレーニングをサポートする。
前作までは役名が無かったが、本作から「デューク」と呼ばれている。

ロッキー・ジュニア(演:イアン・フリード)

ロッキーとエイドリアンの間に生まれた一人息子。
サンダー・リップスとのチャリティーマッチには、母親と一緒に観客席で観戦。試合後は両親とサンダーと一緒に記念写真を撮った。
ロッキーがアポロのジムに行った後は自宅に残り、その後の出演シーンはない。

『ロッキー3』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

俺たちが戦った時、お前はトラの目をしていた、鋭い目を!”Now, when we fought, you had that eye of the tiger, man; the edge! "

クラバーに敗れ、ミッキーを失い、絶望のどん底に落ち込んでいたロッキー。そんなある日、ロッキーは思い出の詰まったミッキーのジムに立ち寄った。するとそこへ、エイドリアンに居場所を聞いて来たと言ってアポロが訪れた。「トレーニングに協力する」と申し出るアポロだが、引退するつもりのロッキーは断る。アポロは、「負けたままで終わったら一生後悔する」と自分がロッキーに負けた時に味わった経験を話した後に、彼に言ったセリフ。

さらにアポロは、「トラの目を取り戻すんだ。取り戻すために、初心に戻るんだ。」とロッキーを説得した。ロッキーがスラムで育ったボクサーであるように、アポロもまた黒人のスラム街で育ったボクサー。ロッキーと戦い、彼のハングリー精神を、身を持って知っているアポロ故に、彼のかつての荒々しさやハングリー精神が全く失われていることに我慢がならなかったのだ。後半の展開のきっかけとなる大事なシーンである。

明日はないんだよ!”There is no tomorrow!”

アポロの元で、かつてのハングリー精神を取り戻すためにトレーニングを積むロッキー。音楽のリズムに乗るフットワークや、プールで泳がせる筋トレなどアポロ流のトレーニングが行われた。そして、アポロとのスパーリング。アポロのパンチをかい潜る練習をするが、クラバーの強烈なパンチがトラウマとなり一方的に殴られるロッキー。彼はトレーニングに身が入らず「明日にしよう」と弱音を吐いた。そんなロッキーに、アポロが一喝した言葉。

これまでの「ロッキー」シリーズにおいて、最も落ち込んだロッキーの姿を見る事になるシーンではあるが、このロッキーの姿を見ていれば誰もが言いたくなる言葉をアポロが代弁してくれている、本作中一番の名セリフである。

ボクサーの妻よ "I live with a fighter."

砂浜をダッシュをするトレーニングの最中、ロッキーはクラバーのパンチやミッキーの死を思い出し、途中で走ることをやめてしまう。それを見たアポロはついにサジを投げその場を去ってしまう。その様子を見ていたエイドリアンは、呆然と海を見つめるロッキーの元へ行くと「なぜここ(アポロのジム)へ来たのか?」と聞く。自分に自信がなくなり、得たものを失うことへの恐怖を語る弱気な彼に、エイドリアンは叱るように思いをぶちまける。「このままずっと負けを引きずるの?誰のためでもない自分のために戦って」と。ロッキーはそんなエイドリアンの姿に「強くなったな」と言葉を掛けると、エイドリアンが返したセリフ。

シリーズの初めは地味で内気だったエイドリアンが、5年の時を超え、弱気になるロッキーを叱咤激励するように変化した。この時のエイドリアンの言葉がなかったら、ロッキーの人生は大きく変わっていただろう。「ロッキー」シリーズ中でも、エイドリアンが大きなインパクトを残すシーンである。。

美術館前での挑戦者クラバーの挑発

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@yasurin2184

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