ロッキー2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ロッキー2』とは、1979年公開のアメリカ映画。シルヴェスター・スタローンを一躍スターダムに押し上げた『ロッキー』(1976年)の続編でシリーズ第2弾。本作ではジョン・G・アヴィルドセンに代わりスタローンがメガホンを取り、監督・脚本・主演の三役を務めている。ロッキーとの試合に納得がいかない世界チャンピオンのアポロは、彼をリターンマッチに引きずり出そうと目論む。ボクシングを辞め、恋人エイドリアンと結婚しジュニアも誕生したロッキーだったが、苦悩の末、再びアポロの挑戦を受けることにする。
『ロッキー2』の概要
『ロッキー2』とは、1979年製作のアメリカ映画。全世界で大ヒットを記録し、主演のシルヴェスター・スタローンを一躍ハリウッド・スターに押し上げた『ロッキー』(1976年)の続編であり、シリーズの第2作でもある。ユナイテッド・アーティスツの配給によりアメリカ公開は1979年6月、日本では9月に公開された。
前作で監督を務めたジョン・G・アヴィルドセンに代わり、本作ではスタローンがメガホンを取り、監督・脚本・主演の三役を務めている。
製作は前作に引き続きアーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフのコンビ。撮影は「ジョーズ」や「カッコーの巣の上で」の名カメラマンであるビル・バトラーが担当。そして音楽は、名曲となった「Gonna Fly Now(ロッキーのテーマ)」で活躍の場を広げたビル・コンティが引き続き担当、新たに「REDEMPTION/Theme From Rocky II(ロッキー2のテーマ)」を作曲した。
前作の大ヒットによって制作費が約7倍に跳ね上がり、前作を遥かに凌ぐ壮絶なボクシングの試合場面が展開され全世界でヒットはしたものの、作品の評価・興行成績は前作に及ばなかった。
『ロッキー2』のあらすじ・ストーリー
世界チャンピオンのアポロと、挑戦を受けた無名のボクサー・ロッキーとの試合は壮絶な打ち合いの末、アポロの判定勝ちとなった。リング上でロッキーは、会場で観戦している恋人で最愛の女性・エイドリアンの名を叫び続ける。彼の元へ、観客を掻き分けて来たエイドリアン。そして二人は抱きしめ合い、お互いに愛していると言い続けた。
試合後、治療のため救急車で病院に運ばれたロッキーとアポロ。病院のロビーで多くのマスコミに囲まれるロッキーに対し、アポロは「もう1度戦え!」と執拗に叫ぶ。だがもう試合はしないとエイドリアンに誓い、引退を心に決めているロッキーはアポロに取り合わずに治療室へと消えて行き、ダメージを受けた鼻と右眼の治療を受けた。その夜、ロッキーはアポロの病室へ行き、彼にベストを尽くしたかを聞くとアポロは頷き、納得したように病室を去るロッキーだった。
やがてロッキーは退院する。恋人のエイドリアンと病院から出てきたところを広告会社の男女が待ち構えていた。彼らは一躍有名になったロッキーに、ある企業のCM契約を迫るが、ロッキーは「後で電話する」と言い残しエイドリアンと立ち去る。そのまま動物園にやって来ると、トラの檻の前でロッキーはエイドリアンにプロポーズをし、エイドリアンは素直に受け入れた。二人は教会で結婚式を挙げ、エイドリアンの兄・ポーリーと高利貸しのガッツォ、トレーナーのミッキーもお祝いに駆けつけた。そしてその夜、二人はロッキーの部屋で結婚初夜を迎えるのだった。
翌日から、ロッキーは試合のファイトマネーが入ったことで、エイドリアンを連れて街へ買い物に出掛ける。高級車を買い、トラが描かれた革のジャケットを買い、エイドリアンには毛皮のコート、ポーリーには金の腕時計、さらに新居のマンションまで買ってしまう。エイドリアンはさすがに不安になり、彼に「無駄使いはやめて」と忠告するが、ロッキーはCMの仕事で金が入ることを見込んでいた。
一方、アポロの自宅には世界中から手紙が届いていた。その内容はどれも試合の判定に異議を唱え、勝った彼を侮辱するものばかりだった。アポロはイラつき、妻が子供と遊んで欲しいと言っても聞く耳を持たない状況だった。
やがて、エイドリアンの妊娠が分かり、大喜びのロッキー。その後、男性用香水のCM撮影に望んだロッキーだったが、セリフをうまく言えずにCMの監督をイラつかせ、しまいには監督の罵りにカチンときて口論になり、CM撮影は中止となってしまう。当てにしていたCMが無くなり、ロッキーは仕事探しを始めることになった。最初は事務職を探すのだが、学歴が無く、多少の前科もあることから仕事が見つからない。仕方なくポーリーが以前働いていた精肉工場を紹介してもらい、肉体労働の仕事を始めるが、すぐに人員整理があってクビにされてしまう。金に困ったロッキーは、買ったばかりの高級車をポーリーに売りつけて自宅へ帰ると、エイドリアンにまたボクシングを始めようかと話す。そうさせたくないエイドリアンは、自分が以前に働いていたペットショップに勤めると言い出した。妊娠を心配するも彼女を止められず、ロッキーは自分の情けなさが腹立たしかった。
その夜、ロッキーは、ミッキーの住まいを訪れる。ボクサーに戻りたいと言うロッキーに反対するミッキー。食い下がるロッキーに対し、ミッキーはその場で彼の眼のテストをする。その結果、右眼の視野が極端に狭くなっていることが判明。さらにミッキーが右から不意に打ったパンチがロッキーには見えなかった。仕方なくボクサーに戻ることを諦めたロッキーは、ミッキーのジムで働かせてもらうよう頼むのだった。
そんな折、アポロの事務所では、側近を集めたアポロが、ロッキーと何が何でも再戦したいとの意向を話していた。滅多打ちにされながらも突進してくるロッキーを危険視していたトレーナーのデュークは、新しい挑戦者を見つけるようにと反対するが、アポロの決意は固かった。アポロは、ロッキーを引っ張り出すために、メディアを使ってロッキーを侮辱する作戦を取るよう側近たちに命令する。
ミッキーのジムで雑用として働き出したロッキーだったが、トレーニング中のボクサーたちには「掃除のチャンピオン」と罵られ、掃除している姿を見たガッツォからは「元の集金係に戻れ」と言われる始末。そんな時、アポロがロッキーに対し再戦を求めて挑発する姿をテレビで偶然見たロッキーは、「自分にはボクシングしかない」とエイドリアンの反対を押し切って再戦を決意する。同じテレビ番組を見ていたミッキーもアポロの態度に怒り、再びロッキーと共に戦うことを決めるのだった。そうして、ロッキーとアポロの再戦が決まり、記者会見が開かれた。アポロは常に早口でまくし立て、ロッキーに対する敵意をむき出しにする。試合会場はフィラデルフィアで、ロッキーが「会場が家から近くていい」とマイペースなコメントをすれば、アポロは「2ラウンドでお前を倒す!」と吐き捨てるようにして会場を後にした。
ロッキーは前の試合の映像をミッキーと見直し対策を練っていた。ミッキーは、痛めている右眼を守るための作戦としてサウスポーのロッキーを右利きに変身させる戦術を明かす。右利きとなることで、アポロを困惑させることもできるという作戦だ。早速トレーニングが開始された。最初のトレーニングは、空き地で逃げるニワトリを追いスピードつけるというものだった。右利きに変身するために左腕でジャブを500回打つトレーニングも行う。だが、試合に反対のエイドリアンが口を聞いてくれないことが気になりトレーニングに身が入らない。そんなロッキーの気の抜けた姿に、ミッキーは怒り心頭だった。
そんな折、お腹の目立ってきたエイドリアンが働いているペットショップにポーリーが訪れる。ロッキーの決意に反対する妹を説得しようと怒鳴るポーリー。お互いに口論を始めた矢先、エイドリアンは急にお腹を押さえてうずくまってしまう。ロッキーはジムのロッカールームでエイドリアンが倒れたという知らせを聞き、慌てて飛び出していった。エイドリアンは早産で、病院では男の子が無事生まれていた。だが突然の出血と過労のため、彼女は昏睡状態に陥っていた。ロッキーはエイドリアンの眠る病室で、返事をしない彼女に話しかけながら付き添い、面会時間を過ぎると朝まで礼拝堂で祈る。そこへロッキーを励ましに来たミッキーが練習再開を促すが、今は試合どころではない彼の心情を察して、ロッキーと共に礼拝堂で祈る。それからのロッキーはエイドリアンの手を握り、話しかけ、本を読み、自作の詩を読み、夜になると礼拝堂で祈る日々を過ごした。その側には常にミッキーの姿があった。そして数日後の夜、突然気が付いたようにエイドリアンは目覚めた。「信じていたよ」と優しく声を掛けるロッキーだった。
翌朝、二人は生まれた赤ちゃんを初めて一緒に見る。そして父親の名を取って「ロッキーJr」と名付けることにした。ロッキーはエイドリアンに「お前が反対するなら試合をやめる」と言う。そんなロッキーに彼女は「勝って!」と言った。傍にいたミッキーの顔色が変わりロッキーに叫んだ。「ぼやぼやするな!」と。
ミッキーとロッキーのトレーニングが再開された。ロッキーは人が変わったように気の入ったトレーニングを行い、ミッキーのメニューを消化することでよりスピードとパワーを増し、コンディションも良くなっていくと、ついにニワトリを捕まえることにも成功する。ロードワークを行うロッキーは、街の人々から歓声を浴び、ロッキーに憧れるたくさんの子供達とともにフィラデルフィア美術館の階段を駆け上がり、子どもたちの「ロッキー」コールと共に一緒に勝利を誓い合うのだった。
試合当日、スタジアムは超満員。アポロは早々に控室で準備を済ませている。ロッキーも、息子の世話で家に残るエイドリアンとポーリーや、多くの近所の人々に見送られて車で会場に向かう。彼は途中で教会に寄ると外から神父を呼び、勝利を祈ってもらうのだった。会場ではミッキーが待ち構え、のんびりと到着したロッキーを急がせハッパを掛ける。時間になり会場に入ると、すさまじい「ロッキーコール」が巻き起こった。その中をリングに向かって颯爽と歩くロッキー。続いてアポロも、前の試合とは人が変わったように真剣な表情で入場する。
エイドリアンとポーリーが家のテレビで見守る中、ついに試合が開始された。アポロは最初から鋭い左右の連打で攻撃、ロッキーも右利きの構えで応戦するが、早くもダウンを奪われる。第1ラウンドから壮絶な打ち合いとなり、第2ラウンドではアポロが観客にアピールしながら凄まじいパンチを浴びせ、ロッキーは2度目のダウンを喫した。試合は激しい打ち合いが続き、アポロ優勢で進んだ。そしてついに最終15ラウンド。ポイントでは勝っているがあくまでもKOにこだわるアポロ。それに対しロッキーは、「相手は戸惑うはずだ」と言うミッキーの指示でサウスポーにスイッチする作戦に出る。ロッキーの強烈な左フックがアポロに炸裂する。アポロも反撃するが、お互い体力は失せて気力で立っているような状態での撃ち合いが続いた。そして、ロッキーの渾身の一発がアポロの顔面を捉え、ついにアポロがダウン。だが、パンチを放った反動で疲れ果てたロッキーも同時にダウンしたのだった。
レフリーのカウントが始まった。両者ともロープにしがみつき、必死に立ち上がろうとする。テレビの前で顔を覆うエイドリアン。そしてカウント9のコールでアポロが立ち上がりそうになったが、そのままズルズルとコーナーに沈んでしまう。同時に、ロッキーは最後の気力で立ち上がっていた。テレビの前で「勝った!」と思わず飛び上がるエイドリアンとポーリー。大歓声の場内には、「新チャンピオン、ロッキー・バルボア!」のアナウンスが響き渡る。破れたアポロはロッキーの腕を高々と上げ、勝利を称えた。そしてロッキーはレフェリーに「ひと言いいか?」とマイクに向かうと、アポロやミッキーや神に対して感謝の言葉を述べた。そして「子供も生まれたし、俺の人生で最高の夜だ!」と叫ぶ。そして最後にテレビで見ているエイドリアンに向かって「エイドリアン!俺はやったぞ!」と叫んだ。
テレビの前で涙するエイドリアン。チャンピオンベルトを手にしたロッキーはミッキーと固い抱擁を交わすのだった。
『ロッキー2』の主な登場人物・キャラクター
ロッキー・バルボア(演:シルヴェスター・スタローン)
本作の主人公。
フィラデルフィアの小さなアパートで暮らすサウスポーのボクサーで、ニックネームは「イタリアの種馬」。
アポロとの世界タイトルマッチでチャンピオンのアポロと互角に戦うも判定負けし、右眼にダメージを受けたため引退。その後、動物園にてエイドリアンにプロポーズして教会で結婚式を挙げる。
世界戦のファイトマネーやCMの出演料をあてにして、高級車や腕時計、マンションまで購入する。しかしCMの撮影でNGを連発して契約を解除されされたことで、職探しを始めることになる。ポーリーが勤めていた精肉工場に職を得るが、人員整理でクビになり、経済的に厳しくなってしまう。名誉回復を狙うアポロからの再戦要求を受け、妻の反対を押し切って再びリングに立つ決心をする。
エイドリアンが昏睡状態に陥った時は、病室で何日も何日もエイドリアンの手を握り、夜になると礼拝堂で祈った。目覚めた妻に「お前が反対するなら試合をやめる」と言うが、彼女に「勝って!」と励まされて試合に臨んだ。
生まれた赤ちゃんには、妻の意見で父親の名を取って「ロッキーJr」と名付けることにした。
エイドリアン(演:タリア・シャイア)
本作のヒロイン。
ロッキーの友人である兄・ポーリーの妹。
内気で人見知りが激しく、極端な恥ずかしがり屋だったが、ロッキーと付き合うようになってからは自分に自信を持つようになる。
ロッキーからのプロポーズを受けて結婚、そして子どもを妊娠。だが、有頂天になって買い物をするロッキーのせいでやがて家計が厳しくなり、かつて働いていたペット・ショップで働き始める。家計は自分が働くことで何とか出来ると思っていたが、ボクサーを引退したロッキーがアポロとの再戦を決めたことに反対して夫婦仲が悪化。ストレスもあり、妊娠中の身では限界があったため、ペットショップで倒れ病院で早産する。子供は無事に生まれたが、出血も多く昏睡状態に陥る。昏睡状態から目覚めた時に、ロッキーがずっと側に付き添っていたことを知り、ロッキーに「勝って!」と頼む。
ポーリー(演:バート・ヤング)
エイドリアンの兄でありロッキーの親友。
精肉工場で働いていたが、ロッキーの紹介で、高利貸しガッツォの集金屋となる。
粗野な性格で、口が悪く酒癖が悪かったが、仕事が充実しているせいか前作よりも大人しくなり、スリムな体格になっている。ロッキーから「車を買わないか」と言われて購入したことから金回りも良くなったのだろう。
練習に身が入らないロッキーからエイドリアンを説得するように言われ、ペットショップでは、相変わらず妹と激しい口論をした。だが、エイドリアンが昏睡状態になった後は頻繁に見舞いに行っていた。
ミッキー(演:バージェス・メレディス)
ロッキーが所属していたボクシングジムのトレーナー。
元バンタム級の世界チャンピオンで、この道50年のベテラン。アポロとの戦いでロッキーのマネージャーとしてセコンドに着いた。
ロッキーの右目が限界であることを見抜き、アポロとの再戦への協力を依頼してきたロッキーに、横から指を近づけて見えるかのテストをし、ロッキーに現実を突きつける。協力をいったんは拒否するが、アポロのロッキーへの侮辱に怒り、ロッキーとともに再戦を決意する。
エイドリアンが昏睡状態になり、ロッキーがトレーニングできなくなると、病院の礼拝堂にいるロッキーの元へ行き、トレーニングの再開を呼びかけたが、ロッキーの心情を察し、エイドリアンが回復するまで常にロッキーの近くで過ごした。
アポロ・クリード(演:カール・ウェザース)
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目次 - Contents
- 『ロッキー2』の概要
- 『ロッキー2』のあらすじ・ストーリー
- 『ロッキー2』の主な登場人物・キャラクター
- ロッキー・バルボア(演:シルヴェスター・スタローン)
- エイドリアン(演:タリア・シャイア)
- ポーリー(演:バート・ヤング)
- ミッキー(演:バージェス・メレディス)
- アポロ・クリード(演:カール・ウェザース)
- ガッツォ(演:ジョー・スピネル)
- デューク(演:トニー・バートン)
- メリー・アン・グリード(演:シルビア・ミールズ)
- カーマイン神父(演:ポール・J・マイケル)
- 『ロッキー2』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「ベストを尽くしたか?」”Did you give me your best?”
- 「お願いがあるの」「勝って…勝って!」”There's one thing I want you to do for me.” ”Win...Win!”
- 「何をボヤボヤしてるんだ!」”What are we waiting for!”
- 動物園でのプロポーズ
- 逃げるニワトリを捕まえるトレーニング
- 感動のクライマックスシーン
- 『ロッキー2』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 会場で応援するはずだったエイドリアン
- 役作りにのめり込み過ぎてしまったスタローン
- ボクシング界のスーパースターがカメオ出演
- ロッキーのモデルとなった伝説のボクサーが出演予定だった
- 『ロッキー2』の音楽(主題歌・挿入歌)
- Redemption /Theme From Rocky II(ロッキー2のテーマ)
- 『ロッキー2』の関連映像
- 予告編映像