かくりよの宿飯(やどめし)のネタバレ解説・考察まとめ
『かくりよの宿飯』とは、富士見L文庫より刊行された友麻碧のキャラクター小説。イラスト担当したのはLaruha。2018年には2シーズンに渡ってアニメ化された。アニメの制作はGONZO、監督は奥田佳子が務めた。
あやかしを見ることの出来る女子大生の津場木葵がかくりよにある老舗宿「天神屋」の大旦那を名乗る鬼神に連れ去られたことをきっかけに、料理の腕を活かして小料理屋を切り盛りしていく。料理を通してあやかしとの仲を深めていく様子が見どころとなっている。
9本の尻尾をもつ狐の霊獣または妖怪である。九つの姿に変身することが出来る。
中国の各王朝の史書によると、九尾の狐はその姿が確認されることが、泰平の世や明君のいる代を示す瑞獣(ずいじゅう)(*)とされている。『周書』や『太平広記』などの書物によると、天界より遣わされた神獣であるとされる。
また一方では、美女に化身して人を惑わす悪しき存在としても語られてきた。ここ天神屋では葵を助ける存在である。
*:瑞獣(ずいじゅう)とは、この世の動物達の長だと考えられた特別な4つの霊獣(れいじゅう)
魚のように鱗を持つ鱗虫、鳥のように羽を持つ羽虫、獣類のように毛をもつ毛虫、甲殻類のように固い殻や甲羅をもつ甲虫がそれぞれ360種類いるとされるが、これらそれぞれの獣達の長が瑞獣である。
雪女(ゆきおんな)
雪女(ゆきおんな)は空想上のものであり存在はしないといわれているが、
いつも「死」を表す白装束を身に着けて男たちに冷たい息を吹きかけて凍死させたり、男の精を吸いつくして殺すところは共通しており、広く「雪の妖怪」として怖れられていた。
ここかくりよでは天神屋の若女将を務めているお涼のことである。
土蜘蛛(つちぐも)
土蜘蛛(つちぐも)は、上古の日本において朝廷・天皇に恭順しなかった土豪たちを示す名称であった。
近世以後は、蜘蛛のすがたの妖怪であると広くみなされるようになった。
ここかくりよでは天神屋の番頭を務めている。
女郎蜘蛛(じょろうぐも)
絡新婦(じょろうぐも)とも書く。日本各地に伝わる妖怪の一種。
美しい女の姿に化けることが出来ることから、本来の意味での表記は「女郎蜘蛛」で、「絡新婦」は漢名を当てた熟字訓である。
滝の主としての伝説もある。ある男が滝壺のそばで休んでいると、沢山の糸が脚に絡みついてきた。
男がその糸を近くの木の切り株に結び付けてみると、株はメリメリと滝に引き込まれた。
女郎蜘蛛が男を滝に引き込もうとしていたのである。
ここでは暁である土蜘蛛の妹として登場する。
濡女(ぬれおんな)
濡女(ぬれおんな)は、日本の妖怪の一つで、「ヌレヨメジョ」の名でも知られる海の怪異。その多くは人間を食べると言い伝えられているが、姿かたちも性質も一様ではない。
また濡女は牛鬼(うしおに、ぎゅうき)の化身との説もある。
ここかくりよでは天神屋の女湯の湯守りを務めている。目立つのが嫌いなおとなしいあやかしである。
*牛鬼は、西日本に伝わる妖怪で主に海岸に現れて、浜辺を歩く人間を襲うとされている。
手鞠河童(てまりがっぱ)
体格はうんと小さく人間の拳くらいの大きさである。鞠の形になって転がることが出来る。
全身は緑色をしている。頭頂部に皿があることが多い。皿は円形の平滑な無毛部で、いつも水で濡れており、皿が乾いたり割れたりすると力を失う、または死んでしまう。
口は短い黄色い嘴で、背中には亀のような甲羅があり手鞠模様の鮮やかな色をしている。手足には水掻きがある場合が多く、肛門が3つあるとも言われる。
両腕は体内で繋がっており、片方の腕を引っ張るともう片方の腕が縮み、そのまま抜けてしまうこともあるとされる。
手鞠河童のチビは葵についてかくりよに行くことになる。
化け狸(ばけだぬき)
狸の妖怪(ようかい)。日本のタヌキは古来から森羅万象を司る動物として神格化されていたが、仏教が伝わってからは、神の使いとされるもの(キツネやヘビなど)以外の動物は神格を失ってしまい特別な能力を持つ獣というイメージだけが残されてしまった。そのため悪しき者または妖怪とみなされた。しかしながら、日本のタヌキはヤマネコのような恐ろしい印象がなく、ユーモラスな化け物としてのイメージが形成され、民話においても『かちかち山』『文福茶釜』など、間抜けな動物を演じることが多い。
化ける動物の代表とも言えるキツネと比較すると「狐七化け、狸八化け」など、タヌキのほうが化け方がうまいと思われている。
これは、キツネは人を誘惑するために化けるのに対し、タヌキは人をバカにするために化けるからであり、化けること自体が好きなのだと言われている。
ここ天神屋にいる春日はペットのような可愛い化け狸である。
天狗(てんぐ)
天狗は伝説上の生き物と言われている。一般的に山伏の服装で赤ら顔で鼻が高く、背中に大きな翼があり空中を飛翔することが出来る。
俗に人を魔道に導く魔物とされ、外法様(げほうさま)(*)ともいう。また後白河天皇の異名でもあった。
「人にて人ならず、鳥にて鳥ならず、犬にて犬ならず、足手は人、かしらは犬、左右に羽根はえ、飛び歩くもの」と平家物語には記されている。
*:外法様(げほうさま)とは仏教の法である仏法(内法)に対し、それ 以外の法のこと。、仏教以外の宗教、仏教から見た異教のこと
一反木綿(いったんもめん)
目次 - Contents
- 『かくりよの宿飯』の概要
- 『かくりよの宿飯』のあらすじ・ストーリー
- あやかしの宿「天神屋」
- 小料理屋「夕がお」開店
- 妖王家夫妻の結婚記念日
- 静奈と時彦
- 折尾屋
- 松葉と葉鳥のけんか
- 海宝の肴
- 声と味覚を奪われた葵
- 儀式と海坊主
- 『かくりよの宿飯』の登場人物・キャラクター
- 人間
- 津場木 葵(つばき あおい)
- 津場木 史郎(つばき しろう)
- 律子(りつこ)
- あやかし
- 大旦那(おおだんな)
- 銀次(ぎんじ)
- お涼(おりょう)
- 暁(あかつき)
- 鈴蘭(すずらん)
- 静奈(しずな)
- チビ
- 春日(かすが)
- 松葉(まつば)
- 反之介(たんのすけ)
- 白夜(びゃくや)
- サスケ
- 薄荷坊(はっかぼう)
- 黄金童子(おうごんどうじ)
- 縫ノ陰(ぬいのいん)
- 千秋(ちあき)
- 葉鳥(はとり)
- 時彦(ときひこ)
- ノブナガ
- 砂楽博士(さらくはかせ)
- 乱丸(らんまる)
- 秀吉(ひでよし)
- 太一(たいち)
- ねね
- 戒(かい)、明(めい)
- 淀子(よどこ)
- 三成(みつなり)
- アイ
- 笹良(ささら)
- 雷獣(らいじゅう)
- 磯姫(いそひめ)
- 海坊主(うみぼうず)
- 『かくりよの宿飯』の用語
- 隠世(かくりよ)
- 現世(げんせ、げんせい、うつしよ)
- 妖(あやかし)
- 鬼人(きじん)
- 九尾の狐(きゅうびのきつね)
- 雪女(ゆきおんな)
- 土蜘蛛(つちぐも)
- 女郎蜘蛛(じょろうぐも)
- 濡女(ぬれおんな)
- 手鞠河童(てまりがっぱ)
- 化け狸(ばけだぬき)
- 天狗(てんぐ)
- 一反木綿(いったんもめん)
- 白澤、白沢(はくたく)
- 入道坊主(にゅうどうぼうず)
- 座敷童子(ざしきわらし)
- 管子猫(くだこねこ)
- 不知火(しらぬい)
- 送り犬(おくりいぬ)
- 鉄鼠(てっそ)
- 千年土竜(せんねんもぐら)
- 狛犬(こまいぬ)
- 夜雀(よすずめ)
- 火鼠(ひねずみ)
- 鶴童子(つるどうじ)
- 雨女(あめおんな)
- 天神屋(てんじんや)
- 鬼門中の鬼門(きもんちゅうのきもん)
- 八葉(はちよう)
- あやかし好みの味(あやかしごのみのあじ)
- 朱門山(しゅもんざん)
- 天狗の団扇(てんぐのうちわ)
- 宙船(そらふね)
- 椿の簪(つばきのかんざし)
- 妖のお面(あやかしのおめん)
- 妖都(ようと)
- 八幡屋(やはたや)
- 妖怪医学百科(ようかいいがくひゃっか)
- 牛車(ぎっしゃ)
- 妖都新聞(ようとしんぶん)
- 文通式(ぶんつうしき)
- 泉術(せんじゅつ)
- 『かくりよの宿飯』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 史郎「あやかしの見える人間は狙われやすい。気を付けるんだよ葵」
- 大旦那「気分はどうだい、花嫁殿」
- 銀次「そうだ葵さん、ここで食事処を開きませんか?」
- 大旦那「目障りだ津場木葵、お前はこの天神屋にとって多額の借金を抱えた迷惑な人間でしかない」
- 大旦那「しいて言うなら若い人間の生血とか臓物とか」
- お涼「葵の料理には霊力を回復する特別の効果が備わってるの」
- 大旦那「かくりよへまた来てくれるのかい」
- サスケ「葵殿、あなたはとてもよく似ているでござる、史郎殿に」
- 大旦那「ついておいで」
- 大旦那「葵がそれで安心するのであれば、羽織りの皴(しわ)などいくら増えても構わないよ」
- 板前長「このわがまま、屁理屈、横暴な物言い、史郎の孫娘に違いねえや」
- 律子「かくりよの食べ物を食べ続けることで、少しばかりあやかし的な存在に近づくのです」
- 時彦「君が帰るべき場所はある、だから思うままに頑張れ」
- 大旦那「葵が作ったものなら何だって好きだよ」
- 大旦那「僕は葵になら尻に敷かれてもいいと思っている」
- 葵「私は銀次さんを返せって言ってるのよ」
- 葵「私、戻れないわ。銀次さんを置いては戻れないわ」
- 戒と明「だから、うつしよのアイデアで助けて欲しい」
- 葉鳥「お嬢ちゃんは素直でいい子だ」
- 笹良「家族は皆一緒にいなければ」
- 葵「これは私がやらなきゃならないことよ」
- 磯姫「海宝の肴はあなたが手掛けなさい]
- 葵「ねえ秀吉、あんたもしかしてねねのこと好きなの?」
- 雷獣「料理って言う武器が通用しない相手からは、どうやってその身を守るの?料理が出来なくなったら?」
- 乱丸「俺が行くほかねえ。山登りでも山越えでも、なんだってやってやる」
- 銀次「大丈夫ですよ葵さん。このまま食べ物の味が分からないなんて、そんなことあるはずがありません。そんなこと、あっていいはずがありません」
- 葵「あははじゃなくて、ねえ大旦那様。迎えに来てくれたのはうれしいけど、私今帰るわけにはいかないのよ。儀式の肴を作るの、私が任されたの磯姫様に、いえ乱丸に」
- チビ「葵さん、どうして海坊主さん1人にさせるですか?海坊主さんは、寂しがり屋さんです。僕と同じです、独りぼっちでいつもお腹が空いてて」
- 『かくりよの宿飯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アニメ化が正式に決定した時に初めてお酒を飲んだ原作者・友麻碧
- 『かくりよの宿飯』に対する奥田佳子監督の思い
- 『かくりよの宿飯』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング): 東山奈央『灯火のまにまに』(第1話 - 第9話、第11話 - 第14話)
- ED(エンディング): 沼倉愛美『彩-color-』(第1話、第2話、第4話、第6話、第7話、第9話 - 第12話)
- ED(エンディング):大旦那(小西克幸)『願い花』(第3話)
- ED(エンディング):暁(内田雄馬)、鈴蘭(内田真礼)『時の砂』(第5話)
- ED(エンディング): 白夜(田丸篤志)『My Sweet Sweet Love』(第8話)
- ED(エンディング):銀次(土岐隼一)『風』(第13話)
- OP(オープニング):ナノ『ウツシヨノユメ』(第2期第14話 - 第26話)
- ED(エンディング):中島愛『知らない気持ち』(第2期第15話 - 第17話、第19話、第20話、第22話、第24話、第26話)
- ED(エンディング):葉鳥(寺島拓篤)『ヤシホノハナ』(第2期第18話)
- ED(エンディング):秀吉(柿原徹也)『恋守唄』(第2期第21話)
- ED(エンディング):雷獣(日野聡)『刹那の煌めき』(第2期第23話)
- ED(エンディング):乱丸(石川界人)『永遠の絆』(第2期第25話)
- 挿入歌: 葵(東山奈央)『春色』(第2期第20話)