[リミット](映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『リミット(映画)』は2010年に公開された異色シチュエーション・スリラー映画。アメリカ人「ポール・コンロイ」はイラクでトラック運転手として働いていたが、ある日突然襲撃されてしまう。気が付くと地中に埋められた箱の中にいた。自力での脱出は不可能だ。手元にあるのは携帯電話と限られた道具と残り90分の酸素のみ。それでもポールは必死に脱出を試みる。

『リミット』の概要

『リミット』(原題:Buried)とは2010年公開の異色シチュエーション・スリラー映画である。
監督はロドリゴ・コルテス、脚本をクリス・スパーリングが務める。アドリアン・ゲラとピーター・サフランが製作した映画である。主演を2009年に公開されたアクションSF映画「ウルヴァリン/X-MEN ZERO」のライアン・レイノルズが務める。本作のシーンは全編にわたって主人公が閉じ込められた棺の中だけで展開され、主演であるライアン・レイノルズの一人芝居・演技が光る。本作は 2010年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞のインディペンデント映画トップ10の1つに選出された。また、同年のゴヤ賞(スペインの映画賞)の最優秀脚本賞も受賞している。
アメリカに妻を残し、イラクのバアクーバでトラック運転手をしているアメリカ人「ポール・コンロイ」は、ある日突然、何者かに襲撃されてしまう。気がつくと棺に閉じ込められて身動きが取れない状況で、どうやら地中に埋められているらしかった。手元には誰のものかわからないブラックベリーの携帯電話とライター、数点のアイテムのみ。状況が全く呑み込めず混乱したポールは、とりあえず外界とのコンタクトを試ることにしたが、どこへ電話してもまともにとりあってはくれなかった。絶望的な状況、死のタイムリミットがせまる中、果たしてポールは誰かに助けを求め、無事脱出することができるのか。主人公の苦悩や絶望感をリアルに描く。

『リミット』のあらすじ・ストーリー

何者かに襲撃されて棺にとじこめられたポール

アメリカ人の「ポール・コンロイ」はイラクに妻を残し、遠く離れた異国の地イラクでトラック運転手として働いていた。しかし、突然何者かに襲われて、気が付くと暗闇に横たわっていた。両手は拘束され、口には猿ぐつわがあてられているようだ。さらに身動きのとりずらい狭い場所だということが感覚でわかる。必死にもがきながらライターで明かりを灯すと、自分の今いる場所が棺の中であることに気づいた。
慌てたポールは猿ぐつわを外し、助けを呼ぼうとするが、外からまったく音がしないことに気づく。両手を縛っている拘束具をなんとか外し懸命に棺の内側から壊そうとしたがうまくいかない。絶望的な状況にポールがうなだれていると、棺の中に携帯電話があることに気づいた。携帯画面にはアラビア語が表示されていて、ポールの所有物ではなかった。とりあえず救急センターへ連絡し助けを求めることにしたポールだったがとりあってくれない。今までの経緯を説明し、助けを求めたが、電話口の相手はポールの言葉をいまいち信用しきっていない様子だった。棺の中の酸素や携帯のバッテリーがどこまでもつかわからない。焦りで冷静さを失っているあまりに、ポールは電話を切ってしまった。
次にアメリカに残してきた妻の「リンダ・コンロイ」に電話をかける。しかし、リンダは留守のようで電話にはでなかった。携帯電話の充電も残り半分ほどだった。無駄に浪費はしたくないので留守電に救援を求めることだけを言い残し、電話を切ることにした。

何をやってもうまくいかないポール

ポールは完全に密閉された空間に突如として放りこまれてしまった。空気の抜け穴など開いているわけもなく、内部はとにかく暑くて息苦しい。自身の息が荒くなってきたことに気づいたポールは冷静に呼吸を整える。次に電話したのはFBIだ。棺に閉じ込められるに至った経緯を伝え、ポールは必死に助けを求める。しかし、電話口のFBIの男もまた彼を疑い、まともにとりあってはくれなかった。話が進まず苛立ちを隠せないポールだったが、運悪く電波の不調により電話が途切れてしまった。
次は勤務先に連絡を試みる。同様に経緯を伝え、助けを求めるも、社員の緊急用回線の方へかけてくれと話を聞いてくれなかった。緊急用回線の電話番号を暗記しているわけもなく、その番号が書かれたメモは襲撃によって奪われていた。その旨を伝えるも、今度は人事部の人間へ電話するようにと言われてしまう。どこに電話して助けを求めてもまったく相手にされない状況にポールは苛立ちと焦りを感じた。外界と連絡をとれる唯一の希望である携帯電話もこれでは意味がない。棺の中でただただ死を待つしかないのか。ポールは棺の中で発狂するしかなかった。

ポールを閉じ込めた犯人からの電話

八方ふさがりで発狂したポールだったが、再び冷静に呼吸を整え、次の一手を考えた。携帯電話の発信履歴に注目するとポールが今までにかけていない謎の番号が残っていることに気づく。それはポールを埋めた犯人の電話番号だった。電話口の犯人の口ぶりから察するに、ポールを兵士だと思い込み襲撃したようだった。ポールはすかさず弁解するが犯人は聞く耳をもたない。さらに身代金500万ドルを要求してきた。ポールはそれを断ると、犯人は大使館に身代金をはらわせるようにと無茶なことをポールに提案し、電話は切れてしまった。これといった情報も聞き出せず、未だ希望も見いだせない。ポールができることといえば携帯電話でかたっぱしに助けを呼ぶことしかなかった。次に国務省に電話すると電話口の女性はポールの名前をいい当てた。女性曰くポールが生き埋めになっていることは、すでに国務省も知っているらしい。ポールがかたっぱしから電話で助けを求めた成果だった。身代金についてはこちらからは払うことはできないと断られたが、女性はテロ対策のプロ「ダン・ブレナー」の連絡先をポールに伝える。すかさずダンに電話をかけると、ダンはポール救出に向けてすでに動き出しているらしかった。ダンは不安障害を患っているポールを気遣い、パニックを起こさないように薬を飲むことと、酸欠にならないように努めるように助言した。携帯電話のバッテリーも節約したいところだ。ポールはただじっとダンの助けを待つしかない。そんな中、犯人から連絡が入る。ポールは身代金は払えないと頑なに断るも、今度は携帯電話で人質動画を撮影しろと要求してきた。また身代金を100万ドルに引き下げることをポールに伝える。

犯人の要求に応えるしかないポール

犯人の要求をのみ、人質動画を撮影するべきか、ポールはダンに相談する。ダンは人質動画を撮影するなと止めた。それに対しポールは国同士のトラブルを避けるために撮影を止めたのではなかろうか、自分を助ける気などないのではないかと不信感をつのらせる。そんなポールに、ダンは自分はテロ対策のプロであり、確かな実績もあることや真摯に仕事に向き合ってきたことなどをつげる。それを聞いてポールは納得しダンを信用することにした。そんな折、また犯人からのメールが入る。添付された画像には拘束された女性が銃を突きつけられている様子が映っていた。ポールは犯人へ再度電話をかける。犯人は人質動画を撮らなければ女性を殺害するとポールを脅迫してきた。否応もない犯人の要求に、ポールは言われるがまま動画を撮影してしまう。だが、次々と女性が殺害される動画が送られてきた。アメリカ政府が犯人側・テロリストの要求をのまなかった見せしめに女性を殺しているようだった。ダンは女性の存在までは把握していなかった。ポールはダンに対し再び不信感を抱くようになった。そんなとき、棺の上では爆撃が行われていた。その影響で棺の本体に亀裂が入り、その隙間から砂が侵入してくる。このままでは本当に生き埋めになってしまう。ポールはなんとか穴を防ぎとりあえず危機を回避した。すると今度は勤め先の人事部から電話が入る。それはポールを解雇する旨の電話だった。テロリストに殺害された女性社員とポールは不適切な性的関係があったとされた。会社の規定違反による解雇だった。会社が保険金を払うのを避けるため、ポールと不倫していたことにされたのだ。ポールはただ絶望するばかりだった。棺の亀裂は防ぎきれず、入り込む砂の量はどんどん増えていく。刻一刻とその時は近づいていた。死を覚悟したポールは遺言を残すため、動画を撮影した。それから、また犯人から電話がはいる。次に要求をのまなければ今度はポール家族を手にかけるというのだ。犯人はすでにポールの家の住所を把握しているようだ。犯人は続けて言う。「自分の指を切り落とす動画を撮れば、家族は助けてやる」。犯人は本気に見えた。きっと今にも自分の家族にてをかけるに違いない。ポールは完全に気が動転していた。すぐさま自分の指を切り、その様子を携帯で撮影した。その時、ようやくダンがポールの居場所を突き止めたという知らせが入った。すでに棺の半分は砂に埋もれ、ポールは窮地に立たされている。これで助かる、と思っていたポールだったが一向に外界の光が見えない。ダン率いる救助隊は「マーク・ホワイト」というポールとは別の人物が入った棺を掘り当ててしまったのだ。「すまない、ポール」というダンの無念の言葉を最後に、ポールは砂に埋もれていった。

『リミット』の登場人物・キャラクター

ポール・コンロイ(演:ライアン・レイノルズ)

CV:東地宏樹
本作の主人公。アメリカ人。妻と息子をアメリカに残し、単身イラクにわたりトラック運転手に従事している。突然、何者かに襲われ、気が付くと地中に埋められた棺桶の中だった。身動きがとれない密閉空間の中で限られたアイテムを駆使して、救助を待つ。棺の中にあった携帯電話を使い、各所に救助を求めるも失敗に終わる。やがて事件の犯人から次々と脅迫・要求の電話がかかってくるようになり、追い詰められてやむなく要求をのんでしまう。

ダン・ブレナー(演:ロバート・パターソン)

CV:田中允貴
テロリスト人質対策の責任者で過去に幾人もの人質救助の実績があるスペシャリスト。ポール救出に尽力する。

ハビル(演:ホセ・ルイス・ガルシア・ペレス)

CV:広田みのる

アラン・ダヴェンポート(演:スティーヴン・トボロウスキー)

CV:森源次郎
CRT社の人事部長。同僚の女性とポールが「不適切な関係」だったとして、ポールを一方的に解雇させた。事件が起きる前にポールは解雇されたことになり、会社は事件の一切の責任を放棄した。

リンダ・コンロイ(演:サマンサ・マシス)

CV:小橋知子
ポール・コンロイの妻。アメリカで子供と暮らしている。ポールが助けを求めるために電話をかけるも留守電だった。

『リミット』の用語

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