ナイトクローラー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ナイトクローラー』とは、刺激的な映像を求めて夜のロサンゼルスを駆けめぐる報道パパラッチの姿を通し、視聴率至上主義のテレビ業界の裏側を浮き彫りにしたサスペンススリラー。軽犯罪で日銭を稼ぐルイスは、報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知り、自分もやってみようと思い立つ。「ボーン・レガシー」などの脚本家として知られるダン・ギルロイがメガホンをとり、長編監督デビューを果たした。
『ナイトクローラー』の概要
『ナイトクローラー』とは、2014年のアメリカ合衆国の犯罪スリラー映画である。
監督・脚本はダン・ギルロイ、主演はジェイク・ギレンホールが勤め、他にレネ・ルッソ、リズ・アーメッド、ビル・パクストンらが出演している。
作品はギルロイの初監督作品で、ロサンゼルスで起こる事故、犯罪や火事をフリーランサーのジャーナリスト、いわゆるパパラッチとして撮影する社会病質者を描いた作品である。
ギレンホールが2013年4月に最初に出演することに同意した俳優である。
後にビル・パクストンとレネ・ルッソが2013年9月に出演に同意し 、続いてリズ・アーメッドがギレンホールの運転手で被保護者としての出演が決定した。
作品の主な撮影はロサンゼルスで2013年10月から始まった。この作品のために、主演のギレンホールは9キロの減量を行っている。
作品は2014年トロント国際映画祭で特別招待作品として上映され、アメリカ合衆国では2014年10月31日にオープン・ロード・フィルムズ配給で公開された。日本ではギャガの配給で2015年8月22日から公開された。
評論家による反応
ナイトクローラーは評論家から高い評価を得ており、その多くがジェイク・ギレンホールの演技を称えているものである。
「息をもつかせずハラハラし、ギレンホールの強力な演技によってナイトクローラーは暗くムカムカするスリルが味わえる」と評された。
しかし、映画で描かれていたテレビニュースビジネスとフリーランスのスクープ映像撮影者との関係の正確性には疑問があるという声もある。
『ナイトクローラー』のあらすじ・ストーリー
報道パパラッチとの出会い
学歴も人脈もないため仕事にありつけず、窃盗で日銭を稼いでいたルイスは、工事現場でフェンスの金網を盗んでいたところを警備員に見つかってしまう。
ルイスは適当にごまかしながら、警備員を殴りつけて気絶させ金網を盗むことに成功した。
スクラップヤードに盗んだ金網を売りに行ったルイスは、そこの現場監督に「仕事をしたい」と申し出るが、「泥棒を雇う気はない」と告げられてしまう。
スクラップヤードからの帰り道、自動車事故の現場を撮影するカメラマンを見たルイスは、刺激的な映像を撮ってマスコミに売るナイトクローラーと呼ばれる報道パパラッチの存在を知ることになった。
報道パパラッチとして始動
ルイスは後日、盗んだ自転車を売り、ビデオカメラと警察無線受信機を入手した。
受信機の情報から、深夜の街でカージャック事件の警察無線を傍受したルイスは急いで事件現場に向かうと、カージャック犯に襲撃されて血みどろとなった瀕死の男性を撮影することに成功した。その映像を持って地元のテレビ局へと売りに行く。
深夜のニュース番組のプロデューサーを勤めるニーナは、ルイスが撮影した映像を気に入り購入した。
そしてニーナはルイスに「このまま報道の撮影を続けるように。そして自分のところに売りに来るように。」と勧める。彼女は、「多くの視聴者の興味を惹くのは裕福な白人が被害者となる暴行事件だ」とルイスに助言した。
撮影を続けるルイスは、1人での撮影に限界を感じ、仕事のアシスタントとして、金も住む家もないリックを雇う。
テレビ局に売る映像を撮影するために、ルイスは不法侵入を犯して臨場感があるような撮影を行っていく。
また、交通事故の現場では、カメラアングルにこだわり、遺体を動かして映像のクオリティを上げるなど、犯罪行為に手を染めていくようになっていた。
撮影してきたスクープ映像で儲けた金で、現場直行の効率化のため赤いスポーツカーと、映像のクオリティを上げるために高性能なカメラ機材を購入する。
次々に欲しいものを手にしていくルイスは、テレビ局のニーナを食事に誘いビジネスパートナーとして、またそれ以上の関係を要求する。断る様子を見せた彼女に「僕はあなたに優先的に映像を売ってきたが買う局は他にたくさんある」と彼女を脅して肉体関係を迫った。
映像パパラッチの同業者ジョー・ローダーは、ルイスが躍進的に活動してきたことで仕事が減ったのか「ビジネスパートナーとして手を組もう。エリアを分けて撮影しよう。」と話を持ちかけてきた。しかし、ルイスは「自分がボスであることが大切だ。他の人を雇ってくれ。興味が無い。」とジョーの誘いを断わった。
しばらくすると、ジョーは他のメンバーとパートナーを組み、映像パパラッチの仕事の巻き返しにかかり、ルイスよりも先に現場に到着しスクープ映像を収めていく。
ルイスはそんなジョーの活躍を苦々しく思い苛立ちを募らせていき、ついに超えてはいけない一線を越えることになる。
ルイスは、ジョーの撮影機材車に細工を行った。その後、ジョーの運転していた撮影機材車が事故を起こすと、ルイスは現場に直行し重症を負ったジョーの様子を撮影して、売り物にした。
転機の訪れ
ある夜、ルイスと助手リックは、スクープのチャンスを得る。
高級住宅地のグラナダ・ヒルズで起きた殺人事件の警察無線を傍受したルイスとリックは、警察よりも先に現場に到着し、ルイスは警察がいない隙に現場へと駆け出した。
そこで、犯人らしき2人組が自動車に乗って逃走する映像と、残忍に殺害された被害者の悲惨な映像を撮影することに成功した。
その映像を持ってルイスはテレビ局へと向かう。
ニュース番組のスタッフは、映像は倫理に反すると放送に反対するが、ニーナは必ず放送すると譲らなかった。
一方ルイスは、スクープ映像を渡すことと引き換えに、ニーナに言い値で映像を買い取らせる強気の姿勢に出る。
また、テレビ放送の際にルイスの映像会社の社名だという「ビデオプロダクションニュース」をテロップに流すことと、テレビ局スタッフや上司に面識させることも要求した。強制的な要求に出たルイスに戸惑うニーナだったが、番組視聴率が欲しい彼女は全ての条件を受け入れた。
後日、テレビで流れた映像を見た警察が、スクープされた事件の情報と証拠映像を求めてルイスの家を訪ねてきた。
犯人目撃とその映像も持っていたルイスだが、警察の情報提供を求められても「犯人の映像は持っていない」と白を切り通した。
その後、ルイスは映像に映っていた犯人の自動車ナンバープレートをネット検索し、犯人の自宅を突き止める。
犯人逮捕劇の撮影計画が、仕事の飛躍と考えたルイスは、リックに逮捕劇を演出する計画を話す。
ルイスの計画を聞いて怯えるリックは、ルイスを相手に儲けの取り分を山分けにするか、自分が警察に通報すると言い出した。逮捕劇映像の欲しいルイスは、山分けに同意した。
犯人の自宅を突き止めたルイスはリックを連れてさらなるスクープを撮るために尾行を開始する。犯人がレストランに入っていったのを確認したルイスは、ここで逮捕劇を演出しようと「レストランに武装した容疑者2人がいる」と警察に通報し、犯人逮捕の瞬間のスクープ映像を撮影するためにがレストランの外でカメラを構えて待った。ルイスはリックに「車から降りて別アングルから撮影するように」と指示を出した。リックは指示に従い、車を降りて別アングルから犯人とレストランに向かう警察の様子を撮影し始める。
警察がレストランに到着すると容疑者の1人が警察に向かって発砲し、銃撃戦が始まった。容疑者の1人は殺害されたが、生き残ったもう1人は車で逃走した。
ルイスは車に戻ってきたリックと共に、容疑者と警察のカーチェイスを追跡しながら撮影を続行する。
追跡の末、やがて容疑者の車が事故を起こし横転したことでカーチェイスは終わり、ルイスはその近くに車を停車した。
容疑者の様子を確認したルイスはリックに「容疑者は死んでいる。運転席に近づいて詳細に撮しろ」と指示した。しかし、容疑者は生きておりカメラを構えたリックに向かって発砲した。事故車からどうにか脱出してきた容疑者は遅れて到着した警察に射殺される。
容疑者に打たれたリックは瀕死の状態で倒れていた。
その様子をルイスは冷静に撮影しながら「自分が信用できないヤツとは仕事はできない」と告げ売り物に変えたのだった。
スクープ映像に満足したニーナは、ルイスへの信頼を伝えた。テレビ局にやって来た警察が映像を押収しようとするも、ニーナは権利を訴えて拒否した。
レストランの銃撃戦が作られたものではないかと、警察の取り調べを受けることになったルイスは「犯人の車が自分を追跡してきた」と嘘の話をでっちあげた。
警察はルイスの話が嘘だと気付きながらもその証拠がなく、彼を釈放せざるを得なかった。
その後、ルイスは撮影機材車を2台購入し、インターンを雇ってビジネスの幅を広げていった。
『ナイトクローラー』の登場人物・キャラクター
ルイス・ブルーム(演:ジェイク・ギレンホール、吹替:高橋広樹)
社会病質者で定職に就けず窃盗まがいなことをして生計を立てている主人公。
盗みを働いた帰り道、事故現場に遭遇しそこでフリーの報道カメラマンという仕事を知ることになった。元々の話術と勘の良さで報道カメラマンとしての地位を確立し、本領を発揮していく。
ブロークバック・マウンテンのジェイク・ギレンホールの怪演が好評された。
ニーナ・ロミナ(演:レネ・ルッソ、吹替:深見梨加)
ルイスの地元テレビ局の深夜のニュース番組担当プロデューサー。会社との契約更新を間近に控えており、低迷する深夜ニュース番組の視聴率を上げるため、視聴者が食いつく映像を求めている。
そんな時、ルイスの映像と出会い彼とビジネスパートナーとなる。ルイスの撮ってくる映像に魅了されていく彼女は、周囲のアドバイスを無視して倫理に反すると思われる映像でも臆することなく放送をしていくこととなる。
リック(演: リズ・アーメッド、吹替:金城大和)
家も金もなくホームレスのような生活から抜け出したくて金を求めルイスの求人に応募してきた青年。ルイスに雇われ彼のアシスタントとなった。
ルイスに利用され低賃金で働いている。また、時折見せるルイスの狂気じみた発言に恐怖を覚えつつも、他に仕事もなく渋々彼に従っている様子である。
最後にはルイスに見せ物として利用され、悲惨な最期を迎えることとなる。
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目次 - Contents
- 『ナイトクローラー』の概要
- 評論家による反応
- 『ナイトクローラー』のあらすじ・ストーリー
- 報道パパラッチとの出会い
- 報道パパラッチとして始動
- 転機の訪れ
- 『ナイトクローラー』の登場人物・キャラクター
- ルイス・ブルーム(演:ジェイク・ギレンホール、吹替:高橋広樹)
- ニーナ・ロミナ(演:レネ・ルッソ、吹替:深見梨加)
- リック(演: リズ・アーメッド、吹替:金城大和)
- ジョー・ロダー(演: ビル・パクストン、吹替:西村太佑)
- フロンティエリ刑事(演:マイケル・ハイアット)
- リンダ(演: アン・キューザック、吹替:小林さとみ)
- フランク・クルース (演:ケヴィン・ラーム)
- 警備員(演:マイケル・パパジョン)
- 質屋のオーナー(演:ジョニー・コイン)
- カメラマン(演:エリック・ランジ)
- 編集者 (演:キッフ・ヴァンデンヒューヴェル)
- 『ナイトクローラー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 私は粘り強い真面目な人間で、人一倍吸収力がある。
- それが僕の仕事だ。人が破滅する時に現れてカメラを回す。
- スキルアップの近道は指示をよく聞いて従うことだ
- 『ナイトクローラー』の関連映像
- 予告映像
- 冒頭映像
- 特別映像
- 『ナイトクローラー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 12キロ減量で怪演披露
- ジェイクと初めて会った晩、気がついたら5時間も話し込んでいた
- 「Into the Woods」の出演を断った
- 『ナイトクローラー』の関連リンク
- ナイトクローラー公式サイト