ゲット・アウト

ゲット・アウト

『ゲット・アウト』(原題:Get Out)とは、2017年2月に公開されたアメリカのホラー映画。日本では2017年10月に公開された。監督・脚本はジョーダン・ピール、主演はダニエル・カルーヤが務めた。白人の恋人に連れられて彼女の実家を訪れたアフリカ系アメリカ人の青年が、そこで想像を絶する恐怖に遭遇する。本作は、長らくコメディアンとして活動してきたジョーダン・ピールの監督デビュー作であり、初めて携わったホラー作品だ。

ゲット・アウトのレビュー・評価・感想

ゲット・アウト
8

閉じ込められる!

黒人の男性が、白人の恋人の親に会いに行くと、というホラー映画です。黒人であることを親は知ってるの?て聞いたり、使用人が黒人であることにドキドキしたり、やっぱ時代は変わったといっても、まだまだ差別が根強くて、その辛さが身に沁みてるんだなと思いました。最初に見たときは、奴隷とかのオークションかなといろいろ考えましたが、まさか乗っ取りの話とは!しかも、黒人の体が高値で売れるというのも、面白い視点だなと思いました。黒人を自分の入るケース扱いしておきながら、その身体能力に憧れるってのもおかしな話だなと思いました。終盤、これからされることの説明を古いテレビを使って流すのとか、なんか不気味さが増して面白かったです。閉じ込められてる人が、光で一瞬自分を取り戻して、ゲットアウトと叫ぶとか、涙を流すとか、怖い話だと思います。閉じ込め症候群とかテレビで見たことありますが、自分の思い、感情を外に出せないのってどれだけ辛いかと思います。目で語るだけでも、片言でもなんか表したいよねと思います。中の人物で、一番怖いのはやっぱりローズですね。ああやって、たくさんの男を家に連れていくのでしょうか。なんか、襲う時の顔も無表情だし、サイコパスって感じでした。

ゲット・アウト
8

おもしろい着眼点

黒人の男が白人の彼女の家に行くと、すごく歓迎されるがなんだかおかしいというホラー映画でした。
私にはあまりなじみはありませんが、アメリカでは黒人が白人の家族に会うのはちょっと怖いところがあるんだなと思いました。監督さんは黒人なので、自分の体験談なのかもしれません。
映画の中の話は結構、荒唐無稽で面白かったです。たぶん、実はこの白人どもは、悪いことしているのだろう、黒人を殺してるのかなと思ってみていたので、ビンゴ大会がはじまって、それがオーディションではみたいな展開になって、主人公の体が取引されていることがわかったときは、ここからどうなるのかなとドキドキしました。まさか、体のっとりの話だったとは!びっくりです。
たしかに、黒人のアスリートは多いし、体力とかありそうだし、その体がほしいと思うのもうなづけます。今まで、そんな、発想に基づいた映画はなかったので、面白いなと思いました。主人公もなんとなく違和感からどんどん恐ろしくなって行く感じがリアルで怖かったです。もうすでにこいつらの中身はちがうんだとわかるところとか、SFチックでおもしろかったです。
まだ、新しい監督さんらしいですが、なかなかいい監督です。これからも楽しみです。

ゲット・アウト
7

ビンゴ大会

黒人の男性が、白人の恋人(女性)の家族に会いにいったら、すごく良くしてくれたんだけど、とある人に早く逃げろと言われて…というホラー映画です。ホラーなのにどこかコミカルでおもしろかったです。黒人の男の子が主役なのですが、最初は彼女の家族に歓迎されて、ホッとするのですが、どんどんなんかおかしいと気がつくというところがゾクゾクしました。なんだか、黒人のメイドの笑顔が怖いし、変なビンゴ大会には呼ばれるし…逃げろと言われたのに逃げずにいたら、ビンゴ大会はビンゴ大会ではなく、「主役を商品としたオークション大会だった!」と、すごく荒唐無稽の話のようですが、昔は奴隷の売り買いとかあったし、私には馴染みがない話だったけど、アメリカではありそうな、起こりうることですごく怖い話だなと思いました。まあ、その後は奴隷にするのではなく、黒人の体を乗っ取るというSFチックな話なのですが…前述のメイドも実は中身は白人だったという。体を取られるというSFは、相手がお年寄りで新しい体が欲しいとかいう理由によるものが多いから、黒人の体が欲しい、彼らの運動能力は素晴らしい、という発想が新しいなと思いました。ホラーだけど、コミカル、でもきちんと怖いのでオススメです。

ゲット・アウト
9

最後まで事態が想像できない不気味な怖さ

一度目の鑑賞では、後半まで事態が把握できず、『なんだかよくわからない気味の悪い映画だな』と思いました。派手な演出は特になく、地味な感じで展開していきます。ただし後半になって衝撃の事実が分かってからは更に怖さが増し、目が離せなくなりました。
単なるホラーとかサスペンスという感じではなく、『なんとも言えない不気味な怖さ』がテーマの映画だと思います。黒人と白人の人種を扱った映画でもあり、現在も続くアメリカの人種差別をもろに感じた映画でもありました。
ただ監督も黒人ですし、黒人の遺伝子の優性さを評価する内容なので、単なる黒人差別とはまた違うのかなとは思います。
人間の奥底にある『永遠の若さや強さ』に執着すれば、ありえない話でもないのかな、と改めて人間の欲深さにゾッとしました(金持ちの上流階級の方に限りますが)。
一度鑑賞してから自分の中で整理してネットで検索し、事実を把握してから二度目の鑑賞では、一度目では見逃していた伏線に気づけたりと、二度楽しめる映画でした。
このような発想の映画は今まで見たことがなかったので、久々に面白かったなと感じた映画でした。題名の『ゲット・アウト』がこの映画の全てをうまく端的に表わしていると思います。

ゲット・アウト
8

映画「ゲット・アウト」レビュー

白人女性の恋人の実家へ挨拶に行った黒人の男性が主人公です。
友人に「白人の彼女の実家へはあいさつに行くな」と冗談交じりで忠告されますが、彼は実家へ挨拶に行きます。
彼女の実家では大歓迎されますが、それとは裏腹に使用人として働いている黒人や彼女の親戚の黒人に違和感を強く覚えます。また自分のことを必要以上に評価してくる親戚一同にも違和感を覚えます。

この映画のあらすじを読んだときからどんな物語なのか気になっていました。
Netflixにこの映画が上がっていたので早速観てみました。

彼女の実家の人たちも親戚一同も主人公をとても気持ち悪いほどに好意的に接しており、その中で彼女と、友人の存在が安心して観ていられました。

使用人の黒人への違和感、親戚の黒人への違和感は分かりやすく描写されていました。
夜中に猛ダッシュしたり、言っている内容とは裏腹に涙を流したり、若者なのに老人のような態度だったりと主人公がこの場に居たくない環境がどんどん出来上がっていき、内容もどうなっていくのかワクワクして観ていられました。

私が好きなシーンは、友人が主人公と連絡が取れなくなり、頑張って助け出そうとするために奮闘するところです。主人公の唯一の拠り所の彼女に裏切られるシーンも見どころです。

彼女の実家では一体何が行われているのか、ぜひ観てみてください。

ゲット・アウト
9

人種を超えた愛の裏に忍び寄るサイコパスな家族

2017年にスマッシュヒットした社会派サイコスリラー。
人種差別をベースに組まれたストーリーなので、弱冠日本人には入りずらいかなと思ったが試しに視聴した。結果「もっと早く見ておくべき傑作だった!」と放っておいた自分に自己嫌悪するほど。

主人公の黒人青年クリスが、白人の彼女の実家へ招待されたことから物語は始まる。
道中で警官に不必要な免許の提示を命令されたり、彼女の実家(豪邸)では2人の黒人が使用人として雇われていたり、クリスの根本にある「差別」への意識は序盤からいきなり高まっていく。不安を抱きながらも、家族からは盛大にもてなされ安心をしたクリス。だがその夜、クリスは彼女の母から禁煙を促され催眠療法を受ける。この催眠術をきっかけに白人一家が自分を支配しようとする目的や、隠された恐怖を知っていくこととなった…。

この物語の根底には「根強い人種差別」「奴隷」「人身売買」のメッセージがある。
白人の富裕層が欲しいものを手にいてれもなお満たされない欲望を求めた結果がこの映画の恐ろしさにある。正直テーマがテーマだけに硬さがあるのかなと思っていたが、予備知識なしに見ても楽しめるスリリングな映画だった。重いテーマにしては見づらさもなく、ラストに向けての伏線回収や畳み掛ける爽快感は誰が見ても損はないはず。