1000年以上生きるエルフの魔法使い・フリーレン
この物語は「魔王を倒す勇者」の話ではない。「魔王を倒した勇者の死後」の話だ。
1000年以上生きる、エルフの魔法使い・フリーレンは勇者一行として、旅に同行する。そして、勇者と共に魔王を倒し、国をあげて賞賛され、勇者や仲間は老いて死んでいく。
エルフのフリーレンは時間感覚が人とは違う。人はすぐ死ぬ、と自分と関わった人について、彼女なりの思いを心に秘めている。すぐ死ぬ、だけれども。だからこそ。
フリーレンは旅をする。様々な人と出会い、分かれ、各地で出会うかつての「勇者たち」との思い出に、新しい「仲間たち」との日常に、これからに、心が動く。
フリーレンの世界はとても静かで平穏だ。凪のような時間が過ぎていく。スポーツ漫画などでよくある「熱血」とは真逆の、「平熱」「涼しさ」を感じる。それはフリーレンの心に空いた穴ではなく、ささやかな幸せや、ささやかな寂しさや、ささやかな喜びのように私は思う。
もしあなたが千年生きるとして、周りの人が先にどんどんいなくなってしまうとしたら、生きる意味を何に定めるだろう?
彼女は何を思い、生きていくのか。
それは、悲しみなのか、さみしさなのか、喜びなのか。
フリーレンの旅は続く。